外伝09♪~θ(^7^ )第六日日_西閑を闊歩す【本編第二部】@第7次香港(広州後半戦)

▲西関人家の店内。こういう,何てゆうか,社員食堂みたいなとこなんだけど,それと味が正比例しているのが凄い!

 一[中/皿]両件 :一種の茶で小点を2つ(が適当)
 意図はずっと聞いてたけど,熟語としては再再忘れる。なお,広東語の読み方は「ヤツチユンレンキン」とあるが,ビンインが分からんので通じないと思う。
 と,勿体ぶった格好で始まりました第二部!この日の遍歴では,この第二部の飲茶が最高にラッキーでした。清暉園以外でも,広州って飲茶はイケるんだなあ,という確信を得た日になったのでございます。

 9時50分,上下路を東へ進んで康王路を越えた先にあるはずの[サ/力/力力]湾広場を探してます。
※一文字目が分かりにくいので「リ」とカタカナ表記します。
 広場?でもこの辺,ビルしかないぞ?ビルってゆーか,このバカでかいモールみたいな建物──この周りのどこかにある広場なのか?
 丸一周して,ふとそのモールの名が表示されてるのを見つける。あ?一瞬頭がこんがらがりましたが──このモールを「リ湾広場」とゆーのか?
 そこからがまた面倒でした。南北の二棟に分かれてて,間には露天のパティオ。で,南北それぞれがかなりの床面積で,垂直方向も4階まである。これのどこの飲茶なんだ?
 とぼやきながら(実は一旦諦めかけましたが)何とか発見!南棟の4階でした。西関人家。
※ちなみに市内に何店かあるらしく,ネットでも色んな場所が出て来るから始末が悪い。
 中に踏み入ると?西関の伝統家屋…というより洞窟内かジャングルの中みたいな風情です。見方によっては何か…安っぽい?
 とりあえず喉も渇いたのでポーレイ。
 うーん?お茶はそこまで傑出してはないかな? こりゃ今日は,やっぱりハズレの日なのかな?
 と一時でも思ってしまってごめんなさい!ここが傑出してたのは,小点だったのです。

▲西関人家の西関艇[イ子]粥

 西関艇[イ子]粥,14元。
 この艇[イ子]粥という料理,諸々の場面で目にし耳に挟みはしてきたんですが──今一つピンと来ず,食べた記憶がなかった。
 今再度調べても…香港ナビに曰く──スルメ、豚皮、ピーナッツ、牛ミンチ、内臓、レタスの千切り等が入っています。昔は船で販売されていたためこの名前がついたのだとか。
 また百度百科に曰く──艇仔粥是広東省広州地区著名的伝統小[ロ乞]之一,属于広東粥品之一,発源于老広州地区。相統在漂浮于河上的艇仔上制作的,因此得名。以魚片、[火乍]花生等多種配料加在粥中而成。原為一[比/二]水上人家用小船在[サ/力/力力]河,珠江辺上販売,花生,小[虫下]香[月危],魚片,蛋[糸糸/一]軟滑,鲜[舌甘]香美,[シワニョウ/舌]合[人/人人]人口味。
 船の上で作ってた伝統食,だけど何なのかって言えば色んなもんが入ってるとしか書いてない。
 ね?何か華がなくて,是が非でも食べたい!とは思わんでしょ?
 それを何でこの日に食べようと思ったのか,メニューの並びから何か閃いたとしか言いようがない。
 でも,こればかりは一口で分かりました。これは…
 とんでもない!

 出汁が淡白ながら複雑怪奇。三重の鶏肉(黄ハム,手,鶏皮?──いやもう一種,煮られて溶けかかった肉種があるようですが──)に…最後になって鍋底に貼りつけてあるのを見つけた白身魚の切れ身。
 歴史的には,とにかく余った肉片を闇鍋的に放り込んで出来上がった…いわば意図的な闇鍋みたいな成り立ちのものか?何か,発想がチャンポンに似てる気がする。
 とにもかくにも,凄まじく入りくんだ肉汁の複合体です。どれにも強い色彩がないので白濁して見える程度ですが,もし色があれば肉汁のカレーと言ってもいい濃密な複合度。
なのに鶏肉と魚肉なので,決して強くも荒くもない。
 だから米の甘みと滋味が生きたままです。そう,これだけの複合味なのに米の味が立ってる!──想像して頂きたい。カレーライスの米って味わえないでしょ?だから南インドではサンバル系のしゃばしゃばカレーで食べる。
 あるいは──チャンポンの汁にご飯を入れても,汁を吸って食感が楽しめるくらい。だからクッパブを前提にした韓国のデジクッパブは豚以外の味を無闇に出さないあっさり味。
 そう、韓国のクッパです。何よりもこの粥は,香港の米の滋味をストイックに味わう痩肉粥タイプと発想が違う。米も含めて味覚を複合させて新しい像を結んでいくような,カレーのようなタイプの,ルツボめいた料理。
「西閑」というメニューの冠は,伝統食という語義に等しいようでした。この後に歩いた西関には,本当にあちこちの店でこのメニューを目にしました。この老街で育った昔ながらの味覚なのでしょう。
 というわけで,この店は,その店名からして,うっかり歩き飛ばしてた西閑なるエリアに,ぐいと頭を向けさせてくれることになりました。あるいはこの暗い洞窟のような空間が,やっと姿を現した本物の広州への通路だった,という幻視さえ感じます。

▲西関人家の西関貢菜餃

 西関貢菜餃。16元 。
 ネットで「日本人はエビ餃子を好むが,香港人は同じくらい菜餃を好む」みたいなことが書いてありました。大陸では菜包は確かに朝食の定番だけど,餃子もそうだったっけ?…ということで目についたので頼んでみました。
 ただ?餃子って東北のは有名だけど,広東のが旨いとか特徴的なんて聞いたこともないぞ?
 ベトナム春巻きみたいな薄く透明な皮。この中に──潮州風の大根と筍に加え,ニンニク,韮の東方中華系の香菜が合わせて入ってます。
先味から後味まで確かに美味い野菜餃子。先味は潮州系が硬質ですっとした味覚で始まり,後味には東方系がどっしりと技巧的にまとめていく。
これが広州の料理の一つの典型だとすれば──潮州や順徳などの淡い素材味重視の味覚を,中華の本流と合流させるような位置付けなのかもしれません。

▲西関人家の西関貢菜餃 どアップ
ダンダー
太陽の,晴れても降ってもその彼方にはさんさんと確かに輝き続けるような,存在感ある卵味
決して技巧的ではなくて,街のパン屋の軒先で売ってそうな素朴なタイプです。しかしながらこの素朴な卵味が,奇妙に力強い。黄身が品質かミルクとの配分なのか…くっきりした味わいで存在感を誇示し続ける。
その周囲に,このカスカスでバター味を留めるパイ生地が,デニッシュ特有の甘やかな味覚を,さんさんたる光輪のように纏わせてる。この元気さ,アッケラカンさは飲茶にはない(飲茶だけど)突出だったと思うのでした。
分かってきたのですが──飲茶は,京都の店選びに似てる。有名店かどうかじゃなくて,自分の飲茶スマイル,具体的には好みの過ごし方,空気に即して決めるべき。味に着目すらならば,出来ればややマイナーなローカル色の濃い店の方がいい。
有名店は,そういうブランド自体が接客上とか…その他に,親が名前で喜ぶとか,そういう方向付けで選ばれてるからです。

(重複につきカット)▲西関人家のダンダー

粱家祠[石馬]頭という道しるべを広州古[王元]城で見つける。