淡味真@ことばぐすい

真味ハ只是レ淡ナリ

スローフードで教える味覚は、甘味、酸味、塩味、苦味の4味またはこの4味に旨味を加えて5味であるが、道元禅師の典座教訓では苦味、酸味、甘味、辛味、塩味、淡味という6味を挙げている。
「肥辛甘ハ真味に非ズ。真味ハ只是淡ナリ。神奇卓異ハ至人ニ非ズ。至人ハ只是レ常。(濃い酒や脂のよくのった肉、辛すぎるもの、甘すぎるものは、本物の美味しさではない。本物の味は淡白なものである。同様に、人並みなずれた天才は道を修める人間ではなく、道を修める人間は平凡な人間である。)」と明の洪自誠が菜根譚において述べているように淡味を加えて、東洋の伝統では6つの味を料理の基本においている。噛んでも甘くない野菜の持ち味をわが国の精進料理の世界では淡味として大切にしている。

三野耕治「和の経済」