本編の行程:Googleマップ(経路)
昭徳街の八分間
東関街から昭徳街へのT字に着く。0941。
真教寺は南のはずです。
けれど勘は北を指す。もうモスクに入って呆けている時間はないし,おそらく入れないだろう。左折。
狭い。予想以上です。
石畳,といってもこれは完全に,観光区の整備されたものではない。ゴツゴツと入りこんだ荒れ方をし,それが幾重にも整備されてきた,そういう脈々と降る霜月が感じられる路面です。
左右にも上下にも,うねる。
絶句する道です。
軒先には草が生え,壁には剥げては塗られた跡。それは言葉で言うと中国の古城ならありそうですけど,それが物凄い回数積み重なるとこういう気配を醸すらしい。
時間というのは不均一なものです。旅行ではその偏りがさらに増すけれど,昭徳街を歩いた僅か8分間は痛烈な印象を残してます。
写真は8枚撮ってる。
この肉屋の十字路で左折西行。通りの名は書かれてません。
「捜狐」というwebにプロの方が撮られたらしい美しい写真が残ってます。
ただ,自分の印象ではここはもっと泥臭い。泥っぽさが美しい町と記憶に残ってます。
※ 捜狐/大青州帝国,最有底蕴的古街、最靓的照片! 青州旅游 05-16 09:30
00948,本道の東関街に出る。タイムアップ。
──雰囲気を噛った今となって地図を見直すと,東の奥の方,南崖頭街とこれに付随する類似名の南北の路地があります(→GM.)。すぐ近くで回れる場所は確かに少ないみたいだけれど,東の奥手に入ればまだまだ魅力の通りがある気がする。
発車2時間前:老城横断快速行
東関街からまっすぐ東門大街へ。直行ルートで西行して距離を稼ごう。
飛ばすとこんなものなのか?
0952に東門大街に入り,0956には昨日誤認した中心点の広場へ着いた。
昨日の侵入路高家亭巷から西へ出よう。でも…その前に北の偶園街のトイレへ。
観光客の導線は,やっぱりここを中心にしてるらしい。というか,写真のような「観光してま~す!」的な絵はここでしかなかったです。
広場には,よく見ると変なのが一杯ありました。
この写真の,拳法修行の銅像なんか…誰がどういう趣旨で建てたんだ?ひょっとして青州兵繋がりか?
青州兵の母と行く駅への北帰行
1008,バス停・古城西門(荣軍医院)にて一元玉を2つ握る。
すぐ北で,さっき吊るしてあったのを見かけた爆竹が,けたたましく弾け始めました。どこかの開店だろか?
それはいい。許せないのは──バス停にやってきたオバハンが,停留所の影にしゃがみこんだ。おい!まさかその技は…立ちションならぬ座り…。
流石は青州兵の母である。
何だかんだで,結局
1102宿で荷物をピックアップして魏仕照明バス停。
発車は正午ジャスト。58分前です。
ここでバスが来なかったら…どーしよう?タクシーは,通りかかるわけないから,宿で呼ぶか,それとも歩くか?ではそのリミットは?
と惑いかけた1107,うまいこと8路が来た。
この時は実はもう一つの問題があって──乗り込んだバスの料金箱に,財布に残ってた1.95元を放り込む。
…特に指摘なし。コインを自動チェックする機能はなかったらしい。
駅には1009に到着。51分前,もう余裕です。パスポートをポケットへ※。
いやあ,何とかなるもんだなあ。
※ 中国では,新幹線でもバスでも公共交通機関への乗車時に,必ず身分証チェックがあります。
眼鏡の可愛い荷物チェックを終え济南へ
待合室に入ったのは1124,36分前でした。
本日の票(チケット)。
「青州市站 G186 济南站
Qingzhoushi → Jinan
2018年09月19日12:00開08車09A号
¥44.5元 二等座」
青島発北京南行きと電光表示にある。
座席占い:わや(広島弁:無茶苦茶)多く良え(ええ)。吉である。
先ほど,入口のX線による荷物チェックを通った。これも中国の交通機関にはどこでもあるもの。
「有剪刀吗?」(ハサミが入ってる?)と眼鏡のキツそうなお姉さんに止められてしまう。…確かに持ってる。というか,いつも止められるのはこれ。
取り出して見せる。すると,刃の長さを物差しで計られた。彼女曰く5cm以上はバツなんだって。けれど持ち物は少し大きいタイプで6cm。悲しそうな顔してると「車内では使うなよ」とメガネの可愛いお姉さんが通してくれました。
そんなんでいーの?
車内で出さなきゃそれでいいって…よく分からんけどなぜか署名だけでOKになった。どーゆーチェックなのやら。
正午の定刻かっきりに発車。
思った通り,車窓はすぐに明るい農村風景です。魏仕の裏の辺りを眺めやる。それでかなり確信が持てましたけど…魏仕だけでなく,とりあえず今の時点では失敗気味の開発区です。──中国経済の失速が起こるとしたら,こういう「空転」の発生率が高まった時なのでは?あるいは,こういう場所も「復活」してビルで埋められていったりするんでしょうか?
検札の田舎っぽい黒ぶちメガネのお姉さんが「13点08到」(1308到着です)と予備情報を告げて去っていきました。所要1時間強か。
1210,大きな工場。そしてすぐに明るい農村に戻る。
暗い曇天。雨霞。
济南であります。
ここは因縁の町です。四半世紀前,留学直後の土日に,初めての旅行に出掛けた場所。泰山のケーブルカーで行列割り込みの中国人にげんなりしたのが一番の思い出ですけど,あまりまとまった町歩きの記憶はありません。あの時はそんなスキルもなかった。
今地図を見ると,济南駅の西3kmほどのところに湖があり,これを北のラインにして方形の城域が見てとれます。
ただその前に…今回予約した宿は駅前の汉庭。このチェーンは時々「外国人不行」が出るから覚悟が要る。まあ,これだけの町なら何とかなるでしょう…か?
济南市の人口は680万人。この後に予定してる天津が15百万人,北京22百万人と,ここからは都会の旅行になります。ちなみに青州市の人口は90万人でした。
「淄博」という駅に着く。1218。
何と難しい漢字の駅でしょう。読みはジーポー?どんな意味か想像もつかん。
──と今調べてみると,「淄」は地名文字だそうで意味はなし。「岱」字(泰山の意)と同じく,漢字の本場の中原付近に時折ある形態です。…ということは無茶苦茶に古い土地のはずですけど,由来は一切ヒットしない。なのでやはり謎のままの文字です。
「下次到達济南車站」(次は济南駅に着きます)と車内アナウンス。
この時点では,懐かしさとか雪辱とか,そんな気ばかりでした。なのでこんな風に,济南が歴史的な町だという準備はまるでしないまま入域したんでした。
※ weblio日中中日辞書/淄