本伝02章Step13.台湾高鉄は続くよどこまでも


 past80days
 Weight:115.5kg
 (△20.5kg)

的な車窓が後方へ走り去っていくのです。
 あ~聞こえますでしょうか?この放送は,ついさっき台北駅を滑り出た列車内から衛星中継でお届けしております。
 昨年来た時から待ち焦がれてた台湾新幹線(Taiwan High Speed Rail)についに乗車したぞ~と感激と興奮の極みにいたのもつかの間…10分で飽きちゃいました…。
 だってね…完全に日本の新幹線と同じ車体と車内なんですもん!!JRの車体をホントに持って来て使ってるらしいから仕方ないんだけど…。
 そうは言っても何か台湾らしいアレンジはないんかい!!エアインディアの機内みたくムガル様式の壁紙でカレー臭するとか!
 ひかり号に乗ってるのに,窓の外は台湾という何とも言えない違和感。どうにも旅情の落ち着きが悪い高鉄なんであります。

 少し戻るけど,日本を発った中華航空のエコノミーシートに座ってから,最初のイベントがあった。
 息を詰め,震える指で座席のテーブルを出してみる…おおッちゃんと倒れたぜベイビー!!
 前に少し触れたけど──欧米系のフライトはまだ大丈夫だったが,しばらく前からアジア系の会社の飛行機ではテーブルがお腹につっかえて水平に倒れなくなってた。ユビキタス社会って知らないのか?!と逆ギレしながらずり落ちる機内食プレートと格闘した日々よサヨウナラ…と感慨ひとしお。しかも拳一つ分くらいは余裕ができたのじゃ!
 …太ったことのない奴には味わえない感動だろ?ふっまだまだ青いな…。(味わいたくねーよ!)
 現在の社会のユビキタス度は,体重ベースでは大体120kg位を上限にしてるみたい。このラインを通過すると,途端に一般用の生活の恩恵を受けれるようになってきた感じでしたね。つまり,現在の社会では120kg以上は超人の仲間ということだから,100歳以上のお年寄りと同じように社会全体で敬うべきだと考えるのですが,厚労省の方いかがでしょう?

 もちろん,海外でも1500kcalの制限は解除してません。てゆーかコレが今回の旅行のポイント――海外でカロリー管理できんの?
 出発までに,フィールドノートを思いつく限りの台湾料理のカロリーデータで一杯にした。もっとも,携帯が使えるから日本のWebデータにはアクセス可。
 これまでの旅行では気にもしなかったので,外国の食品に日本ほどカロリー表記が一般的なのか知らなかった。けども,肥満への恐れは既に台湾にもあるのか,それとも単なる日本への追従姿勢からか,コンビニの食品には大抵「大峠」(「峠」の漢字には本当は山偏がない。「か」と読む。)として表示されてた。
 ちなみに台湾のコンビニには「関東煮」と称するものが,日本のコンビニおでんと同じシステムで売られてるけど,中華の薬膳とどこかで混同されたらしい。コンビニに踏み入る度,「歓迎光臨!」の怒鳴り声とものすごい漢方薬臭のお出迎えを受ける。これにも日本同様,一品ごとにカロリー表記がある。この際,カロリー残が少ない時に一度試しに食べてみよう…ものすごい味を覚悟して。

 朝のミネラルも取れる。中華世界は豆花の本家本元。熱々の豆乳と油条(揚げパン)の朝食も,少しカロリーは高いけど屋台で食べれる。
 もちろん豆乳の紙パックもあった。500ccが最小量だったけど,野菜ジュースは一般的でなさそうなので,2日目の朝食に無脂肪のタイプを飲んでみた。
 …がっしりとした青臭さ!
 原料か製法が違うのだろう,日本の無調整よりさらに豆本来の味覚っぽい。元々は豆腐嫌いのわしは最初ウゲッと思ったけど,後味と腹に収まった満足感はかなりのもの。
 ハマると,逆に日本のが飲めなくなりそうで心配。

 もうちょっとゆっくり回るイメージだったけど,年末年始の帰省ラッシュというのが台湾にもあるみたい。通常の特急列車(自強号)のチケットはかなり取りにくい。高鉄は運賃が高いために割とすいてたので,空港リムジンから降りたその足で一気に南部の高雄入りするプランに急遽変更!(2007年1月現在,高鉄の終点は正確には高雄郊外の左営)
 高雄駅からほど近い六合夜市の近辺に宿をとった。なぜって?
 昼間は閑散としたこの通りは,日が落ちるとゆっくり屋台街へと変態し始める。20時を回る頃には,少し西の川辺のデートスポット(その名も愛河!)とセットで訪れる市民や観光客であふれる。
 高雄に来た目的はまさにこの屋台街。
 50軒はある。海産を中心に餃子からベトナム料理,たこ焼きまである。さらに今回のターゲット,お粥の屋台があふれてるんです!
 お粥っても白粥じゃないでっせ。
 広東粥には野菜がたっぷり,海産粥は海老や魚がどっちゃり入ってて,白濁したいいスープになってんだこれが。
 気に入ってるのは皮蛋痩肉粥。皮蛋が入ってるのは予想がつくと思うけど,さらに痩肉だ。いかにも痩せそうでダイエット向きっぽいけど,レバーのこと。確かに肉の中では低カロリーの部位だけど,お粥にレバー?という違和感があるでしょ?
 しかしそれは,口にした途端に吹き飛ぶ。ビーフシチューに入れてみた時レバーの肉汁の力強さに驚いたことがあるけど,このお粥もすんごく濃厚。これを皮蛋の黄味がまろやかにまとめ上げた上,プルプルになった白味が軽快な歯ごたえを与える。そしてレバーの肉のしっとりした噛みごたえがアクセントになって…極めて完成度の高い一品です!
 今回ビックリしたのは,魚[月土](一字)粥というやつ。以前も食べたが,ハズレの店だったらしい。野菜入りで薄味の白粥に骨を抜いた白身魚の半身が乗ってるんだけど,これに薬味が付いてくる。何と醤油とワサビなのです!
 白身魚はさっと湯通しした程度。ワサビ醤油をお粥に入れるのが普通なのか,魚をその都度つける方なのかは分からずじまいだけど,わしは前半は魚をつけてお粥で食べ,後半はワサビ醤油をお粥に入れて魚ごと混ぜてかきこんでた。──ひつまぶしの3段階食いの要領ね。
 美味い店で食うとこれが染み渡る旨さ。刺身に通じるシンプルな味覚。というか台湾の現代史から察するに,十中八九は日本の刺身から生まれた中華粥なんでしょね。
 日本でも,刺身を食い飽きた成金が生み出した食べ方らしいけど,宴会のシメとかで白米に刺身の余りを載っけてお茶漬けにするのがあった。モッタイナイお化けに七代まで祟られそう…と思いつつ一度だけ食べたことがあるけど,お茶の熱さで刺身の表面にだけ熱が通って刺身とも煮物とも違う食感だったと記憶してる。
 食生活を値段じゃなくカロリーで動かしてる現在,ちょっと創作意欲が湧いてしまう。──ホーレンソウなどを軽く煮たダシ汁に,白粥を入れて一煮立てした後,刺身をしゃぶしゃぶ程度にくぐらせてワサビ醤油を添えた中華粥。ローカロで贅沢な料理が出来そう。

 現在,台北へ帰るバスに揺られてる。1台17席,台湾にのみ運行してる超豪華バス!