外伝09♪~θ(^6^ )第六次香港
第二天深水[土歩]にもカシミールの霧を見ゆ

[前期累計]
消費1800/収入1350
    /負債 450
[前期累計]
    /負債2805
§
5月3日(日)
0800 陸羽茶室
ポーレイ
エビ団子みたいなののシューマイ
漢方臭いチャーシューみたいなの入りクッキー 121HK$ 300
1040章記 香港[イ子]魚蛋王
潮式湯粉麺早餐(五香牛[イ十],[女乃]茶)27HK$ 300
1110肥[女馬]茶餐庁
C腐乳蒸滑鶏飯34HK$,600
1610 [ロ客][イ十]米爾[ロ加][ロ里]屋
免治羊肉
パラタ 60HK$,600
1545[土申]記[米ソ/王/心]品
馬来[米ソ/王/心]
変な羊羹 300
[今期累計]
消費1800/収入2100
負債 300/
[今期累計]
    /負債2505
§
→5月4日(月)

 久しぶりだし日曜日だし,まず最高峰から着手してみたくなった。
 スタンレーストリートへ。
 3階に案内される。ここのドアマンが常にインド人なのはなぜだろう?何かカーストめいたものでも?
 オーソドックスにという気になる。となると,お茶はやっぱりポーレイ。アテの1つは蒸籠ものから,出来るだけ何の変哲もないコレを選んでみた。
0800 陸羽茶室
ポーレイ
エビ団子みたいなののシューマイ
漢方臭いチャーシューみたいなの入りクッキー 121HK$ 300

▲陸羽茶室のポーレイ茶,エビ団子みたいなののシューマイ,漢方臭いチャーシューみたいなの入りクッキー

 このシューマイ…魚肉ソーセージ入りの餃子と言ってもいい素っ気なさ。…に意を向けなければなるような味です。魚肉にしては妙な肉汁かな?と思うくらい。
 なんだけども,噛みしめてくと──凄さがジワジワと感じられる味覚。混ぜこまれてるらしき豚肉の汁がまず口蓋に躍り出て,プリプリの皮と合わさって食べ応えを形作ります。その先に,魚肉団子…エビが主体に思えるけれどもすっきりとした何か白身魚のすり身も感じられるモノから染み出た汁が,肉汁と綺麗なグラデーションを成して入れ替わってく。しかもなぜかまったく魚の臭みを感じさせない味。
 結果,最後には魚の淡くともすっきりとした出汁が鼻孔に染み通り,豚の肉汁の残り香と共に印象深い後味を形成してしまう。
 ため息が出る。一体…この計算し尽くされた味覚風景が形成されるまでに,どの位の試行錯誤が行われたものやら,と思いを馳せる。気が遠くなりそうな奈落を覗き込む気分。
 対しまして,ビスケットの中に漢方チャーシューというのは,食べて思い出したけど前もココで食ったか?しかし全然後悔のない絶品でした。
 ビスケットと言ってもかなり黄身を強めた,そういう意味では固焼きオムレツ感覚なんでしょうか?完全にクッキー質の部分までうっすらと豚肉と漢方味が染み出てる所を見ると,漢方チャーシューを包んでそのまま焼き上げてるんだと思います。和食の「冷ましながら味を染ませる」のと同じ感覚で,この微妙に漢方臭いクッキーは出来てるらしいのです。
 前回も書いたと思うけど…この取り合わせの食い違い感は全くありません。食い違いどころか,ムチャクチャにマッチする素晴らしいマリアージュ!
(後日談:第七次でもまた食ってしまってます。つくづく縁のある一品…というか忘れっぽいだけ?)

 9時,中環から[サ/全]湾線に乗り込んで終点まで。
 9時50分…川龍村は完全に知れ渡ってしまっとる。バス待ち場に大行列。土日は無理っぽいな。
 9時55分。楽成園弟八分店にて涼茶)。
紅棗[渓+オオトリ]骨草茶([舎予]肝)10HK$
 以後,[サ/全]湾に来る度に足を止めるようになった店。路地の中にあって,この涼茶を頂きながら見る辺りの雑踏が物凄く…香港です。涼茶そのものもまた素晴らしく…不味い!

▲章記 香港[イ子]魚蛋王の潮式湯粉麺早餐(五香牛[イ十],[女乃]茶)

 11時。章記 香港[イ子]魚蛋王に入ってみる。
潮式湯粉麺早餐(五香牛[イ十],[女乃]茶)27HK$ 300
 確かチェーン店だが…。
 久しぶりの卵麺です!旨い!極細なのにシコシコとして,喉の奥から滋味が湧き上がる感じ,やはり素晴らしい!
 味精は使ってないっぽい。出汁も完全。肉も煎じ過ぎずいい味出してる。
 ただこれでも香港麺としちゃ標準かなあ…。
 [女乃]茶はミルキータイプ。苦味は後からついて来る。フレーバーは抑え目かなあ。でも日本人からしたらまだまだ感激できるレベルなんだよな。

