外伝02-7서울:《第七次初日in Seoul》今再びのソルロンタンの日

[前日累計]
支出1650/収入1368
    /負債 282
[前日累計]
    /負債 640
§
10月30日(金)
1250 大福うどん(博多駅地下)
ごぼう天うどん 400
2045マンジュ3個 300
2100 シンソンソルロンタン
ソルロンタン 500
[前日累計]
支出1650/収入1200
    /負債 450
[前日累計]
    /負債1090
§
→10月31日(土)

 博多駅入りが12時半を回ってしまった。離陸3時間前であります。
 このシチュエーションで(わし限定的だろけど)最も使えるのが,「大福うどん」。博多うどんの典型たる(とわしだけが思ってる)こちらの饂飩ほど端的に満足感をお授け頂ける麺食は存在しない(とわしのみは信じてる)。
 ふう~っ!旨~!

 さて空港へ向かうかな,と市営地下鉄ホームへ。いつものホームで待つが,なかなか来ない。背中には発着車両があるようだが,昼間はこんな便数だったっけ?
 今回は内田師範のレヴィナスを持って来てる。再読だけどまだマーキングは入れてない「レヴィナスと愛の現象学」。──何かロマンス本みたいな音韻も残す半端に恥ずい題名なんですけど──中身は確かに面白い。どんどんマーキングする。面白いぞ!
「祇園です。発車します」もう1駅読める…え!?祇園?
 川端から反対方向に乗り換える。この地下鉄を逆乗りしちゃったのは…これはわし的に(おそらく大抵の人的にも)初めてですね。
 国際線行き無料バスに乗ると14時を回りました。
 無理乗りした客がいて,運ちゃんがアナウンスで「危ないですよ,勘弁してよ」とボヤいとる。普通そんなん放送通すか?
 今朝は人間ドックでバリウム飲んだんで,服用した下剤がそろそろ効いてきてる。ゴロゴロゴロ…と腹に茶色いマグマが。
 本日は満月のはず。ハチャメチャな…折角だからレヴィナスめかして言えば「謎」性の純度が高そうな予感漂う旅立ちです。
 …なんて書いてていいのか?離陸1時間半前だぞ?

 訂正。それは美しいカフェオレ色のマグマでした。茶色にバリウムの白が映えた,粘度の低いマグマ。
 え?そんなん正確な描写要らんか?──失礼しました。特にカフェオレを召し上がっておられました方には心よりお悔やみ申し上げるもの也。
 とか何とかやってるうちに,無事にボーディングパスが発券される運びとなりました。それはお美しいカウンターのお姉様が,わしのeチケを御手より取りこぼし,お手玉した挙げ句放り投げてしまい,「結構弾力ある形状になっててすみません」とフォローしたら,何の都合か彼女の笑いのツボにハマったらしくその後の対応を続けらんなくなったりと色々あったけど,まあとにかく14時55分,福岡国際空港53番ゲート前にたどり着いてます。
 曇天の御空見上げてハングル音。
 この便,ほとんどの客が韓国人らしい。彼らにとって,博多は既にちょっと観光しに行く日本,つまり香港人が週末に広州に帰るようなオテガルサ。感覚が逆転してきた奇妙な印象に戸惑いを覚える。
 ソウルは何年ぶりだろう?もしかしたら半減後初めてか?おお,確かそうだよ。
 そんな久しぶりになんで来る気になったか?この辺は大変複雑な事情が絡む。あえてその概略を述べると,釜山行きのエアが船より安くなったんで,ならいっそソウルまで飛んじゃう?──という感じである。

 最近の中国では,ほとんど事前情報に頼らなくなった。ひたすら「グルメ鼻」を利かせて歩く。それが結構通じるように…わしの実力が,というより,食との関係が時と躊躇をを置かずに落ち着き所を見つけれるようになってきた。
 行き先選びは先述の通りなんですが──今回はそれを韓国でも確かめることが出来そうです。この元気なポップの国で,それはどこまで通じるんだろう?どうだどうだ?

