外伝09♪~θ(^7+^ )Range(“香港最終日”).Activate Category:サウスイーストコート編(7.5次) Phaze:十一日目/写真集&薩摩迎え旅

▲福州にて,合格者の発表に一喜一憂する人々。
 ではなくて,これが単なるバス停の表示。もちょっと簡素化せーよ!
※ 本稿の写真は,文章とは全く関係ない,というより完全に独立したお笑いとして御笑覧ください。

 結局,帰国便はかなり定刻より遅れました。
 検疫ではややドキドキしました。そのくらいに風邪の症状が最悪になってます。
衣被月花に吼ゆる崎の音
 うう~。この状態で無理して職場復帰するのは衛生保安上の危険を伴うのでは?
 幸いにして,博多の閉店間際の薬屋に飛び込み,飲み馴れた「改源」は購入できました。同日中の国内帰路の完走をついに断念。小倉で一泊することにしました。

 遅れたのを幸いに,小倉の駅チカで久留米ラーメンを食ってみた。
 この店しかもう開いてなかっただけではあるんですが,味覚は面白い反応を示しました。
 中華だ。しかもこれは,感覚として寧波だな。
 この九州の味覚というのは,長崎ちゃんぽん,熊本太平燕を出すまでもなく,全般的に福建の影響,正確に言えば福建との同期をしていると思えてきました。
 久留米ラーメンの味などは,これは明らかに出汁的な発想だけでは成立しない。出汁の下の層で,香りや肉汁の苦々しい濃さみたいなものを前提にしてる。
 ただ久留米ラーメンもだけど,九州の料理は出汁も併用することが多い。いわば二股の味覚だから自覚されにくい。長崎の唐アクなど,一部の料理で特化されてるだけになってますが。
 つまり,日本にも「出汁メインでない調味」というのは存在する。そういう感覚を持つに至ったわけです。

 どうやら,今回のSECルートの味覚感覚のグラデーションは,いわば地層モデルのようなものとして使える。そういう気がしてきました。
 それは,単に黒と白の間のグラデーションというのではなく,スペクトルのように明らかに途中のある地帯で異種に転じてると思う。換言すれば,こんな図式になるんじゃないだろうか?

①北京料理-いわゆる「さしすせそ」-東京・名古屋系和食
②上海料理-出汁-京都・山陽系和食
③福建料理-香り・苦味-長崎・熊本・高知系和食
※四川料理は,同じ層を唐辛子,花椒を中心とした麻辣系の調味料で行う。
④広東料理-滋味・深み-(対応和食なし)

 仮に「紅-鮮-香-淡」とでも表現しておきましょう。
「南[舌甘],北[減-シ],東辣,西酸」 (nan2tian2, bei3xian2, dong1la4 ,xi1suan1),つまり広東は甘くて北京はしょっぱく四川は辛くて上海は酸っぱいいうような単層の理解は,単純化し過ぎてるとか,北京料理中心主義だとかというよりそもそも的外れなんだと実感できる。
 また,もちろん下へ,つまり分かりにくい料理の層の方が高度だとか端正だとかいう訳でもない。

●(挿入図)中華の類型
 ※「▲」はまだ接触した実感のない料理体系
四大料理
-五大料理
 -八大料理
  -さらに細分
上海料理
 /江菜(江蘇料理)
  /蘇菜(蘇州料理)
  /揚菜(揚州料理)▲
 /[山/微]菜(安[山/微]料理)
 /浙菜(浙江料理)
  /抗菜(抗州料理)
  /寧菜(寧州料理)
[奥/コ]菜(広東料理)[奥/コ]菜(広東料理)
  /広菜(広州料理)
  /潮菜(潮州料理)
  /東江菜(東江料理)▲
 /[門<虫]菜(福建料理)
川菜(四川料理)
 /川菜(四川料理)
  /成都菜(成都料理)
  /重慶菜(重慶料理)▲
 /湘菜(湖南料理)
京菜(北京料理)
 /魯菜(山東料理)
  /魯菜(山東料理)▲
  /河北菜(河北料理)▲
  /[予象]菜(河南料理)▲
  /山西菜(山西料理)▲
 /東北菜(東北料理)▲
/台菜(台湾料理)