▲肥[女馬]茶餐庁のC腐乳蒸滑鶏飯

 11時半,肥[女馬]茶餐庁。前に見つけてた大衆店です。
C腐乳蒸滑鶏飯34HK$,600
 相変わらずほどほどに混んでるいい雰囲気です。
 白米飯がスゴい量!さすがに溜まらず残す。
 鶏肉はガラだらけ,背骨部分でしょうか?汁は唐辛子というより生姜辛い。しかし「生姜焼き」じゃなく,あえて言うなら「生姜煮」という感じ?こんな中華ってあるの?
 しかしこれがいい!
 滑らかで軽快なチキンの出汁が,イヤミを消され,かつふくよかな肉感とコクを帯びた味になっている。
 こんな鶏肉があるのか?という衝撃──の前に。
 やっとのことで分かってきたけど,これが腐乳の力なんですね。
 以前何回か「腐乳はあまり感じられない」とか書いた記憶があるけど,腐乳は「感じられ」るような調理をしたら失敗なんだと思う。素材,特に肉の味覚をふくよかに増強することに真価がある。誰がこんな使い方を考えたのか,とにかくそういうものらしい

 あれ?なぜ行列がないの?
 帰りがけに見かけて,ふらりと足が小公に乗り込んでしまった。
 正午,本来の目的地だった川龍村へ向かう。まあ…どうするかは着いてから考えましょう。

▲瑞記茶荘の寿眉,蒸籠蒸し排骨飯,プヨプヨ皮の団子

 12時半,瑞記茶荘。
寿眉
蒸籠蒸し排骨飯
プヨプヨ皮の団子 32HK$,300
 おお!超満席!
 だけどとにかく座ってとにかく食えました。あの80番ミニバスってほとんど瑞記専用リムジンになりつつあるみたい。
 排骨はやはりかなり素晴らしい!水だけではなくて,古い飲茶思想を今に伝えてるってのが大きいのかも?
 米がムチャクチャに香る。それも口に入れた途端にパバーッと弾ける。ちょうど炭酸水みたいな感覚です。インディカここにありという味覚。
 でスペアリブが,おまけではなくてすっきりまとまってる。排骨の脂を米が吸い,米は米でピラフ状態にレベルアップする,そんな補完関係が作られてるように想像されます。
 あん饅頭は普通だったかな?
 寿眉は思った以上に面白い。
 これ,タイで昔,古い腐りかけたお茶かと思ったあの茶葉なんだけど,長くは持たないが少なくとも最初のワンポットはかなり良い。あの独特の臭みがむしろ旨味になって味わえてきたような気がする。
 日曜日のここはまるで遊園地。バス停近くの2店にもかなり客が入りつつあるようです。確かに味は大差ないもんな。次はも一度あっちにしてみるか?

 16時まで深水[土歩]をうろついて公和[サ/豆]品廠に立ち寄っとく。
豆ジャン13.5HK$,150
 今回は店内満員のためペットボトルを持ち帰ったんだけど,まさに工廠という雰囲気のあの店内で食べるのがやはりいい。
 豆ジャンにした。味わいは豆花とあまり変わらない。旨い!じんわりと胃袋に染み渡る旨さです。ここはもう,これ一本という店。
 16時10分。 [ロ客][イ十]米爾[ロ加][ロ里]屋に入る。
免治羊肉
パラタ 60HK$,600
 以前から気になってた店。いつも気を惹かれつつ通り過ぎるんだけどついに入ってしまいました。
 この時間なのにほぼ満席!座った対面でカレー食ってるオヤジが「何にするんだ?」と聴いて来るからギョッとしてたら,どうもコイツが店主らしい。彫りのそれほど深くない面構え…なるほど,この店名は「カシミール」と読むんだな。民族的にもそうらしい。
 見渡すと,カレーは茶碗に入って出てくるらしい。パラタはタンドールとかじゃなく鉄板,それもホットプレートみたいなので焼いてるみたいだし,期待はどんどん尻つぼみ。
 ところが…違ったんである。まさに本格的。ハイデラバード,いや過去最高の味を記憶するギルギットの羊肉を思い出しました。
 ギトギトに脂を浮かせた羊臭いカレー。「免治」はミンチ,つまりキーマの意味だったらしく,香港のどこで用意するのか,まさにモロの羊肉です。スパイス使いも容赦なく本場で,辛さを感じる暇もないほどにドス強いコク。
 香港的かと言えば全く香港を感じさせることはなく,ただただ本場のムスリムカリーなんですけど…このモザイク振りという意味ではまさに香港。しかも場所が深水ボというところが何か泣かせます。
 通いたい以上に応援したくなった店なんでした。

▲[土申]記[米ソ/王/心]品の馬来[米ソ/王/心]と変な羊羹

 15時45分。[土申]記[米ソ/王/心]品
馬来[米ソ/王/心]にも寄っておく。
変な羊羹 300
「日本人ですか?」とおばさんに日本語で聞かれてビックリ。「なんでわかるの!?」とこちらは普通語で返せば「顔つきがね」。
 2回目だけど黒じゃなく茶色を選んだら,これはまさにういろう。なぜ香港で?
 しかし違うのは…馬来[米ソ/王/心]もそうだったんだけど,とにかく苦い!苦くて何か臭い!そして苦さの中からほんの少し,微かな光明のように甘味が立ち上る。
 この甘味で食わせる。こんなスイーツの思想ってあるんだなあ…。

 迷ったが,早めに広州に入っておくことにしよう。明日は朝方に列車に乗ることとする。