外伝09♪~θ(^7+^ )Range(“香港滞在三日目”).Activate Category:サウスイーストコート編(7.5次) Phaze:十日目

[前日日計]
支出1500/収入1440
     /負債 60
[前日累計]
     /負債 506
§
→9月25日(日)
0906花園酒家
ソーメイ
金栗花生柴魚粥(大)
鮮蝦露筍餃(大) 370
1110鳳城酒家
生煎菜肉飽(大)
蓮茸[火局]布[句-ロ+田](25元) 370
1252日東麺飽
ポテトパン,裸麦パン300
1503 Y…not?Coffee Engineer
SODA Coffee
1707新之城(手[テヘン+覚]麺専門店)
[サ/加]蛋牛肉手[テヘン+覚]麺400
1833豪園餐廳
快廳D [王加][王利]牛[月南]飯(トンリンチャ)45 750×.9=675
1951Main First Cafe
Espresso
[前日日計]
支出1500/収入2115
負債 506/
利益 109/
[前日累計]
利益 109/
§
→9月26日(月)

 昨夜はうなされたうなされた。寝汗びっしょり。
 朦朧としとったので,とにかく遅出にした。遅出で朦朧となってるので,昨日から外しがたいと狙いを定めたこの飲茶へふらりふらりと歩いて向かう。
 冷静に考えたらそのモードで早茶する気になるのって凄いですね。あ,コレわしか?
 9時6分,花園酒家。


▲花園酒家のソーメイ,金栗花生柴魚粥(大)

ソーメイ
金栗花生柴魚粥(大)
鮮蝦露筍餃(大) 370
 体調を考えてお粥を,って今回何回目だろコレ書くの?金栗花生柴魚粥(大)。
 調味の後はない純粋な米粥…と感じられた。最初は北京風か?とガッカリしたほどです。
 でも,なぜだ?
 か,確実に,美味い!
 米の透明感に満ちた甘みの底に旨みの根元を探っていくと?──これだ。ピーナッツと,この姿の見えない魚粥の香り。この極めて淡い香りの二重奏が,粥のはるか背景に端正に息づいてる。
 そう,これは,これこそがまさに香港粥です。
 味覚を効かす層が一つ,殊によると二つも三つも下で,和食もですが,福建料理でも最も大切にする出汁の層をストンと抜け落としてしまって,それがないまま,米の味だけをあからさまに,無防備に晒してしまう。ふきだしをつけるなら「米ですが,何か?」という惚けた声。そんな風に言わせておいて,和食の何枚か下の地中を震撼させることに全精力を注ぐ。
 広州の艇[イ子]粥の存在を知ってから思うに──あの広州粥は,明らかに出汁と旨みの層で勝負してます。福建の「ちゃんぽん」的な発想で,おそらく和食の基盤はこういうものから出たものです。少なくとも影響されてる。
 だから,広東の味覚は,その歴史を通じて終始一貫そんなに地下潜行型だったという訳じゃないはずなんである。
 そしたら,何でこんな料理が生まれるんだろう?
 そこには,潮州の乾物文化や順徳の素材至上主義みたいなものによる,どこかの時点での「革命」がなければ理解不能な気がするのです。
 花園の小点は,「革命」後の,極めて香港的な場所を頑なに矜持とし続けてる。そこから一歩も冒険に踏み出そうとはしていない。
 日本人にとっては,そういう,文化の硬質性みたいなものに打たれる味覚です。
 一通り香港飲茶を食べた方に,ここには来てほしい。わし自身,このくらい食べ重ねた後でここを知りえたことに幸運を感じます。

▲花園酒家のソーメイ,鮮蝦露筍餃(大)

