初源に属するものをためらわずに描いて@ことばぐすい

海に棲むさかなの子ポニョが,
人間の宗介と一緒に生きたいと我儘をつらぬき通す物語。
同時に,5歳の宗介が約束を守りぬく物語でもある。
アンデルセンの「人魚姫」を今日の日本に舞台を移し,
キリスト教色を払拭して,幼い子供達の愛と冒険を描く。
海辺の小さな町と崖の上の一軒家。
少ない登場人物。
いきもののような海。
魔法が平然と姿を現す世界。
誰もが意識下深くに持つ内なる海と,
波立つ外なる海洋が通じあう。
そのために,空間をデフォルメし,絵柄を大胆にデフォルメして,
海を背景ではなく主要な登場人物としてアニメートする。
少年と少女,愛と責任,海と生命。
これ等初源に属するものをためらわずに描いて,
神経症と不安の時代に立ち向かおうというものである。

(崖の上のポニョ,監督企画意図,同映画パンフより)