外伝03-FASE42@deflag.utina2709#
哀れどぅ素性

[今期累計]
支出1650/収入1800
負債 26/
利益 124
[今期累計]
利益 124/
§
9月30日(水)
1130 燕郷房
麻婆豆腐定食550
1145 イタリアンハウス(石嶺)
シーフードスパゲティ650
1700空港食堂
日替り(辛し菜定食)450
[今期累計]
支出1650/収入1650
[今期累計]
利益 124/
§
10月1日(木)

 いつ以来だろう。本当に,久しぶりに首里を歩いてみた。
 首里城はさすがにご遠慮でしたが,石畳の坂道の風情は変わらず好い。神戸,呉のそれと比し,ズドンと垂直に伸びる路が多いようです。
 長崎にも時折こういう路がある。 これは地形より土地利用の発想の違いなんだろか,あるいは単に「坂でもなんでも突っ切っちゃえ!」みたいな県民性なんだろか?
 斜面を人家として最大限に利用しようとすれば,まっすぐじゃなくてうねうね道の方が間口の延長が長く取れると思うんたけど?

▲燕郷房の麻婆豆腐定食

 11時30分開店時間かっきりに燕郷房に入る。──ついに開いてたぞ!つまり平日しかやってないのね。
麻婆豆腐定食550
 官庁街から直近でもないけど徒歩圏,11時半を過ぎるとわらわらと客が押し寄せる。石造りを模したシックな店内。これは紛れもないサラリーマンの人気店です。
「麻婆豆腐の定食」と迷わす頼めば極めて事務的な声色で「辛いですけど大丈夫ですか?」との確認。「だ?…大丈夫です」と答えるも恐怖を煽る確認です。ただ聞いてると,麻婆と坦々麺を頼んだ客には必ず言わなきゃならん決まりらしい。
 小さな唐辛子の輪切りの醸す辛味がぴりりと心地よく締めてる。麻もあるけどニンニク辛さがよく効いてる辺り,京風四川というところか?香辛料のブレンドだけで攻める四川本場のとは発想が違う感触。
 豆腐は柔らかな絹。島豆腐の色は弱く,ほぼ内地の豆腐に近いと思う。これと肉汁が甘味さえ感じさせるコラボを見せる。なるほど,これは売れるわな。

▲イタリアンハウスのシーフードスパゲティ

 なかなか過酷な道行きだった。何でバイクで来なかったんだ?
 ゆいレール終点首里から,幾度か通ったみはま(本日定休日)やりゅうぼう,ジミー前を通って一路北行。台風一過の真っ昼間の暖かな日差し…
 ってゆーレベルじゃないぞこれは殺人的な猛射だぞ!!暑いって状況と次元の違うコンクリート剥き出しの新興開発区を下って登る。登りが大きい帰りはもっと死んだ。
 イタリアンハウスは古い喫茶店そのものながらメニューはかなりいい。
 11時45分,イタリアンハウス(石嶺)。
シーフードスパゲティ650
 日替わりかつパスタメニュー筆頭のシーフードを選ぶ。
 ホワイトソースがむっちり絡み付き,シーフードの香りが汁によく染みた濃厚で本格的な一品。一口で分かった。これは…イタリア的には本格的ではないけどアメリカンなスパとしてはガチガチに完璧!
 ニューヨークの下町味を思い出す。そうだ──まさにアレだ!ガイドブックにあるのとは別の意味で大満足。
 いや…?少し違和感もあるぞ?単にアメリカンに濃いのに加えて,この濃厚さはダシの濃さが合わされてるのか?つまりまさに魚汁のあの濃さが,ホワイトソースの底流に効いてないか?
 ただ奥の席に…要介護間近のおばあとその家族がいらっしゃる。で,介護経験者らしき店のおじいとおばあが「みんなでやらないとだめさー」「デイサービスなんて遊ばすだけだからよ」「そんなんじゃ3か月持たないさあ」と徹底的に客を苛めてる…じゃなくて現実論を諭してるんで,途中から飯どころじゃなくなったけど。
 そういえば増えたよなあ,沖縄の介護業者。町の看板見てても,犬も歩けばデイケアセンターに当たる状態。
 沖縄こそ地域包括ケアがマッチする風土だろけど…あれも机上論めいてるからな。