 食べる時にスマホを見る奴は,舌に神経を集中してない。まして指を動かす者となると,これはもう食を語ってほしくはない。栄養材か点滴でも飲みながら「うっめ~」とか言ってりゃいいと思う。
 それが食の都・香港を象徴する食方,飲茶のお席となると,もう語るべくもない。新聞紙とか活字を友に,という地元のオヤジはいるが,あのスタイル,あれは同じ店の飲茶を舌に馴染むほど口にしてきた達人にのみ許される行為なんである。
 何を突然説教垂れてるんだ,と驚かれるなかれ。今わしは葛藤の中の己を叱咤したんである。
 箸をつけたのは鮮蝦露筍餃(大)。
 小蝦と?もう一つ入ってるコレは何だ?
 緑色。コリコリしてる。え~と?すごく食べなれたものなのに思い付かない。ここの究極的にもっちりQQな包の中に,この軽快な魚身と,問題の軽妙な野菜味が足取りも軽やかにステップを踏む。
 ああっ!この野菜,オーダー式だから「露筍」という中国名は分かってる。これだからオーダー式は困るんだが…どうしても味覚が記憶にヒットしない。
 負けた。スマホの日中辞書を起動。
 ──アスパラガス!
 →どアップ写真
 さっきの粥で「花園は冒険しない」と書いたばかりですけどっ?
 混乱しながらさらにググる。なるほど!中国を含む東アジアにはキジカクシやクサスギカズラというアスパラガスの自生種があり,古くから食用(後者は茎を薬用(天門冬))としてきたらしい。
 ただし今使われてるコレは明らかに,普通の西洋アスパラガス(地中海が原産)。こういう「活用」をさらっとしてみせて「え?中華ですよ?」と言ってみせるのは,戦前には日本にもいたような健全なナショナリズムというもの…なのか?いーのかそれで?
 いーよ。美味いんだからもういーよ。 全く,困った飲茶である。

 油麻地から香港島側へのバスに乗ってみた。何で突然そんな気に?という理由は例によって記録してませんけど,まあ頭朦朧としてる上に花園で混乱してるんでこの位の御乱行に及んでも,大目に見てあげてもいいんじゃないかしらお父さん。
 乗車は10時を1分回ったとこ。そんなことだけ記録してるのもラリってる証拠ですけどね。
 北角行きとなっていた。下站は理工大学。
 九竜から香港島はもちろん海を隔ててます。これをどう渡る?橋を渡って香港島?いや海底隊道,つまりトンネル?
 紅[石勘]駅をすり抜ける。やはりバスなら,うまい便に乗ればここはすぐなのだ。
 トンネルを軽く潜って…ここは? どこ?
 山に登りそうだし,何となく銅鑼湾的な景色だ。香港側なのか?こんなに軽く海を渡ったの?でもそうなら山に昇った不味いだろ?
 とりあえず降りた。う~む。全然分からん。
 先ほどからスマホに敗北感を感じっぱなし。──Googleマップを開く。あ?ハッピーバレーへの登り口じゃないか!

 ワケわからん乗客だったにしては相当ラッキーと言えましょう。なんせ,香港島って実はデカい。山の裏側に着いてもおかしくはなかったわけですから。
 にしても目的地まではまだ,地下鉄の一駅分の半分はある。
 ぐわ~と歩く。
 10時半を過ぎた。登龍街という路地の端の看板を視界が捉えてしまう。有利腐乳王?
小瓶35:元
 買い物なんかしてる場合か?と惑いつつ,なぜか魅力を感じたコレ──やや封入が甘くて帰国時には瓶の回りが芳しくなってましたが,思いきって使うと…ぶち美味い!臭さが尋常でない!苦味に感じるほどのその異物臭が,あらゆる炒め物,煮物を異次元に誘うんである!
 後生大事に使いまくってたら,そのうち下痢気味になってきた。それでも使ってると,完全にピーピーになってきた。現在,少し残った瓶の中身をどう処置すべきか悩んでるとこですが…次通ったらまた買うだろな。ただし,今度は封を強化して持ち帰って,それで早めに使おう…。

 お?また全く分からんくなったぞ?
 既に気配は銅鑼湾中心街。かなりいーとこまで来てるはずなんだが…。
 ここはいつも迷いまくるんだよな。このハッピーバレーへ登りかけた辺りって,乱開発の残滓だろうけど,道の方向が不規則な上にアップダウンを繰り返して本当に,迷うために作られたような街割りです。嬉しくなってくる。
 が,今は喜んでる場合じゃないぞ。早茶と午茶の間の空いた時間を逃してしまう!
 再びGoogleマップ。
 ──恐るべき我が健脚。何と,とうに通りすぎてたらしい。思ったより距離を稼いでた。
 さらに何度か迷いつつ,気がつくと店の前にいた。ここはいつもこーなんだよな。鳳城酒家。時間は11時10分…微妙だが,諦める時間でもない。
 入店。
 
▲鳳城酒家のソーメイと蓮茸[火局]布[句-ロ+田]