 こう細分されてると,この類型の感覚が自分でも解らなくなっちゃうんだけど,先ほど用いた例えで言えば,まさにスペクトル。赤と青の違いである。赤が本質だとか,青の方が偉いなんてことはないわけです。
 さらに実例として挙げてみると,以下のような「美味」の活用形みたいなもの。
 ──四川では,他との比較的な観念から来る「辣」ではなく,味が濃いことを「紅」と呼ぶ。例えば「唐辛子を入れてください」は「放紅」fang4 hong2。
 また,これは中国全土で一般的だけど,「おいしい」を意味する「好[口乞]」「好[ロ渇-シ]」以外に,いわば個別的な表現として,料理が温かく,湯気が立っていたり,においが香ばしいおいしさを場「香」xiang1と,新鮮な海鮮料理がおいしいときには「鮮」xian1と使い分ける。

 もう一つ,今整理できなくても問題として認知しとくべき点がある。
 なぜこの層が形成されてるのか?このことです。
 ただの地域差ではなく,その性格から言っても南北の軸から考えても,明らかにそれは,モザイクではなく「層」になってる。──それはスペクトルが,一見ランダムな色彩の羅列に見えて,波長の順に並んでるようなもの。
 だから,それはおそらく歴史的に順番に形成されていったのではないか。そのように見えます。

▲坂本龍馬ファンクラブ香港支部の勧誘ポスター。会長:鉄矢
 ではなくて,単に政治家のポスター。左右の「龍馬精神」は,何か香港のあちこちに貼ってあるコピーで,「頑張ろう!□□」並みの意味らしい。

 さて,九州ラーメンに話を戻しましょう。
 結構検索してみたけど,意外に九州全体を見通した比較説明ってありません。現段階での個人的なイメージではこんな概観だと捉えてます。

①久留米ラーメン:「煮出し過ぎた清湯」により香りの層の濃厚さで麺を食す。
∴出汁ではなく香りの層の湯としては長崎チャンポンに類似
②博多ラーメン:久留米ラーメンを日本人向けに出汁を中心に再構成した麺食
③熊本ラーメン:久留米ラーメンの「煮出し過ぎ」を清湯の方へ戻しつつ,食方のみは受け継いだ久留米ラーメン
④鹿児島ラーメン:清湯をベースとしたままで,北方の久留米ラーメン由来の各種ラーメンに間接的な影響を受けた南方系各種ラーメンの総称

 4種のうちプロトタイプとする説が最も多いのが,久留米ラーメンです。
 また,支持人口が一番多いのは,もちろん博多ラーメン。
 この両者,久留米vs博多の二項比較は,かなり深い論考が存在します。中でも脱帽の論を一つ挙げてみましょう。

●Yahoo知恵袋より
【とんこつラーメン発祥は久留米】
とんこつラーメンは、久留米が“とんこつラーメン発祥の地”であると同時に、鹿児島を除く「九州各県のとんこつラーメンのルーツ」である。