 県庁前に自転車停めてたんで,一度ゆいレールで県庁に戻る。
 ついでに,りぶれ7階県産本フェア会場へ。こんなんやってる…というか「県産本」なんて単語がありうる都道府県もないだろな他に。
 ゆいレールで隣席の誰かナイチャーが嘆いてたけど,一昔前に比べて確かに変な沖縄を強調して売る本が減った。要するに本格的に,クソマジメに沖縄する本が増えた。つまりこれは,今のところやや大げさな言い方をすると…ウチナーは心理的に本気で独立しつつある。そしてそれは近い将来,「大げさ」ではなくなる気がする。
 おそらくこの「島」を包含しなくなれば日本のアジア度みたいなものは一気に薄まる。ナイチャーがそれでいいならもういいんですけど,とでも言いたげです。──安保法案関係の書籍の,内地に比べて明らかな「冷静さ」は今回ゾクッとさせられました。
 沖縄でエスカレーターに乗って,ついつい癖で歩いてしまうと──これムチャクチャ目立つ。ホントに誰一人歩かない。当然右も左もない。
 
▲猫「みーちゃん」。平和通りのタオル屋さんにて

 嘉数タオル店でつい「みーちゃん」ハンカチを2枚購入。
 店頭の猫のぬいぐるみの隣のハンカチの山から選んで「これください」と言えば,奥のおばちゃん曰く「本物は見ました?」
 あ?じやああれは,ぬいぐるみじゃなかったのか?
平和通りのタオル屋さん

 4時のウチナーグチラジオ体操をアーケード街で見てから宿へ。
 この体操,定刻になるとアーケードの店中からどやどやとおじいおばあが出て来て通りに並び,一斉にやりはじめるというもの。どう呼び掛けたらこんなに出席率が高くなるのか不可思議です。
 隣で待たされてる買い物途中だった観光客がかわいそうなほど。

▲空港食堂の日替り(辛し菜定食)

 16時半,さんきょうを出てゆいレール美栄橋駅へ上がります。
 ここから見る景色に名残を惜しむ。これが沖縄最後の儀式──というのが定番になりつつあります。
 17時ちょうど,今回は迷いなく空港食堂へ。
日替り(辛し菜定食)450
 市場の花笠にスゴい行列が出来てて,しかもテレビカメラまでいたのでげんなりしてしまって,最後の一食を食い損ねてたのでした。
 市場はもう,奥の方がいい。やっぱり奥の奥の辺りの迷路,桜坂劇場より奥の辺りはなかなか歩いて面白い。探してたザ・コーヒー・スタンドも発見。でもこの辺りにも妙にオシャレな店が増えてきた。歩くには面白くなってきたけど入るには気が引ける。
 こんなんならもう空港食堂の方がいいや…。と単に残量処分のつもりで日替わりを頼んだんだけど。
 美味い!
 えっ?えっ?何だこれ?からし菜と島豆腐,それに僅かなハンペンの切れ身を炒めただけに見えるんだけど──フーチキナーと同じです。卵みたいな丸い味わいがからし菜の苦さにまったりと付いて来る。
 島豆腐が何か…微妙にヨーグルトみたいな変化を見せてる?そんな印象なんですが?
 これは,からし菜の苦味と卵の甘みとの落差で生まれる舌のだまし絵みたいな効果なんだろか?しかしそれだけでこんな明らかに卵の卵白を思わせる甘味が出るものなのか?
 このからし菜という食材,どうも再々驚かせてくれる。しかもこの沖縄でばかりです。この島のからし菜使いって,何らかの特殊な領域に入ってるというのが,今回最後に強く脳裏に刻印されたのですが。
 この小さな島で,わしはいつになったら新しいものに出会わなくなるんだろう?

▲沖縄がわたしに問いかける。
 ここまで目がイッちゃうのはどうかと思いはするが,まあ確かに問いかけてくれます。

読み方
アワリドゥスジョー
解説
【訳】哀れこそ素性
苦労をばねに乗り越えれば必ず道は開けるという意。
辛いことや苦しいこと(哀れ)は苦労を重ねる事によってできる人間性(素性)により、やがて成功するという教えです。
苦労してる人への励ましの言葉に使われます。