初めて自販機でチケット購入してみた。大邱駅,朝7時前。
英語を選択できたんで特に問題なく進めた。列車はKTX(韓国の新幹線),値段は…14800W!?
ばッ,馬鹿高!!!
…と騒がんでも,日本円なら千円だ。千円で新幹線1時間?広島-博多間が1時間強で新幹線8千円位…と比較すると,安!!!韓国と日本の物価の差はそんなにはないだろ?日本の交通の方が高いのかも知れん。
7時17分,大邱発。終点の釜山まで動く。
車内で毎日新聞を眺める。
大邱駅のキオスクで見かけて買ってしまったんだが,題字以外はハングル。
韓国お家芸の平気でパクリなパターンか!?と思ったけど,Wikiによると――日本の毎日新聞と全く関係ない。大邱を本拠とする1946年創刊の地方誌。
社長は神父さんなんだって。だからかどーだか,リベラルな政治的主張をやっちゃう行動派メディア。1955年には社説「学徒を道具として利用するな」を自由党が問題視,党幹部が新聞社と社員を暴行(大邱毎日襲撃事件)。記者が国家保安法違反で起訴された。
1960年には2・28大邱学生義挙の中心になるとか――日本の新聞の方が頭を下げたくなるほど硬派のメディア。
この毎日新聞を眺めつつ,同じくキオスク購入のSawollae greentea(サウェルイェボセノクチャ,1800W)を喉に通す。
緑茶のペットに初めて当たったかも?意外にスッキリしたお茶。ペットのお茶だから保存料やら香料やらが入ってるのは間違いないはずなのに,日本みたいに目立たない。
前回刮目した17茶の美味しさといい,韓国人の舌でも気にならない形での保存料の使い方してんのか?
車窓は雨模様。視界は悪いが,大邱を出てすぐ広大な田園が広がる。綺麗に整地された低い灌木の畑地。果物類か?
山裾に見える土饅頭みたいなのは土葬墓だろか?
8時15分,釜山着。雨が上がった。
地下鉄に乗ると,いきなり釜山名物!
今回は雨具を売るオヤジが出現。やはりこの光景,なぜか釜山独自らしい。しかも…毎回遭遇率が高まってるみたいな印象なのは気のせい?
西門で下車。ロッテデパート南のモーテル街へ。ここ,安さよりいかがわしさが好き。
さらにこの界隈,微妙に間違った日本語が多くて「ヘンな日本語」マニアとしては大変収穫の多い場所。
ただ,この朝は初めて宿が全滅でした。モーテルを3館連続で当たってみたけど完敗。なるほど…ここは盛ば場西門,ウィークエンド翌日の早朝だからな。本来の用途にフル稼動中ってことやね。
結局,前回と同じコリアナモーテルに入る。4万Wと高いけど,ワイドな液晶テレビにオンドル床の洋室,机にはパソコンとロータスのビスケットが乗ってる!
さて…釜山歩きだ!とにかくチャガルチへに向かう。
西門から一つ南,以前から覚えにくかったボンネゴル駅に日本語表示が付いてた。漢字で「凡内谷」らしい。
その次の「洞」の字が取れた「凡一」といい,この辺り広域の古地名が「凡」に由来するんだろか?
あ!ナンポドンの「洞」が略されてる!!結果,駅名は「ナンポ」…大阪人か?「オッチャンオッチャンこれナンボ?」って唄があったな…なんてのはともかく,ごく最近,この地名表示の「洞」は省略されることになったらしい。
チャガルチ着。
韓国の地下鉄の便所は,アメリカと違いちゃんと使える。ただ,今回気づいたが,なぜか小便器にまで全部番号が付されとる。どーすんだ?指定席取れるのか?
国際市場に迷い込む。よく見つけたな…って位入り込んだ場所に目的のシンチャントーストを発見。
スペシャルトスト2500W
をテイクアウトで購入した。韓国トーストにすっかりご執心になってしまった。
イートインのスペースも10人ほどは入れる広さだが,大邱の薬令市の店と同じく店先の鉄板で焼いてる。韓国トーストの本来の姿は屋台なんだろう。ここもまず屋台が原型にあって,店舗も増設してみましたって形っぽい。
メニューは,他に「豆乳&トスト」とか「キウィ&トスト」とかがあって,独特の感覚を伺わせはする。
ただ,言うまでもなくこの辺りは完全に観光地。イートインは日本人数名がわあわあやってたし,店から「日本人ですか?」とか日本語で声がかかるし,ちょっとげんなり。
帰り,くるみあん饅頭の日本語表示を見かけるんで,気になって買う。8個で2000W。試食させてくれたが,小倉あんの中にほんのりと胡桃の香りが染み出してるのが,意外に上品な好ましい甘味。
▲シンチャントスト
宿までにちょっと潰れた…が,韓国トーストの複雑な甘味は存分に生きてました。
ハングルを読むとホドゥ(Hodu)というものらしい。あっ,駅の売店とかで山のように積み上げてあるアレだな?
