本伝04章[Step40]NoメタボメンNoCry!

 172日目 
▲41.2kg(半減+27.8kg)
▲1/3目前

って唄いたくなるぞ!
 今年1月,アメリカ・ミシシッピ州議会にある法案が提出されました。その内容は──
 5席以上の外食店は肥満者(BMI≧30)に食事を提供してはならない。
 同州の成人肥満率は31.4%。アメリカ全体の平均(男20%,女25%)の3割増水準。ちなみに日本では男2%,女3%。
 さすがに「あまりにも差別的」として廃案になり,施行はされなかった。
 ──これはNewsweek2008.4.2号の記事。是非ご一読いただきたい。メインタイトルは「肥満が犯罪になる日」。他にも次のような信じ難い報告が多数紹介されてる。
・昨年ニュージーランド移民局は肥満を理由に就労ビザの発行を拒否
・アメリカの金融会社ウエスタン&サザン・ファイナンス・グループは従業員の肥満度合いに応じ月15~75ドルを給料から天引
・アメリカの病院経営社クラリア・ヘルス・パートナーズ社は肥満者に最大60ドルの課徴金を課す。
・2006年11月にWNOと約50カ国が「欧州肥満防止」を採択し,現在ヨーロッパのほとんどでファーストフード等の広告を禁止
 …迫り来る恐ろしい時代の足音。

 わしはタバコを止める気が全くない。1日10本以上PEACEを吸ってるし,タスポも申請済み。
 ここ10年位の魔女狩的な禁煙ブームには辟易してる。分煙で十分じゃないか!ドラッグも含めて,リラックス効果を考え合わせたら健康に悪いと本当に言えるのか?
 肥満による健康への害についてもSTEP30で既に書いた。──死亡率が明確に上がるBMI35以上の肥満を除いて体脂肪があることは生物として優位です。むしろBMIが25を切った方が死亡率は高くなり,日本人は既にこの危険域ギリギリにある。
 ゴミの分別などのエコ運動なんかも同質。これらは全てポスト消費社会の「お祭り」に過ぎない。
 総合的に何が健康に良いかなんて学問的に精度の高い理論はまだない。
犬に追い立てられる羊でいたくないなら,お祭りから距離を置いて自分の頭で身を守るしかない。
 さて本題です。冒頭で紹介したアメリカ中心のムーブメントの一端として,わしらの国でまた新しいお祭りが始まりつつある。
 お祭りの名は「メタボリック・シンドローム」──

LEBEL1 腹囲:男85cm未満
      女90cm未満
   かつBMI25未満
LEBEL2 腹囲:男85cm未満
      女90cm未満
   かつBMI25以上
LEBEL3 腹囲:男85cm以上
      女90cm以上
 2008年度,つまりこの4月から義務化されるメタボ検診で,最初の選別基準となる「内臓脂肪蓄積のリスク判定」です。
 対象者は40~75歳の医療保険加入者とその家族6千万人。日本人の過半数です。
 LEBEL1なら指導対象外。LEBEL2・3に該当すると追加リスクが色々加算された上で,栄えある「受診勧奨者」が選ばれる。現在のシュミレーションでは倍率2倍,日本人の1/4の3千万人が該当見込。彼らは病院通いを促され,ここに5兆円前後の市場が誕生する。現在の年間医療費32兆円の1/6規模。さぞ美味しい権益だろう。
 ではここに1人,面白い実例がいるので試算してみましょう。ご紹介します!台悦人さんで~す!
【減量開始時点】
身長167cm(a)
体重136kg(b)
BMI=(b)÷(a)÷(a)=48.8
【現在】(約半年経過)
体重94.8kg BMI34.0
【体重半減時】
体重68.0kg BMI24.4
 何と!目標の体重半減で初めてLEBEL1にギリギリ入るのです!
 (その頃には腹囲85cmも切ってるだろ…。腹囲なんて計ったことないけどスタート時は多分120cm位。今その頃のベルトを付けてみたら30cm違ってるから,現在はきっと90cm位)
 ちなみに,追加リスクとして測定される血液検査の数値もSTEP34で紹介した。LDL以外は既にメタボ検診の基準をクリアしてる。
 ところで,わしの目標体重68kgはキリがいいのももちろんだけど,統計上死亡率が上昇するBMI25以下のランクの瀬戸際で止まるように設定したものです。
 すると…BMI25未満になるよう指導するメタボ検診は国民を死にやすくするんじゃないのって?
 そんなこと知らん!どの業界がどの官僚とネゴってこんな演出をしたいのか,あんまり興味もない。
 ただ,わしはこのお祭りには参加しない。LEBEL1ギリギリで傍観させてもらう。
 仮に受診勧奨者になっても,奴らの指導でオロオロだけはしない。
 なぜなら!確信せよ,全国3千万のメタボメン!今後痩せ過ぎてバタバタ倒れていくであろう人々よりも,アナタたちは生物として優位だからだ!

 7割位の確率で以下の予想は現実化するでしょう。
 禁煙もメタボも,近未来のある時点で「健康宗教時代の狂気」として歴史の教科書に記される。その教科書を広げる生徒達。教師たちはこう解説する。「肥満や長寿の知識がない時代の人々は,不安感からこうしたデマゴーグでたやすく煽動され,熱狂し,結果として拒食症や栄養失調症で多数の人々が死んでいきました。」──産業革命直後に過重労働を強いられた人々と同列に,「緑の革命」後の食品環境下で過激に対応する21世紀初頭の人々は論じられる。
 ただし,メタボ祭りは禁煙ブームと違う点がある。結果が確実に出ることです。つまり将来において冷酷に数値評価される政策です。
 広義に捉えると何万人もの犠牲者が出る。──だって現在の統計でも既に実証済なんだから。
 言うまでもなくわしも無知な健康宗教時代の民の1人。
わしも結局2つの事実しか知りません。
 1つは,この時代のわしらはまだ健康に無知で無力だということ。
 もう1つは,だからこそ食べ継がれてきた時間の長い食文化ほど信じるに値するということです。

 肥満と生活習慣病に効くのは,メタボ検診より食育です。
 けど恐らく──今の日本の食育ムーブメントはメタボの大波に飲まれ,ひょっとしたら吸収されてしまうでしょう。なぜならば,文科省が厚労省ほどパワフルでないから。そして何より,わしら日本人は「自分の舌で身を守る!」と立ち上がれるフランス人ほど社会全体としてパワフルではないから。
 実は,わしは4月から教育関係のお仕事をすることになってます。絶望的かも知れないけど長期的なムーブメントとして「食育」だけは主張し続けたいと思ってます。
 断言してもいい!肥満に止まらず食を巡る混乱の最終的かつ唯一の武器は,1人が1枚ずつ持っている自前の舌です。

 もうすぐ減量を始めて半年が経過する。
 わしは典型的な3日坊主症候群。これほど楽しくて美味しく,知的興奮に満ち,何より実績の出るツアーでなきゃとうに止めてた。大したインセンティブもないのに…
 いい加減な旅の前途に祝福を!

おまけ那覇市の看板「本土土産に豚の丸焼き」