本伝後記16《10ケ月経過》半減戦線異常なし

2009-07-21 08:22
[《10ケ月経過》半減戦線異常なし]

 しかしまあ何ですなあ(落語家かい)。減量後のカラダってのは厄介なもんス!そー思われませんか奥様!
 凍死しそうな冬が過ぎ,夏ならこっちのもんでおじゃるよオホホホ…と思ってたら,夏には夏でリスクあるみたい。
 体脂肪率15%ラインは現在また遠のいちょります。

 要はこの半減ボディ君,外気温の変化に未だ滅法弱いらしい。
 6月から7月,体調を崩す事が多くなった。
 経済危機対策やら,全国一過激に進んだ広島の市町村合併に伴う事務再編の関係やら,体感的には役所の業務量は昨年度の倍増。加えて地方の財政難で残業もままならねときて,サービス残業の域を超えたゲリラ残業――朝3時に出勤してバリバリやった後に人々の出勤時間は喫茶店に隠れて再出勤。食感を鍛えたカラダには集中力があるから処理スピードで何とかカバーしちゃいるけど,その分消耗は増。
 素人なりに現状分析すると――夏のカラダってのは,要は基礎代謝が底上げされた状態。その底上げには成功したよ。3桁時代と違って汗をかいても体温調整はスムーズ。ただそーゆースムーズな夏の代謝全般を,この半減ボディはここ20年程経験してへんかったわけで――要は人並みの「夏バテ」って奴。大わらわでこの未体験ゾーンに適応しよーとしてるんだと思う。そしてそーゆー作業をする時,おそらく明瞭な四季を持つ日本の気候は,かなり適応の難しいバリエーションの組合せ。
 あと。クーラーと梅雨がこんな応えると思わなんだ。3桁時代は一晩中つけてたクーラー,今そんな事したら翌朝のカラダがダルダルのムチャクチャです。
 概括すると。
 人並みの日本の夏って奴に,予想以上にビックリ仰天の我が半減ボディ君…って図式なんっしょね。
 減量成功率5%に対し減量維持成功率がさらに10%って数字の意味が,今完全に理解できる。減量維持そのものの難易度もだけど,減量って行為がカラダに与えるダメージがこれほど大きいとは!!
 新生児が母親の胎内から出た時に泣くのは,初めて外気に触れるとゆー環境の劇変ゆえです。
 減量後ボディにとって,少なし最初の1年は未経験の環境だと思った方がいい。同じ冬や夏でも,体脂肪率が違えば全く違う環境なのよ。
 比喩でも大げさでもなく掛け値なしに――大減量は,まさに肉体的な転生。それが純粋減量成功率0.5%の意味です。
 最大の追い討ちは,そーゆーリスクが周囲に全く理解されないことだけど…これはもう愚痴ても仕方ないしね。
 幸い7月末に人間ドックの受診予定がある。この章の後半で,この医学的所見にも触れます。

 食感の方も,どうやら新しいフェーズに突入したっぽい。
 とにかく台北が大きかった。
 半減直後は豆腐とか干芋とか特定の食材に向いてた自分の食の嗜好アンテナが,台北以来,以前にはなく多方面に展開するよになった。嗜好が点から面に広がってる。まあ…平たく言えば「何でもおいしく食べれる」ようになってきたわけ。
 以前は見向きもしなかったけど今は旨いもの。ハードパン,味噌汁,サラダ,魚,エスプレッソ,お茶。料理としてはフランス料理と和食。
 以前は食えなかったけど今は好んで食べてるもの。豆腐,カニ,メロン,鮒寿司,ブルーチーズ。料理としては薄味中華とルー味。
 嗜好の幅が広がるにつれ,グルメ旅行も幅を増してます。どこかで何かを食いまくるってパターンから,いろんな食事に手を出すよになったし,定食一辺倒だったのも朝のパンや午後のスイーツ,夜の軽い酒と肴って形に時間的な分散をするよになった。
 何が変わってきてんのか自分でも捉えかねてんのが実状だけど…今現在のグルメ観を一番表してんのは次の10点評点だと思う。
 星の数が評点配分です。
【技術】 ☆
【食材】 ☆☆
【バランス】 ☆☆☆
【遊び心】☆☆☆☆
 半減直後の舌は技術や食材に「おおッ!」って感激してたけど,最近は和食やフレンチやイタリアンのお膳全体のバランスや遊び心,つまり構成の完成度みたいなとこに魅了されるよになってきてます。
 前章で見たように,益々ごく当たり前の食感に戻ってきた感じでもある。以前,食卓十牛図ってテーマを書いたけど,まさに「返本還源」って感じ?
 繰り返しでもあるけど――減量はカロリー管理で出来るかもしれんけど,減量維持はカロリーじゃあ断じてない。
 カロリーなんて結局,食材レベルの尺度じゃん!
 けども減量維持には,食卓の改善が必須。なぜって?
 現代人がなんで太る?ってとこから考えたら分かること。ファースト・ライブ感覚による食生活の軽視が根源だったよね?
 だから少し迂遠なようでも,結局,スロー・ライフの食生活の感覚を取り戻し,自分なりにそれを具現化した食卓を構築することが,減量維持の王道なわけよ。最も単純に言えば――食生活の重視。
 わし自身,何か巨大プロジェクトみたく取り組んでしまいましたけど…減量なんて,それだけの変化で可能なもんだったみたいよ。