地下鉄で西門方向へ戻ってたら…釜山駅で,また出た!車内物売り登場!今回は服のホコリ落とし売り。――そんなもん欲しいかあ?欲しけりゃダイソーで買うだろ!?
さあ何人買うか?
見る見るうちに4人お買い上げ…。このコーチの50人足らずの客の中でだから…ヒット率1割近い!ものの1分で,恐らく8000W!確かにかなり効率はいいが…何がそこまで買わせるんだ?ひょっとして,ハングルだから分からんだけで,何か途方もない話術を使ってるとか?
謎じゃ…。出くわすほどに深まる謎に頭を抱えつつ…西門から2号線乗り換え,大淵へ。釜山博物館とかUN墓地があるとこだけど,当然行ったことはない。
「ダヨーン」と読む。車内の英語アナウンスは「This stop is ダヨーン」。日本語アナウンスはない駅だけど,是非聴きたい。「次は…ダヨーン!」観光大使はきっと谷さん(未確認)。
なお,この一つ前は「モッコル」。街のキャラクターは冴場涼(未確認)。
サンドゥイデジクッパブへ。同名のクッパブを注文。5000W。
他のメニューに
ケジャンクッパブ 5000W
スユクベクバン 7000W
行列の店には初めて来た。わしが着いた開店15分後は10人程度だったけど,今はガラスの向こうに15人ほどの客待ちがある。
厨房,給仕合わせて20人近い人数が動いてるけど,全然追いついてない。壁に「CCTV」がどーしたって貼り紙だらけ。やっぱりね。いずこも同じか。
ここは最近発行の釜山情報誌に載ってた店。韓国のテレビで人気を博した店を,新しい情報として掲載したんだろな。
やっと出て来た。こりゃあ…スユクだな。コラーゲンがコリコリで肉としては美味い。美味いがあまりに分かりやすい味。
汁は…とんこつラーメンだな。博多の薄味とんこつの味で,それ以上に飯とマッチする味覚は感じられない。
全体的に,深みがない。
これは…また来よう。もし来年になっても行列が出来てれば釜山市民の味覚もマスコミに騙される程度ってことだが…。 恐らく,ここの評判は半年は持たない。来年,客が減った後,どーなってるか?とゆーのは,大量生産を止めると同時に元の誠意ある味が復活する可能性もあるからだけど…。
そーゆー諸々が,韓国でどう展開するのか?日本と違うどんな相を見せるのか?
少なし今のところ,わしは彼らの食センスを信じられる。
雨がひどくなってきた。この間に屋内を攻めよう。12時半,センタムシティ着。
韓国最先端!世界最大の百貨店センタムシティ!!!
てことで何かあんのかと勘違いして行ってみた。
人がたくさんいました。
行ってから気付いたけど,こーゆー百貨店とかモールとかを諸手をあげて有り難がるのは東アジア人だけだよな。日中韓の人間だって,一昔前までは「ちっちゃくても良い近所の店」みたいなセンスを持ってたろうに…。
そりゃ世界一だろうさ――ってとこで時間を無駄にした。引き上げる。地下鉄を水営,蓮山で乗り換えて東莱へ。
水営は「スミョン」と読む。西門の「ソミョン」といつも聞き間違えて何時かパニクった駅。この辺りを起点に,どうやら近日中に4号線と5号線が開通するらしい。4号線は3号線の社ジグから1号線の東莱を経て東郊外へ。
台湾の西門-小南門間線と似てる。あれは西門の混雑緩和のための迂回路線で,開発著しい東部エリアの交通網整備も視野に入れてた。同様に釜山の5号線は,2号線の沙上から3号線終点の大渚をつなぎ,西門エリアでの混雑を緩和することに加え,開発が進む釜山大学エリアと沙上辺りの西郊外エリアを直結させて交通網の複線化を狙ったものと予想される。
いやあ~迷った迷った!
