[前日累計]
支出1650/収入1850
負債 200/
[前日累計]
/負債 890
§
11月1日(日)
0920 カンウォンチブ(東大門)
ピョンヘジャンクク(?) W6000 500
1215 インケチム ハンカマイル
カルビタン W9000 600
1315 EDIYA COFFEE
エスプレッソ W2500
1410 新羅(シルラ)カルビ
カルビタン W12000 600
1600(AK FoodMall)L’AROME DE PAIN
何かアーモンドパイ250
1830 No.432
エスプレッソ
トック100
[前日累計]
支出1650/収入2050
負債 400/
[前日累計]
/負債 490
§
→11月2日(月)
新宮荘(シングンシャン)の空気圧が何とも気に入ってしまった。
路地の突き当たりのレンガ館,手頃な広さのオンドル部屋,これは居心地良すぎです。──とりあえずもう一泊,と管理人のお婆ちゃんに告げてから出発する。
風邪と胃炎はかなり収まってきた。曇天。本日,旅行期間の中日なり。
安国から3号にて一駅,鐘路3街で乗換,5号で2駅,東大門歴史文化博物館駅にて地上へ。8時半。
最終日用に東横インを考えて当たってみたんだけど…ロビーで日本人がわんさか朝食とってる。フロントは日本語が通じる。
悪寒が走る。──ここの住民にはなりたくないな。東横自体は嫌いでもないけど,ソウルまで来て…ねえ?
幸い部屋もなさそうなので早々に退散。こういうとこの空気に満足するなら,外国に来ないほうがいいですよ。
で,も少し先の東大門へ。9時20分,カンウォンチブ。
市場の街の小汚ない,もとい,大層庶民的なお店です。卓は5つのみ。地元っぽくはあるけど先客は(やっぱり飲んでて,もちろん出来上がってるけど)一人だけ。
ソンジヘジャンククというのもウマそうですが,ここは元々の狙い通り,というか歩き方に書いてあるとおり名物を注文しましょう。もちろんこういう店ですから,壁のメニューを一瞥もせず,久しぶりに買い付けに来た老舗の番頭風に
「カムジャタン,ハンゲ(一つ)」
と自然なハングルで。
その軽快なコリアンぶりに,ギロリ眼の禿げ親父も恐れ入ったか,鍋は割と速やかにやって来たんである。
おお!旨そうだ!親父,味変わらないね!
それはハングルでは喋れないし,喋ったら嘘なんで仕草とオーラで表現しますが──それはともかく,これは,カムジャタンではなさそうではないか?いや,絶対に違うな。
歩き方もかなりいい加減です。初めて壁面のメニュー表示を読むと,カムジャクッパブW6000というのがある。こっちが一人用カムジャタンだったものと思われます。
で?では今わしは何を食ってるのかな?
形状は…骨汁。明らかに沖縄のと同じ部位の背骨で,やや肉が残ってるのが違うくらい。──中国にもあるんだから(背骨の髄液ストロー吸い)肉食の歴さが長い韓国にあっても何の不思議もないけど,意外にもガイド本で見たことはなかったんだが…。メニューとしてはおそらく,これだったのかな?
ピョンヘジャンクク W6000 400
ところで話は変わるが,わしは実績主義というか恥知らずというか,とりあえず来たもんが旨けりゃどうでもいい。そう自分を慰めた上にで言えば──美味い!
肉自体もよく湯を通しててイケる。それに,やはり肉が残ってた方が食い応えはある。
けれどその背景音は,骨汁の本領を遺憾なく発揮した汁です。キチンとあの茫洋たる肉味が息づいてます。それに絡まるように伏流してるのは,そこはそれ韓国本場のヘジャンククですから,十分過ぎるほどの唐辛子辛さ!胡椒と唐辛子とニンニクの3つの辛さが同時攻撃して来る。──普通,こんなに調味料を混ぜると打ち消しあってどれもが死んでしまうものですが,どう工夫してあるのか全てが玄妙に諧調を成しています。
この強烈ながらも繊細な汁にパブを投入すれば,米の甘味と,何より韓国米特有の焦げ香が踊り出すように味わえるようになります。
このバランス感はそう簡単には出せないのではないだろうか?
さすがは東大門である!絵に描いたようなまぐれ当たりとも言うけど,目下のところ実績主義に撤して喜んでいるわけでした。
この東大門の門前町で,「名人」の名を店名に冠したタンバトパンというパン屋を見かけました。
クリームチーズパンが名物とのこと。
他にも,コンナムルパブというのを売りにした店が数店並んでます。何か微妙な独自色を醸すエリアみたいです。
東大門から地下鉄1号で水原へ向かいました。
仁川行きの列車も混ざって来るようなので,間違ったのに乗らないよう気をつけるべし,と。終点はシンジャン。分岐点はクロ,直前駅はシンドリムと覚えて,やや緊張しながら繰り出しました初のソウル郊外行き。
10時10分。地上に出て漢江を渡る。いい列車です。
グルからガサン・デジタル・コンプレックスに向かったから分岐は大丈夫だったんだろう。10時45分。まだ立ち客多数。
緑が増えて来る。ソウル都市圏というのは東京の関東都市圏以上には開発の周辺域の遊びを持ってるようです。
所要1時間強で水原着。11時20分。
乗換でさらに地下へ…ってエラく深いが地下5階位か?ブンダン(盆唐)線というラインで水原市庁まで2駅。1駅目は梅橋,何となく和風の地名が多いのは何故でしょう。
あと,明洞でもだったけど,巷でイチゴの餅が大人気らしい。水原に着いてもそこらじゅうで売られてます。
水原をひとしきり歩きました。
歩き方に小さな地図は載ってたんですが,ほとんど情報はない。この状況では歩くしかない。
カルビで有名な街だという。カルビの店は,確かに何店か見かけます。しかし一人メシは,何を頼めばいいのかいな?
