▲麗水(ヨス) 夕暮れ,港の通りにて
バスのチケット買って日付を確認すると…あっ?今日は元旦?
あ,あけまして謹賀新年おめでとさんです。旧暦で元旦祝うここ韓国は,全然普通です。
光州を発つため再びユースクエアへ。時間があったんで,とりあえず施設内のAngel in-us Coffeeでエスプレソ。
ここ…店員が全員,背中に羽根の書かれたTシャツ着てる。たまたま可愛い娘がレジだったから似合ってたけど…人によってはキツいぞ!?
ちなみに。江戸時代から広島って不美女力では全国区的に有名らしいけど──韓国には負ける。確かに美女はスンゴい事になってますけど,逆の方も層が厚い。かなりの実力派が道を埋めてます…拍手したくなる程。
でエスプレソ。W2800,これも日本のチェーン店レベルは越えてる。豆豆した力強い苦味。何で韓国,こう実力店揃いなの?
昨日チェーン店のCrownBakeryで買った限り,パンも独自性強い。菓子パンは甘味にひねりがないけど,ユニークなのが多い。
例えば昨日のパン。生地は出来損ないのカンパーニュ。でも外にナッツがまぶしてあって,中に薄く挟まれた具はボロネーゼみたいなトマト系のペーストが入ったクリームチーズ。チーズは酸味がかってて,日本感覚じゃ菓子パンでも食事パンでもない,ちょっと食ったことのない位置のパンです。
とか思ってたら。
▲光州 ユースクエアのIsaacトスト
昨日から人だかりが気になってたIsaac Toastって店。
麗水にも2店あったから結構展開してるチェーン店みたい。
MTVトスト(トースト)W2900。
パンは食パン。生地はふっくら系で日本的,あんまりハードな噛み応えはない。
ただし,パテがイケてた。胡椒も唐辛子も脂もキイてるわけじゃないのに,ミンチそのもので食える。トーストの形をした包子って言うか…不思議な食感。山ほど入ったキャベツの歯ごたえもいいし,薬味のオリーブもばっちしキイてて良いアクセント。
どーも韓国パン,具が面白いらしい。
車窓の曇りを手で払ってみても,凍ってて取れません。
9時のバスで光州発。麗水へ。
来る時も見たけど,郊外は相当数のアパートが並んでて,さらに建設ラッシュな気配。
新都心・大田と同じく,未開発の平地が多く残るこの全羅道界隈,政府から見たら有望なフロンティアなのかもしれない。
▲麗水 中央路歩道橋から東を見る
気がつくと風景から雪が消えてます。
10時20分,順天駅前通過。乗客の2/3は下車。
ここからリアス式の半島を南へ下って麗水に至る。流石に山並みがボコボコしてちか。人家まばら。道は良い。
麗水のバスターミナルと港は2~3km離れてる。どっちに泊まるかまだ決めかねてます。
…って到着直前なんすけど?
10時45分,東側の山裾に白煙をもうもうと吹き上げる6基ほどの大工場。公害は凄そう。なるほど地勢的にはそーゆー産業廃棄エリアなんかも知れんな。京阪神に対する福井,関東に対する茨城のような。
麗水には11時前に着きました。さあ…どうしましょ?
▲麗水 道端にじか積みされたキャベツの山。
緩く湾曲する坂道を,バスは海へと下っていきました。
BTそばは少し寂しそうだったんで,結局港町側に泊まりました。もちろんまたモーテル。
港町側へ行くバスが全く見分けつかん。メインストリートの名前を行って,そっち方向の適当なバスに博打乗り。15分ほどでそれらしいとこで降りれた。逆方向へは「トミノル」(ターミナル)って停留所名を聞き逃さなきゃ,きっと…降りれるはず?
韓国の小さな港町って来るの初めてでした。
ほどほどに活気はある。新市街の通りは小綺麗で,カフェもちらほら。お目当ての市場になると,元旦は韓国も祝日だから地元の観光客がワンサカしてました。
「寂れた港町」って感じは全然無し。だって2012年にエキスポやるってんだろ?
