外伝09♪~θ(^7+^ )Range(“香港最終日”).Activate Category:サウスイーストコート編(7.5次) Phaze:十一日目

[前日日計]
支出1500/収入2115
負債 506/
利益 109/
[前日累計]
利益 109/
§
→9月26日(月)
0700蓮香楼
マーライカオ
蒲鉾釜飯 370
0900倫敦大酒店
ピータン痩肉粥
叉焼包 370
2158吉蔵
黒650(1420)
[前日日計]
支出1500/収入1420
     /利益 80
[前日累計]
利益 29/
§
→9月27日(火)

 6時56分。
 早朝と書きたいが,帰国便離陸は13時10分。2時間前の11時10分まで4時間と少々。つまり出遅れたんである。
 さてお待ちかね!香港最終日恒例,最後まで食い倒れできるかな?タイムショックの始まりである!(待ってねーし)
 ぬわ~と大急ぎで上還へ。どどどっと坂を登ってこの飲茶へ。もう地図なんて要らない,足が覚えた道行きです。店の階段をかけ登ると懐かしい喧騒にわんっと押し包まれます。

▲蓮香楼のソーメイとマーライカオ

 よしよし7時をそんなに回ってないぞ。蓮香楼。
ソーメイ
マーライカオ
蒲鉾釜飯 370
 マーライカオのワゴンがいきなり来た。ちょっと早過ぎるんだけど…のんびりしとれん本日はゲットしない手はない。
 これも,発祥は東南アジアかもしれないけど──明らかに香港の味です。
 通常のスイーツの甘味の層にはほとんど小麦の味しかしない。けれどその下の層に,黒糖の豊潤な香,あるいはもう振動とでも言った方がいいかもしれませんが,そういうものがぶわっと満ちてる。
 この黒糖の芳香を味覚が把握すりに至りさえすれば,その振動たるや脳髄を甘くトロめかすまでに官能的です。
 さて,かくしてマーラーカオに酔いしれつつも──今回は絶対に逃すわけにはいかないものがある。
 釜飯!
 何としても[イ子](釜飯)を食べたかった。今回はまだ御目にかかってない!これは何としても,ここで胃におさめたかった。
 ワゴンの出口に人がたかってる。そこからの帰りに手にしてるのは──釜飯のアルミ缶!来た!来たぞ!
 出口にたかる人に仲間入りするも,やや渋顔に転じてる頑固そうなおばちゃん,ワゴンが動かなくてイラついたらしく,わしを含めて押し寄せる民衆を一顧だにせず,むっつり黙ってワゴン車を押し始める。おいおいおい!
 とか何とかやってる中で無茶苦茶になりながら何とかゲットした蒲鉾釜飯。今朝はえらく争奪戦が激しいな。
 さて,マーラーカオがまだ残るテーブルに戻りまして。
 始め,親子丼を想起した。卵のふっくら甘やかなトロミのついた肉?──しかしもちろん実際には卵なんかの味はしない。
 魚の蒲鉾です。蒲鉾というか,四国の一部にはスーパーでも並んでる魚肉のすり身。これをインディカ米の上に載せて炊いてるわけです。
 けど?すり身のどこからこんなに蕩けるような甘味が湧いてくるんでしょうか?しかも,日本のすり身でも通常は残るジャリジャリ感が,本当に全く感じられない。滑りみたいなものも感じるから,磨り方の他にも何かの工夫が施してあるはずですが,とにかく結果的に卵白のようなトロトロ感を作り出してる。
 これをジャポニカの炊きたてご飯に載せるとどうなるんだろう?何となく,やっばりインディカの上にじゃないと成立しにくいタイプの美味さに想像されます。
 上からは醤油ではなくオイスターソース。緩い,香り主体のこのソースでもって魚肉と米の香気が渾然一体となり,もう目も当てられない旨さであります。
 うっ!うんめえ~!

▲蓮香楼の蒲鉾釜飯

「茶は少し残した状態で継ぎ足せ」「今度からマーライカオを後で頼め。冷めるだろ?」「釜飯は茶碗に移して食え」「もう50年来の常連だ」
 さっきから隣席のおじさんにこてんぱんに叱られてます。蓮華のポットなしにデビューした日に袋叩きに(じゃなくて彼らからすれば親切に教えてくれたんだろけど)なって以来です。しかもきちんとしたキングス英語で来るので…もう目立って仕方ないぞ。勘弁してほしい。
 馴れたつもりでも,常連から見ればわし,まだまだ物凄く変な飲茶してるみたいですね。一気に初心に帰りました。てゆーか,正直泣きそうです。
「マーライカオは早く来たからゲットしたんだし,お茶は…ここまで蓮香方式の店がなかったからまだ指が慣れてないんです。熱くて持てないんです。だから少な目に入れてもらってるんです」などと北京語ではもちろん英語でも説明できんし,それより何でそこまで弁明しなきゃなんないんだこのおっさんに?ああ~!こらこら,他人の茶碗までつつくなってば。
 あ~あ,もう…また熱くて持てんじゃんか!