ソーメイ
生煎菜肉飽(大)
蓮茸[火局]布[句-ロ+田](25元)
 蓮茸[火局]布[句-ロ+田](25元) は,要するにプリンでした。
 表層の黒ずみからは焦げ香が芳しく立ち上ぼり,匙を入れるともうっと出でたる湯気とともに柔らかくも滑らかな黄身がふるふると揺れる。
 この層の下には,名の通りの蓮の実がでろんと顔を出します。
 どうもこのプリンと蓮の実の層の相性はとんでもなく合うようには思えなかったんですが,それは冒険心ゆえのご愛嬌というところでしょうか?ただし,この熟熟のプリンの下にあるわけですから,この蓮の実層も熱々です。これ単独でもいい。美味いというも愚かなり。
 とまあ,ちょっと贅沢すぎるスイーツでした。
 もう一品より先にこれが来たので「スイーツ先食いかよ?」と一瞬迷ったんですが──この熱々の状態を逃す手はない。この暑い中ではありますが,ほくほく,はふはふと息を継ぎながら先に平らげさせて頂いたんでした。

▲鳳城酒家のソーメイと生煎菜肉飽(大)

 生煎菜肉飽(大)。
 普通の野菜マンです。それしか書けない。
 白菜。豚肉ミンチ。これを包む 中華饅頭の生地。繰り返しですが,まあそれだけ。大陸でも香港でも早飯に街角で一個一元で売られてるのと同じ作り。──僅かに生地の中に,薩摩芋か山芋のような粘りある味覚を感じたような気がしましたが。
 これ以上,語を連ねた後に書くのも怒られそうなので端的に言えば──
 この美味は,謎でした。
 明らかに絶品です。
 口にした瞬間に溜息とともに体が止まるほどの,非の打ち所のない菜包。
 言っときますけど,この菜包というのは先述の如く中華早飯の定番です。留学中の学食を含め(90年当時4角),もー勘弁してというほど食べてきた。そりゃもう何百個食ったか分からん。
 その中で抜きん出た旨さだと言ってるんである。
 にも関わらず!
 何度,どう味わっても,何が違うのか,何が凄いのが分からない。全然分からない。
 あえて結論づけるなら,例のトロミを帯びた包と,ややニンニク辛さが強いかもしれないミンチと,なぜか野菜味が加速的に際立つ白菜,これらのバランスが,考えられないほど,好い!──って書いてて自分でも何のことか分かりません。
 美味に震えながら頭を抱える。こういうのを出すから,香港ってのは本当に困った場所な訳です。

「華[門>虫]汽車公司豪華臥[金甫]快車
 香港(直通)福建
 由皇[山/岡]海関門口直接上車
 夜間中途免停3小時」
 という貼り紙を見つけたんですが ──え?え?何時間かかるか書いてないとこが大層不気味ではあります。が,まあアリかもしれません。
 福州-香港バスというものが存在する!
 このニーズがあるのなら,将来同ルートの新幹線も走り始めるのでは?香港が大陸中国への陸路旅行拠点になる日も近い!…のか?
 とか壮大な野望(?)を抱いたのは北角。
 しばらく探してた手提げカバン,帰国用長袖シャツを各百元程度で購入。
 当たり前だけど荷物は増えた。トラムで一度帰路に…ついたけど上還に行ってなかったことに気づいてしまう。香港島を出るのに足が拒否反応を示し,結局,中還で地下鉄から上がってしまった。

 英記茶荘。通りがかりだったけど,この名はどこかで記憶がある。何回か目だと思う。
牡丹何とか
 なぜか美香村茶荘がクローズだった。今回はえらく茶葉に距離を置いてしまってます。なのでその上側でたまたま通っただけなのに…この店は良かった!
 デカい缶から匂いを嗅がせてくれた上に75gパッケージを用意してる。土産向けというとこではあるけど,態度を見る限りそうスレても高飛車でもない…気が何となくしました。
 白牡丹の上が何とか牡丹としていくつか種類があって,その上の75g240元があの銀針だそうです。40元のと80元のは単にランクの違いではなくて香りの種類が違うと感じられたので,お試し的に各一箱を購入。
 帰国後に唸った。好い!かなりナチュラルな品だと思います。味の劣化は激しいみたいですが,保存料が少ないとか,むしろ好印象に結び付いてます。何となくですけど。

