外伝07(≧∇≦)渋皮煮の10月

 さてさて時は今,味覚の秋本番!
 今月の高知,入るや否やはりまや市場に直行。まるふく農場バジルペーストと黒潮町きびなごフィレを買いました。って…全然秋っぽくない?
 なんせもう,イタリアからの帰国直後なもんで…つい。
 きびなごフィレは,高知沖でとれとれのきびなごをオリーブオイルにつけこんだもの。バジルペーストももちろん高知もののむんむんバジルから作った奴で,どちらも負けず劣らず…期待の3乗くらいの異常なシロモノ。しかも異様に…イタリアン食材としても超本格派!


▲まるふく農場バジルペーストと黒潮町きびなごフィレ

 一体どーなってんだ?なんでこんなにバッチシにキマる食材が出来るの?
 福井町にある同農場のHPによると──
「福岡正信さんの自然農法や川口由一さんの自然の農などの考え方を基本として,ハーブの栽培方法を行っていきます。
 勉強を始めたばかりです。たくさんの方にご指導をお願いしたいと思います。」
 福岡正信さんの農法。勝谷さんとサイバラが取材したマンガを読んだことがあるだけだけど,完全自然放任,食った果物の種をそこらに吐き出しとくとか,近代農業と完璧に発想の違う農業みたい。つまり農業王国高知で,地味の力を目一杯引き出してる農法をとってるわけ。
 だけどこのスタンスって,高知じゃ珍しくない気がする。この農場ってこの土地の農業の代表選手ってだけなんじゃない?突然変異じゃなくて,基本,この土地の農家は大体こんなスタンスで食い物作ってるんじゃ?
「当農園では主に料理用ハーブを栽培し,朝づみのハーブを高知市内の市場,青果店,レストラン,ホテル等に出荷しています。」
 待て,それじゃ…高知の食い物屋の,他と一線を画する美味さってこの辺りにあんじゃない?


▲即席 フルーツトマトと手作り豆腐のオリーブ和え

 きびなごフィレの残ったオリーブオイルは,モッツアレラチーズとトマトのサラダに見立てまして,室戸深層水の田舎豆腐とフルーツトマトに絡めて頂きました。
 あ~も~,こりゃ幸せやの~!!

 時は今,味覚の秋本番!(さっきも聞いたって)
 今回も日下にまた出向きまして…
ダンテ
芋屋金次郎(ケンピの店)
同(スイーツの店)
農家の店サングリーンコスモス
わのわ
と回ってきました。
 ハードパン,和洋芋スイーツ,市場,パスタ。ここまで高知の美味いもん勢揃いって…贅沢過ぎる町!


▲芋屋金次郎のケンピと紫芋ケンピ。初めて来てみましたが,やっぱしかなり!甘味の足腰ががっしりしてるとゆーか,図太い甘さとゆーか。


▲先月に続いて訪れた芋屋金次郎のスイーツ3点。芋スイーツ直球の美味さ!スゴいの一言!


▲サングリーンコスモス 次郎柿と干し柿。
干し柿はそのまま,次郎柿はスライスでサラダに加えて頂きました。果物ってゆーより野菜の深みある味覚。

 ちなみに──柿なんて本気で味わったことなかったけど,次郎柿とは。完全甘柿。果汁が少なく,大きくて歯応えある果実。生産量は富有,平核無に次ぐ第三位規模。主産地は愛知と静岡,国内産の八割が両県で生産。豊橋市が生産量日本一。1844年(弘化元年)に松本治郎吉が静岡県周智郡森町の太田川で見つけた幼木を自宅に持ち帰り植えたのが期限。


▲同市場の田舎豆腐とかつお佃煮。この組合せで十分過ぎ!にしてもこの田舎豆腐,昨夜のトマトから今日の鰹まで,カップリングの選択肢が豊富過ぎ!ひょっとして…沖縄豆腐もこんな実力を秘めてたんだろか?

 さらに──すっかり味をしめちゃいました,昼下がりの帯屋町,日本料理匠の店頭ワゴンセール。
 よく考えたら…こんな高級和食の店が,しかもすぐ店頭で,こんなスーパーより安い販売をしてんのは──やっぱり露骨な撒き餌?だとしたら,ここにピチピチ群がる庶民の群れは,まさに入れ食い状態?
 ただ…その商魂のえげつなさに関わらず,確実に美味いのが悔しい!
だし巻卵
チャーチともやしの卵とじ
ぜんまい煮物
がんもどき
五目煮
芋けんぴハーブ
 以上6品で500円也!薄味でひねてない,正統派の和食!


