本伝豪遊記03《豪遊∧3》スイーツアイランド上陸記

2008-11-24 18:41

 土・日・月祝。11月最後の3連休。
 広島の中学生の学力向上を目指すちょいとビッグなプロジェクトを構築中で,忙しさにかまけて週末豪遊のスケジュールをまるで立てずにおりました。
 前日までに準備したのは,2日目の宿予約だけ。所は鹿児島,天然温泉の出る常宿。
 けど,こーゆー予定のない旅立ちが,得てして最高の収穫に結実する。ホントに旅立ちに必要なのは,一に噴出する好奇心のマグマ。二に,それ以外は準備しない勇気または諦めなのさ──な~んてカッコつけて何度ヒドい目に遭ってきたんだお前は!!
 でも…と自分の旅心がニヤリと笑って危険な本音を吐く。そのヒドい目ってのが旅の妙味なんよね~!

 溜まりに溜まった仕事を金曜日の朝4時から土曜日の朝8時まで,実に28時間で一応片付けた。──わしの本業は旅行。副業の役所仕事にこのサンクチュアリを明け渡しはせん!ヤラセはせんヤラセはせんヤラセはせんぞ~!
 とかドズル・ザビ気味に意気込んでたけど,体重半減後の調整中のカラダは流石に少し疲れてたんだろう。少し寝てから…と思って起きたら昼を回っちゃった!
 とにかくまず博多へ新幹線。1泊目は熊本辺りと思ってたんだけど。
 博多駅に着いた途端,正福の煮魚が食べたくなって,かつ映画「容疑者Xの献身」を見たくなったので1泊目は博多でビバーグしてしまいました。…え?何が予定のない旅の素晴らしさだって?まあこーゆー日もあるのさ。ふっ。

 取り繕うわけじゃないけど,この1日目に出会った雑誌がこの旅行を決めたのじゃぞ。(威張るな~)
 博多のタウン誌に外戸本ってのがある。カバーエリアは山口から九州。この臨時増刊号に「食旅主義」っちゅうのが出てたから軽く買っちゃった。まさに今のわしの旅行にぴったり!
 この雑誌の中で初めて「シュガーロード」っちゅー名詞に出会った!──九州の玄関口・小倉から長崎まで,江戸時代に砂糖を運ぶ街道が通ってて,この沿線各地に砂糖菓子の文化が出来たんだって。
 つまり九州北部。今回の行き先は鹿児島なんで関係ないか…と思ってた。そんで,同じ雑誌に載ってた人吉餃子の方に目が行って,2日目は人吉に向かったんであるが──

 人吉にはリレーつばめから熊本で特急に乗り換える。
 この熊本であります。乗り継ぎ時間が1時間ほどあったんで,熊本駅周辺をあちこちウィンドウショッピングってゆーか,試食の食いまくりってゆーか…
 ──のつもりがです。美味いんだ!饅頭系統が美味過ぎる!少量ずつ買いまくってると,いつの間にか10個近く買いこんでました。砂糖の甘さじゃない。「いきなり饅頭」に代表される芋主体の甘さ。五島のカンコロ餅に似た芋餅もあった。
 熊本駅ホームのベンチで列車を待ちながらホクホクと食いまくる。美~味~い~ゾ~!!この後宿で食った何とかって漢字4文字の伝統菓子(忘れたけど…果肉のアンを使ってた)も含めて,何か砂糖じゃない甘さの世界ってこんなに豊かなの?っちゅー感じなんだわ!
 後述するように鹿児島では唐芋スイーツを食いあさったし…。
 北部九州がシュガーロードなら,南部九州はポテトワールド。九州ってまさにスイーツアイランドみたい!ガラパゴス諸島的に多種多様なスイーツ文化が実ってるんである。
 特にこの南部九州のポテトワールドは──台湾から香港の中華スイーツ,東南アジアのもっと訳分からんスイーツ文化につながってる感じ。油で食う料理なんか全然底が浅いのと同じで,砂糖だけで甘いだけの菓子なんか単調過ぎる!って気がしてきた位──甘味の世界も伝統菓子は深くて広い…とやっと気がついてきてる,まだまだ成長期のわしの舌であります。
 それにしても…この舌が成長するってのはホント楽しいもんだね~!実はここだけの話(だからHPだッ!),この南向きのベクトルで正月休みは久しぶりに沖縄を狙ってま~す。半減前の舌ですらベタ惚れしたウチナーテイストをどんな形で再発見できるか,震えが来るほど楽しみじゃわい,のう鶴姫よ?カッカッカ…。
注 鶴姫についてはSTEP1に詳述

