外伝01-1ಬೆಂಗಳೂರು 【8日目】ゴールコンダ砦

 ふうっ!11時半,ゴールコンダ城の頂上付近の岩の上で。
 頂上は遠足らしい小学生の軍勢に完全占拠。柱の多い入り組んだ3層の石造建築は,どこのガキにも隠れんぼのスペースとしか写らないらしい。全速力で走り回るガキをかわしてるうち,外国人が珍しいらしく目をつけられる。片言の英語でおずおず話しかけてた最初のうちはともかく,そのうち50人ほどが一気に怒鳴るよに話し始め,体に触り始めたんでここまで逃げのびて…あ!昼飯休みが終わったのか!奴らが帰路を追ってきた!逃げろ!
 …どッ…どーやら嵐は去ったらしい。さて落ち着いてと…ゲッ!!ずっと下に滞留して手を振りまくってるぞ!先生方,5千円出すから早く連れてってくれえ!!ってゆーか何でこんなとこで本気で怯えてんだ,わしは!

 デカン高原のあちこちにある岩山に継ぎ足した形で造られた山城が,このゴールコンダ。
 周囲はハイデラバード全景が完全に一望の元。ただし,どっちが町の中心かほとんど分からん。
 この場所は市内中心部から西へバスで30分ほど来た辺り。途中,7割方完成した高架道路の脇を通る。交通量も多いし,地図で見て気になってるHiTecシティなるエリアもこっちだ。
 町の発展方向が東なのか?──ただ,この城から見る限りどっちの郊外へもまだ拡大できる町だ。特に東は緑地が延々広がる。

 さて,ここへ来るまでの一苦労。ゴールコンダ城へのバスを捕まえようとナンパリ駅東のバス溜まりに行ったのは,朝の8時。
 ここで丸1時間,歩き方に書いてあるナンバー「119」番のバスを待ってみる。けど,300人位の人混みが絶えず右往左往してるだけで,案内所らしきものもない。いや…みんなはとにかく目当てのバスを見つけて徐々に去っていってるみたい。
 9時,諦めてチャールミナール横のバス停へ。正直なとこ,どーしても城へ行きたいわけじゃないんだけど,このバス停の雰囲気が気に入ってしまった。
 今度はチケット売り場らしきカウンターがある。聞くと「66G」のバスをバス停外側の道端で待てと言う。これを待ってると,確かにそのナンバーのバスが来る。でも66Gは走り過ぎてくだけ。周りの人に聞くと「バス停の中で待て」と言う。訳分かんね~!
 何台目かの66Gがバス停に入ってく。全速力で追うと,停留所内に止まってる。「城行き?」と運ちゃんに聞くとそうだって!8Rs取られて座る。
 その後30分近くバスは市内で客引き。宿の前まで通るから腹が立つ!で…ようやく市内を出たら30分で着いちまった!
 凄く無駄な時間だったよな…インドのシステムの本質を見たよな…あるいは,この強靭な町の中で自分の無力を思い知らされたよな…
 帰り。66Gが停車した場所で待つこと30分。来ない…。泣きそになった頃,入ってきたバスは「119」番!始め待ってたナンパリ駅行き!飛び乗ろうと走り出したはいいけどライバルが50人程いた…インド人の後に続いて何とか乗り込むけど,既に席はなし。立席でもみくちゃなのに,周囲から「何人だ?」「城は良かった?」「ハイデラ好き?」「カバンに何入ってんの?」って…ゴメンナサイ,1万円出すからしばらく一人にして…

 そんなこんなで何とかナンパリ駅に着いたら,エラい腹減ってきた。
 肉じゃ!インド一のムスリムの町なら羊肉食わせんかいコラ!
 ハイデラは今日が最終日。駅から南へ1km程んとこで昨日見かけた「HotelAADAAB」って看板を探しに行く。「ハレム」と書いてあるのがどうやら肉料理屋の意味らしい。中に入って「肉食わせろ!肉!」と言ってたら奥の区画へ連れてかれる。「BawarchiQahna」って店らしい。昼飯時は過ぎてるのにかなり盛況な客数。メニュー広がるとマトン料理がズラリ。「MuttonShahiKorma」っちゅうカレーとローティ(≒ナン)を注文。計80Rsとミルスの3倍だけど,肉じゃ肉!
 来た。骨付き肉を煮込んだ複雑なスパイス!ローティも最高!頬っぺたがボタボタ落ちまくり!しばらく呆然としちゃう美味さでした…
 この辺はハイデラではやや高級層のエリアらしい。本屋に入ってみると,教育書だらけ。インドの20×20まである算数のドリルとか,辞書やコンピューター用語事典の山。見てるうちに怖くなるほど。ほんでもってこれを裕福そうなインド人が凄い量でまとめ買いしてく!この層の教育熱は日本より遥かに強いのかも?何冊か資料として購入して帰ることに。
 味をしめて,夕方に駅周辺のノン・ヴェジの店でキーマカレーを食べてみる。キーマっても日本の「挽肉カレー」じゃなくて羊肉独特の暴力的な匂いの立つ油ギッシュなカレー。しかし,さっきほどじゃないけどイケますな~!
 …って感動に酔いしれて宿に帰り,足浴してたら──あ!さっきのキーマの店に買った本を忘れてきたぞ!
 1時間は経ってる。まあ…ないだろな~って思いながら一応戻ってみたら。ちゃんと保管してくれてた。信じられん!アンタらホントにインド人かあ?
 経済発展もあるだろ。けどハイデラはホントに人情がある。南インド一般でもそうだけど,ハイデラの場合,キョロキョロしてたら「何を探してる?」とわざわざ案内してくれたりする。都会なのに人情は田舎。インドの名古屋と呼ぶべきか?

[紹介]きちんと写真のあるサイト
※ 🇮🇳ゴールコンダ砦・ハイデラバードビリヤニ / 世界一周105日目 – A Day in the Life