▲日本料理 匠 6点500円お惣菜

 チャーテってのが異様にイケてた。どーも関西で言う「まくわうり」(まっかうり)らしい。あっさりしてるのに深い青臭さ。みっちり染み入ってる煮汁もたまらん。
 五目煮は博多で言う筑前煮。これとぜんまいの醤油味もなかなか出会えない絶妙な震度。
 金次郎の流れで手を出してしまったケンピがまた…料理としてのケンピ,ガッチリした味覚。
 この匠,店の方では昼定食もやってて千円ちょいとまあ許せる高さ。いつか店内で…って既に企み通りに釣られかけちゃってるぞ!

 高知の弁当屋「食いしんぼ如月」には,最初の頃はよくお世話になってた。
 ここ,ノンストップ営業の店を出すよになったらしい。看板はその名も「24時間眠らないKUISINBO」!
 いくら食いしんぼでも…寝ろよ。

 気を取り直して…さてさて味覚の秋本番!
 7回目の朝市レポートです。
 さすがに秋!栗が多量に出てる!あちこちの店に山積み!
 …おおっ,やっと秋らしい記述になってきた!えー調子や!
 あと,そろそろ早稲みかんも出回ってきたみたい。

 5丁目北,390番の永野さん。販売品種はたけのこ,蕗,四方竹,イタドリ,山野草と何かマニアック。
 キャッチコピー。「自然の山菜を中心に季節により出る品物も,変ります。タラ,ウド,ワラビ,ノビル,よもぎ,よめ菜,松葉,山菜を色々と入れた天ぷらセット等農薬を使っていない自体に,やさしい安全,安心を売りたいと思ってます。」
 購入しましたのは,
栗の渋皮煮 300円


▲栗の渋皮煮

 なんじゃあ!!?
 この苦くて甘くてビシッとキマる後味の小気味良さ!
 栗の美味さには開眼しつつあるけど,こりゃまたプラスアルファ。アルファされてるのは名前通り渋皮なんだろけど…あんなもんが!?普通はゴミだぞ?
 けど味わってくと──確実に渋皮が決め手になってる。渋みが爽やかなアクセントに。それほど上質な渋みとでも言うべき微妙な味覚。
 山椒にしても山葵にしても,山のものにはそれだけだととても食えない味がある。自然の生存競争上は,恐らく捕食者を遠ざける目的でついた属性だろう。つまり捕食者一般が生理的に嫌悪する味覚。
 それを加工したり組合せることで旨味と思わせる。台湾滷味や臭豆腐に通じる,不味さと両義的な美味。唐辛子を代表とする,人間だけが作ってきた食文化の枠です。
 と話がまたデカくなったけど,渋皮煮です。かなり時間のかかる製法みたいですが…自作も一応可能らしい。
1)栗が浸る深さの湯を沸かす。
2)湯に栗を漬けて冷めるまで待つ。
3)表面の硬い皮(鬼皮)だけを剥く。
4)栗を入れ直した鍋に,やはり浸る位の水と,重曹(大さじ2)を入れて茹でる。
5)湯が沸騰したら弱火にして,灰汁を取りながら15分ほど煮る。
6)栗を取り出して水に晒し,栗を空気に晒さない状態でタワシでこすって硬い筋や厚い渋皮を取る。
7)再び4)から6)を繰り返す。
8)鍋に水と栗,さらに今度は砂糖を入れて15分位茹でる。
9)火を止めて冷まし,味を煮染ませる。この時,ブランデーを好みの量を入れる(20~150ccほど)等して香りをまとわせるとベター。

 73番の森田さんとこでまた焼き芋に手を出しちゃいました。場所は1丁目北。
 販売されてるのは,さつまイモ,ジャガイモ,とうもろこし,赤目イモ,みかんと,まさに芋専門店っぽい。いの町枝川から出店。
ふかし芋 200円
 やっぱしこの時期はそのまんまのお芋が最高。秋のそのまま芋,冬の東山。これ高知の鉄板やき!


▲ふかし芋

 36番,1丁目南開店の岡本さんとこはもう何回目でしょう?
いちぢくゼリー 200円
紫芋もち,かんころもち 各60円
 ここのゼリーは常にスゴいけど…やはりいちじくはスゴい!
 お餅も控え目な甘味と濃厚なお餅の食いごたえのバランスがいい。これだから紫芋のまったりした甘味にも見事マッチしてまして。他にもかぼちゃ,トマトとか6種ほど変わり種有。けどさすがに餅にトマトは…イタリアン・ライス・プディングか?勇気のある人,試してみて!