▲空港からA’REX Express乗り場への途中…忘れたけどそんな辺りの,ソウル的な光景。

 ソウルのE-maneyを亡くしてしまってました。
 降り立った空港のGS25でPOPカード(今はE-maneyと同一視されてるらしい)を購入。ただ…先に弁解するとあんまり種類がなかった。「Brown&Sally T-monby」というムチャクチャかわいい系のくまさんキャラになってしまった。店員のお姉さんに「これ買うの!?」みたいな顔されましたが,ガイジンで~す,みたいなノリでヘラヘラ笑ってお買い求めました。

▲おじさんはこういうPOPカードを持つと羞恥心に苛まれる。要自粛。

 こんな恥ずかし目にあってまで買ったのに,エキスプレスの発券は現金のみということが判明。通常線のみ使用できるらしい。
1645発A’REX Express乗車
W8000
 ソウル駅直行,座席指定有,5車6A席。
 これでも45分はかかる(1930着)。以前バスが1時間だった記憶があるからあんまり時間的メリットはないが…まあ一度乗っとっても損はないかということで。
 車内は上海リニアそっくりでした。

 ソウル駅でやっとCDを見つけてウォンを補充。
 日本円3万円がW267600。えっと?1円がW8.92,アルゴリズムとしてはやはりW1万が日本円千円強と覚えるか?
 とりあえず目指すは安国(読み方はアングク)。インサドン(仁寺洞)の適当なモーテルに宿を求めよう。
 1号で3駅,鐘路3ガで3号乗換。車内はやはりニンニク臭い。でも何か懐かしくて安心。
 ソウルの地下鉄はプサンのよりも,東京的,あるいはニューヨーク的などやどやさがある。早い時代からツギハギで作られた感というか。

(後日調査による訂正:…とこの時は記してるんですが,東京メトロの最初の路線は1927年(昭和2年)の浅草駅 – 上野駅間(現在の銀座線の一部))。ソウルのは1974年(昭和49年)の清凉里駅~ソウル駅前駅(現:「ソウル駅」駅)で全然東京のが古い。ちなみにニューヨークのは,失敗に終わったブロードウェイ線を数えなければ1904年(明治37年)のシティホール駅 – 145丁目駅間。日露戦争の始まった年で,これまた隔絶した古さ。)

 目的にしてたサランバン・モテルに無事入局。インサドンのメインストリート(ユンポスン・ギル)から横道に入って2階に上がったすぐ,プライベートホテルっぽい風情のお宿。
 W5.5万 。ちょっと高いけどまあ一泊目ですから許してほしいのねえあなた。

▲シンソンソルロンタンのソルロンタン

 インサドンは仏教の街なので,メシヤは少ない。なかなか飯屋も見つからないのはそのせいだったと思われるがどうか?(さっきから適当に適当を重ねた記述で恐悦至極である。)
 楽園洞(ナグォンドン)を攻める予定にしてたんだけど,ここの諸店は夜は完全に飲み屋になってしまうらしい。それにあまりに遅くなってしまって,ここ仁寺洞の店は次々閉まってく。もう空きっ腹抱えてたまらんので,帰り道に見つけたソルロンタン店へ。
 シンソンソルロンタン2100
ソルロンタン 500
 あ,この店って?確か新村で一度入った店だったような?
 キムチ3種は食べ放題。程なくソルロンタンの鍋も来た。
 まあ,本日はとにかくコリア飯が食えただけで満足するしかないか──とあんまり期待せず匙を掬う。
 うっ?
 美味え~!?
 何だこれ?こんなにウマかったっけ?
 出汁…と言っても和食のと全く異なる層の背景音なんだけど,下茹での肉汁を取り去った中間段階の汁だけを濃厚に滲ませ,結果,赤身だけを虐め煮したような直線的で濃ゆいスープが出てる。スープと言ってもカツオでもブイヤベースでもない,それらより遥かに直情的な味覚です。濃さから言えば豚骨のこってり系に近いのに,全然脂もスパイス類もない白濁スープの中に,肉味がストレートに注入されてます。
 これにパブを入れますと,どんな至福の味覚になるか想像できますか?ねえねえあなた?どうなのよ,ええっ?
 カクテキがまた最高!このニョクマムの酸味,大根の辛味,唐辛子の辣の融合味は──こりゃ一体どうなってるんだ?
 ソウルが久しぶりだからなのか,それとも単に空腹だからなのか?

▲ マンジュ3個。おやつ代わりになってしまいましたが,まあおやつ代わりでした。
 このインサドン,こういう,中国で言う小[ロ乞]屋の可愛らしい
プライベート店がボツボツありました。ここはともかく,この系列の別の店に,翌日以降,捕まっちゃいます。

 大体わしが着いた辺りの時間が,この街の終業時間だったらしい。わしが来たから帰ったみたいで気分は良くない。もっと温かく旅人を迎えてほしい。
 ただ,人気の失せたこの初日の夜,宿への帰路に,この古い街の美しさに浸れた気がします。

▲インサドンの公園脇には占い師のテントが連なってます。古い土地柄ゆえか,単にメッカなのか。いずれにしてもなかなかもって不気味な風情が出来上がってます。