【久留米ラーメンの特徴】
[発祥] 昭和12年 久留米に“とんこつラーメンの元祖”である屋台の南京千両が誕生。当初のとんこつラーメンは、グツグツ煮沸しないやり方の清湯スープで白濁していなかった。昭和22年 屋台三九が作った偶然煮込み過ぎて出来た失敗作のラーメンが、現在の白濁系とんこつラーメンの元になった。これが大流行し、鹿児島を除く九州全県の現在のとんこつラーメンのルーツとなった。
[麺] 中太麺。麺の加水率が低い為、麺自体にスープが浸透しやすくなり美味しく食べられる。うどんで言うと“煮込みうどん”と同じのような感じで、本来の久留米ラーメンは、実は「柔麺(やわめん)」の文化なのだ。これは、コシのある“讃岐うどん”に対して、柔めんの“筑後うどん”にも通じるものがある。麺の硬さも久留米ラーメンはカタメン・ヤワメンはあるが、博多・長浜のようなコナオトシ・ハリガネ・バリカのような注文の呼び方はしない。
[スープ] 営業で減った分だけ毎日新しいスープを継ぎ足しする。イメージで言えば長年継ぎ足す“鰻のたれ”のようなもの。これが俗にいう“呼び戻し”と呼ばれるスープの採り方。だから、久留米ラーメンのお店は50年以上の歴史があるところも多く「スープの煮込み時間は半世紀以上」と云わる所以でもある。昔からある本物の久留米ラーメンは一般的に思われているイメージとは全く違い、あっさりしたとんこつスープが特徴。決して、ギトギトでもベタベタでもないのだ。だから、巷で言われているような、「ド・とんこつ」とかいうものは、実際には久留米に存在しない。あれはマスコミが勝手に作り上げた造語であり、久留米市民に「ド・とんこつのお店はどこ?」と聞いても、そんな店は無いと言われる。
[具] チャーシュー・ネギ・キクラゲ・海苔など。海苔が入っているのは立地的に「有明海」に近いのが要因だと考えられる。
[脂] スープに足す「脂」は少ない。脂は入れない店も多い。元々、スープ自体が「継ぎ足し」で濃厚なため、脂で補う必要がない。あっさりだけど自然なコクで脂っこくないのでスープが全部飲み干せる。
[薬味] コショー・紅しょうが・すりごま・おろしニンニク・にんにく醤油・にんにくチップなど。
[替玉] もともと替玉は、久留米ラーメンの文化ではない。替玉がある昔の久留米の店では替玉を「替麺」と呼んでいた。ほとんどの店は「替麺」ではなく、量を食べたい人には“大盛り”で対応していた。理由は、スープに脂を足さないので、替玉をするとスープが薄くなり美味しくなくなるから。その代わりにサイドメニューに「やきめし」を一緒に食べることが多い。
《結論》 “久留米ラーメン”とは、濃厚でありながらも脂っこくないとんこつスープが中太麺に浸透し、麺だけでなくスープの一滴まで味わうラーメン文化。

【博多・長浜ラーメンの特徴】
[元祖博多ラーメンの発祥] 昭和16年頃 屋台「三馬路」が、博多ラーメンの元祖と言われている。当時の博多ラーメンは、現在のような白濁スープではなく、沸騰させない“清湯”の豚骨スープに平打ち麺。。清湯系のとんこつスープは、とんこつラーメンの元祖である久留米の南京千両の影響を受けたものと思われる。その「三馬路」が「五馬路」へと継承され、その後に屋号を変更し、現在の「うま馬」に引き継がれている。
[長浜ラーメンの発祥] 長浜市場で発祥した昭和28年創業「元祖長浜屋」が、長浜ラーメンの元祖と云われている。
[麺] 長浜ラーメンは、細麺の「堅麺(カタメン)」文化で、コナオトシ・ハリガネ・バリカタ・カタ・ヤワ・バリヤワ・など麺の茹で方が選べる。麺は長浜市場で競りの空き時間などで、茹でる時間が掛からず素早く食べられるように「細麺」に改良。また、量を多く食べたい人の為に「替え玉」のシステムが誕生した。元祖の博多ラーメンは「平打ち麺」。
[スープ] 博多ラーメン・長浜ラーメン共に毎日新しいスープを作って売切れたら終わり。俗にいう「採り切りスープ」。煮込み時間が短い為、スープ自体のコクは少ない。
[具] チャーシュー・ネギ。具は少ない。博多・長浜共通。
[脂] 脂が多い。スープ自体は薄い為、後で大量の脂を足しこってり感を演出しているが、これを本来の、とんこつの「コク」と勘違いしている人が多い。薄さをカバーするのに、スープを煮出す段階で、脂を混ぜている店も多い。博多・長浜共通。
[薬味] 紅しょうが・すりごま・おろしニンニク・辛子高菜など。博多・長浜共通。
[替玉] 替玉は殆どの店にある。サイドメニューは無い店も多く、初めから「替玉」ありき。
《結論》 “博多・長浜ラーメン”とは、薄いとんこつ「スープ」を「脂」で絡め取り、「麺」だけを素早く食べ、スープは飲み干さないラーメン文化。

 いやあ,脱帽ですね。ラーメン,愛してますね。
 調子に乗ってもう一つ,博多と熊本・鹿児島を比較したレポートを,もうお腹一杯,とはおっしゃらずどうぞ召し上がれ!