▲倫敦大酒店のピータン痩肉粥

 蓮華でスパルタ教育されてしまったので…9時になっちゃったじゃないか!旺角,倫敦大酒店。
ピータン痩肉粥
叉焼包 370
 やりがあってか,揃ってみると倫敦の割りには順当なものを頼んでました。ピータン痩肉粥なんて,初めて台湾で食ったメニューじゃなかったっけ?
 ただ,倫敦というこの場所は,すんなり平和に過ごすにはあまりに根っこからヒネクれてるようです。
 ええ?確かにピータン痩肉を頼んだよな?この具の多さと味覚の重奏感は…艇[イ子]粥だろこれは?──と今回あまりに重奏的な料理を食べ過ぎたなれた口が誤認する。
 が?薄いけれどはっきりと漂うこの独特の,というよりほとんど危険音に感じられるような刺激的な苦味は…ピータン。
 とゆーことは?
 艇[イ子]粥は重奏感が特徴なのであって,鶏肉がメインとか柱がある料理じゃない。何よりわし自身,最初「闇鍋」と書いてたじゃないか。だから理屈としては,この中にピータンが入ってるのはアリ,ということになるが──
 ホントに入れるか,倫敦!
 しかもよりによってピータン?これモノによっては臭豆腐や腐乳並みの劇味だぞ?
 ビビる脳を押さえつけるほどに,しかし味覚は感激を覚えてしまってます。
 ピータンの痺れるような劇味が,決して弱くはないのに掠れてる。これが鶏の出汁にほんのりマスタード味が絡まってるような,上品さというかオリジナリティというか,ちょっと他に例えがたい効果を与えてる。バスの隣席に近所のおばさんがさりげなく変装して座ってて「ええっおばさん!?」みたいな,我ながらよく分からん例えだけど,とにかくそんな異人感を醸してるんである。
 まあ,美味いよ。確かに美味いよ。
 でも何でいつもいつもそんなにヒネクレないと気がすまんのだ,倫敦!

▲倫敦大酒店の叉焼包

 叉焼包。つまり長崎角煮饅頭ですね。
 今回最後の一品だったんですが,これ。
 こ…これは!
 普通に長崎角煮饅頭やがな?!
 福建と違い漢方臭がない。全然ないんである。豚肉の塊を醤油で煮た,つまり日本の普通の角煮がマントウに入ってる。まあ醤油ってことはありえない,よく味わえばオイスターソースではあるけど。
 オイスターソース,これがあくまで素直に豚肉に染み透ってる。ここまで来るとまるで魚香牛肉とかに似てくる。
 倫敦~ん!
 変な味を作らせたら右に出る者のないこの店が,何でこの,普通が漢方臭の複雑味のこの料理だけ,シンブルでフラットにまとめるのかね?
 まず当たってると思う。ここの料理長って,他人の言うこと聞かない,なんてレベルを通り過ぎて,メジャーの反対をやらないと気が済まん輩に違いない。奥さんとか部下とかからすると,ある意味一番コントロールしやすいタイプとも言えますけど。

