本伝02章Step18.マニアック・ウォーキングⅡ火の国実践編


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 Weight:112.0kg
 (△24.0kg)

ということで,今回は実際に減量中の旅行の中でいかに歩きを楽しめるか綴ってみまッス。
 「減量に関係ないじゃん!」と思います?
 確認になるけど,わしは減量をストイックにやってるつもりは全然ない。いかにクレバーに減量の旅を楽しめるか?!っていうのがそもそもこのゲームの企画。
 狩撫麻礼曰く,人間は「生きてるだけじゃ余っちゃう何か」を持つ生物(「天使派リョウ」)。減量に直結するかどうかより,減量をいかに楽しめるか?って考えるのが,特に大減量では不可欠な無駄だと思う。効果が80点でも楽しさ100点ならそっちの方法を選びたい。──楽しくなけりゃゲームじゃない!生活に根付かなきゃ必ずリバウンドするからです!
 歩けるかどうかで,日常生活は2倍は楽しめると思う。これが旅行など非日常では5倍くらいになる!(当社比)減量の勢いで歩こうとするなら,今旅行しなきゃ損!
 しかも,テーマは熊本ラーメン!(…また?)食い意地とまで両立させようという欲張りな方針を変えるつもりは毛頭ないのじゃ。

 旅行でなきゃできない歩きのシチュエーション。
 それは,完全に道に迷うことです!完全に!途方に暮れて泣きたくなるくらいに!
 遊佐未森の歌で
「風のないこんな日は
 雲のないこんな日は
 住み慣れた街の真ん中で
 悲しい迷子になれそうで」
っていうのがある。「なれそう」という期待感,それこそが旅行の醍醐味なのじゃ,よいか才蔵よ!
 絶世期(?)にやった最も酷い例では,バリ島のウブドゥから入った山道でというのと,あと広島の山中の筒賀(現安芸太田町)の森林でというのがある。どちらも完全に迷って半日歩き続け,偶然出た集落の親切な方に最寄りの駅(バリ島はバス停)まで送ってもらい,一命を取り留めた。ほぼ遭難したと解釈できる。
 そこまでの自信はまだないのけど,夕方熊本駅に着いたわしは,とりあえず黒亭(ラーメン屋)へ向かった。以前はタクったけど今回は歩いた。
 黒亭を出るともう真っ暗だった。熊本駅から市街中心部までは路面電車で6駅くらいある。しかし,歩きたかったので,まっすぐ北へ向かう。
 直感でそうしただけなので,地図は持ってない。ガイドブックは忘れてきた。町の灯りで分かるだろ~と思ってた。
 でも…あらら?全然わからんど。
 蛇行する川にぶち当たって,道が結構複雑みたい。車の量を頼りに行ったり来たりしながら,1時間くらい経ったか…どこをどう通ったものか,ふと気付いたら見覚えある下通りのアーケード街に出てた。
 冷や汗も混じって…汗ぐっしょり。
 翌日地図を購入して分かったが,ジタバタせずに最初に出た川(白川)に沿って素直に北上してれば市街地に出てたのだが…
 どうです,やっぱり楽しいでしょ!やっぱり遭難じゃないの?って…な,何を言うか!人間,手前の知恵と力だけで生き延びなきゃならんっちゅうリアルな実感を追認できるのが旅行なのじゃ,のう才蔵よ!(だから誰なんだ才蔵って)歩かざるを得ない環境作りとしても,旅先で迷うこと。コレはお薦めですよ奥様。

 さて,1500kcalの上限と歩きを中心にしたグルメ旅。この両条件を満たす企画は1つ。
 どんでもなく郊外の隠れた名店を追え!…これです。
 どうせなので,ここは車じゃないと行けねえだろッて感じの店がいいな…2日目の朝,買い込んだ熊本のラーメン本を喫茶店でめくって選んだのは──
 市街地にある藤崎宮前から熊本電鉄で北へ4駅,八景水谷(何と「はけのみや」と読むんだと!読めねーよ)で下車。ここから西へ直線距離で1kmの「王ちゃん」という小さな店。
 何だァたった1km?とわしも思ってたのよ。
 やはり歩くというのは,それまで見落としてたことを学べる行為です。熊本の北郊外ってのは,かの田原坂につながるうねるような高台になってたのだ!
 八景水谷駅もやや高台にある。下車してから西を眺めて愕然としました。かなり高い丘が盛り上がっており,たった1km先の目的地はその向こう側らしいの。
 結局1時間かかった。途中,丘の頂上から熊本北郊外が一望出来て,地理がよく分かって良かったです。
 …ていうか,一番分かったのは──まだまだワタシ,山登りが出来るほど痩せちゃいねーな。
 王ちゃんは座席5席の本当に小さい店だったけど,ガイドブックが勧めてた野菜ラーメンは最高!ポタージュみたいな白濁スープはコクがあるのにアッサリ味。これに山盛りの野菜を麺と一緒に絡めて食べると…ホント,ラーメンじゃないみたいな新食感。
 感動に包まれつつ,店の前にたまたまあった産交バスのバス停からバスに乗り,無事市街へ帰れました。
 ヒイヒイ言ってたどり着いた店の食いもんは美味い!──これは讃岐うどんブームの火付け役「麺通団」のコンセプトとして有名ね。
 別に食いもんじゃなくてもいいんだけど…歩きのシチュエーション作りとして,歩いた果てに感動があるというのはいい!
 歩いた果てにがっかりすることもあるけどね…そういう挫折もあってこそ,感動が深まるというもんであります。

 最後になるけど,減量中に負担になる程の運動は厳禁,とこれまで言ってきた。しかし,ごく軽い負担はかえって減量を円滑にするんじゃないか?
 つまり,ちょっと痩せた現段階で感じている「浮遊感」──おおッ体が軽いぞ~ってウハウハ気分は,減量を楽しいもんにしてる最大の要因。
 この浮遊感を継続させるためには,心地よく疲れる程度の運動量をキープすべきじゃない?そのレベルの運動量は,も少し痩せた段階では更に簡単に出来るレベルになってるだろう。つまり,浮遊感に任せてやや暴走気味に運動してると,その浮遊感を再生産し続けていくことができるはずです。
 もちろん──繰り返しになるが,目標体重到達後にその運動を止めると,レベルを上げた分激しいリバウンドとなって襲いかかって来るはず。
 減量が完成したとしても一生続られる運動であることが絶対条件──わしにとって歩くことは,まさに継続を誓える唯一の運動。
 そうと決まれば実践あるのみ。3日目は早めに熊本を発つ。鈍行で玉名市へ。
 熊本県北部のこの町,ご存知だろうか?わしは全く知らんかったけど──熊本ラーメンは久留米からこの玉名に根付いた後,戦後に形成された文化なんだって。今もこの町には規模の割に多数の専門店がある。──食文化マニアとして見逃せない町だぎゃあ!
 閑散とした町だったけど,桃苑と中王ラーメンという店を2店回った。味と人気プラス,出来るだけ離れた店を選ぶ。町を一周しながら距離を歩けるからです。
 散村を基礎にした町。裏通りの道が曲がりくねりアップダウンして面白い。桃苑のある市役所付近が古くは中心みたい。その東を流れる大きな川の名は菊池川。──なるほど!南北朝時代の南朝方で尊氏と戦った菊池武光の里なのか。
 思った以上に興味深くて,この日も1時間は歩いてしまう。博多への車中は眠っちゃって覚えてない。
 こんなわけで,減量の触媒が歩きなら,歩きの最高の触媒は旅行。この黄金の方程式でこれからもしばらく楽しませてもらいますぜ!のう越後屋!