 さて。317日目の本日,職場実施の半日ドックでした。
 JR横川駅北口のいつもの病院で受診。通算4回目。
 当日,とりあえず血液検査の結果が出た。過去3回のデータと比較すると――

  H16.11 H18.9 H21.7
    ※★は異常値
BMI★44.6★46.8★25.4
中性脂肪
    96 130 28
総コレステロール
★ 201★ 228 132
HDLコレステロール
  ★ 38 44 51
LDLコレステロール
★ 140★ 157 72
最高血圧
114 134 83
最低血圧
    74 84  51
空腹時血糖
  ★ 114 103  87
GPT★ 109★ 140  13
γGTP
  ★ 82★ 79  14
尿酸★8.0★ 7.7  5.0

 「驚異的に改善してます」ってのが総合所見の第一声でした。星8つがほぼ消えたわけだから,そりゃまあそーなんでしょね。BMIは25以上って意味で異常値だけど,「腹周りが75だし問題じゃないでしょ?」何言ってんだ!こんだけ痩せといてッ!!って口調で解説されました。
 男性としては少し貧血気味だとは言われました。

 しかしまあ…何か見せ物扱いだったな。
 「臓器が…見えますよ!?」って驚かれたのは腹部エコー。エコーなんだからそりゃあ見えるだろ?って突っ込もうとしたら「いや,前回の写真では」と画像を突き付けられた。「肝臓が真っ白で全く見えない。ってゆーか腹部全体が白くて何が何だか分からないでしょ?」と今度は現在のエコーを並べて「それが今は,黒くくっきり臓器が写ってます。ほら肝臓と腎臓のトーンが同じでしょ!?」
 なるほど…でもそう興奮しなくても。
 ちなみに便秘の原因とおぼしき腸管の弛みの疑いを話してみた。
 鼻で笑い飛ばされた。「それより」…少なし大したことないらしい。「胆嚢に2ミリ位のポリープがあります」ええ!?安心させといて…いきなりガン告知かあ!胆嚢ガン…ってそんなん聞いたこともないんすけど?
 他にも腎臓に小さな石灰塊があるのを見せられたり色々今までにない発見有。思いっきりビビって総合所見で尋ねたら不思議そーな顔で「普通ありますよ。次で育ってたらともかく,今あんまり気にしなくても」
 …今までは臓器を探すので精一杯だったもんな。要は,普通にエコー出来るカラダになったってだけみたい。

 その後どのコーナーへ行っても,ほとんど珍獣扱い。わしはトキじゃないよ。
 血圧測定中,「何ですかッこれは!?」と大声で怒鳴られた。…血圧上がるだろ?
 「何かありました?」「何かって…この体重の変わり方は…」おい…ここ,血圧コーナーじゃねーの?関係なくね?「…テレビみたいな減り方ですね」ってその,喜んでいーのかどーか微妙な表現は止めて…
 肺活量。「スゴいっすよ!」…今度は何だあ?「前回の3割アップ!」え!?何で膨らむの!?わし…減量したつもりなんすけど?「あ…これは,肺の周りのお肉が減ったからですよ!」…?「つまりそれだけ息がしやすくなってんです。良かったですね」
 良かったのかどーかは不明だけど,確かにそーらしい。ってのは,総合所見の先生が見せてくれた3年前と今日の胸部X線写真は,明らかに別物。
 「横隔膜の位置がかなり下がってます。腹の肉が押し上げないからですね。その分,肺も心臓も大きくなってます」
 心臓も!?でも写真の心臓のデカさは一目瞭然。体重半減ってそこまで違うのね…自分のカラダの変化に今更ながら驚くばかり!
 専門の医者が恐慌を来すのも無理ないわ…。

 も一つ分かった事。
 結局,ドックでは誉められっ放し。危険な兆候は指摘されんかった。これだけ明らかに調子悪いのにです!
 医者がヤブなんじゃない。つまり,今の医学サイドには,減量の危険度を測る尺度が用意されてない!
 ダイエットを志す人が日本人の5人に1人いるとしよう。リバなしの成功率は0.5%だから――我々は千人に一人のマイノリティ!しかも集団を形成できるほど集住してない。
 減量ケアは真に孤独な作業。
 マジョリティには理解され難い。医学すら守っちゃくれない。自分のカラダは自衛するしかない。