本伝07章[Step62]ある減量者に花束を

 250日目 
▲54.4kg(半減+13.6kg)
▲4割到達

ってパロってばかりですみませんデス…
 つまり,この減量紀行はあくまで実験記なんですわ。ダイエット自慢ではとても有り得ないのね。
 ▲68kgに達するであろうこの大減量プロジェクト,一番の勝因は??と尋ねられれば,正直答えはこれ──今までダイエットしたことも,そんなことする気もなかったから!これに尽きる!
 中途半端な──つまり安定着地まで行かない巷の多くのダイエットは,やるだけ損。何が損って,痩せにくい体質を作るだけなんだから。正確に言うと,レプチン君を中心とする体重維持機能を強化させるだけ。リバウンド癖がついちゃうわけよ。
 何度も書いたけど,メタボライフはそんなにツラくはなかったし,今でも「…構へんやん!」と思ってる。

 贅肉の50kgやそこら,ちょっとしたファッション程度のもんじゃん。大の大人が本気で悩むよなもんじゃね~よ!
 むしろ本質的な問題は,何で太るよな食生活だったかってことなのよ!

 その原因は──味覚麻痺とでも呼ぶべきもの!
 これはおそらく現代の先進国に蔓延してて,肥満だけじゃなく拒食症を始め色んな障害に結びついてる。医者も最近は騒ぎはじめたみたいだし,今後はもっと増えるでしょね。
 どういう障害なのか?STEP43で書いたよに味覚を4層に分けると,奥行きのある味,1層目と2層目が知覚できないってことね。──この減量250日間を通じて,わしはまさにそれだったってことに嫌でも気づかされたわけよ。
 3層と4層しか味がしないから,ジャンクフードが大好きで,これと生活習慣や体質がマッチしたら肥満してくって構図。
 だから。謙遜でも何でもなく,この文章は自慢話ではとても有り得ないわけ。特に味覚のリハビリが中心になるここからの段階ではなおさらッス。

 小説「アルジャーノンに花束を」は知的障害者が天才科学者になった後にまた元に戻るまで,本人が綴った経過日記だったけど──この文章も本質的には同じ。これは味覚障害者の経過記録なんです!

 とは言っても──イチからやるとしたら,「味覚を高機能に変える!」なんてこととても手に負えない気がするよね。
 この辺わしも卑怯なんで(何せ役人だからね!)今段階でかなり希望的な予兆は出てるから書いてるわけです。体重が4割の変化をする間に,わしの舌は6割は変化した!
 って言っても──数値化しようがない。これがこの分野の致命的な困難性。視力や聴覚は測定可能だけど,嗅覚や触覚と同じく味覚は数値測定する術が今のところない。集団的には,同じ味のものを口に含んで,例えば「甘い」と感じれるかどうかって調査方法はあるみたいだけど,個人単位では難しい。だって,嘘ついてたらどうすんの?
 カロリー管理の有効性は,食生活を数値でマネジメントできる点にある。小難しく言うと,KPI(KeyPaformanceIndicater)を設定することでマネジメントの客観性は全く別レベルになる。カロリー自体は怪しい尺度だけどそれでもKPIとしては使える。
 これが味覚の場合はないよな…。唯一考えられるのは食事内容の実績データだけど,どう分析できるんだろ?

 最後に現状を概観しとこう。
 最近,豆腐の味が感じれるようになってきた。まだうっすらとだけど…「豆腐って歯ごたえだけの食材じゃなく味のあるもんなのか!」ってのに驚いてる。
 ここまで「ジャンクフード」扱いしてきた食事にも,驚きは多い。カレーのことがあるから(STEP54)これまで食べたことのあるお店に軒並み行ってみるよにしてるんだけど,今の舌が全く受け付けなくなっちゃうパターンだけじゃないのね。「えっ?こういう美味さだったっけ?」って新たな感動があるお店もあるんだわ。
 さらに,これまで一度落選させてたお店で食べてみると「あら!?美味いじゃん!!」って敗者復活することも珍しくなく…結局知ってるお店をローラー作戦でも一度回らんといけんよになっちゃってそりゃあモー大忙し!(知らんわい!)
 味覚体験としては凄く新鮮な感動に満ちた今日この頃です。