[前日日計]
支出1500/収入1700
負債 200/
[前日累計]
/負債 494
§
6月13日(日)
1002モクチョンデジクッパブ
デジクッパブ6.5千KRW,400
1246B&C
たこ焼きみたいなの
トーストかクリームパンか分からんの 250
1405ナメスサンフェッチプ
刺身定食10千KRW,550
1530何か分からん有名店
何か分からんもの250
1615ポンジョンテジクッパブ
デジクッパブ7千KRW,400
[前日日計]
支出1500/収入1850
負債 350/
[前日累計]
/負債 144
§
→6月14日(月)
泉一温泉から上がった湯冷ましに──という自分への言い訳をこしらえて,昨夜ダウンした「王とサーカス」の謎解き部分を読み終える。何度目かの精読ですが,(率直に言えばニッポン人読者に「犯人はお前だ!」な)この物語を海外で読むという行為をしてみたかった。やはり読後感が違います。
1号で東ネまで2駅。モクチョンデジクッパブに着いたのは10時過ぎになりました。
デジクッパブ6.5千KRW,400
東ネ駅前のこのいかにも普通の,そして人の絶えない半地下の店に一度入ってみたかった。遅い出立で腹も減ったので…。
好い白濁です。
十分に濃いのにまろやかで飽きさせない。出汁がすらりと滑らかで丁寧な柔らかさです。分かりやすいのに誠実な作り。
アミの塩辛さを加えるとこれが一層に際立って来ます。さらにここにパブを投ずれば,パブの香ばしさが滑らかな豚骨に絡まりまして…どうですかこのえもいわれぬ円やかさは!
キムチは3種。ペチュ,オイ,そして胡麻の葉のほとんど和え物に近いもの。
ペチュキムチはお代わりしてしまった。無茶苦茶に瑞々しい歯応えに加え,鋭くキリリと締まった辛さがある。浅漬けにしては発酵臭がくっきりしてるから,どうやらニョンマムの設計思想が似てるようで他と一線を画してるようです。胡麻の葉のキムチも同じ発想により香りを際立たせつつしっかりと辛いいい味になってます。
何だか味作りの構造が似てます。普通に味わえるのに(からこそ)丁寧に,分かりやすいのに(からこそ)細やかに,そういった率直な作り方。駅前の庶民店らしい自然なスタンスが好ましいお店です。
絶対ガイドブックに載らないタイプの店だし,載せてほしくないなあ。わし的に大正解でした。
チャガルチのモーテル路地の…名前を覚えてないモーテルに投泊。
エレベーターすらなくて30千KRWなんですけど…お湯がない以外は十分過ぎる設備。やっぱり韓国とアメリカはモーテルが一番!
南甫洞までチャガルチの街をとことこと歩く。ノスタルジーを感じる街から,何かしら,よく分からんのだけど新しい未知の街に転生しようとしてる気配はひしひしと感じます。
B&Cは,そういうこの街をまさに象徴するかのようなお店だったのでした。12時46分。
たこ焼きみたいなの→写真
トーストかクリームパンか分からんの→写真 250
ここはもう南甫洞のランドマークというか観光地の一つと言っていい状態です。この辺りにはあんまりいいベンチもないことだし,持ち帰って頂きました。
ほほう!これはまさに韓国パン。
甘さが尋常ではありません。「No.1」と旗が立ってたパンは揚げ餡パン,呉で言えば「フライケーキ」に近いものでした。
もう一つは,何というか…カステラとロールパンの中間みちいなパンに生クリームとマーガリンの間のようなのが挟まってる品。これは…何にも例えようがない。
けれどどっちも,まあ美味しい。お茶請けにはピッタリなんだけど──ただただ甘過ぎる。
だけど,このドぎつさが,意外に絶妙で──甘さが下品さになるギリギリの線で止まってる。2点ともそうなんだから,このギリギリさは意図的だろう。サービス精神的にはお客様のご要望には100%ご対応致しますが,この線だけは越えないように固く心に誓っておりまする。という節度をちゃんと持ってる。そう思うとこれはこれで市民ににこやかな表情を見せるパン,というイメージでした。
つまり,味というよりスタンスがすこぶる好ましい。みんなのパン屋さん,という笑顔の柔和さが粉の節々にまで満ちてる。
