外伝09♪~θ(^5^ )第五次香港
第四天(復)

[前期繰越]
    /負債 392

0930 [ネ豊]頓街鳳城酒家
ポーレイ茶
優恵点心300
高湯菜肉水餃9.8元
[虫豪]皇鮮竹巻9.8元
1130 龍鳳[ン水]室(電気街)
A餐(金牌[ロ加][ロ「里]牛坑[月南])600
1645 cupping room(Cleverly Street 急庇利街)
Long Black 40HK$
1820 Patisserie Tong Wong
Coconut Flower Palm Sugar Napoleon
Blueberry Cheese Cake 500
1830 勤記粉面
B.牛[月南]河+野菜+豆ジャン500
[今期計]
費用1800/収益2000
負債 200/
[今期累計]
    /負債 192

地下鉄の海中渡る 賢治の忌
8時半,バックパックを背に旺角旅館A1室のドアを締める。銅鑼湾・HK HOSTELへ移動。初めての香港島側の宿です。
日曜日だけに,この時間でも乗客は驚くほど少なめ。
と思ってたら?あれ?湾仔が近づく頃から車内に無気味というか隠密というか異様なシークレット感が…これは,そうかチャドル姿がいやに目に入る!黒衣から覗く相貌は,しかしイラニアンの異次元感漂うアラブ女のそれではなく,人懐こいアジアン顔で…おそらくマレーシア系のムスリム。ますます東南アジア化してるらしき湾仔界隈です。
さて…ええと?銅鑼湾で地下鉄を降りて百徳新街 Patbrson Street の…Aブロック。受付は3階,既にカードをもらってた部屋は7階らしい。リュックを置く。
共有スペースには置き去り書籍多数,中国の歩き方はここに落としていくことにしよう。
意外に閑静な一角です。駅側にワンブロックで商店街,海側にワンブロック歩けば港。

▲ネ豊]頓街鳳城酒家のポーレイ茶,優恵点心,高湯菜肉水餃,[虫豪]皇鮮竹巻

留紅草(るこうそう)思い起こせよ鳳城酒家
見つけた!
最近,自分の空間記憶とでも言うべきものが自分でも空恐ろしくなる。脳は完全に忘れてるんだけど,言わば足とが肌が,この辺に何かあったぞ?と思いついてしまう。この時も単に「足に導かれて」…。
 そのような得体の知れぬ再訪を果たした鳳城酒家でした。9時半,銅鑼湾[ネ豊]頓街。
ポーレイ茶
優恵点心300
高湯菜肉水餃9.8元
[虫豪]皇鮮竹巻9.8元
 えーと?復習しよう。ここは床面積としては小規模ですが,2階まであるしっとりした雰囲気が実質より広さを感じさせる店。観光客はほぼいない。注文はオーダー式。料金は普通にはやや高め,ただし用意された10品ほどのリスト中から選べば庶民的な値段になる。
 ケチる意味もなくはないけど,選びやすいので初回からリストの2品を選択してる。今回も先例に習う。
 竹巻。湯葉で巻いた,という字義だったらしい(湯葉の中国語は「豆腐干」が近いけど料理名はこうみたい)。[虫豪]は牡蛎だったのか?とにかく海産のいい味わいが,たっぷりとスープを吸った湯葉の中に泳ぐ。広東の,日本の出汁より一層下の味わい。
 餃子,。生地はほとんど腸粉で中身は白菜を主体としたフルフルの具。これまた深い味わいです。
 いずれのスープにも化調がたっぷり。でもこのチョイスではよく分かった。化調を使う層,つまり日本が発見したと有頂天になってる「旨味」の層,彼らはそれは単なるアクセントだと思ってる。もう一つ下の層こそが大事な,あるいは唯一の味覚だと感じてる。だからこれほどの店でも平然と化調を使って来る。
 いい店です。再発見を祝したい。

天后までトラム なおもチャドル増ゆ  ホントに多い。女の半分はカラフルなチャドルで,歩道橋ではその半分は道や歩道橋にビニールシートを敷いて座りこんでます。
 かと思えばドレス姿の女の行列が横断歩道を塞いでる!?
 ここは来る度に変な街になってく気がする。

▲龍鳳[ン水]室(電気街)のA餐(金牌[ロ加][ロ「里]牛坑[月南]

 電気街と言っても深水[土歩]じゃなくて天后。龍鳳[ン水]室,地元のグルメ誌に載ってたお店。11時半。
A餐(金牌[ロ加][ロ「里]牛坑[月南])600
 うーん…困った店である。と,これでも喜んでる。
 テーブル席8席ほどの小さな客席はほぼ満席。若いカップルが半数。それなりにシャレた店と捉えられてんだろう。
 まず各餐は,飯か意粉かを問われる。半数以上が意粉と答えてる。日本系カレーらしき雰囲気だけど,なんでカレースパゲティの方が定着してんだ?
 さらに,具は牛[月南]とジャガイモ,玉ねぎ。牛肉とジャガイモはほとんどカリーの味に影響してない。でこの玉ねぎがほとんど煮込まれてない。手抜きというより,おそらくスパイスとしての玉ねぎを重く見たのだろう。しかしこの味覚は…カリーだか何だか分からない。
 カリー自体はインスタントよりは少し美味い程度。辛さはスパイシーというより辣油です。
 それでは全体はといえば──何が何だか分からないんだけど結構美味いんである!
 グルメ屋さんもいるみたいだし,壁には食べに来た有名人の写真で一杯!何だこの店は!?この…何て言うのか分からんジャンルは?妙に面白いぞ!!
〔後日談:これが次回以降徐々にハマってくロ加][ロ「里][月南]飯をはじめとする香港洋食の初食と相成りました。〕

