外伝03-FASE4@deflag.utina
ヌチグスイヤッサー!やっぱりポークはマーサッサー!

[単語帳]
ヌチグスイ:染み渡る

マーサ:美味しい

 さて…FASE3の題名の謎を今こそ明かす時が来た!(ホントは単なる書き忘れ!)
 「ちんすこうだけは買って帰らんといて!」とナイチャーの3人に1人が感じているって政府統計があるほど(ねえよ!),ちんすこうほど迷惑な名菓は全国的にもまれであります。わしも「何だ?この砂利みたいなのは!?」としか感じたことがない。
 けど今回。初日のJIMMY’Sの紅芋クッキーを買った帰りに見かけたのが「雪塩ちんすこう」。2008年モンド・セレクション金賞受賞だって!それを店頭で見ても,これまでのちんすこう蔑視思考から「まあ一度は食ってみたろか」と一番小さい3個105円のパッケージを買ったんだけど――
 申シ訳アリマセンデシタ!!スゴいッス!!塩辛いのじゃ…辛いのに甘いのじゃ…甘いのに辛いのに甘いのに…これはどーゆー味なんだア~!?
 他に食ったことない味覚に虜になっちゃって,実は初日から毎日買ってるってゆー馬鹿な真似してます…
 類似品も既に多く,北谷の塩とかブルーシールの雪塩味アイスとかも出てるけど,やっぱり南風堂の宮古島の塩のが美味い!
 思ったのは…ちんすこうは実は元々こーゆー美味さを含有してたんじゃない?
 塩味にすることでナイチャーにも分かりやすい味に翻訳されただけで…その位の底力をウチナーは持ってる。さらには,いざって時にはそれを爆発させる創造力も。


▲ちなみに「りっかりっか」の用例

 さて,4日目のお話です。
 10時半,ゆいレールで奥武山公園へ。
 以前行った小禄の「でいご」もここから歩ける。このお店のマーベラー(へちま)の味噌煮も捨てがたい。
 けど今回はもっと目当ての店があった。少し迷ったけど,11時に無事発見できた。――山下町の豆腐屋食堂。その名の通り,沖縄豆腐専門店です。
 自分で信じらんないんだけど…ここんとこ豆腐にどっぷりハマっちゃってる。「豆腐なんか食いもんじゃない!味しねえし!」とか言ってたのが別人みたい。体重半減の後半の食感育成も,ここまで来ると自分じゃないみたいで怖いッス。
 コレ,犯人は明らかなんだわ。広島の福屋にある豆腐専門店「かわしま」,こいつじゃ!天皇誕生日の中途半端な祝日を持て余してちょいと出向いたのが運の尽き。
 豆腐尽くしの定食を食ったんだけど…食ってるうちに身震いがしてきた。な…何じゃあこの食いごたえはア~!?
 唐津に本店があるお店の唯一の支店だというここの豆腐。口に入れた時のトロケル味覚も,そりゃそれでモノ凄いのよ。モノ凄いんだけど,その白いブツが喉を通り過ぎた後の後味ってゆーか,胃への収まり具合ってゆーか,とにかく「あ~よいモン食ったあ~」っていう満足感と安らぎ感。そんな他で味わったことのない太い味覚に衝撃の体験だったわけサア!
 でもって沖縄。初日からスーパーで「ゆしどうふ」(沖縄版おぼろ豆腐)を買い食いしてた。沖縄の豆腐は,以前の豆腐嫌いだったわしが唯一食えた豆腐。それだもんで,ハマってる今はさらにメルトダウンしちゃったわけサア。(注:でも観光土産の「豆腐ロールケーキ」はバツ。沖縄豆腐っぽさはゼロの代わりに油っぽいだけ!)
 ちなみに,沖縄スーパーの食品売り場。豆腐コーナーにビニール詰めのこのゆしどうふが各種並ぶ。豆乳も凄い種類がある。
 豆腐覚醒期の今のわしには,も~天国ハッピーハッピーだぎゃあ。