▲いちじくゼリーと紫芋餅

 4丁目南の254番,山本さんとこで,初心に帰って…てわけでもないけど
ゆずみそ 200円
を買い求めました。
 ご無沙汰してたけど,やっぱ美味いがよ!
 相変わらず,店頭には所狭しと各種田舎寿司がずらり。鯖や巻き寿司はともかく,しいたけ,こんにゃく,みょうが,たけのこの寿司,野菜漬けの生活になった今のわしにはたまりまへん!
 なんで回転寿司とかには田舎寿司ないんかなあ?大阪寿司さえないなんて…日本の寿司屋って中途半端に頑なすぎないか?

 450番,5丁目北の中村さんとこ,うこんとか茶も美味そやったけど今日は
きゅうり 50円
を購入。これに山本さんとこのゆず味噌なすりつけて頂きましたら…ばちばちに最高。
 さらに
とまと 300円
を買って,こちらはシンプルにかぶりつき!


▲トマトとキュウリ

 ハマる食い物って怖い。
 先月2つしか買わなかった悔恨から,無意識のうちにまたまた4丁目南,大平さんの芋天屋へ。店番245番。
芋天1袋(4個入) 250円
 これなら店頭に紙袋詰めで並んでるんで,250円突き出すと購入所要時間は約3秒。次々売れてるから冷めてるなんて有り得ない!
  コレ,以外に野菜とバッチシ合う。中村さんとこのキューリ,トマトと,この芋天を交互に食うもよし,それぞれハサミでギタギタに切って(まな板がないんで韓国風?に)混ぜて食うと…さらによし!──やはりこの芋が野菜として食えるほど深みある味覚だってことがあるんだと思います。


▲いも天5個セット

(キャッチコピー)高知県の味,自然の味を大切に,よりおいしくより安く,清潔,笑顔をモットーにがんばりゆうき,みんなで来てね!!
(店の紹介)夏はトコロ天冷しあめ,冬はうどんそばを中心に,店内で食べて行くもよし,お持ち帰えりもよし。とっても小さな店ですが…
 201番,3丁目北開店の一柳さんとこの,ところてん(小150円)。そろそろ時期も終わりだし,も一度買ってみた。以前よりはっきり味わえました。ダイエット食として腹に詰めるなんて失礼,もう立派に一食になる食い応え!!他のところてんが食えなくなる美味さ!


▲ところてん

 今回も高知市内でイタリアンを回ってみたけど──段々気付いてきた。素材の凄さの割に,味は全然イタリアンじゃないんよ。あの特有のマッタリさは,岡山,神戸,京都と比べて雲泥の差。
 この時点ではそれがなぜか理解できないまま,そろそろ帰ろか…と帯屋町の裏道を歩いてた。
 ファウスト。
 以前一回入ったら,エスプレッソがあってタバコが吸えてまあまあくつろげる店でした。
 ここに四万十カルボナーラってメニューがあるのを見つけました。四万十川のアオサノリのカルボナーラ?でも海苔ってあんま好きじゃないんよの…。
 でも時間もあるし,あと一食はいきたいし,ものは試し!


▲ファウスト 四万十カルボナーラ

 店を出てから日曜市へ戻りまして,3丁目北の池田さんのお店(215番)へ。
 いつも素通りしてた水産物専門の店。販売品種は四万十のりとその佃煮,わかめ,昆布飴。この竹島町からの出店で購入したのは当然──
あおさのり 350円
 いや,ファウストのカルボナーラで参っちゃって。
 ナチュラルにハイレベルな海苔と卵の組合せ。正直それだけ,本場的じゃ全然ない…海苔の高貴なフレーバーに濃厚な卵のまろやかさ,この複合味はまさにイタリアンのアプローチ!
 ちなみに。帰りの列車で食った高知アイスの「土佐ジロータマゴを使った濃厚なバニラアイス」。卵の品質も折り紙付きみたい。
 魂のみ本場的なイタリアン。なるほど,こーゆーのも有か!


▲土佐ジロータマゴを使った濃厚なバニラアイス

 はい以上,味覚の秋本番!高知の旬の味覚情報でした。(どこが!?)