外伝01-3மதுரை【Crazy for Meals Fase-2】Next day:スリランカトランジット

[前日累計]
    /負債 453
[日計]
消費1800/収益1650
    /負債 150
[本日累計]
    /負債 603

▲ニゴンボ・ビーチの街路風景

 マドゥライのあちこちでコーヒーを飲むうち,不思議なカップを見ました。
 チャイが泡立ってる?
 インドのチャイには攪拌はしますが泡立ちはありません。コーヒーも,あの絶妙な技で高所から2つのカップ間を液体が行き来しますが,泡立ってはいません。
 どうやらこれが「キリテ」と呼ばれるスリランカの紅茶の飲み方らしいのです。
 それに気づいて観察すると,確かに茶請けの食べ物メニューの中にパリップ・ワデーと呼ばれるスナックやカトゥレット(カツレツ)があります。
 それと,昨日スリクリシュナのミタイに混ざってた,ういろうみたいなゼリーは「ドドル」(Dodor)。ココナッツと米粉,黒蜜を素材とし,スパイスを加えて固めたもので,これもスリランカの代表的スイーツの一つ。
 そもそも,今回のルート。なぜマドゥライに入ってる唯一の国際線がスリランカからなのか?
 ラーマがハヌマンを使って攻め入ったこのインド版「鬼ヶ島」=「聖ランカ」島は,ラーマが象徴するアーリア勢力が入る以前,つまりタミル人にとっては心理的にそれほど遠くない島かも知れないのです。

 8時。昨日調べておいた開店時間の早いお店で最後の南インド食。
High Class Vegetarian SREE VARI BRAVAN
Mini Tiffin550(60Rs.)
 あのおからみたいなのの名前はRava Kesariらしい。
 主食系はこれとドーサ,ヴァダイ,イドゥリと4種,相変わらずこれだけで半量を占める。南はインド標準以上に炭水化物王国です。
 カリーは2種,うち一種はヨーグルトと香料のよくあるタイプ。
 付け合わせアチャールめいた液体と,ミタイ二種。都合9種の十分豪華なティフィン。ただこりゃ時間帯であまり変わらんな。
 ただこのケサリってのがやはりカリーに合う!そう思ってサンバルを全部ぶっかけると,どうやら足りない。
 ケサリの他の3種の主食系を順次足して行く,というコントロールをしないといけないようです。
 南の朝飯の世界はまだまだ奥が深いとみた。みたけれど…やっぱり朝からミルス出してほしいな…。

 8時半,オートリクシャで空港へ。
 よく考えたら通りにタクシーなんか全く走ってなかった。捕まえたリクシャと交渉したら,特に戸惑いもなく300Rs.に決まった。乗ってから気づいたけど…行けるのかリクシャで?距離は結構あるぞ?──まあ時間もまだある。
 昨夜は雨が降った。大した雨でもなかったのに道路には水溜まり多数。穴だらけの道を迷路のように歩く人々。
 通り過ぎる3階屋上でケータイでしきりに主張する深紅のサリー姿。
 一瞬,犬の遠吠え。
 街頭に並ぶネズミのご遺体。
 裸足で歩く巡礼の一群。
 ソヴィエト旗の消えた街。
 郊外に出た。
 荒野に広げられたサリー数百枚。
 行く手を遮る水牛車。
 バイク後部からたなびく薄ピンクのパンジャビードレス。
 追い越してくオレンジの腰巻き。
 黒シャツ,サングラスの伊達男が跨がるバイクの排気音。
 Poi varen ポーイ ワレン,マドゥライ。

 1時過ぎ,コロンボに着いた。
 ふと思い付いて,タクシーの手配をしようと空港の旅行社オフィスを当たってみる。すると,宿こみで5千Rs.でセットしようという話になる。早朝出発でタクに3千,宿に2千で計4千円強か…。高いが,正味18時間の限られた滞在に投じる経費としては妥当か,と手を打つ。
 気持ちよい青年のタクでニゴンボ・ビーチへ。
 いずれにせよ中途半端にはなるであるうスリランカトランジットですが,初見の印象は──ムチャクチャに整備されとるがな!
 インフラも個人もインドとは隔絶した豊さ。タイとほとんど変わらないんじゃないか?
 何で…この間まで内戦しててこんなレベルを保ってるんだ?
 ニゴンボのビーチエリアに入ると,さらに完璧なリゾート感が強まる。宿が見つからないとかややいい加減ではあったけど即席ツアーではやむをえまい。中庭を囲むバンガロウ風の風雅な部屋です。夜のモスキートは怖いけど。
 サブチーフ(と名乗った細長い男)が頼みもしないのに,オーナーの写真集を持って来る。特に娘さんが立命館アジア大卒だとやたらアピールする。
 終わる空気がないので隙を見て脱走,街へ。店頭で新聞読んでたデブおばさんに聴くと,やはり市街までのローカルバスはあるようだ。フリー乗降に近い何となくバス停みたいなので,乗る度に20Rs.とのこと。
 しかし…来ない。限られた時間なので,行きはとりあえずオートリクシャを何台か当たる。200~250Rs.位が相場らしいのでその辺でタウンへ。
「俺には3人の息子と6人の娘がいる。だから金がない」と,こちらも頼みもしないのに語り始める運転手のムスリムオヤジ。何が言いたいのかと首をひねってたら,最後に「だから釣りがない」とか小銭ゲット作戦に出た。ノー!と騒ぎ続けたら,結局売店で自分で小銭を作ってくれた。金にセコいけど基本フレンドリー。うーん,違和感だなあインド帰りには。
 違和感と言えば,着いてからほとんど宗教を感じない。仏教の国教化を強行して内戦に入った国という認識だったのに,目につくのは街角のキリスト教聖者像ばかり。
 ここではリクシャをスリーヴィーラーというらしい。つまりまんま英語の三輪車。「イギリス領」度がインドよりはるかに高いのです。着いてから全ての現地人とずっと英語だけで会話に不自由がないのもスゴい。
 首都がコロンボじゃなくシュリー・ジャヤワルダナプラという政治都市だってのも昨日知ったばかり。本当に未知の国だったんだな。
 ただ,白人とシンハラ人の同化が進んで植民地経営者層になってたこの国は,行政も生活も根っから準欧米化してしまってるってことだろうか?だからこそ内戦するほどアイデンティティにこだわる。そんな微妙な屈折を帯びつつ,基本的には垢抜けてる。インドの欧米順化層だけを抽出したような国。そんな印象ですが,では文化的に痛々しい空気があるかと言えばそんなでもない。あくまで垢抜けた手触りです。

