本伝09章[Step90]減量の名脇役たれ!

 325日目 
▲65.0kg(半減+3.0kg)
ラスト▲3kg!

って最後の最後で思い知らされるなんて──
 最高の旅にはなぜか決まってこの種のオチがついてきた。例えば,2週間歩いた南ベトナムの旅の最終日。深夜の帰国のフライトを前にして,夕刻,完全に道に迷った。宿から徒歩30分圏内のはずがどうしても現在地がわからない。闇が降りてくる。泣きそうになりながらメチャクチャに歩くこと2時間,ふと曲がった角の向こうに突然宿が現れる。
 多分,旅はこう言いたかったんだろう。無知を知れ──旅の主役はアンタじゃないんだよと。良く言えば,旅の名脇役ご苦労さんってとこ。

 夏風邪をひいたんである。
 減量開始以来,病気で寝込まなくなってたんで久しぶり。体脂肪の低下は感染症への抵抗力を弱めるがそのせいか?
 火曜日。朝から体調が変だったけど,午後になるとフラフラダンスに。明らかに発熱もしてきたんで会社を早退してタクシーで自宅直行。食欲がないから晩飯はコンビニのスイーツ。ジャージー牛乳バニラプリンとクリームたっぷりシュークリーム(計504kcal),それと風邪薬にミネラルウォーター1リットルをガブ飲みして布団に豪沈。
 翌日水曜日も熱が下がらない。丁度仕事がちょい切れ目だし1日有給休暇をゲットする。医者に行った足でスーパーへ。朝昼兼用の大ネタ握り盛り合わせ(550kcal換算)とトマトジュース1リットル(235kcal),晩飯用の野菜たっぷり弁当(538kcal)と牛ヤオギモ(150kcal換算)を買い込む。無理やり食っては風邪薬と水で豪沈を2回繰り返す。ちなみに晩飯にはブラックチョコ1片(29kcal)も追加投入。解熱の過程で汗だくになりながらもドロドロに泥睡した。
 木曜日も平熱じゃなかったけどさすがに出勤。何とか勤務時間は耐えたけど,この3日間ろくに体を動かせなかった。
 で──問題はこの2日間の体重移動なんである。(火曜日は計測忘れ)
(月曜日)体重  74.0kg
    体脂肪率12.0%
(水曜日)体重  71.0kg
    体脂肪率16.0%
( 差 )体重▲  3.0kg
    体脂肪率14.0%
 …何で?今の局面で,この状態の2日間でなぜこんなに激減するの??

 結論として──考えても分からん。何らかのタイミングが良かったんでしょうよ!(何じゃそりゃ)
 大酒飲んだりスイーツや肉を飯代わりにすると停滞してたラインをすんなり越えちゃったって経験は,これまでもあった。カロリー制限内の食生活がカラダに強いてた緊張から,たとえ同じカロリー内でも何らかの「揺さぶり」があった時,現行体重を維持してた危うい均衡が崩れちゃう。その繰り返しが減量なんでしょよってほぼ確信はしてる。
 制限カロリー下の通常のライトな食事と肉・スイーツなど通常肥満食と考えられてるものをタイミングよく組み合わせて食う。経験上,どうもこれが最も減量実績を出せる食サイクルらしい。
 けど,これを何度意識的にコントロールしようとしても成功しない。逆に「えッ今日落ちるの?」ってタイミングで下降しちゃう。
 レプチン君たち減量の実戦部隊は,意志の側の参謀本部をとことん小馬鹿にしてるわけ。と言うより元々従う気なんかないのよね…

 言いたいのはただ一つ──減量に敬虔であれってこと。
 思い通りにカラダを変えちゃお!なんて,少なくとも今の人間の知恵じゃ不可能。っていうかそんなこと本気で企図すること自体が巨大な無知なんである。
 体重半減を目指すわしが言うのは大いに逆説的に聞こえるかもしれんけど,例えば「どうやってそんな痩せたの?」と尋ねられたら,わしの正しい答え方はこうなんだろと思う。──「分からりまへんけど…何かタイミングが良かったんじゃおまへんか?」
 わしは結果しか求めてないから,別にそれでもいいッス。
 ただ珍しい症例だろから,その取組みと感性の経過を記録しとく。それがこの文章です。後は,数多のダイエッターやら栄養学者やらが好きに解釈してくらはい。
 「こうすれば必ず痩せる!」って言うダイエット法があったら,それは間違いなく詐欺です!どんなタイミングの誰でもが必ず痩せる方法なんて今の世に存在しないんだから。
 意志の側は言わば銃後の守りを固めるだけしか出来ない。減量の主役はあくまでカラダ。そして彼は,通常は適切な身体の状態を求めてる。
 とにかく…わしとしては,一つのケジメとして,残り3kgを敬虔な気持ちで完走しちゃいます。