って減量中はことに耳につくぞ。もうええやろ,黙ちょれッと怒鳴りたくなる。
減量スピードが徐々に鈍ってくると,少なからず心が揺らぐ。おそらく──これがダイエットを挫折させる最大要因であり,業界が奏でるダイエット法の無限巡礼地獄への誘いってのは分かりきっているのにねえ。
ワシントン・ポストの調査結果でこんなんがある。ダイエットにトライした人のうち,目標体重に到達できるのは5%。これだけでも十分へなへなですけど,さらにその体重を1年以上キープし続けたのは0.5%。
つまり,ダイエットって行為が無駄に終わる確率は99.5%。二百人に一人しか成功者は出ない。宝くじ並みじゃなくてもルーレットの1目賭け程度のラッキー度なわけ。
なのに,最近特にうるさくないッスか?テレビのテレホンショッピングなんか,3品に1つはダイエットとか健康とか痩身術…
わしは!日本語の意味での「ダイエット」をやってるつもりは全くねえ!英語の本来の意味での「食事管理」をやってるだけ。
知恵は拝借したいんでダイエット法にも耳を貸すよにしてるけど,基本的に金出す方法は詐欺だ。ビリーズなんとかで踊りたきゃ,ついでに自衛隊入隊して国を守れ。
ついでにも1つデータ紹介してみます。
アメリカでベストセラーになった「ダイエットしないで痩せる方法」を書いたボブ・シュワルツが,痩せ過ぎの人の体重を増やす指導をした時のお話。
まずダイエットさせる。「1920年から世の中に出回っている26000種類のダイエットのどれかひとつ」なら,低カロリー法も含めて何でも良かったそうな。
一時的に体重が減量して不安がる参加者に,今度はダイエットを止めて元の食生活に戻すよう指導。これも,どういう食生活に戻すかはフリー。
結果,どの参加者も以前より体重を増加させることに成功。これを何度か繰り返すと,ダイエットしても体重が落ちなくなり,太りやすい体質作りに大変効果的で大変感謝されたんだってさ。目出たし目出たし。(参考:片野ゆか「ダイエットがやめられない」新潮社2007)
だからね.お願いだから今わしに「ダイエットしなさい」と言わんで下さいね。ゴメンナサイ,謹んで辞退いたします。実は減量中なもんで…。
太ってて何が悪い!という思いは今でも一緒であります。
ダイエットに血眼になる方々の最大の理由は,異性にモテたいという一点でしょ?浅ましいと思わないのかねえ…
わしが太った一因はこの感覚への反発。太くてもアナタが好きよ~てな異性でないと,本当に信用できる?しばらく旅行に専念したかったし,結婚適齢期に操を守る目的をハッキリ自覚して故意に太ってきた。
しかし,それは少し甘かった…体重3桁歴10年の経験ですが,世の中にはデブ専なる感性がホントに存在するのです!──考えてみるとこれは異常でも何でもない。インドでも中国でもつい最近まで太い方が色男だったし,平安美人は下ぶくれ。わし自身の感覚では,ガリガリの細身の女性を美しいとするセンスは理解できない。
それでも,何とか38歳の現在まで世帯を持たずに逃げきった。仕事もヒマだし,そろそろ体重半減で遊んじゃえ!と言ったノリ。
焦りすらない。管理術をマスターしたいだけなのよ。
ちなみに,ダイエットのも一つのインセンティブは健康でしょけど,それは厚労省の洗脳よ。経験上も120kg位までそんなに支障はないよ。太ってる状態は生物的には理想。飢えてもサバイバルできる脂肪を十分溜め込んでんだから。
現代の多くの太り方は不健全で,そういう食生活が病気に繋がることも多いけど,それは食生活が問題なんであってデブ状態が問題じゃないっしょ?
減量の方法が1つしかないことは,昔から自明なんです。前掲書の言葉で言うと──過剰に食べるな,適度に動け!
じゃあ何が難しいのかってえと2点あると思う。
「過剰」とか「適度」という感覚を体が喪失しているために(1)自然体で継続しにくく,(2)習慣化しない。だから,いつかは挫折し,その時は必ずリバウンドする。
試しに,何でもいいからダイエット法のCMを思いだしてみてよ!これらの当たり前の課題に触れたものがありますか?
逆に言えば,たいていのダイエット法は「〇〇したら痩せる」という意味では正しい。わしがやってるカロリー計算は,数字遊びが苦にならなきゃ最もシンプルだというだけ。唯一の方法だとは思わない。
痩せる方法は問題じゃない。太る食生活から離脱して,太らない食生活を習慣化することが最難問。──ダイエットってのは前者の方法であって,わしが今やってる減量は後者だと思ってる。この2つは全く次元が違うもの!(この文章の題名は分かりやすいからダイエットを冠してるけどね…)
「ワタシ,ダイエット中なの」的なファッションでお楽しみになるのは個人の自由。しかし生活の管理術としては,ダイエットじゃ戦略不足でっせ。