東莱で下車すると,また雨がはらはらと降ってきた。再訪だから,と地図さえ持ってなかった過信が裏目に出た。いくらか見覚えのある街角にも,中途半端に出くわしたが――。
行きも帰りも迷い過ぎて,どう歩いたんかさっぱりメロメロ。だけどとにかく,通り過ぎかけた街並みにふと店名を発見できたんで…とにかく食うことは食えた。
晴れてたら,この奥にある東莱市場に行くつもりだったんじゃけど…この道,とても行きつける自信がない。
店は元祖チョバンナッチ。
ナッチボックム 6000W
久しぶりにお膳配置図で参る。
①②
③ ④ ⑤⑥
⑦ ⑧
①タラのチャンジャ
②ベチュキムチ
③ナクチポックム
④玉ねぎ醤油漬け
⑤ニラキムチ
⑥ゴマの葉塩漬け
⑦バブ
⑧大根汁
ポックムと言っても凡一と全く違う。辛さがキリリと冴えて甘ったるさなし。代わりにタコが生々しく生きてる。
市場が近いからだろうか?味覚のキメが細やかなんである。副菜も皆そうで,やや珍しい玉ねぎの醤油漬けまで野菜の臭みを生かしつつコントロールしてる。日本人,特に和食好きな人にはこっちの方が訴えてくると思う。
ただ,日本料理のセンスに近いのかと言えば明らかに違う。唐辛子辛さは凡一の比じゃない。あとさり感と辛さはタイ料理を想起するほど。ここは歩き方に載ってるから日本人もいるが,皆さん「グエッ」「もーダメ」モード。――てことは韓国の伝統的味覚でもなく,唐辛子の入った近世以降の味のはず。
おそらくこの冴えのあるナクチの方が,韓国人全世代の好きなナクチなんだと思う。
独自の味覚なんだ。ダシじゃなく,素材の生々しさを生かす。それがそのまんまでは嫌味なものですら,清湯や下煮で整形するんじゃなく,合わせた素材で作ったバランスの中で総合的に美味に仕上げる。タイよりは素材を生かし,インドよりは辛さが直線的。
一見,現代のコリアンにイメージしにくいそんな大局的なバランス感覚を,この一群の料理から感じたんでありますが…深読みし過ぎか?
夕方になっても雨は続いた。
グッショリ濡れた身体を温めたくなったし,東莱から北へ1駅,温泉場へ。
虚心亭。
料金は1万Wかっきりになってた。わずかに値上げだけど払いやすい。つまり800円弱。
しかしやはりここは…必ず来たくなる。
いつも人だらけだし,ガキが水しぶき上げてるし,客層を見てると近場の観光地的に来てるのが多そうだけど――やっぱり一種の浄土です。やや世知辛い商人の街,釜山の歩きの中で,沐浴池みたいな感覚で通うようになりました。
▲虚心亭Cafe basquiでエッグタルトとテニスイを頂く
温泉の帰りがけ,いつも気になってた一階のパン屋のイートインに寄ってしまう。
Cafe basqui
エッグタルト 13.64W
テニスイ(?)19.09W
コーヒー 31.82W
帰りに持ち帰りで,ミルクブレッド名の食パン2500Wも追加購入してしまった。
超意外!美味いんだ!このパンとも違う!
つーかコレ…パンか?パンに分類していーのか?
イートインの雰囲気は,日本のホテルプレッド店の生き写し。であるだけに,その違和感がよけい際立つ。
エッグタルト。上海や香港のとはかけ離れてて,卵クリーム部分は黄身臭くなくて卵豆腐みたいな薄さ,本来パイ生地の部分はミルク感たっぷりの甘やかなパン。
テニスイと読めたパンは,ライスブレッドと英語表記があったから米粉パンかと思ったら…餅なんである。まあ誤訳じゃない。餅だけど,パンの食感も宿してて,分類不能な食感。恐らく製法はボンティケージョを米で作って失敗しちゃったよ…みたいなとこ。――なんだけど,これはこれで美味い!
本格的かどうかじゃなく,結果として美味いんだからいーや!って自由な効力意識。つまり,これぞコリアン・ブレッド!って味なんでした。
食パンは日本まで持って帰って(検疫では…見つからなかった),焼いて食った。これも…最高に複雑で深い甘やかさ。凄いぞ!!
夜。
ムンファヤンコプチャンへ。
コプチャン1人前 120000W
3回位店の前から覗きこむ…何とも不吉な予感に気圧されて――この予感に従っていれば幸せだったのであるが,結局,蛮勇を奮って突入してしまった…。
あとは忘れた。写真集の最後に書いたような気もするが,忘れたっつったら忘れた。あんまり腹が立って…忘れた。
忘れたので,その夜は気付いたらハナバンにいました。
再訪。
何か変わったポップコーンみたいのと,あの変なお茶。
杏だけじゃない複雑な酸味を帯びた,華やいだ香り,漢方じみた重い苦味…いい韓国茶だ。
変貌著しい釜山の町のど真ん中にあって,ここだけはホント変わらん!常に客がほとんどいない,ガラッガラ…ロッテデパートすぐ裏だぞ?何で維持できる?
ともかく…心にいいお茶です。脳に染みるオーラ,いい空間です。韓国の良心を感じる場所。
何より…何かいい感じのご夫婦が睦まじく経営されとんのよね~。釜山にハナバンがあって良かった,って感じ。特に文化村のオバチャンにやられた傷を癒やしたり,悔しさを紛らわしたりするのには…グスン。
長く居座ってたら「サービスです」と杏茶を出してくれた。
これで勘定で「2杯分お願いします」とか言われたら文化村なんだが,ハナバンではそんなことはあり得ない。
あ~引きずるなあ…。海外で騙しに遭うの久しぶりだったからな…。