日本にもあったよな,こーゆー丁度いい賑わいの田舎町…ひと昔前までは。
▲麗水の海産物市場 ボンムルコリ市場に並ぶ魚売
▲ボンムルコリ市場のメセンイ売り(マリモみたいな球)。
「食客」によるとスープが絶品だって。痛み易いから冬の風物詩らしい。残念ながらスープを出す店を見つけられんかった…。
潮の香プンプン,まさに港の市場です。
ボンムルコリ市場は小ぶりながら自然な風情の市。周囲に料理屋や海産物以外の店舗も軒を連ねてる。
名物とされるカラシナのキムチ,カッキムチもあちこちに専門店があった。クーラーバック位の規模でしか売ってくれないんで購入は諦めたけど,味見させてもらったところ確かに面白い。唐辛子辛さの後を芥子のまた別の辛味が追いかけてくる。いわば辛味の二重奏。
路上のおばちゃんたちがそろそろ店を畳み始めた2時過ぎ,ようやく7コンジュシッタンに入れた。
チャンオタンとチャンオグイの看板が表に出てる。チャンオタンははもかうなぎのスープ,チャンオグイは焼き物らしい。
ここ,裏通りの店なのに,何かエラい客足で昼時は満席で入れんかった。祝日だからか?韓国人的に超人気店らしい。5回は覗きこんだ。
靴を脱いでオンドル床に上がり込む。全50席程度。
迷うことなくチャンオタンW9000を注文。
ほかにチャンオ×××グイってのが2種あっていずれもW14000。隣と後ろが頼んだんで観察してみると…やっぱりハサミでジョキジョキ切ってます。日本人的にはどーもキチャナイんですけど…。
でもムチャクチャウマそう!韓国オヤジたち,真っ昼間から酒をグイグイあおってます。
おっ,こっちも来たど!
▲麗水 7コンジュシッタンのチャンオタン
立ちのぼる湯気の中,軽やかな魚肉の香り。
釜山でヘムルタン(海鮮鍋)を食ったことあるけど,具が豪勢なだけでピンと来なかった。
でも何か…これは違うど!
配膳。
① ② ③
④ ⑤
⑥ ⑦(チャンオタン)
①カクテキ
②大根の浅漬けみたいなの。白味噌の出来損ないみたいのに漬かっててあっさりとした旨味。カクテキと並んでも不思議に全く味がカブらない!こーゆーのも韓国にあんの?それとも日本時代の名残?
③ほうれん草ナムル。ゴマの香りと新鮮さに箸が止まらなくなった。
④干物(恐らくカワハギ)のキムチ。柔らかく浅干ししてあって歯応え抜群。
⑤ベチュキムチ。瑞々しい!漬けてなおこの水気って…どーなってんの?ほとんど焚合せ並に水気たっぷり。
⑥ご飯。ここのは全州や光州と既に違ってて,日本のコシヒカリ的な甘い後味でした。香る米のエリアを南に抜けた?
そんで!
⑦チャンオタン。魚は確かにハモ!!あのアッサリ味そのままなのに…コチュジャンの中でしっかり存在感を浮き上がらせてる。
何で?
…どーもこのコチュジャン,確かに辛いんだけど,何とゆーか「細い」味で,ハモの出汁を殺さないらしい。相殺し合わずに白身魚の繊細な出汁とコチュジャンの辛みが交錯する奇妙な二階建ての味覚構造。
だから,クッパブにしてもちゃんとスープの味がご飯に絡む。
本物のチゲってのは,素材が何でも辛さで食え!!なんてもんじゃないみたい。そしてそれは恐らく──唐辛子流入以前のしっかりした食文化あってこその味覚なんでしょう。
▲麗水 エスプレソ専門店の一杯
割と新しぶった店もちらほら。
港から道路を渡って山手側には,落ち着いて散策できる細道のストリートが交錯しつつ伸び広がります。
Yoger pressoって3階の店に入ってみる。
へえ~…エスプレソがいい!スタバの味に似てるけどスタバ以上。苦いけどくどさがない。でもW2000だぞ!?
で喫煙室あり。一緒にキャラメルが付いてきた。店内はレンガ調で,また独特な雰囲気。
スゴいぞ韓国カフェ!こんな田舎町にまで…(失礼!)。
▲麗水 Yoger presso外観
こんな田舎町にまで(ひつこい?)…あったよRed Mango!