 手出始めに…まずは「いきなり饅頭」!
 これ,熊本の人も名物だとは自覚してないんじゃない?その位,讃岐うどんと同じで生活ベタベタの味覚だと思う。
 小売店の店先で湯気を上げてる物体の山があったら近づいてみよー。ラップでちょい無造作に包んだ白いブツ(最近は黒もあるみたい)があれば,まあかなりの確率でそれだ!…って知ったかぶりで買ってたら後から来た客に「あっ…いきなり饅頭はそっちのヤツですよ~」とか他の山を指差されたりして…やっぱ初心者の僕らは指差し確認しようね…。
 一口目の違和感が癖になるんよ!小豆アンを予測した舌に──
 や…焼き芋かあ?薄い餅皮の下から伏兵のように味蕾を襲う芋味は,しかしもちろんただの芋じゃない。いくらか練ってあるし,いくらか混ぜものもあるみたい。ただちゃんと芋の素朴な味は生きてる。やっぱ一番近いのは焼き芋。全然庶民的…なんだけど微妙に絶妙に芋以上なのよ。
 熊本で5分あったらいきなり饅。騙されたと思って食ってみて!

 あと芋餅。五島のカンコロ餅に続いて,高知の日曜市にもあったけど,駅のキオスクで売ってたのは初めて見た。それだけ生活に溶け込んでるってことか,それとも観光化されてると見るべきか?いずれにせよ簡単に買えるのは嬉しい!味も五島・高知レベルでした。
 カンコロ餅を初めて食った時も思ったけど…最初の舌触りは粘土。それも幼稚園てかで使うあね安っぽい油臭い感じ。確かに臭いも土臭い独特のもんがある。芋の種類なのか,それは五島のが特に強がった。
 加えて,少し置くとすぐ固くなる。五島では「そしたら火であぶって食えば美味い」って習った記憶がある。…確かにイケた。
 けど噛んでるうちに豊かな甘味が口に広がる。そうなりゃもう病みつきです!止まらない!食い応えは最高ッす。腹に重くタマる感じ。
 この食物が,江戸時代の庶民を含め近代の貧困層の命を救ってきたのが実感できる。

 人吉餃子もかなりだったけど,行ったのは1軒なんでデータ不足。また来たいけど,熊本から1時間半で通過点にできんのはキツい。
 鹿児島では今回初めて唐芋スイーツに手を出した。今回のベクトルならやっぱ飛ばせないでしょ!
 天文館の何とかアミーゴって店に行ってみる。娘様ばっかのちょ~っとオッサンに場違いな空間だけど,持ち帰り出来るのが救い。帰りに探すと駅ビル地下1階にも支店有。
 ショートケーキ風のスイーツも絶品。普通のケーキと異質な甘さ!ホント砂糖の甘味に戻れなくなる。
 でも最高峰はロールケーキ!「仲良しくるり~ん」ってフザケたネーミングだけど…やっぱり芋のクリームが巻き込んであって,これがパンケーキにスンゴいフィットしちゃって口の中はも~トロトロにメルトダウンでおじゃる。のう鶴姫よ!オッホッホッホ~!
注 武家か公家か?鶴姫の正体はSTEP1を見よ!(もういいって)