 おお~!11時9分だぞ?
 佐敦から中還行乗車。もう毎回書いてるよーな気がするが──本当にヤバいだろ?ジャスト2時間前は?!
 てゆーか,宿のオバサンが最後になってうだうだ言うからどーゆー意味?と聞いてると,予約サイトに「いい宿だった!」と書けよ,と言いたかったらしい。分かった分かった,書く書く!もう書くから帰してくれ!
 というか,本当にいい宿ではありました。環境的な胡散臭ささえ気にならないなら,3百元でこんなとこないでしょ?
 11時13分,中還着。ダッシュ! ──おっとっと,ここはまだ金鐘やがな!…ってくらい,まあ慌ててはおりますので御容赦奉りそうらえ。
 この辺からは毎回書いてるからハショります。机場快線乗車は11時25分。
 体調は。まだ咳が残るも,喉奥の凝りは感じなくなった。左肩は,二の腕の筋肉と人差し指に鈍痛があるも,根っこの首筋と背筋の痺れはほぼ消滅,肩関節はほぼ正常化。
 よって──帰国便の機内対策を考えよう。北角で購入した長袖シャツの上下にTシャツを着込む用意を整える(Exp.内には着替えに使えるトイレがないから)。あと香港飲み薬を乗り込みと同時に処置するべく手提げカバンに準備。
 スマホの電池残量77%。
 今回はあえて左側の車窓を見よう。
 11時38分。港の向こうに水平線に消える長い橋。すぐに青き衣。ということは──ググマプると,青衣からチェン湾に2本も橋がかかってる。この島は既に中継地ではなくてチェン湾の次の郊外住宅地なんである。乗ってくる人も普通の住民が多くなってる。──バンコクのエアポートエクスプレス沿線と同じ現象です。
 対してランタオ島はやはり緑の島のまま。

「客家功夫」という広告が座席カバーに出てる。今月は香港文化節とされてて香港文化博物館で展示「300 YEARS OF HAKKA KUNG FU」をやってるそうです。

「Gate is No.229, Ir”s too far.
 Ariving before 1240,or you can not take off. Understand?」
 ごくごく冷静にチェックインカウンターのお姉ちゃんが喋る。このセリフはなかなか怖かった。
 ミラノ空港のカウンターで「You need very quickly!!」ときつく怒鳴られた時より,冷淡な口調の分,怖かった。

 これが本当のギリギリでした。デッドラインとして覚えときましょう。
 2百番台のゲートになると,空港内列車に2回乗らなきゃいけないんである。格安航空会社の場合はそうなる蓋然性が高い。免税タバコもしっかり買ったし,最後の分岐では2百メートルほど迷いはしたけども,ほぼこれが限界。
 すぐ前を,同じ状況らしき家族連れ4人が走ってました。子供は男の子と女の子。男の子は歯をくいしばってお父さんについていきますが,女の子は「ママ~足痛い~」と泣き喚いております。何となく初海外っぽい雰囲気でして,顔面蒼白のお母さん,聞く耳も持たず号泣する娘の腕をつかんで引き摺っていきます。さてこの状況は,これは児童虐待に該当するでしょうか?
 え~と?現在の時刻は12時55分です。ボーディングゲートからのバスに乗ってるんですが?走り出さずに既に15分近くが経ってますぜ?
 そんなら急がすなよ!てゆ~かわしみたいなのはともかくさあ…あの女の子のトラウマはどーすんだよ?

●49788views2016年07月14日更新
せき喉の風邪の流行が過去10年で最高水準に、国立感染症研究所も注意喚起
※2020年現在該当頁消失確認。てゆーかCOVID19でそれどころじゃないし・・・というか,ひょっとしてこの時のも既にしてその兆候だったりして・・・。
 国立感染症研究所の感染症疫学センターは、せきや喉といった呼吸器系の風邪症状を起こす主に3種類の感染症の流行が過去10年でも最高水準になっていると報告している。猛威を振るっているのは、せきをはじめとした症状を起こす「RSウイルス感染症」のほか、喉の痛みや炎症を起こす「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎」および「咽頭結膜熱」だ。

●最新の感染症情報(2016年9月19日)

 ④急なのどの痛みと、高熱で発症し、のどの痛みがつづく扁桃腺炎(化膿性扁桃腺炎)が流行中。一部は溶連菌という細菌にによるものです。今年は、高温多湿のためか、黄色ブドウ球菌等の「とび」の原因菌などによるものも多々あります。ひどいものでは、扁桃腺周囲や首あたりまではれて、ひどい痛みと高熱がつづいたケースもありました。いつもと違う、のどの痛みがでたら、早めに受診しましょう。

「旅程 Mon, 26 Sep 2016 Depart: 香港国際空港 Terminal 2 at 13:10 Arrive: 福岡空港 at 17:20 」
 とにかく。ハチャメチャでしたが何とか帰り着けはしました。
 ただ,テーマがスープになっただけに日本に帰ってもこの味覚紀行の流れはずりずりと続いていきました。いや,長く捉えれば翌年の韓国までわしを押し流していったとも言えます。繰り返してるかもですが。
 まあひとまずは,御馳走様でした。本稿,もう少し続きます。

▲ 元朗のエジプト料理専門店「法老王」
 てか何で唐突にそんなとこの専門をする?