外伝03-FASE32@いったーむる たっぴらかす

[和訳]おまえたち全員コテンパンにしてやる:沖縄ご当地戦隊ヒーロー「琉神マブヤー」の戦闘時のキメ文句



 魚虎。
 [魚虎]と一文字だったら「シャチ」だけど,二文字だと「はりせんぼん」なんだそうです。文字数だけでこれだけ一気に弱くなる名前も珍しい。
 そんなわけで(?),最終日の一食目は,二文字の方のはりせんぼん,つまり,うちなーぐちで言う「アバサー」でした。

▲えんがんのアバサー汁

 実は初めて食べます。
 注文時点でははりせんぼんってことすら知りませんでした。えんがん(新港)に入って「???」なメニューがあったんで,ふらりと頼んでみたわけで。
アバサー汁 550
 この「アバサー汁」,沖縄料理の一つにも挙げられる。台湾の澎湖諸島ではハリセンボンの刺身や,棘を抜いた皮の湯引きが名物なんだそうです(行ったときには食いそびれてますが)。
 さらに調べて行くと──多くのハリセンボンは,棘が鋭く扱いに要注意だとのこと。ただし,フグの仲間だが毒は持っていないので,皮や肝も食用になり,ふぐ調理師免許を所持していない者でも調理は可能。(例外的に卵には毒があるので,卵は食されない。)
 漁獲時には,ハリセンボンが大量発生して網にかかった場合,一斉に体を膨らませ,とげを立てるために漁獲した魚が傷つき,商品価値がなくなってしまうこともあるんだそうです。つまり,ハリセンボンの大量発生は漁業被害にも繋がる。
 とかウンチクを見てるうちに,モノが来ました。
 うんうん!
 コリコリの食感。これは,意外にも内臓肉好きにたまらん美味さです。しかも歯ごたえだけでなく,奇妙に軽快で爽やかな出汁が染み出してきます。
 汁はカレーみたいな色の…おそらくトマトソース?ちょっと何とも言い難いスープです。これにアバサー独特のあの肉汁が物凄く特異な形でマリアージュしてきてる…らしい。何と言えばいいのか分からないけど,とにかくかなり好いぞ!
 うん!…これは確かに,こいつでしか味わえない美味。

 常儀。
 新港からの帰り道でやはり寄ってしまった新都心の名店ル・パティシエ・ジョーギの店名の由来は,オーナーパティシエの名前が平安名常儀(へんなじょうぎ)さんだからだそうで。変なジョーギ…こいつのことか?→変なジョーギさん像(店先にある。毎度毎度,思わず殴りつけなくなる)。
 そんな衝動を抑えて入店しましたジョーギ(安謝2)。
モンブラン
新都心ロール・チーズ
カシス・オ・ビスターシュ 570
「新都心ロール」の本体は,あれどのくらいあるんだろう?50cmはあると思う。両口が整形されないままはみ出したような姿。ロールケーキというより…これはクンペンじゃないか?
 一切れだけ買って宿で口にして,さらにその感を強めた。──間違いなくクンペンです。ケーキの柔らかさはないし,クレープやナンの類とも異なるねっとり感。ここに黒糖じゃなくて生クリームが入ってるからケーキ屋で売る体になってんだけど。
 …ジョーギは,アメリカンな顔をしたウチナーローカル洋菓子屋なのか?
 けれど,モンブランのクリーム使いは潔い味を作ってて素晴らしい。
 ビスターシュの方は,甘味を抑えた味覚が織り成す微妙なモザイク感が面白い。豆の山吹,カシスの紫,チョコの黒のコントラストが,味のみならず色彩的にも美しい。
 つまり,店頭のジョーギ人形に象徴されるアメリカンな感覚も濃いわけで…ヨーロッパ的なナイーヴさを纏わないここのストレートな味覚は,ウチナーの戦前(粉モン文化)と戦後(アメリカン)を,それこそストレートに表現してる。
 しかしすごい客の数!