[火包]台山 スタバに憩ふ 不断草
 [火包]台山のいつものスタバで,いつものエスプレッソをダブルで一杯。20HK$。3百円というとこか?
 かつてほどお得感はない。でもここは大体,丁度一休みしたくなるポイントなんだよな。で,ウマい感じで雑踏から離れてるんだよな。目の前を二階建てトラムが行き交う。観光客からも隠れた絶妙な感じの普段感。
 ただし,今回はここまで。足に疲れが大分出てる。いいマッサージ屋もなさげなのでとりあえず一度宿に引き上げよう。
「Tram Hire Service」というのがあるそうだ。車内電光表示に流れてるんだけど…どーするんだ?結婚式後のパレードか?それとも自家用車代わり…には使いにくいだろし…?それに…何よりこんなんハイアして楽しいのか?
 いや。いやいや楽しそうだな。東洋香港トラム同好会(まだないが)でハイアして昼間からビールかっくらいたいな,もちろん2階席で。

銅鑼響く島裾遥けし姫女苑(ひめじよん)
 上環(シャンカン)へ。白牡丹の茶屋は見つかるか?
 突然ですが,当時メモってた晩夏の季語の群。
飛燕草(ひえんそう)
留紅草(るこうそう)
岩[サ/非](がんぴ)
花瓢(ひさご)
甜瓜(まくわうり)
蛇苺
 ということで,あのお茶屋は見つけたんですが,閉まってる…。隣に出来てたコーヒー屋で一休み。

 16時45分。店名 cupping room。Cleverly Street 急庇利街。
Long Black 40HK$
 外人がタムロってるコーヒーハウス,という風情てすが,よく見れば地元民も同じフィーカのモード。
「何がお勧めかな?」(少し意訳。ホントは身振り手振り)
「ブラックで?ミルクを入れますか?」(ホントは雰囲気で理解)
「ブラックをもらおうか」
「なら…」一考した女主人「こちらをお勧めします」
 来た!ついに崩れるか「香港に珈琲無し」伝説!
 むむむ!
 こっ…これは!?
 ──ネスカフェやがな!何で600円出してネスカフェやねん!だあっ!(後日訳:さすがにインスタントってことはない…はずなので,そういうレベルのってことで)
 てゆーか白人どもよ!前々から疑ってたが,てめえら味蕾ねえだろ!?君たちに味蕾はない…あ,言い過ぎました。訂正してお詫びの上,慎んで御掲載させて頂きます。
 平日8時オープン。モーニングも出来る香港に有り難き喫茶店ですが…かなりの確率でもう来ない。

飛燕草(ひえんそう)残照に萌ゆトラム端
 帰路は二階建てバスに飛び乗ってみました。
 何度乗っても,好い‼二階建てのトラムとバスが,人間を詰め込んでビルの谷間を行き交う景観は何とも言い難い感傷です。
 湾仔の入り口に「アユタヤタイマッサージ」というドデカい看板が掛かってました。ここはますますタイコン(タイ人:タイ語)の街になりつつあります。
 あれ?てことは銅鑼湾側がマレーシアン,湾仔がタイという棲み分けが出来てきたわけか?
 壇島珈琲は湾仔だった…けど寄らずに帰宅。こういう有名店についぞ足を向けなくなって久しいです。

▲Patisserie Tong Wong外観

 銅鑼湾には新しいパティセリエが少し出来てます。今日はケーキかな?少し早めに社老誌道(Tonnochy)で降りてみる。
店名Patisserie Tong Wong。
Coconut Flower Palm Sugar Napoleon
Blueberry Cheese Cake
 味はなかなか…ではある。ただまあ,香港まで来て食べたいレベルじゃないな。外観ほどには上品な味じゃなく,日本の街のケーキ屋めいたベトベトタイプ。
 こうして,さらに確信を深めることができたのでした。──漢人世界にありそうでなきもの,淡白に旨い珈琲とケーキと魚。いずれかに出会えば驚いてあげましょう。──これだけ人が行き交ってないというのは…余程文化的に受け入れ難いんだと思えますね。

▲Patisserie Tong Wong(銅鑼湾)の
Coconut Flower Palm SugarNapoleon,Blueberry Cheese Cake

▲勤記粉面のB.牛[月南]河+野菜と豆ジャン

 18時半。勤記粉面。同じく銅鑼灣渣甸街。
 群衆でごった返す夜の銅鑼湾。雑踏の風情ならほメシ屋も一杯なんですが,その層の厚さから全然入れないではなさそうです。地場っぽい雰囲気の手頃な店を見つけて飛び込んでみました。
B.牛[月南]河+野菜+豆ジャン500 45HK$
 味はさすが。 街場の大衆店でありながら,いやそれゆえにこそ強い香港のお味です。
 見回せば,定番メニューのほかにも,紙で壁に貼り出された特別メニューがいくつもある。老舗でありつつ知る人ぞ知るマニアック。こういうロケーション,好きだなあ。
 牛[月南]の煮込み方の漢方と中華スパイスのバランス,河(キシメン)の分厚さと煮汁の染み具合なんかは老舗ならではというレベル。
 ただ,もうあんまり味覚に集中してらんないほどのかしましさと場末感です。こういうロケーション,最高だなあ。
 香港の底に沈澱した夕げです。