 サイクルヴィーラー曰く「ホリデイ(元旦)だからバスは少ない」。──帰りもバスは使うなよ,というプレッシャーは混ざってるにせよ,そういうご見解でした。
 ただそれはスリランカ的な少なさで,インドや中国感覚では十分走ってます。他にもあるみたいだけど黄色いバス,905とか907番がそれっぽい。Kochchikade行きの表示らしい。
 ただ元旦に訪れたデメリットはそちらではなかった。結論から言って,多少強行軍でもコロンボ泊にするのが正解でした。
 店がほとんど閉まってる!
 これも仏教国イメージからですが,ここまで太陽暦とオンオフ思考に支配された国と想像してませんでした。
 まして食う所はもちろんでした。

 結局,唯一入った店がここ。──他の店では「売り切れ」続出状態。アジア人的商魂思想なら,まさにこういう時に稼ぐんでしょうけど…。
 15時ちょうど,Paradise Hotel&Bakery(No124,Mainstreet,Negombo)。
 大衆飯屋はベーカリー,調理もの,カリーの3コーナーに分かれてるか,どれかしかないかのパターンみたいです。
 ベーカリーと名乗るコーナーには食パンかロールパン,それらで作ったサンドイッチが半分,後は「ワダ」名の揚げパン各種。
 アキコもありそうなほど多種多様ですが…一つかじってみたけど正直あんまり…。
 調理部はビリヤーニ位の品揃え。
 これに対しカリーのコーナーには数種類の液体が盆に入ってて,これを大体ライスにかけて食ってるみたい。
 久しぶりに肉を,とビーフカレーを頼んだら,ほかに頼みもしないのにダルとアルカリーが付いてきました。600とする。250Rs.取られる。
 掲示の値段は80Rs.位なんで飯付きとしても大分高くされてるけど,皆さんも2種類位のカレーがけのようだし結果的には損した気はしない。
 おもむろにカリーに右手を突っ込んでから,スプーンが付いてるのに気付く。現地人の大半は手で食ってるみたいなんでそのまま右手で行きましたが,現地人でも相当数はスプーンですので手を使わないと目立つってほどじゃない。
 味は──本来これを楽しめにしてたんだけど──辛さがガツンと来るのは日本のスリランカカリーと非常に似てる。ただ3種のカリーの「ガツン」が同じ粉唐辛子の刺激みたい。辛さの複雑さでは貴州に軍配か?けれどここにスパイスの複雑味が加わるところはなかなかいい。

▲ ニゴンボの海辺にて。くつろぎ方が意外なほど西欧風なのが印象的でした。(=キレたように水平線に突撃するガキとか,目を背けたくなるほど危険な岩場から海中に飛び込む若い軍団とかがいない。)

 街をグルッと回ってはみました。
 港の船だまり辺りはまあまあ楽しめたか?あとはのどかな街ってとこです。スリランカらしいといえばらしい風景なんでしょうが,マドゥライに比べると全てが…何とも薄い。
逆に,あの濃厚な空気を醸す街の存在が,何かの奇跡か魔性かのように思えてきました。

 バススタンドから黄色いバスで帰路につく。
 ビーチの入り口,騎士像のある三叉路まではすぐで,むしろここからの方が長い。ビーチエリアというよりニゴンボの街の北半がビーチ。

 店数が増えた辺りで適当に降りて歩いてみる。
 見事に現地店がない。中華からイタリアンまで店は多彩なんですが,平均千Rs.という高さの割には,あんまりここじゃないと食えないような気配の味はないなあ。

▲IL GELATOのカップ(2スコップ:ピスタチオ,ココナッツ)

 で,開き直って入ったのかこちらのジェラテリア。17時45分, IL GELATO。
カップ(2スコップ:ピスタチオ,ココナッツ)200
 センス的にも素晴らしい「Cafe@」の隣でした。
 きちんとしたジェラートです。砂糖が勝ってない自然かつ絶妙な甘さ。ここは本当に欧米ものが本格派みたい。
 しかし何と言っても…スリランカでジェラート!ふつふつと,失策の気配が漂って参りましたニゴンボの夕暮れでした。

 19時。
00 Scanjumbo Peanuts 300
 真っ赤に粉唐辛子をまぶしたピーナッツです。
 日本に帰ってから真似したいほど辛旨かったんだけど,逆に言えばまあ日本でも真似できそう。
 要するに,スリランカ料理は日本で食うスリランカカレーそのままで,あんまりスリランカに来てまで食うよな意味はなさそう。というのが…残念な結論ですかね。
▲ニゴンボの海辺にて。

▲ニゴンボの夕日の海辺にて。