何店か確認する。すると,カルビの店では大抵カルビタンを出してるってことは分かってきました。見事に全店がW9千で違いがない。モノが肉だけに変にトレンディな店じゃなきゃ大体同じかも?という目論見が立ってきました。
30分近く歩いた高架下十字路の前の陸橋前でふと目に入ってふらふらと入店。食い終わって出てきたオヤジたちの表情の満足度から判断しました。12時15分。 店名はインケチム ハンカマイル。
カルビタン W9000 500
入店。
──好い!
ログハウスっぽくはあるけど悪く言えば社員食堂めいたシンプルさで座席がダアッと並び,誰もが揃って…カルビタン!
カルビタンなんて歩き方のどこにも書いてはないけど,大正解じゃないの!?
わしの眼前にもキムチが並び,そうしてついに黒鍋が来ました。
鍋に煮え立つ骨付きカルビが5本ほど。しかもデカい!汁はカルビの煮汁単独かと思える透明度だけど,つき出しのコチュジャンと卓に備えた胡椒で味付けしろということか?あと,空の皿が1つ。取り皿と骨置き兼用か?
う?おおお!?
何じゃこりゃあ!この世のものとは思えない美味さだぞ!?
肉が乳臭いというか殺したてというか…品種とか肉質とかがどうこうじゃなく,とにかく徹底的に新鮮なんである。
それが,韓国特有のじっくり脂を落とす調理法で,赤身だけのカルビの旨味が実にピュアに口に溶けてゆく。
自分で手元を確認したくらいですが…まだコチュジャンもニンニクも入れてはいない。肉の純粋な調理だけで,この旨味が引き出されてる。いわゆる韓国の味覚ではなく,その奥の本当の肉食らいの本質だけで作り出した肉塊がこいつらしい。
しかし…本当にカルビかこれ?
凄いぞ!
先述の高架ってのは,水原駅から北へ進んだエリア…だったと記憶する。
この高架から右折,つまり東進すること5分。スウォン・グマエタン市場が南へ伸びる界隈に出ました。先の感動を筆に落とすのと,とりあえずかなり歩いたので一休み。13時15分,EDIYA COFFEE。
エスプレッソ W2500
街そのものはソウルの延長です。実際,こうやって地下鉄が通じてるわけですし,まあソウルの衛星都市というところでしょう。
もう一軒入ってみる。14時10分。こちらは歩き方にも載ってる店で,新羅(シルラ)カルビ。
カルビタン W12000 600
これはまた豪勢な!「新羅カルビ」というビルがド~ン!どんだけ儲けとんねん?
石畳の床,全面ガラス貼りの窓。中央の給仕スペースはこのために設計したものか?
まずハサミと金掴みがドンと出る。
お?おおお…。
さっきのハンカマイルと全然違う。肉に勢いがなく,骨に付いてるのは煮え切った出し殻のような肉です。しかしソルロンタン的な感覚では上質な状態だと言えないこともない。
その代わり,汁はいい出汁になってます。どうもこの店は純粋にこのスープをブイヤベース的に楽しむ感覚の店らしい。胡椒で味をつけるとこれが途端にくっきりし始めて,パブを投入すれば非常に上質なクッパブになります。
コチュジャンは添えられてない。そこで,カクトゥギの残り汁を投入。すると一気に味覚がコリアンになり,これでいいのかそれとも偶然か,相当に完成された味わいになりました。
カルビタンというのは,おそらくかなり新しい部類のコリアン食なのでしょう。この若々しい文化全体の中でも特に未完成の部分を残す食。そもそも,カルビという部位を重宝する観念がごく最近生まれたものなんでしょう。それだけ多様な解釈のまま,変化,収斂,拡散を重ねてる最中なんだと感じます。
10番のバスが水原駅に行くように見えた。バスルートからは終点だと読める。
5分で来たので乗車。やはりPOPカードが使えました。
高架下十字路を曲がらずに西へ直進。十字路南西の公園の北辺からもう一つ高架をくぐる。道は南行に大きく左折。
難なく駅にたどり着きました。今度からこれに乗ればいいやね。
水原からは1号で北行。
途中4号に乗り換えてみたけど,大して速くもない割に立ちっ放しになってしまった。
忠武路で3号乗換,安国帰還。
夜はやはりギルのお茶屋でまったりしました。
このギルには,いい感じの韓国茶のお店がぽろぽろと出来てます。そう安いわけじゃないんだけど,値段に見合う穏やかさはあります。
コリアの皆さんにもこういう静かな空間を尊ぶ感覚が生まれつつあるんでしょうか?