外伝06@明潭@(@_56_@) 最終日@ (@_56_@)

 板南線南巷展覧館行の満員電車車内。現在,朝の7時55分。思いっきり通勤ラッシュにハマってしまった。
 東京ほどじゃないけど……なかなか壮観な混み方じゃのう。もっとも,この街の規模からすればこんなもんで収まってるのが不思議な位ですが。
 ただサラリーマンのスーツだらけの不気味さはない。皆さん服装は割とフリーか?

▲高雄五福[偏-イ]食専売店の香辣香油[偏-イ]食

 復興忠路,太平洋そごう前。
 一時期入り浸ってたこの界隈もかなり久しぶりです。
 高雄五福[偏-イ]食専売店。
香辣香油[偏-イ]食 80元
 何か異様な空気を感じた。客はいない。なのに入るや否や「ワンタン麺か?」とおばちゃんが来る。
 以前から入ってはみたかったからまあ安めの少なめをお一つ。
 う~ん。
 壁には,テレビ撮影時の写真のほか,訪れた有名人の写真として,店の歴史を物語る年輪的画像が2枚。まだ若々しいジャッキーチェン。それから,まだ娑婆を歩いてる「日本巨星」酒井法子。
 韓国も完全にそうなってるけど,台湾のグルメメディアもかなりえげつないネタの食い方をしてそうです。ここは,要はそのえげつない奴らにしゃぶられ尽くした残滓みたいなお店だったらしい。ナムアミダブツ。

▲[走肖]記の菜肉[食昆][食屯]小碗

 最終日だってのに初手から空振ってしまったので,固いとこに進路変更。
 かつてのワンタンストリートへ。見る影もなく潰れまくったシャッター街で,今もなお固定客が席を占める実力店,[走肖]記。
菜肉[食昆][食屯]小碗 80元+小菜10元
 近づくにつれ無性に食いたくなってたこのワンタン…常連らしき客は,もそもそ食ってはさらりと立ち去る。そういう「いつものあの店」なんである。
 以前は「餃子にタレを付けないなんて」的な物足りなさを感じたから,小皿に辣醤いっぱいにして手をつけたけど,今食うと――要らないな。スープに浸かっただけのワンタンオンリーが一番美味い。
 皮がシコシコとうどん麺みたいな深い味わいの上に,野菜中心の具も強くも弱くもない素晴らしいバランス感。ニンニクその他の香草と肉汁が絶妙の均整をもたらしてる。
 あと,錦糸玉子とギザミ海苔だけの汁も,これ上海で何とかという立派な湯だったと思う。香りだけが生きてる素晴らしい汁です。ワンタンの茹で汁を蕎麦湯のように味わう感覚が元にあるんだと思う。
 小菜は,ワカメの唐辛子和えにしたけど,これも日本にありそうでない味わい。滷味ってほどじゃないけどじんわりしたダシが染みてる。
 最後まで生き残る店はやはり違う。ワンタンストリート壊滅後のこの通りは,[走肖]記の通りとして今後も続いていくんでしょう。

▲[大/力]豆珈琲店のモーニングC(肉[長ミ/松]玉米[保/土])

 [大/力]豆珈琲店。日曜日公休。
 3階に上がる,「日本語本屋」と続いてるスペースの半分が喫茶店になってる。壁にカップのコレクション,でも中国画や彫刻類も飾ってあるという微妙に無国籍で不思議な空間です。
 ただし!流れる空気のまったりさは,これは日本の喫茶店の朝と見まがわんばかり。──こんな空気に身を浸すことは,台湾はもちろん,海外で初めてだと思います。
 宿を引き上げに台北[立占]から西門に帰る途中,完全に通りがかりで見つけた店なんだが。
モーニングC 120元
(肉[長ミ/松]玉米[保/土])
 珈琲はサイフォン式。豆が深煎りで少しマッチに欠けるけど十分な味です。
 肉髭をコーンと一緒にしてフランスパンに挟んである。この辺の発想も面白い。ちゃんと,しかも微妙に中華してる。味もかなりイケてる。パケットの軽やかさに髭の歯触りが奇妙にマッチしてる。
 何か…すごく満喫しました。「和中折衷」と言うんだろうか,この辺りの絶妙なフットワークとバランスが何とも魅せる店だったように感じられたんですね。

