ってもミルスって何?という人は「外伝」「クレイジー・フォー・ミルス!」もご参照!
さっきインドから帰国しやしたピカピカの日本人一年生の中尉なのです。
ヤベえ…今回ばかりはヤバいのじゃ。完全にハマった。重症の南インド料理ホリック状態。
帰りの飛行機ではインド料理と中華を選べた。インド料理はさらにヴェジタリアンとノン・ヴェジをチョイス可。東南アジアから中東のフライトではこんなパターンがよくある。(食べたい人は「ワタシ,ヴェジタリアンデ~ス!」とスッチーに嘘付くだけ!)
久しぶりにインド以外の食いもんが食えるのに…舌が自然とヴェジタリアンのカレー料理を選んじゃったわけ!
肉食わないと飯じゃねえ!的な昭和一桁世代の感覚だった自分の嗜好の変貌ぶりに,わし自身ビックリしてしまってます。
肉が嫌いになったわけじゃない。
なんだけど,前提なしでヴェジかノン・ヴェジかって今突き付けられたら,すっとヴェジを選んじゃうんだわ。
変な宗教に改宗したんじゃないよ。ヴェジ料理食いながらワインをグビグビいってたら,何者だ??ってインド人やムスリム親父の奇異な視線を集めちまったけど──要するにヴェジの方が美味いんだ!
今回のインドは,食感改造100日プロジェクトに匹敵する大変化をわしの舌にもたらしてしまったみたい。いや,舌よりもっと根深い食の感性そのものに,って言うべきか?
ミルスってのは,平たく言えば南インドの定食のことね。
今回旅行したチェンナイから南のマドゥライにかけてが本場らしい。
同じ南インドでも西海岸サイドはキリスト教文化圏のケララ地方。ビーフ料理があるんだって。
これに対して東海岸サイドは純ドラヴィダ文化圏。その主流料理がミルスってわけ。
今回は初日から最終日まで,ミルスを立て続けに食ってた。10年前にマドゥライでハマったのが感染の始まり。10年の潜伏期間を経てついに今回発症した感じ。
美味い!いや…美味さより何より食事法として美しい!
順に行こ。席に座ると,まずおもむろにバナナの葉っぱが1枚敷かれる。大体A3程の大きさと考えてちょ。その脇に,ご飯が入った大皿1つ,カレーやヨーグルトが各2~3種,その他チャツネ(ピクルス)やミタイ(スイーツ)の入った小皿が少なくても5皿置かれる。町の安食堂のだと20Rs(≒50円∵1Rs≒2.5円)ほど。チェンナイのSaravanaBhavanの「スペシャル・リミテッド・ミルス」だと50Rsで何と12皿!
後はご飯と小皿の料理を好きに手で混ぜて食う。別に汚いとか下等とは見られない。例えば相席のスーツ姿のビジネスマンとかが手でパクパク。ただ通常のパターンで言うと──
まず,ご飯を1/3程葉っぱの上に盛る。その上に,まずサンバル系(唐辛子が伝わる前の時代のタマリンド味のスープ)をかけ,右手で混ぜて食う。泥遊びの感覚。次の1/3でいわゆるカレー系を混ぜる。──ここまでは止めなきゃ無限に継ぎ足してくる。
最後の1/3はヨーグルト系と混ぜる。これは単独でデザートに食べる人も。ミタイも同じ。(ただ,「カード(ヨーグルト)・ライス」ってメニューは朝食の定番だから混ぜる人が多い。わしも好き)
こーやって何種類ものおかずをライスと混ぜるうち,微妙に味が融合してく。絵の具がパレットの上で他の色と溶けてく感じ。混ぜる順番や汁をかける場所,混ぜ方によって味は万華鏡のよに変化する。同じカレーの味が食べ方で千変する。
だから,食べる皆さんは真剣勝負。ミルス食べる場所で談笑したりくつろいだりしる奴は見ない。
だって,バナナの葉の上のライスが,各種の汁を吸ってどんどん味覚を変化させてくわけで,それが不味くなれば混ぜる人のセンス不足。食べる人が指揮者で各種食材が演奏するオーケストラみたい。
こんなの他にない。北インドにもない。
どのカレーもとろみは無い。恐らく唐辛子が入る前のタマリンド主体の形。
ライスの量は確かに多い。多いミルスなら茶碗2杯分,500kcal行きそなボリューム。でもカレーがこれだからマックス700kcal位?
とにかくこれをほぼ10日間食べて,最後の3kgは落ちた!