外伝06@(@_05_@) 中華スイーツ (@_05_@)

 2日目,西門街の鴉片粉園。
 この超有名店に行ったことがなかったなんて,台北フリークとしては口が裂けても言えませんけど。
 今回はここで味をシメて,中華スイーツにはどっぷりハマり込んでしまいました!だってホントに凄いのよ!!


▲西門街の鴉片粉園

 ここ,その名の通り鴉片粉園を主力商品にしたスイーツ屋。1階には10席ほどのみの小さな店。まずは鴉片粉園をと注文。
 碗から溢れんばかりの薄茶色の液体。2階があるんでゆっくりしよかと思ったんだけど,とても階段登れる状況じゃなくなりました。
 45元。タロイモとサツマイモをトッピングしたら50元になりました。


▲西門街の鴉片粉園アップ

 この味…何て表現したらいいんだろ?まず,砂糖の甘さじゃない。少しは入ってんだろけど,ほとんど使われてないと思う。杏子の味は確かにする。芋系も使われてるだろう。でもとてもそれだけじゃこの甘味にはならんはず。
 この店の英語名は「Opium Fen-Yuan」。つまり…「鴉片」はアヘンの意味。阿片戦争のアヘンね。
 ね,って…そんなん公開していーのか?違法ドラッグはこっそりヤリなさい!
 まあまあそー固いこと言わないのよ。バリの幻覚キノコ入りオムレツとかインドの大麻ラッシーとか,海外には海外の事情ってものがあるし。
 いやッ麻薬はゼッタイ駄目!もうヤラないと心に決めたあの日のことは忘れないよルルル~。
 ルルル~って,やっとったんかい!!
 えーと…ヒドく紛らわしいことになってしまったけれど,「鴉片」は「アヘンのように病みつきになる」って意味。もちろん私もヤッた事は金輪際ないと秘書から報告を受けております。
 しかし…じゃあ何が入ってんだ!?謎は謎を呼び,石原裕次郎は嵐を呼び,孫悟空はキントウンを呼ぶのでありますが,結局よく分かりませんです…
 ヤバい…これまでになく中華スイーツにハマってしまいそうな気配!

 3日目,また来ちゃいました鴉片粉園。
 今度は天然愛玉檸檬を頼んでみる。
 こっちは,ゴールド色の液体のみ。…に見えたけど,実は同色のゼリーがガッチョリ入ってます。


▲西門街鴉片粉園の天然愛玉檸檬アップ

 このゼリーを愛玉っていうらしい。愛玉子なる種をすり潰して置いといたらできるもんなんだって。以前食べた時は,味のしないゼリーに思えたけど。
 味わう暇もなくブシュンと儚く溶け散る愛玉ゼリー。碗の底にはタピオカが転がってて,檸檬の香りと微かな酸味をまとったこいつらだけが図太く口に残る。それが愛玉の喪失感をより強めて,二口目を口に運ばざるを得なくさせる。そしてまた,プシュンと溶けて喉に流れ落ちる愛玉の食感。
 嗚呼~何とゆー儚く切ない味!
 こんなん食べながら啄木詩でも読んだら号泣間違いない…ってホントに泣いてたら西門の繁華街真っ只中だからとっても目立つけど。

 9日目,最終日。3度目ですけど,やっぱり最後にもう一杯いただけますでしょーか?
 も一つ気になってた総合紅豆(50元)。


▲西門街鴉片粉園の総合紅豆

 「紅豆」は小豆。つまりぜんざいなんだけど,この華やかさは日本のぜんざいって語感と全然ちゃいまっせ!沖縄の氷の入ったぜんざいに似てるけど,そこはやはり本場,レベルが段違い!
 そんなに甘くはないのに,その甘味が芯から分厚い!小豆の静かな甘味,サツマイモの鼻をつく甘味,タピオカの酸っぱい甘味,色んな甘味の波状攻撃が繰り返し来襲してくる迫力――この甘味のバリエーションとコラボレーションの見事さは,砂糖一辺倒の洋菓子には絶対出せない幅広さです!!
 結局,3つの看板メニューの全てに脱帽でした。ただ,総合紅豆は東南アジアでも食えなくもない。残る粉園と愛玉なら,やはり粉園に我を忘れました。
 夢のよーなスイーツ体験です…。