 帰国時間は迫ってるんだけど,折衷のカテゴリーへの触手が三来健康素食に立ち止まらせてしまいました。
麻辣臭豆腐,割包など110元
 臭豆腐をプレートに取ると,意外に重かった。プラスチックの皿から落ちそうになってたら,おばちゃんが別の汁もの用カップを用意してくれました。
 勘は過たなかった!この臭豆腐も美味いぞ!
 固くとも,うねるがごとき柔らかな口当たりと味わい。発酵度の違いなのか,あるいは普通の豆腐との混入割合か,本当に複合的な濃い味わい。肉の代用品としての本来用途を窺わせる,豆腐と臭豆腐の鍋。──そうだ,臭豆腐は素食に原点を持つんだから,こういう店で避けてきたのが間違いだったわけで。
 さらには…割包もまたイケたんである。長崎の角煮まんじゅうそっくりの外見を呈しながら,中に豆干が入ってるもの。この豆干が,マクドあたりのふやけたハンバーグにそっくりな歯触り。それに加えて,何かジャリジャリとクリスピーな粉がまぶしてあって,フライと勘違いしてしまう。シェンツァイらしき香草もよく効いてる。これらとパンズ役の饅頭がムチャクチャに合って──長崎で混ぜて売ったらこっちの方が好みの人もいそうだぞ?素食店で売ってなけりゃ全くそれと気づかれないぞ?
 かくしてまたまた課題が出来てしまった。この手の街の素食屋さんで,肉にしか見えないものを食ってみたら?単に疑似製品ってだけじゃなく,マジに美味いんじゃないか?

 coco都可茶飲といえば──既に台湾以外にもバンバン出店してる有名チェーンになりました。
 宿に帰る手前で,どうしても手を出してみたくなりましたのが──
[女乃]茶三兄弟 35元
 三兄弟って誰だ?…というのが購入動機の際たるものです。「団子」にパロッたつもりなんだろけど?
 飲んで判明したのは──[女乃]茶の中に入れるブツが,ココお得意の3種類とも全部入ってるって意味らしい。黒タピオカ(粉園),仙草,あと一つの黄色いのはプリン(布丁)だったみたい。
 美味いかどうかってより…何を飲んでんのか分からん。
 というより内容物が多過ぎてすでに飲み物じゃなく食い物って感じ?
 値下げしてるからあんまり売れなかったのか?…さもあらん。さすがに台湾人も,これを「豪華」と見てくれるかどうかってことになると,ちょっとなあ…。

▲師大[臨/皿][酉ノ木]鶏の鶏排+豆干(3)+地瓜(前日のお土産)

 イミグレの行列に並んでます。16時15分。またギリギリまで遊んでしまった。
 今回のお茶の収穫。
1 日月潭紅茶(日月潭で購入)
2 梨山茶(同)
3 貴妃茶(台北で購入)
 機内ではリスニングシステムで再度台北のニューカマーのチェックに余念がなかった。
1 イヴ・アイ。英語名Dark Angel。挑戦的に弾け飛んでるハスキーボイス。
2 ドミニク・ツァイ。ブラック系の強さを感じさせる声。
3 オーストラリア帰りの歌手,キンバリー・チェン。So Goodがいい。悪魔的に高音域をくすぐる歌声。
3 ヒットチャート的には「麦田捕手」という野球選手みたいな名前のバラード歌手が上位キープ
4 新光三越のお姉さんは勧めた「A lin」もなかなかに良。

 台湾は,戒厳令解除時代とはもう完全にギアを入れ替えてきてる。
 今回,本当にそう実感しました。
 センス的にはもう爆走モード。誰も止められはしない。
 彼らにはもう日の没する国・日本を相手にする理由はない…のではないか!?そんなことすら考えてしまうけれど。
 おそらく,そこは心優しき台湾のことです。どんなに爆走モードに入っても,我々日没ピープルを笑って受け入れてくれるのでしょう。当分の間は。

▲阿桐四神湯のカウンター席より。