本伝06章[Step54]味覚の奥行きとジャンクフード

 221日目 
▲50.8kg(半減+17.2kg)
▲4割間近!

の深~い関係について。そもそもお二人が出会ったのは冬の道頓堀…熱いよヒューヒュー!
 最初っから血迷ってしまったけど…実はSTEP43の続きってことで参るんである。
 STEP43では,味覚に層があるってイメージを書きました。
1層 食材そのもの
2層 調理による加工
3層 近代以前の調味料
4層 現代の添加物
 食材本来の味は1層から順。だけど味覚を感じる順序は,4層から順。これを前提に話を続けます。
 今日,減量前に通ってたカレー屋に久しぶりに行ってみた。

 アパートからほど近い店で,日本で一番美味いと信じてた店。肉汁とスパイスがどちらもパンチのある感動的な美味さ。──日本的カレーはカロリーが高く,特にビーフカレーは普通の量で800kcalを超えるから遠ざかってたんだけど,ちょっと節約し過ぎて夕食に1000kcal位余っちゃったんで大盛頼んでみたんである。
 一口頬張って…ビックリした!
 あんまり感動しないのである…まさか?と思って水で口内を洗い,再度スプーンを運んでみる。
 ──不味くはない。確かに口に入れてしばらく素晴らしいスパイスと肉汁が広がるんだけど,その後の味覚が空虚な感じがする。味が浅いというか…スカスカに思えるんです!
 久しぶりだったんで,マスターが痩せた痩せたとかなり喜んで大変だったけど…この店にもうしばらくは来ないことが予想できてた。
 勘定済ませてドアを押す時,ある悲哀が胸を突いた。自分の舌が完全に変わってしまったって事実に。
 かつて──半年中国で暮らした後,3ヵ月かけてインドからトルコ,さらに陸路で中国へ帰る旅行をしました。日本へ帰って以前の知り合いに会うと…あんまりにも話が合わない。相手は同じなのに,こっちが完全に変わったわけ。

 …ってのはご理解いただけなくても,子供の頃に歓迎した本を大人になって読んだ時に,何でこんなもんに?って経験はおありになると思う。
 今の段階で,わしの目方はほぼ4割減。姿かたちはその程度の変化で,誰が見ても同じ人間と識別は出来る。しかし,味覚人としては,全く別人格になってしまったと言っていい。
 STEP43を書いた段階は,まだその予感くらいだったのです。ここ2ヵ月ほどの変化が特に劇的だったみたいなのね。
 本稿は「公開実験記」なんで,何が変わったのか,以下整理してみます。

 減量前に嫌いだったもの。カニ,メロン,味噌汁,豆腐,キーウィ,お茶,茶碗蒸。
 何で?って聞かれたらこう答えてました。「味がしないじゃん!そんなん食べるだけ損でしょ?」
 今は信じられない。どれもスッゴく深い味わいがあるじゃん!
 してみると──医学的にじゃなくて感覚だけど,わしは第1・2層味覚障害みたいな状態にあったんじゃないか?
 そしてそれは,ジャンクフード漬けの今の日本人の何割かに共通するんじゃない?
 さっき書いたカレーは,4・3層辺りの味わいは今も素晴らしいと感じる。減量前のわしは,それらの層は味覚できてたんだろう。

 つまり,味覚出来る層がまず1層まで広がった。そして,美味しい!という感じの中心が1層側へ移っていった。そういう変化が起こってるみたい。恐らく,多様な食べ物をよく噛んで味わうことと,新陳代謝が良くなったカラダの要請によって,なんでしょう。
 実は──カレーだけじゃない。あれほど日本全国食べ歩いてたラーメンやカラアゲ・天ぷらについても同じなんですわ,これが。味わいの深みのなさをどうしようもなく感じてしまう舌になってしまってる。
 食べ歩き自体は続いてる。チゲや煮物,スープカレーやチャンポン,チャンコなど,その種類は格段に広がってます。
 簡単に言えば──ジャンクフードが食えなくなってきたってこと!カロリーが高いから我慢するって気は元々ない。…だけど,仕方ない。美味くないんだから!

 残念ながら,わしの人生で対象半減に再トライすることはないだろから,今からやる人に提案。
 カロリー管理なんてなしで,第1層でホントに勝負してる最高の料理を食べ歩いて,舌を鍛える。つまり,そういう料理の感動体験をたくさん持つ。──それだけで結構痩せれるんじゃない?
 何よりも,この舌の革命ならリバウンドの可能性はほぼゼロよ!