 さて鴉片粉園だけじゃない中華スイーツ!お話は2日目に戻りますのです。
 台湾のそこかしこにある街角の冷飲店。今回も発作的に立ち寄ってしまう。「緑豆沙」と「芋頭沙」を立て続けにやっちゃいました。
 「沙」は「シャ」って発音。シャーベットの初めの音だけを漢字化したのね。英語の頭文字と細かい砂のよな質感を両義的に表した妙訳。
 だから,緑豆沙はエンドウ豆のシャーベット。芋頭沙は恐らく紅芋か唐芋だと思う。
 さあ…想像できます?わしはどーも出来ませんでした。シャーベットに豆?さらに芋?
 だからシャーベットのメニュー中筆頭か二番目くらいにあるのに,これまではつい避けてた。「珈琲沙」とか「檸檬沙」とかばっかだったんだけど――これが意外に…どころか,もの凄くハマる深~い甘さだったのじゃ!
 豆と芋。日本でこの半年,こいつらの甘味に目覚めて来てるからかな,とも思うけど。
 砂糖にはない,柔らか~な深~い甘味。これが,普通のシャーベットのよなヒンヤリシャキンッて刺激性ではなく,トロリとした舌ざわりで氷粒にまとわりついて,結果としてザラザラした食い応えのある甘味を口中にやんわりと広げてく。飲み物ってよりスイーツ。いやスイーツってより食べ物です。豆や芋の粥を冷やして食ってるって感覚。
 冷たい食品は味覚されにくくなると聴くのに,ギンギンに氷粒にまみれてて,なお十分に響くズ太い甘さ。砂糖の直線的な甘さを期待すると「物足りない…」と感じるかもしれんけど,中華スイーツの甘味はそれとは別の舌で味わうべきもんみたい。

 2日目,苦茶之家。
 「そんな語感で客入るの!?」と最初に見た時は思ったね。だって,苦いお茶で,なおかつそーゆー家だぞ!?
 けど,台湾のあちこちにあるチェーン店ってことは,かなり流行ってるわけです。ただ,ここもこれまで後込みして入れずにいたとは口が裂けても(もうイイって)今回は,ここってスイーツも侮り難い!ってゆう情報に基づきまして勇気を持って初めての突入!!
 四季宝(桜桃,黒棗,蓮子,白木耳)
を頼んだつもりが,
百合蓮子紅豆湯(55元)
が来ちゃったらしい。どうもメニューの横を指したことになってしまったらしい…。ま,どっちも分からんからいーけどさ。
 ユリの根?そんなん食った事ないし。そもそもスイーツになるのか?
 でもこれが,コリコリのシコシコでほんのり高貴に甘い。紅豆の朴訥な味覚と対照的な甘さで,このコントラストが楽しい。
 中華一般は知らないけど,ここでの舌の記憶で気をつけてると,台湾人は他の料理にもこのユリ根って食材,かなり使ってるみたいね。
 中華スパイスの一種とも言えるのかも。

 4日目,龍山寺近く広州街の龍都[ニスイ+氷]果。ここもかなりの有名店で口が裂けても(だからいいって!)
 八宝[ニスイ+氷](以下八宝ビンと略す)を注文して85元払おうとすると,55元だと言う。戸惑ってると店員のお姉さん「嗚~[イノホ]要無敵?」――アンタは無敵が欲しいのかって?
 そりゃあわし,まだ無敵ってほどじゃないスけど,そんな軟弱に見えます?
 …じゃなくて,どーも八宝ビンには普通のと「無敵」とがあるらしい。無敵は30元アップ!?
 「[イ十][ノム]差別有[ロ馬]?」何が違うんだって聞くと,お姉さんはニッコリ笑って「有布丁」(プリンが付きます)…?だからプリンと無敵の関係は?200字以内で説明してくれよ!
 まあええか…「我要的是無敵」と無敵をオーダー。ちなみに無敵を北京語で発音すると「ムーディー」。私はムーディーが欲しい。一曲歌いたくなるね。
 席で待つ。


▲龍門街 無敵八宝氷

 せ!洗面器みたいなのが来ましたけど…これ食うの!?
 かき氷に8種類の具が乗ってて,その上に無敵のプリン(布丁)が揺れてる。タロイモ,小豆,紅芋,ユリ根,米みたいな豆(意仁:ささげ豆ってゆー豆。米粒に似てるから,ずっと白米の加工品だと思ってた…)までは分かるけど,さらに赤いゼリーとか何とかを合わせて8種類入ってるらしい…私のよな初心者には,全部はとても分からしまへん。
 とにかく!一口ごとにスゴい複雑な甘味が溢れる!ハンパだけど…こいつは贅沢じゃ!さすが無敵!!…プリンは普通のプッチンプリンくさかったけど…

 5日目,四維路。京兆伊へ。
 宮廷精進料理の看板を掲げるそれなりの高級店。北京の宮廷めいたギンギンギラギラな造りと調度です。日本の団体ツアーのルートになってるみたいで,後でガイドのお姉さんと「日本人の引率って大変ですね~」とか話しこんでしまった。
 奮発して250元の下牛餐に手を出す。メニューを見ると――
京式八宝茶
果仁[女乃][火各]ナット脂ヨーグルト
竹[竹/生]南瓜羹キヌガサタケ入りかぼちゃスープ
京味葡萄[酉+ノギヘン]餅シンリメイポー
リュー打ダグン
蓮蓉巻餅
ワンドオホアン
八宝高頭
…とよく分からんが何だか大騒ぎな品々らしいね。