韓国の左下の方(方位で言え方位で)に多いの?
雪こそないが,もちろん本日もクソ寒い。
けども!やっぱり旨いぜフローズン・ヨーグルト!ぶるぶる震えが来るわけだけど,旨いもんは旨いのじゃ!
いつもと同じく5点のトッピングを適当に選んだ。昨日の光州で柑橘系の黄色が多かったから緑を中心にしたら,たまたまメロンが入った。
ふーん…メロンって美味いんだな。
カニ,豆腐と並んで「味がないから嫌い」だったメロンを,生まれて初めて旨いと感じた瞬間でした。
▲麗水 Red mango2食目(メロン,レッドビーンズ
ボディブローのようにの味覚野の底から反響してくる味がある。
そーこーしてるうち,さっきのチャンオタンの軽快な味覚が蘇ってきた。
…もう一食食ってみたくね?
実は,7コンジュシッタン探してウロウロしてた時,もう一軒妙に客の出入りの激しい店を見かけてた。中は覗けない構造だからよく分からんけど…。
でももう一食食いたさに負けてチンミシッタンへ。
店内は7コンジュシッタンにそっくりで,オンドル床の広い座敷に靴を脱いで上がり込む形。意外に広くて公民館並。
チャンオタンW9000。
ここの14000はサンチャンオ×××クイ(英表記Eel charcoal)でした。…いずれにせよ分からん。
来た!
▲麗水 チンミシッタンのチャンオタン
上から3皿-2皿-2皿。この配置が基本形なのか?
① ② ③
④ ⑤
⑥ ⑦
①カッキムチとベチュキムチ。前者は味を確認できた。
②オイキムチ
③ほうれん草ナムル。ここのもピチピチで旨か~!!
④小魚の甘煮
⑤チャンジャ。さすが港町,食ったことのないプリプリのコリコリ!
⑥パブ。やはり日本的なふっくら甘味の米。
▲チンミシッタンのチャンオタンどアップ
⑦そしてチャンオタンだけど──生涯2軒目なんだから1軒目の味を想像したわけさあ。けども…!?
口をつける前に──既にハッキリ違和感。さっきのとは全く違う!匂いも色も…
ってゆーか…これホントに東アジアの食い物かあ?
中の魚肉は,比較にならないプリプリ感。明らかに鮮度が良い。商売が誠実みたい。
上に浮いてるのは紛れもなくバクチー。だから当然なんだけど…タイやマレーシアの魚カレーの味を連想させる。スパイス臭は薄いけど,色と,香りの奥で受け止めてくる感じがターメリックを疑わせる。もちろん唐辛子はキイてるけど,コチュジャンの使い方は凄く薄い。
で?結局…これは何だ?
…後から思うと,ウナギだったのかな?チャンオって語,あの種を広範囲に指すのかも?
ライスをぶち込むと,クッパブってゆーよりスープカリーに近くなった。これを,目の前の山水画を見ながら食う。──この違和感!
この店で偶然出来た味なんだろか?それとも,麗水一般の味覚?
たった1日の滞在です。海産物コリアンの世界,想像以上に深そう。
▲麗水 チンミシッタンの店頭と横断幕
道路交通法はないのか?日本ならその日のうちにポリ来るで!
▲麗水 Paris baguetteの黒糖パン
も一つ気になってたパン屋,Paris baguetteがこんな田舎町にも(まだ言う?)あった!
どーせCrawnと同じで大したことないやろ?と1つだけ買った。あとちっちゃなシュークリームを2つ。
ゴメンナサイ!
このパン…全然ヨーロッパ的じゃないけど,モチモチのネトネトで食ったことのない食感。あえて言えば米粉パンのもっちり感に似てる。
何か韓国,パンもエスプレソも…独自の進化を遂げてるみたい。で,それはそれで美味い!
一緒に買ったシュークリームは,意外なほど日本的シュークリームと異質。本場と同じシュー中心の造り。どっちかってーとシュケットとかグジュールに近い。中のクリームはほとんど味がしないほど淡白で爽やかな酸味。
体感的に…食文化の創造力は日本の倍以上と見た。
▲麗水 夕暮れ,北側斜面より