こちらが釜山3大パン屋の最後になりました。総括すれば──技のops,心のペックダン,市民に親しきB&C,という印象です。本心を言えば,釜山駅にまで出店してる古株B&Cには実は期待できないなと思ってたんですが,ここも含めてハズレはなし。むしろ本格志向の中途半端さという意味では,次に足を向けるとしたらopsが候補リストの一番下に来るかもしれません。あそこは真面目に旨いから。
本日も西門北側にやって来ました。この街は南側はかなり馴染んだ気がしてますが,北側は,最初に少し歩いて「大した街じゃないな」とたかをくくってたんで。
14時を回りました。ナメスサンフェッチプへ入店。
刺身定食10千KRW,550
メニューでは,フェベクバン+メウンタンと読めるが… 。
釜山は港町。魚を食いたくてやってきたのですが…。
誰もいない。
座敷に日本語の出来るオヤジがやってきて「雨が降りますね」とか「刺身,おいしい」とかあんまり含意のない言葉を精一杯の笑顔を作って吐いていく。
何かピンとくる。なるほど…この西門の北辺りって来たことなかったけど,こういう日本人イラッシャイマセ的エリアたったのか…。
とにかく入ってしまった。開き直るしかない。
メウンタンは確かに旨かった。魚の出汁がコチュジャンに負けない位にキチンと出たメウンタンって初めて食べた気がする。大体コチュジャンしか味がしなくてご遠慮してたんですが。
けど他は…。
サンマはサンマだし,パジョンはパジョン。キムチもまずまずで──どうも日本人観光客はこの類いのおかずドバ~!なお膳さえ出ればに「まあスっゴ~い」と感激するみたいだけど,そこのところは少なしわしは何が面白いのか分からん。
西面がまあ空振りだったので,釜山駅にでも寄ってみようか…と構内を回った。何かパン屋か伝統菓子か分からん店に人だかりが出来てたから,目的地がここかどうかは分からんけどもとにかく購入してみる。
時は15時半。何か分からん有名店。店名はおそらく…サンチンエモク,でいいんだと思うんですが?
何か分からんもの250→写真
バクウルクムエク,バッウンクムエク,ケスルムデンと読める種類がある。まるでアラビアの呪文みたいでどれがどれだかですが,中身の魚クリーム,キーマカレー,スイートポテトに対応してるようです。で外はというと,高知で言う天ぷら,鹿児島で言うさつま揚げ。
つまり?釜山市民が大行列に並んでまでして食べたいコレは,餡入りさつま揚げ!
うえ~!と思う日本人系と,怒り心頭の薩摩人系との反応に分かれそうですが…冷静に聞いて頂きたいです。実に旨かった。
特に魚クリーム。さつま揚げ自体が雑魚の揚げなのに,その中に洋風の,シチューみたいな魚クリームを入れちゃうファンキーさ,味覚的にな重奏感。
さて。釜山駅にやって来ております本命は,偶然見つけたこのさつま揚げではありませんでした。
駅前を南北に伸びる大通から一本東側の裏道。ここにデジクッパブを中心とする食道街があるというネタを仕入れたからです。
夕闇を掻い潜りつつ行ってみると,よく行く南側と同じくまるで普通のビジネス街。ただそれだけに,これも南側と同じ程度には飯屋はちょろちょろ点在してます。特に噂に聞くデジクッパブが売り物の店が多い。
このパターンは──おそらく有名店が一つあって,その回りの店もおこぼれに預かってデジを押し出し始めた,という奴でしょう。これの場合,その元の有名店をあやまたず見つけるのが大事。
人の流れをしばらく読む。どうもこの店が…という目星をつける。客の入りが明らかにここに集中してる店。回りのダミー店の中に東ネで行ったばかりのモクチョンの支店もあって,しかしガラガラ…。
目星つけた店も「ポンジョン モクチョン…」と店名に冠してたからひょっとして同じ店?と悩んだりと色々逡巡したけれど,昼の失敗からもネット上の観光用情報よりも自分の目で見た韓国人たちの挙動を信じることにして…と変に大層な決意の元に入店致しました。
標題に付しました「ククチャン」とは「極讃」のハングル読みです。
16時15分。ポンジョンテジクッパブ。
デジクッパブ7千KRW,400
土鍋とパブ,キムチ2種,薬味皿1つと空の小皿2つ。薬味は青唐辛子,ニンニク,タマネギ。フリーで空の小皿に取るらしい調味料はアミ,味噌,コチュジャン。
とりあえず豚肉をかじってみる。
う?