●マイなびニュースより
 同じとんこつでもこうも違う! 福岡県・熊本県・鹿児島県のラーメンを検証

(意外にあっさりな博多ラーメン)
 博多ラーメンは、すべてのとんこつラーメンの座標軸とも言える存在。濃厚でこってりな印象が強いが、博多長浜の屋台街で出されるラーメンは、あっさり風味のスープで出される店が少なくない。麺は極細のストレートのため延びやすい。だから大概の店は麺の量が少なく、替え玉をすることが前提になっている。
 替え玉を注文する時は、「やわめ」「硬め」など硬さを指定するのが普通。最強の硬めは「粉落とし」と言われるが、これはほとんど生麺だ。トッピングはネギや紅しょうが、きくらげ、高菜唐辛子などがメジャーどころと言えるだろう。
 ちなみに博多ラーメンの更に元祖は、久留米で花開いた久留米ラーメン。博多ラーメンよりも濃厚でくせが強いことが特徴だ。
 博多ラーメン激戦区の天神で店を構える「元祖赤のれん 節ちゃんラーメン 天神本店」の瀬戸茂也(しげなり)さんに、博多ラーメンの定義について聞いみた。すると、「博多ラーメンはスープが濃厚だと皆さんに思われますが、それは店によって違うんです。うちの場合はあっさり風ですが、それぞれの店で異なります」とのこと。
●information
節ちゃんラーメン 天神本店
福岡県福岡市中央区渡辺通5-24-26

(焦がしニンニクが香る熊本ラーメン)
 博多ラーメンとは似て非なる一品が、熊本ラーメン。麺は博多ラーメンほど細くない。どちらかというと中太麺で、替え玉文化はさほど定着していない。
 中太麺を使い、替え玉という文化は薄いのが「熊本ラーメン」
 一般的に熊本ではダシに「豚のアタマ」だけを使うと言う
 スープは博多と同じとんこつだが、鶏ガラをブレンドするのがベーシックだ。だから一般的には博多ラーメンよりマイルドだと思われている。ちなみにスープはその日のうちに使い切るのが主流だ。継ぎ足ししないので、とんこつ臭は少ない。
 味にアクセントを加えるのはニンニクを揚げた油(マー油)だ。これが強烈な個性を発揮し、食欲を倍増させる。
 熊本ラーメンの老舗店「大黒ラーメン」の中川博文(ひろふみ)さんに、一般的な熊本ラーメンの定義について聞くと、「一般的に熊本ではとんこつのダシには豚の頭だけを使います」と言う。
「ゲンコツなども使う博多ラーメンに比べて密度が濃くなり、香りも良いと感じますね。その風味と焦がしニンニクとの相乗効果がクリーミーな味わいを作り上げると思います」。
 それを受け止める中太麺も、博多ラーメンとの大きな違いと言えるだろう。「具材のきくらげは博多では入ったり入らなかったりですが、熊本では必ず入るんですよ」とのことだ。
●information
大黒ラーメン
熊本県熊本市高平1-1-14