▲秀のパン屋のトマトとベーコンのサンド

 天久。
「ずっと工事中」みたいなこの台地は,心霊スポットと見なされるのも頷ける特異な「のっぺらぼう」感が相変わらずです。
 特に秀の窯工房の辺りはその色が濃い。内地の都市近郊のベットタウンと見紛わんばかりの無色透明振り。これが逆にいかにも現代ウチナーっぽい風情ではあります。
抹茶のロール
ミニフランスパン 引当500/
トマトとベーコンのサンド 250(1370)
 ここのサンドは,やはり美味い。
 改めて食って,しかしその美味さの異相ぶりに驚く。
 ガロパン(松山)のように透明なパンかと言えば,むしろ濁った小麦使いに感じられる。最初はドイツ系かと思ったけど,今日のベーコンなどはほとんどチャーシューに近いスパイス使い。何なんだろう,ここの味。
 使われてるのは,パン,ベーコンのほかはトマトとレタスのみ。つまり,構成としてはBLT以外の何物でもない。かと言って,ドレッシングや調味料が秀でてると言えるほど感じられるわけでもない。
 何か独特のザラザラ感というか…土臭さみたいなものが,こんな当たり前のサンドをこれほど重厚な味わいに転生させてる。
 他のパンの小麦粉使いも何か独特の…「濁り」というんだろか,そんなものが後を引く。何なんだろう,この味覚。

▲「にーちぇ」のにーちぇブレンドのケーキセット

 にーちぇ。
 この哲学者名を平仮名で書くことを思い付いたセンスにまず脱帽するんですが。
 見つけてからもう何度目だろう,ここの重厚な静寂にたゆたうのは。
 16時ちょうど,にーちぇ(古波藏)。
にーちぇブレンド
ケーキセット 250(1620)
 沖縄コーヒーここにあり。寒風の中なれどココを外すわけにはいかなかった。──粉っぽいドロドロさが舌に残る。普通は不味い形容なんだろけど,これが異様に美しい。大げさに言えばぜんざいを食ってるような感覚です。
 ケーキはこれまでと変わってないと思うけど,極めて重厚でクリアな味。ただしチョコというより,これはカカオ豆の焼き菓子というタイプ。
 レーゲンスといい,この沖縄になぜこういうドイツが根付く運びになるのか。この点は未だに謎なんですが。

▲ルビーのCランチ

 軽食。
 ヤマトグチの語彙で捉えたら大怪我をするメシの際たるものです。かと言ってどこにも和訳がないんだが「滋養のあまりない食べ物」みたいなとこ…だと理解してます。沖縄そばも入ることがあるから「洋食」とか「現代食」とかとも違うんだよな?
 20時を少し回った頃訪れた「軽食の店ルビー」(天久)。ここは毎回一度は訪れてしまう外せない店。
Cランチ 700(2320)
 原点に戻ってアルファベットランチ。でもAを喰う気にはもうなれず,一番少量のCをチョイス。
 やはり沖縄食堂のカツって別次元にあります。油が違うんだろか,それとも温度とか肉の質とかだろか?衣が肉から剥離しがちなとこ以外,見かけに違いはないのにどこかしら決定的に,別物なのです。
 かと言って…この「沖縄カツ」がどこのカツに似てる,とはなぜか言い難い。こんなのが独自に進化するものなんだろか…!?
 食う度に謎な味です。

 
 琉貿。
 漢字で書くと歴史を感じさせる「りうぼう」です。ここの天久店に最近よく寄る。
 今回は21時前,那覇メインプレイスで映画「エンダーのゲーム」の2回目を見た後で少し買い物。
 位置的に便利な上にローカル色が強いのがここのポイントなんだけど──街中にあったヨモギはなぜか並んでなかった。フーチバー食に対して何らかの後ろめたさとか不潔さみたいなものが感じられ初めてるのか?

▲本格的に営業開始してたタンナファックルーの専門店。常宿サンキョウの前