 15時3分。「Y…not?Coffee Engineer」,これが店名らしい。
SODA Coffee
 な?何じゃそりゃあ!
 ということでとりあえず飲んで見ましたら──ま・さ・にドツボでした。
 個人的に,砂糖も調味料もないただのソーダが好きです。また,読まれて分かるかもですがエスプレッソも,これがないと生きてられません。なもんで,このエスプレッソinソーダは,これはもう最高!
 おそらく単にエスプレッソとしてもレベル高いと思います。
 どうもネットで話題の,という類いの店舗らしいのですが,冷静に考えたら──エスプレッソにソーダを混ぜた,まあそれだけと言えばそれだけのもの。
 しかし日本でこれやろうと思ったら自家用エスプレッソメーカーが要るなあ。馴染みのタリーズとかのスペシャルサービスとかで作ってくれないかなあ…。

 しまった!観[土唐]に行ってなかった!
 ということで夕方のラッシュを縫ってわじわざ東の端にまで引き返してるわしの行動は,あんまり賢いとは申せませんな。おほほほほ。
 とにかくひとしきり歩いて納得した17時7分,新之城(手[テヘン+覚]麺専門店)に入ったんであります。
[サ/加]蛋牛肉手[テヘン+覚]麺400→写真
 前からカレーを食いに入ろうと思ってた店でした。ただ,何か覗く度に客少ないな,危ないな…と躊躇してきたんですが──入って見れば何のことはない。店の奥がかなり深い間取りらしくて,その奥にこの時間にしては相当のお客様がおられたのでした。
 で?結局,カレー食ってへんがな?
 そうなんですわ!皆さんが食ってる旨そうな麺に目が行ってしまった。おっ,しかもその麺は山東名物刀削麺ではないか!…とここまでした結句,麺に転んでしもたのです!
 来た来た!刀削!
 ?
 来た麺は…どうも細い。
 皆さんが食ってるのは,麺を選択しなきゃならんらしい。ああっ,麺の種類に「削麺」とあるじゃないか,ちゃんと!
 まあ,今日はこのくらいにしといたろ。次回だ。次回の楽しみとするのだ!
 しかしこれ。いや,負け惜しみとか未練じゃないよ。じゃないんだけど,細麺であっても,やっばり旨い!
 炭水化物天国の広東メシをまだ今回は味わってませんでした。これこれ,これがなくちゃね。
 それにこの…トマトと肉のボルシチみたいなスープもいい。ルソン湯の流れを引いてるものだろうか,明らかに中華の痕跡も留め,麺との相性も最高,かつ単独のスープとしても飲ませる。
 いーじゃん,ここ!
 室内はかなり広い。奥行きだけでなく,中がL字に折れて広がってるような構造で,広々としたチープな空間,という感じ。いーですね。 これで麺を間違えなけりゃ,さらに良かったですねって?あああああ!
 勘定の時に「27元(アルシーイークワイ)?」と北京語で確認すると,「アルシーイー!」と店員一同に大爆笑されました。どうも,北京語で喋るだけでウケちゃう,そのくらいに,ここは広東の深みにある街です。

 観[土唐]からバスに乗ってみたかった。
 この街は九竜の東の郊外住宅地なので,バスの往来は激しく,地下鉄(が高架に上がってる)駅の回りはバス乗り場だらけ。そしてわしは、鉄道以上にバスにオタク心が沸き立つし向いてまして。
「1A 尖沙咀[石馬]頭」という路線。しばらくあちらやこちらの掲示を覗いて情報を総合すると,これが中心部に出ると思われた。
 しかし?どこから乗るんだ?1Aバスはガンガン通るのに乗り場が分からない。幸いガンガン通るから,それに逆行してく。すると?えらか山手に登ったぞ?
 ここはどこのバス停だ? 名前は和楽頓らしい。
 とりあえず乗車したのは17時50分カードをピコると7.2元,高いがこの距離ならさもあらん。さて?もっと観[土唐]駅に近いとこにも止まるはずだがどこだったんだ?
 いや裕民坊が下(次の)站?止まらんのか?
 え?新之食のすぐ前,さっきタバコをすったとこに止まるがな!ただここで客がどっと乗るらしい。席を確保するのは確実ではないようなんで,結局正解でしたが。
 でAPM(観[土唐]駅接続のモール)前に止まってから一路西行。
 高架下の三車線道。観[土唐]線に並行。列車の倉庫。
 行く手に変な形の山影。
 西貢との分岐。
 ハイウェイ多数。汕頭めいてきた。
 采何と (以下移行時破損・・・なので次のカレーの記録は闇に消えてます。でもとってもおいしかったのでまたパパと食べにいきたいです。)

▲豪園餐廳
快廳D [王加][王利]牛[月南]飯