う!
旨い~~!
確実に,身体が震えるほど旨い!旨いんだけど──表現にも例えにも比較にもできない。ラードのような脂っこさが強い気がするけど,それ以上は何も言えない孤高の旨さ。
ニンニクやコチュジャンを合わせてみるけど…邪魔です。アミと合わせて初めて納得する。しかも少量がベスト。韓国特有のクタクタに茹でて肉汁を失った肉質ではなく,油で炒めたり,揚げたりしたそれでもない。あえて言えば,生々しい。豚肉そのものです。
しかしだよ?そんなのの旨みをどうやったらこれだけ引き出せるんだ?
キムチはモクチョンと似て瑞々しい歯応え。ただし,ニョンマムの使い方が全く異なり,手元でグインと伸びる辛さというのか,重力波のような不思議な強さがあります。
我に帰って,本来の食べ方,クッパブに移ります。パブを投ずる。スプーンを運ぶ。
お?
お!
ふごおお~!
──言葉にならない。旨いんだけど,何が何で旨いのか理解できない旨さです。これ…確か次郎系を初めて食べた時の感じだな。
日本的にも欧米的にも恐らくかなりあっさり目のスープです。ただ舌の奥にジーンと染み入る蝉の声…じゃないけど何者かがあって,それが明らかにこのスープが極・濃厚であることを告げてます。もしかすると「あっさりした脂身」みたいな濃さなのかもしれませんが…言葉を浮かべれば浮かべる程に何言ってんだか分からなくなる。ただし,分からない間にもスプーンは止まらず,口へと汁を運び続けて止まることを知らない。
こ…これはスゴい!
どうやら地元では常客がはっきりといるらしく,この時間でも満席に近い。けれども観光客らしき姿は(わししか)なく,あくまでも地元系の客層。そりゃそうだろう。この味って…極・釜山的な味覚だと思うし。これ,外国人はおろか,韓国の他の地方でも評価がかなり分かれると思うし。
もう何年かしてもう少し舌に自信が持てたら,もう一度出直してみようと思います。読者の皆様も,生半可には足を向けるべきではありません。
PIFF暮れる紺に緑に燃えて夜
なかなか旅行運に振り回された1日でした。夕方少し一眠り…と思ったら,起きたら大河ドラマ真田丸が始まるところでした。
この宿,この安さなんだけどテレビのチャンネルはスゴい。900番台まである。「LED-TV」とあるのは液晶のことだろけど,なぜかTVには力を入れてるみたいで,ロビーにVCDが並んでるとこも多い。ということは…と探すと142番が,なぜか常にじゃないらしいけど概ねNHKを流してた。そういえば昨日はケータイ大喜利もちゃんと視聴できたな。
これらを見ながらのオツマミに,お茶がないのは淋しい限りでしたが──B&Cと駅のよく分からんの(サンチンエモクと読める)を頂く。
…今日はどうしたんだ?本当に破天荒な旅行運の日です。
先に書いたとおり,このどちらもが予想しがたい代物だったのでした!
こーゆー日があるから旅行はやめられまへん!