(ラーメンの前には漬物を、鹿児島ラーメン)
 鹿児島はとんこつラーメンの本場・博多から遠く離れているため、とんこつラーメンの影響が薄いことが何よりの特徴だ。
 スープはベースこそとんこつだが、鶏ガラはもちろん野菜、昆布、煮干しなどのダシをブレンドしている(このあたりは店ごとの個体差が激しい)。だから必ずしも白濁しているわけではない。麺は沖縄そばのような太麺かビーフン由来の細麺があるが、かん水を使っていない店が多い。
 他の特徴としてはなぜか小さな急須に入ったお茶が出ることと、付け合わせに大根の漬け物が出されることだろう。ラーメンが出されるまでの酒のアテとしても重宝する。
 鹿児島ラーメンの名店「くろいわ本店」の日高百合子さんは、「鹿児島のラーメンを大まかに概観すると、やはりあっさり味と言えるでしょう。とんこつだけどあっさりしてる。鶏ガラも使っていますからね」。
 やっぱり漬け物は付くのですか?という筆者の質問に、「ええ、普通は付きますよ。うちの場合は大根の漬け物ですが」とのコメントを頂けた。
●information
くろいわ本店
鹿児島市東千石町9-9

 閑話休題。てゆーか本論に全然関係ない写真の解説であります。
 前回の決して趣味ではなく撮影したこの「新店登場」の人,それから1年も経たないのにこんなヴァリエーションになってました。香港の安易さというか無慈悲さというかを感じさせられる文化人類学的事例として,以下3枚。
 なお,繰り返すが絶対に趣味ではないので念のため申しつくるものなり。

▲何かベンダントみたいなのをじゃらじゃら持たされてる,特に趣味ではない人。君にはそんな大阪のおばはんみたいな飾りは似合わないよ。

 ところで。食文化は,元からその土地にあった感性で「咀嚼」されることで変化します。
 博多ラーメンは,久留米ラーメンが「ひよった」ものではない。博多にあった,九州の中では「日本」的な感性に「咀嚼」されて博多ラーメンになった。
 この場合の「日本」的な感性とは,山陽から近畿にかけての出汁文化。つまり,乾物由来の旨みを調味の軸とする感性だと思います。
 熊本や鹿児島には,そういう「日本」的な感性は薄かったでしょう。おそらく本家の久留米よりさらに薄かったでしょう。そこは西南戦争以前には,感性的には「ヤマト」ではなかった。
 その結果,久留米ラーメンよりもさらに久留米ラーメンらしいラーメンが出来上がっていった。清湯を軸にした,煮出し過ぎない味覚へと。
 この「純化」の過程は様々で,おそらく拡散的なものにならざるをえない。熊本と鹿児島のラーメンが同じベクトルでも似ていないし,そもそも熊本や鹿児島それぞれの地域内でも差が大きいのは,先祖帰りという形で拡散的に変化したからです。

 4種のラーメンの位置付けをこのように整理した後,もう一度久留米ラーメンに戻ってみます。
 そもそも「久留米ラーメンらしさ」って何なのか?
 一文字で言えば,「香」だと思う。つまり,久留米ラーメンは,長崎ちゃんぽんと同じく「福建」的だ。
「紅-鮮-香-淡」というさっきの中華の4ベクトルの3つ目です。
 そう対照を結んじゃうと,自動的に次の4×4のマトリックスが描けます。

[中華][味覚] [和食] [ラーメン]
北京 - 紅 - (関東?)- (醤油?)
上海 - 鮮 -近畿山陽- 博多
           》久留米
福建 - 香 -熊本薩摩-熊本薩摩
       (高知?)
広東 - 淡 -( 無? )-( 無? )

▲ジャムとおぼしき瓶を抱えさせられて重そうで気の毒な,別に趣味ではない人。私がお持ちしましょう,ご自宅はどちら?