▲京兆伊の午餐メニュー書き

 これだけの品が,ごく少量ずつだけど確かに来た。これで250元はなるほどお得だね!
 お味の方も,食べたことのない味ばかりでなかなかでした。ただ,どっちかってえと宮廷の珍味。小粒に無難に美味いのばっかで,ブラボー!!って品には出会えなかったかな。


▲京兆伊午餐

 京兆伊からまっすぐ目指した唐朝。忠孝敦化駅すぐでした。
下牛茶套餐(180元)
 台北のカフェ系のお店には,この「下午餐」(日本のガイドではアフタヌーンティーセットと訳されてるのが多い)がかなり一般化してる。大体2時から5時位の時間帯。
 唐朝のは点心2皿と甘品(デザート)1皿の選択制。点心は鮮蝦[減-シ]水角と蒜香[韮-サ]仁菜[合/皿]を,甘品は椰汁香芋紫米露を選んだけど…適当です。既に訳分かんねー。
 これに花茶(ジャスミンティー)か烏龍茶が付きます。


▲唐朝午餐

 結果的に。やはりここはデザートの店,点心はボツボツでした。馴染み客はあんま下午セットを注文せずに,単品で甘品と茶を頼んでるみたいです。
 でもスイーツは流石!紅芋と赤米をココナッツで煮込んだものだと思うけど,食材的には確実にお粥なのに,どー調理してんのか…食感は確定的に最高級スイーツ!あの上品で温容な甘味は,何にも例え難いがよ。


▲唐朝午餐 椰汁香芋紫米露

 5日目,忠孝新路の鮮芋仙。
 ここも一度手を付けてみたかったチェーン店。芋園と仙草,豆花がメインで,それぞれ数種類ある。
 仙草(黒い薬草ゼリー)には興味があったけど,後は分からんのでまたも適当に仙草二号をチョイス。地瓜・珍珠・意仁が入った仙草のかき氷なんだそうな。な~るほど!…やっぱ全然分からしまへん…
 レジにのみ日本語の解説入りのメニュー発見。地瓜はサツマイモのことらしい。意仁は前述の「ささげ豆」。
 サツマイモのかき氷!そんなん食えるかよ!!って感じがするけど,コレが仙草や豆と一緒になると食える!妙な味だけど困った事にイケる!砂糖的な甘味はほぼ皆無なのに,何だこの美味さ!
 ちなみに他のメニューの組合せ。
珍珠(タピオカ)+緑豆+蓮子
紅豆+花生(ピーナッツ)+珍珠
珍珠+芋頭+紅豆
花豆+天山雪蓮+珍珠
粉[米果]+粉[イ1条]+珍珠
 想像し難い取り合わせばっか!全部一口ずつ食いたい!

 6日目,永康街の有名店・氷館でお気に入りの10Aで久しぶりにまったり!
 昼を過ぎると外国人観光客も押し寄せるこの店,メニューを番号で呼ぶよにしてるけど,メニューが細分しちゃってさらにアルファベットがついてる。ちなみに「10A」とは…漢字名は記憶にない。ないけどコレだ!


▲氷館10Aアップ

 なお,この店の英語名はice monster。英語だと突然なぜ雪男に?

 7日目,通化路の愛玉之夢遊仙草。
 愛玉を売りにしてる店。中でも一番売れ筋っぽい,愛玉総合[ニスイ+水]を注文してみる。1杯45元。
 白,茶,赤,橙,黒の5種の玉が,仙草と檸檬のゼリーの中に浮かんでる。茶は芋,黒は棗とそれぞれの玉の味覚が異なるし,仙草と檸檬は見た目は似た色のゼリーだけど苦甘いのと酸っぱいのとで全く異質。つまり,味覚だけでも7種なのに食感では2種に分化してるから,スプーンですくう一口一口が異なる味覚の組み合わせ。


▲通化街 愛玉之夢遊仙草の総合仙草アップ

 「愛玉之夢遊仙草」:愛玉の夢が仙草に遊ぶってゆーファンタジックな語感の店名通りの一品です。
 オモチャ箱をひっくり返したよな多彩さ。なのに,なぜかどの一口もちゃんと美味しい。カオスにしか見えないのにちゃんとコスモスなのよ。決して失敗した闇鍋にはなってない。
 決して派手な店じゃないけど,長~く愛せる楽しい店でした。