外伝03-FASE5@deflag.utina
ルートビアを飲みにエンダーまでドライブしよう。

[単語帳]

エンダー:A&W

(ルートビア:文中参照)

 7時16分那覇発名護行バスに,今乗り込んだとこ。何時間かかるか知らんのだけど,しばらく車に揺られよう。
 名護は久しぶり。以前2回ほど宿をとったことがあるけど,いずれも那覇で原チャを借りて入った。歩きだけで入るのは初めてです。
 ってのも,お店の情報を見る限り,小さな街の割にカフェを中心にした上質っぽい店が多い。沖縄でも最も長寿だったエリアだし,ひょっとして穴場?ってゆー期待があるのね。
 義理がたいウチナンチュは正月は店を閉めることが多いから,半分はクローズドと覚悟してるけど…まあそれは那覇でも同じ。どうせならやや辺鄙なとこで初春を迎えよーかなっていう…かなり直感的な企画です。
 昨夜ふと思いついただけ。まだ名護市内のマップも宿情報も持ってません。
 そ…そんなイーカゲンなんでいいのか!?って?正直…これは乱暴過ぎるかもね…まあ,もうバスに乗っちゃってるし,死にはしないでしょ?

 9時前に名護BT着。周囲はエラくガラガラに何もないとこ…思い出したぞ!このBTはずっと前に来た。あの時も途方に暮れて,バス停食堂でポーク卵食べて帰ったんだっけ…
 どのコンビニにも名護市内のマップを売ってない。携帯の位置検索と通行人に道を聞くのとで,何とか市役所のエリアへ。
 目当ての店の扉には全て正月休みの貼り紙。唯一,合同庁舎裏の香樹嶺ってカフェだけには貼り紙がない。けど,開店するとも書いてない。
 そのまま市街を南へ横断。名護十字路エリアで一番の目的だった南インド料理店パパダムの正月休みの掲示を見て,もう気力が空中分解ヒュルヒュルヒュル~ボカーン!! 10時半になってる。香樹嶺に電話してみました。
 「あの…今日やってますでしょーか」
 「え?」相手はちょっと間を置いて「あ~ゴメンナサイ。今日から正月休みなんですよ」
 「やっぱ…そうですよね~」
 「それではよいお年を(ガチャン)」
 ってことで,現在那覇行きのバスの車内。朝飯にA&Wのルートビアが飲めたし,ウチナンチュがいかに義理難いかってゆー重大な事実にも触れることが出来たことは君の人生にとても大きな財産になるに違いない。良かったね…グスン。


▲非情な現実

 けれど,この2008年大晦日ってよほど運勢悪かったみたいで…
 昨日壺屋焼きのコップと「沖縄 誰にも書かれたくなかった戦後史」って分厚いハードカバーを買い込んで重量オーバー状態のリュックを背負い,病み上がりの体でほぼ2時間歩いたわけ。さすがに疲れた。沖縄A&Wはなぜかルートビアがお代わり自由で,どんどん継ぎ足してくれるもんだから,調子に乗ってジョッキ2杯もお代わりしてしまいました。
 A&Wから5分ほどでバス停に着き,タイミング良くやってきたバスに飛び乗る。路線バスだから当然トイレなぞないってのに。
 ――1時間後の嘉手納バス停に,1人の男が降り立った。男は,手近な物陰に駆け込むと,生理的にやむを得ない軽犯罪に手を染めたのであった。
 あ~スッキリ爽快!…それはいいけど…さて。これからどーするよ?雨まで降ってきたど…

 嘉手納ロータリーをうろついたり,人に聞いたりしてたら,近くに胡屋行きのバス停があることが判明。
 ならいいや!胡屋にはまだ食い残した店もあるし!…我ながら,つくづく懲りない奴であります。

 胡屋はアメリカーしてるから年末年始も大丈夫!と思ったら,やっぱり閉まってました。
 え~ッ!?数年前に来た時には開いてたぞ!?
 どうも…この胡屋の街,ネーネーズほかの照屋ファミリーの栄光の座が那覇や北谷のウチナーポップに奪われたのと,米軍基地の縮小とで,一気に没落の道を辿ってるみたい。パークアベニューの閑散振りが気になってはいたが…ここまで来るともう明白!
 年越しを騒ぐ場所は,もう胡屋じゃなくなってるわけです。
 諦めかけたその時イ!!パークアベニューの一番奥に開店してるとこを発見した!!前から狙ってたけど行きそびれてた,その店の名は!!??
 チャーリー多幸寿。
 彼は沖縄で今,最もホットな芸人で,次期知事選に立候補が噂されている。
 のかと思ったら「多幸寿」はファミリーネームじゃないらしい。メキシコ料理の「タコス」だばあ。
 雰囲気出してる店でとても良かったさあ。チャーリーセットを頼んで,出てきたタコス2つとタコライス。お前たちが本日唯一の収穫だよ…
 ただ,ここだけのために胡屋にもう一泊するのもね。結局…国際通りに帰り,昨日の宿サンキョウから20mほど(隣とも言う)のホテル山市に落ち着いた。
 名護までの往復で4千円位かかったから――1m二百円!!どーだ,リッチな旅行だろ~!どうだどうだ!ワッハッハ…
 …なぜかムショーに虚しさが込み上げてまいります2008年大晦日。とぼとぼ歩く国際通りで,なぜかチャーリー多幸寿によく似た店名を見かけた気がしたけど,まさか支店のはずがない!その記憶は消去しました。

 ハッシェ~(ウチナーグチの掛け声≒ヨッシャー)景気付けましょーね!とか言って西町のジャッキーステーキハウスへ繰り出してみました。
 …満席。30分待ち。
 本日の旅行運は,どうやらとっても最悪みたいだね。ははは…はは…
 仕方ないんで花笠食堂に再度赴く。
 年末年始休業の非情のお札。
 本日の旅行運は(以下略)は…は…ひひゃははは…
 息も絶え絶えでたどり着いた三越裏のむつみ食堂。あ…開いてた…。とーふチャンプルーで華麗にシメた2008年。いやー来年も良い年になりそうだぜ!!ひひゃははは…は…は…(以下聞き取り不能)

 そんな希望に満ちたどんよりとした眼差しをふと向けた,むつみ食堂の壁。
 何度も目にしたメニューリスト。その大区分に初めて意を用いて見ると。
 「お食事」「軽食」「一品料理」??
 「お食事」は今食ってるとーふチャンプルーなど。そして「軽食」は――カレー,カツ丼,ポーク卵…
 ルビーの「軽食」ってそーゆー意味だったんだ!
 ウチナーグチの「クスイムン」(薬になる)ってゆー食べ物の評価。
 そういえば。中国でもラーメンや餃子など十分主食たりうるカロリー食を「小[口乞]」(ちょっと食べる)と言う感覚がある。
 ウチナンチュはフライや唐揚げなんかの高カロリーのファーストフードを「軽食」と総称する感覚を一般的に持ってるのか?それは要するに,「クスイムン」であるチャンプルーや汁物とは異なる食べ物,「薬にならない」栄養的に劣る食べ物を「軽食」と呼んでいるってこと?
 カラダに有益な食事。全うな舌にとってはそれがホントに美味いもの,満足感のある食いごたえのある食べ物。つまり,「クスイムン」=美味っていう食感覚の方程式が成立する。
 吉野家三拍子的な「うまい!」でも「ヘルシー」感覚でも低カロリーでもない。そーゆー食感覚ってあり得るんだ!

▲軽食の店ルビー