を今回はハードボイルトタッチに綴るぞ！
台悦人(だい えつと)の１日は，携帯の奏でるラテンのリズムで始まる。７時ジャスト。窓から漏れ入る晩秋の曙光。120キロを切ったばかりの肉体が，むっくり起き上がる。(ハードボイルトか？)
テレビのリモコンを操作しつつ，悦人は紙パック２つを手に取った。まずカゴメ・野菜生活200cc，次に紀文・調整豆乳200ccを飲み干す。パックに記載されたカロリーをメモる。計182kcal。
７時45分，アパート発。仕事場まで２キロ強。めっきり軽くなった体の欲するままにウォーキングを開始する。
川の堤を行く通勤通学の往来に紛れ，公園の草地を横切る頃，街の中心部に聳えるビル群が姿を現す。バス，電車から湧き出る人ごみをかわし，ビルの１つに悦人は滑り込む。
始業ベルが鳴る前，悦人は極秘裏にペットボトルを購入。烏龍茶500cc。午前中１本，午後にまた１本，計１リットルを飲む。新陳代謝を良くする目的だ。ノルマは１日２リットル。
しばらく仕事は暇な見込みだ。結構忙しい職場が続いたが，正念場を迎える度に体重はてきめんに高騰した。暇でストレスがたまらない職場環境は減量の必要条件さ。
午前10時，牛乳配達が来る。猪木みたいないかついオヤジが牛乳ビンを置いていく。午前の大切なガソリン，高カロリーでもこれは欠かせない。
昼休みのベルが響く。周辺にサラリーマン目当ての店があまたある中から，悦人は５つの店を厳選していた。中華・インド・韓国の各料理屋とお好み焼き屋，それに和風の定食屋。とってもワールドワイドだが，日本食が嫌いなだけという説もある。
どの店も本格的Ｂ級料理の店なので，安易に選ぶととんでもない高カロリーな品もある。けれど悦人に抜かりはない。携帯にカロリー検索できるサイトを登録しておけば罠にははまらない。クレバーに550から650ほどの品をチョイス。結構満腹する。
借金(前日までの規定カロリー超過分)があるときは，サブウェイのローカロメニューで済ますことも。ベジー(野菜のみ)を選べばＭサイズがたった210。これでも十分食った気になるが，ローストビーフの270を食べればもう至福の心地にいざなわれる。
規定カロリーかっきりを理想とする悦人は，十分な昼飯を摂る。精神主義やマゾでは，自己満足はしても数字には繋がらない。栄養学的に1500のバランスがベストなのは確実なのさ。
ならば考えることはない。そのノルマを頭を使って出来るだけ楽してクリアしていくだけで，間違いなく痩せるのさ…悦人は柔らかな木漏れ日に目を細めた。(おおッ，ハードボイルトじゃあ！)
仕事場への帰路，２本目のペットボトルを入手。今度は緑茶。
仕事をこなしつつお茶を飲みまくる。慣れると４時間500ccペースはそれほど苦ではなくなる。その代わり小便が近くなり，早い時は１時間置きくらいでトイレに通う。デブってから頻尿傾向にあったのがさらに激化。しかし，体が縮小するにつれ徐々に頻度は低くなりつつある。
ここのところ悦人は，めっきり残業嫌いになった。仕事が暇なのが最大の理由だが，加えてカロリー管理の発想法の影響もありそうだった。
カロリーを1500に収める。仕事の処理時間を与えられた時間内に収める。予算なども同じだ。期待される効果を生む事業の経費を許される金額内に収める。それを頭を使って，求められた尺度の上で同じクオリティを保ったままクリアする。それが管理というものさ…西空を染める残照に目を細めながら，悦人は５時半過ぎには家路につく。(ああッ，ハードボイルトだなあ！)
夕食には500から600は使える。
コンビニで買っても，弁当類以外なら余裕だ。しかし…自炊なら腹一杯食える。それに今週，悦人は減量生活を覆す秘密兵器を入手したのだワハハ…。
立ち寄ったスーパーで食材をカゴに放り込む。ネギ，ニラ，コンビーフ，そうめん…今日は生姜を追加。
アパートにカバンを下ろすと，悦人は少し緊張しつつ靴下を脱ぐ。１日１度の定期測定。ヘルスメーターにそっと足を乗せる。ピピピ…デジタル音が測定完了を告げる。
３度図った中央値は118.5kg。また記録更新だ。65日目で△17.5kg。
さて夕食。そうめん２巻きを湯がいた悦人は，28cmの底深フライパンを取り出す。こッ…これこそが！！アメリカ極秘(？)開発のマーブルコーティングだッ！大理石素材のツルツル鍋肌が微量の油で炒めものを可能に！神の恵みじゃ！
戦闘開始。コンビーフを鍋へ。作るのはソーミンチャンプルー。普通の鍋だとそうめんに油を混ぜておかないと確実に麺が鍋にくっつく。それをコンビーフの油だけで作るのだ。
生姜を加える。微量の水でいじめ煮。ネギ，ニラを投入し絡ませる。完成まで３分。
丼大盛の濃厚味，546kcal。そして…うおッ美味いぞぉ～(ハードボイルトは？)。
おまけ那覇国際通りのTシャツ店「ほっとけ俺の人生だ」