 ほんでもって話は山下町に戻る。
 豆腐屋定食をオーダー。沖縄的には馬鹿高の1,000円だけど,金をケチる気にはなれんかったです。
 だってさあ!ゆしとうふ鍋に日替わりおかず,ご飯にもずく酢,さしみに揚げ物,おからと卵焼きにポーク(豆腐ハンバーグに変更可)まで付いて千円だぜえ!
 お味の方は…かわしまと同じ感動。しか~し!ここでは別の点に感じ入ってしまった。
 構成を見てお分かりの通り,決していわゆる低カロ食品ばかりじゃない。揚げもの(この日は揚げ豆腐と野菜のかき揚げ)もあるし,ポークとか卵も入ってる。けどそれらが総体として,スッゴく食いごたえあるんです。
 つまり自然な,毎日食える食卓になってる。ウチナーの歴史的なバランス感覚で作られた,ほどよいヘルシー食。
 かわしまの豆腐定食は,豆腐づくしの純ヘルシー系。それはそれでたまに食うなら大満足には変わりない。でも,毎日食えるとは考えにくい。
 なぜか?ヘルシー過ぎるのです。栄養的なバランスを失うほどの,不自然にピュアなヘルシーさ。だから,ハレの食卓にはなりえても,ケの食卓じゃない。
 豆腐屋食堂の豆腐定食はケの食卓でした。栄養的に丁度いい,つまり極度に低カロでも高カロでもない,一番人間的な満足感のある食卓。
 唐突ですが表題の解説。「ヌチグスイ」ってのを「染み渡る」と和訳したけど,細かくは「ヌチ」はウチナーグチで「命」。「グスイ」は前掲の「クスイムン」と同じく「薬」です。つまり,ウチナンチュの「美味い!」ってのは「命の薬になって良かった!」って感覚なわけ。それが少し実感できた気がした豆腐屋食堂でした。

 この後,とことこ歩いて「まんじゅまい」って有名店に行ってみました。
 テビチ煮付け定食を食す。クオリティー的にはまずまずか?国際通り入り口のパレットくもじからすぐの位置にある便利さから使える店ではあるし,座敷の雰囲気がいいから,何人かで夜に飲みに来るならヨロシイかなと。

 夜。18時を待って,以前からフラレ続けてる壺屋の「くみ」を探索する。今回は番地まで完全に押さえての出動だぎゃあ!ハッシェ!
 …無い。どーもこの店,無くなったらしい。曰く,おばあが「あんたチャンプルー食べなさいね!!」とか決めつけてくる,「おばあが法律」の無法地帯だそーで是非とも行きたかったんだけど…残念無念。
 ただ,この周辺の露天はやはり楽しい。国際市場周辺は,国際通り側が観光客の表玄関だとすれば,開南・壺屋側,大平商店街辺りが現地人の玄関みたい。
 ここで買った野菜の天ぷら,ウマカッタっす。特に。南山で舌が覚えてしまったフチーバー(ヨモギ)の天ぷら。宿で頬っぺたがボトボトに落ちまくりましたです。

 そーゆーことで,これもこれまで何度も行きそびれてた花笠食堂へついに初デビュー!
 順当に花笠定食ってのをオーダー。今日は煮付でした。でも…こんな「質問の多い料理店」もない。しかも一見客のナイチャーが窮する問いばかり…
 第一問「ご飯は白にしますか?小豆にしますか?」…小豆入りの玄米ご飯にも出来るのね。
 第二問「汁は何にしますか?」…壁を見ると,次の5つの選択肢。中味汁?イナムルチー?みそ汁?ソーメン汁?沖縄そば?ウチナーメニューをそんなに挙げたら,確実にナイチャーはパニッパニッしちゃうだろ!!さては狙ってるな!
 最後のトドメが第三問「モズクとぜんざいどちらにします?」…何だ~その想像を絶する二者択一は!?
 ナイチャーにはスフィンクスの問いに近いこれらの問答を切り抜けてありつけた煮付け…ホント美味かったっス。