外伝02-5중국집:《第五次最終日》ソメリの日

[今期首]/負債 38
[今期中]
0800 CAFE DEL TREN(釜山駅)
アメリカーノ+ベーグルセット200
1000 クホヘンチョソ?
ソメリクッパブ 500(700)
1045チャキンヒョ?
ホンバッチュク 200×1.5=300(1000)

▲CAFE DEL TRENのアメリカーノ+ベーグルセット

 なぜなんだろう?この五次釜山の最終日,釜山駅に朝飯を求めてます。
 DEL TREN。適当そうなとこに入った。壁にはKTXの写真だらけ。韓国国鉄直営チェーンだろうか?
 それはともかく店内の雰囲気はいい。システムはスタバもどきっぽいけど,レンガと鉄骨剥き出しの内装はなかなかに独自性があります。
 ベーグルとコーヒー。どうやらこの店を選んだ決め手はコレだったらしい。
 ニューヨーク風のベーグル味を,ほぼ完全に再現してる。ユダヤ本来の臭みを薄く芳しい香りに昇華させてるあの味わいを。ただしその分,プラス韓国独自のものは見当たらない。
 ないけれど,ヴィドのベーグル以上のこの再現性には目を見張るものがある。クリームチーズの微妙な使い方も,これまた実に堂にいってる。
 そういえば…韓国のパン屋で,ベーグルはあまり見ないできたような気がする。香り高さという点では,韓国的な食材のような気がするのだけど。もし将来,これが韓国に定着してきたら,彼らがどんなフュージョンアレンジを仕掛けて来るか楽しみなんだけどなあ。

 8時40分,少し遅くなってしまった。
 中央駅のコインロッカーにいつものようにリュックを詰め込む。1200W。以前は1000だった気がする。かなりの機械がデジタル式になってきた中,ここは変わらずコイン式。つまり百W硬貨を12枚投入する仕組み。ちょっと多過ぎだぞ。
 この中央駅というのはサラリーマンの街らしい。車内から半数ほどが降り,どやどやと出口へ向かう。日本ほどスーツ姿ばかりではないけど,ギスギスしたストレスを帯びた眼光は同じ。
 ただ,これがラッシュアワーだとしたら日本よりはマシみたい。

 最終日に遠出するのは時間管理上は禁じ手なんだけど,どーしても再訪したくなった。
 釜山西郊外へ伸びる地下鉄2号線に揺られる。駅名を読めば,社[ノギヘン+田/ル/冬-〃](Sajik)-美南-南山亭-淑[山登](Sukdeung)-徳川(Deokcheon)-亀浦(Gupo)-江西区庁-体育公園-大渚(Daejeo)。
 この漢字は,ひょっとしたらかなり古い土地なのでは?と思わせます。市街地の地名にない語感がある。
 9時半,徳川へ。
 再び地下鉄構内の地図を睨む。市場は「亀浦」(gupo)というとこと徳川の2つがあり,初日に歩いたのが亀浦らしい。
 初日の夕日のマジックではなかった。やはりこの市場界隈は,いい!午前中遅いこの時間は,割と人出も少なかったけど,このうらぶれ感もなかなかいいぞ!
 そうこうしながらさまよううち,一つのハングルが目につき始めました。
 ソメリ?
 市場の一角に「ソメリ」の文字を掲げた店が並んでます。
 この現象はこれまで何度か見かけてきました。有名店が出たエリアに(というか普通は隣に)同じ名物料理の店を開店してあやかろう(というか露骨には間違い客を期待)としたパターン。とすると誤謬率は高いけど元の有名店もあるわけで。
 でもソメリって?アメリの従姉妹みたいなもんか?
 という程のいい加減さで──どの道,徳川の事前情報なんて持ってないから──選んだのが,次の回で通うことになるこの店でした。

▲クホヘンチョソ?のソメリクッパブ

 典型的な大衆店。店の入り口を,異臭を放ち沸き立つ大釜と調理場がバリケードとなって封鎖してる。そんな,韓国においては町場のありきたりの店構えです。
「ソメリ ジュセヨ」で通じたから,発音に問題はないらしい。
 程なくやって来た碗は,大鍋そのものの強い香。トンコツスープをギラつかせたような香り。なのに,飲んでみると最後のクドミがなくてスルリと喉に収まる。
 ソコギより細やか,ソルロンタンより実体感ある,記憶する味覚と微妙に一致しないもどかしい味です。
 肉としても,軟骨とテビチみたいな脂身の中間,あるいはどちらもを含むような奇妙な肉。サバサバの繊維質の多い部位も入ってる。ただし,いずれも念入りに湯引きしてあるらしく,何度味わっても脂っ気はさほど感じない。
 それぞれがちょうどいい具合に決まってるというか…日本人的な味覚からしても馴染める味だと思う。なのに,こんなハングル聞いたことないし,検索してもヒットしない──何なんだソメリは!?

[参考]ヒットしたもの
「こちらは”ソメリ”管理人まふせと、”†風月林†”管理人蜜嗄を主犯としたガリナナを多く皆様に普及しよう、というかむしろ王道にしてしまえ、という企画で御座います。」
 多くは語らんが…一言も分からんぞ?

▲チャキンヒョ?のホンバッチュク

 ソメリで調子に乗ってしまってもう一軒行ってしまいました。
チェンバッチュク
ホンバッチュク
ノットッチュク
ホッチュク
の4種類だけの店。専門店と言うのか!?
 美味いが…何だこれは?カボチャ,小豆,あと…パンもどきみたいな白いぶよぶよの固まりは何だ?
 食後のデザートのつもりでホンバッチュクだったのに,結構腹にキます。ちょっともう食えんなあ。しかし美味かったしなあ。
 という訳で意外な長居になってしまいました。ここまで徳川に魅せられるとは…。これでは倒幕など到底おぼつかない。

▲徳川の市場の外れのうらぶれ

 時間切れ!!
 港に着いたら1時間前を回ってました!もう一食行くつもりだったのに…。
 それでもちゃちゃっと食えんかと中央で少し歩く。しかし昼飯時のサラリーマン街の昼飯屋は,やはり活気づいててどこも混んでしまってる。
 なぜかこの界隈は海のものが多いらしい。アグタン,テグタン,クルクッパブ。一昨日のチュオタンの道より奥に入ると十数軒は小店があるようです。なかなか良さそうなのに…うーん,今パッと食う気にはなれんなあ。
 ケンチャンカレーという店を見つけて入りかけてみるけど…満席。相席を求めたら拒否された挙げ句,「どうされました?」と日本語でお母さんに尋ねられたりして。
 どうも日本人だらけの店らしい。ここは…違うだろ?慌てて退散。
 クルクッパの店の対面辺りにエスプレッソの美味そうな半露店の店があった。あったけど,サラリーマンで一杯。10時まではトーストとアメリカーノのセットを3千で食わせるらしい。
 しかしもうダメだ!次回だ次回!

▲徳川の市場のうらぶれ辺りにあった檻。
 入ってる時には何が入ってるのか,大変気になる。

 14時発のビートルにて帰国しました。
 徳川にせよ中央にせよ,まだまだ釜山には行きそびれてる町はたくさんあるみたい。今回のターゲットのつもりだったコリアン中華も消化不良。コリアは幅も奥行きもまだまだ深い懐を見せつけて止まない。
 う~む。行けば行くほどになかなか難敵なんである。

※注:このソメリと徳川(亀浦市場)はこの後繰り返し登場します。2019年にはついに宿泊するに至る埋没点になりました。