 という図式だと,このラーメンでの掘り下げは熊本・鹿児島ラーメンが重要な研究分野と思える。
 迎え旅に鹿児島を据える用意をしつつ,予備調査を進めていきますと,概観はwikiで十分に深かった。

●wiki/鹿児島ラーメン

(特徴) 鹿児島は大昔から鶏や豚を食べる文化があった。大なり小なり久留米ラーメンの影響を受けている他の九州ラーメンと違い、鶏ガラ+豚骨をベースとした各店の個性が強く雛形的なラーメンが存在しない点が最大の特長といえる。
 観光ガイドやグルメ媒体などでは、褐色系のスープに中太麺、具として煮豚、湯通しのキャベツ千切り、細いモヤシ、キクラゲ、香油代わりに焼きネギが散らしたものが鹿児島ラーメンのイメージとして画像などを含め紹介されている。それはあくまでも一昔前の人気店の平均的なスタイルにすぎない。実際は白濁した豚骨スープ、澄んだスープ、味噌ラーメンなどであっても麺や具なども含めてローカルアレンジがされていれば鹿児島ラーメンの範疇に含まれると解されるという許容範囲の幅広さも特色である。
 あまりの掴み所なさに「鹿児島ラーメン」というご当地ラーメンの実態は存在しない酷評する向きもごく一部にある。見方を代えれば様々な要素を貪欲に取り入れてきた懐の深さの証である。店ごとにそれぞれ違う個性を見つけられるので県外からの食べ歩き客は多彩な楽しみ方が得られる。

▲ サラダめいたのが満載のボールを提げつつもなお笑みを絶やさない,とりたてて趣味ではない人。 えらい!えらいぞ!

●ラーメン専門のぼる屋が復活!9月4日グランドオープン
 
 豚骨ラーメンが主流の九州で唯一、久留米ラーメンの影響を受けない鹿児島ラーメン
 その鹿児島ラーメンのルーツが「のぼる屋」です。
 「のぼる屋」の創業者は故 道岡ツナさん
 その道岡ツナさんが横浜で看護婦として働いていた時
 入院していた中国人の患者さんから看護のお礼にと教えてもらったのが中華そばでした。
 その時は、まさか自分がラーメン屋を始めるとは思ってもいませんでしたが、戦後、鹿児島に帰郷した道岡さんが目にしたのは、空襲で焼け野ヶ原となった鹿児島市街
 ここで生きて行くために始めたのが、横浜の病院で作り方を教わった中華そばのお店でした。
 これが、ラーメン専門 のぼる屋の起源
 昭和22年のことでした。
 そのラーメンは、九州各県で見られる白濁スープの豚骨ラーメンでもなければ、東京の中華そばでもない個性的なものでした。
 道岡さんが教わった中華そばをもとに工夫を凝らしてできあがったのが、豚骨と鶏ガラ、魚介ダシでスープをとったラーメン
 毎日食べても飽きないようにと油分を取り除き、さっぱりと仕上げました。
 かん水を使わない白い麺は体に優しくもちもちした食感の中麺
 「のぼる屋」は、ツナさんから三代に渡って伝統の味を守ってきましたが、平成25年に休業し、翌年には67年の歴史に幕を閉じ閉店していました。
 その伝統の味を復活すべく、指宿白水館の下竹原社長が中心となりプロジェクト始動
 レシピは残っていなかったものの、材料の仕入れ先を調査し材料を聞き取ることからスタートし、常連さん達の試食会を重ね、今回のオープンにたどり着きました。
 オープンは9月4日
 店舗の場所は、鹿児島市金生町で山形屋向かい
 鹿児島銀行本店並びでメガネの大学堂跡になります。
 いよいよ、オープンが近づき楽しみにされている方が多いことと思います。
 なお、オープン記念特価は800円ということですが、この価格がいつまで続くのか。
 その後の料金設定がどうなるのか。
 営業時間は?
 知りたい点は沢山ありますが、情報が入り次第、お知らせしていきたいと思います。

 おお~!のぼる屋がまさかの復活?!
 といった個人的感慨はともかく,この「伝説」では,鹿児島ラーメンは中国からの直接の影響を受けたとされてる点に注目すべきです。
 つまり彼らは,長崎と同じくヤマトとは別に中国との関係を意識してること。それと,そのヤマトとの境界を,北九州との境と同一視していること。
 というわけで,サウスイーストコーストの行程,一旦この辺りでまとめさせて頂きます。この流れでの次の旅行は,久しぶりの台湾,中でも嘉義の鶏肉飯へのものとなりました。