外伝03-FASE1@deflag.utina
けーらけーら,やーかいけーら

[単語帳]
けーら:帰ろう
やーかい:家へ

「HANDS」って月刊誌名にピンとくる人は次のどれかです。
1)沖縄出身者
2)ウチナワンミュージックに注目する業界人
3)わしを含むウチナージャンキー
 ローカル誌の中でも㈱ハンズ・コムの発行するこの雑誌は桁違い。何がって?完成度の高さに加え,誌面内からはみ出しそーな圧倒的クオリティ。
 んでもって!――わしが那覇に着くとすぐこの雑誌を買う理由はコレ――他の県の何処にもない高揚感!
 文化的なポテンシャルを日本地図に立体表示したら,2つの頂を持つ形になる。デカダンスの都・東京,そして音楽を中心に今まさに創世期にある沖縄。
 マニア風に言えば,まさに沖縄はジオン軍!!地球連邦との決定的な身の丈の違いをものともせず,逆にジオン公国が地球侵攻してるって感じ?KIRORO,オレンジレンジ,MONGOL800,BEGIN,安室――でも層の広さはそんなもんじゃない!行く度に新しいローカルヒットが出現してんのよ!
 このエネルギーの密度がも~たまらんばい!自分再起動には世界的にも最高な土地であるわけさあ。
 長くなった。各章の表題は,この雑誌の2009年1月号掲載「UTINA-KARUTA」から戴いてま~す。

 那覇空港着。
 熱風と,どの土地にも感じない帰郷感がカラダ丸ごとひっつかむ。
 ゆいレール(那覇の新交通システム。空港ー市内ー首里城を結ぶ)の空港駅へ移動。構内でゲットしたフリーペーパーTABINCHUに,車内でざっと目を通す。ガイドブックなんか持って来ないさー。最近はいつもこのTABINCHUが最初のガイドブックです。
 ゆいレールの各駅には持ち歌がある。その駅が近づくと持ち歌のチャイム音が流れる。当然全てウチナワンミュージック。ポップから民謡までごちゃ混ぜのチャンプルな音楽空間。(CD化もされてます)
 行政サイドが自分たちの文化的優位を認識してる!ナイチ(日本本土=沖縄以外の日本)で聞いたことのない駅の持ち歌の仕組みは,この明るいプライドとそれに裏打ちされた実力を背景に持ってるわけさ。全く小癪なことじゃねーの!同じ行政屋として嫉妬しちゃうね。
 いつも通り牧志で下車。ただし今回は先ず,TABINCHUに掲載されてたJIMMY’Sの「紅芋&しもん芋クッキー」を購入。ついでに雪塩ちんすこうの小袋も。
 この後やっぱり記事のあった屋富祖(浦添市)の「首里あん」で薄皮饅頭買ったし,最初からスイーツにまみれてます。ただ一応先に書いとくと,ウチナーでしか買えない味とは認めるけど,スイーツのレベルはそう高くはないみたい。ブルーシールアイスと塩ちんすこうがまずまずの及第点か?
 そんでもって牧志駅すぐのレンタルバイク屋で原チャをゲット。そのまま那覇港に向かいました。
 熱風と,アスファルトから照り返す太陽光の中,ボロバイクのエンジン音が走り抜けてく。

 クソしつこく3が月続いた風邪の諸症状にケリをつける。この至上命題をクリアするため,あえてウォーキングは初めの3日間は封殺することにした。
 原チャで沖縄本島を徘徊するってのは,3桁超人化してからしばらくとってきた旅行スタイルです。それ以前は徹底的に歩いてた。体調が回復したら,後半は那覇を中心に歩きまくろう!
 原チャで那覇港前の嶺吉食堂へ。――ここ何回かハマってたのが,この店のテビチ(豚足)。25席位のバラックめいたボロボロ食堂だけど,この超人気テビチは100食出るんだそーです!テビチを煮た汁とご飯だけ何だけど,これが最強無敵!骨からトロトロの肉がほぐれて落ちる。
 万感の念で扉を押すと――動かない?なして?よく見ると扉に小さく貼り紙。「1/8から営業します」ガーン!!
 ウチナーの旅の神様はとにかく手厳しい。ここではなぜか,他の土地で起こらないハプニングが多発する。財布盗まれて警察に万札1枚もらって生還した事。年末年始にキャッシュサービスが開かなくてホテル料金の後払い交渉した事。初回の沖縄では完全に道に迷ったまま入った食堂で,メニューの大半が理解できずにパニクった事。キジムナーの悪さが過ぎるんだわ!
 だからどうせ出たとこ勝負!今日の宿のある胡屋(沖縄市)への途中にあるルビーへ向かう。
 正式名は「軽食の店ルビー」なんだけど,このネーミングはギャグなんだろーか?一番人気のAランチは巨大お子様ランチって感じで,トンカツ+チキン揚げ+ポーク(ランチョンミート)+ウィンナー+チーズ炒め+ハンバーグってゆー超高カロリー食!軽食どころかカロリー・量とも普通の定食の2倍はあるぞ?
 毎回3食はこのAランチを食ってたけど,前回腹壊してた時に他のを頼んだら――これがまたエラく美味。その時はポーク炒めに感動したけど…今回,沖縄上陸第一食目として選んだのは,煮付け定食(上)。
 「上」って何のこと?って疑問は残ったけど,この店は入り口の自動販売機で買う形式。ナイチャー(ナイチの人,つまり沖縄以外の日本人)には一番辛いシステムじゃ。なぜって…大半のメニューが正体不明!この煮付け(上)もワケわからんのだが,わざわざ「上」を作ってるってことはそれなりにメジャー商品なんじゃない?と読んだだけなの…
 …ビックリするよな重箱が来た。ソーキと野菜の合わせて煮たものに,切り干し大根と千切り肉を和えたよなもの,それに刺身3種がドドーンと並ぶ。
 これで840円?今のわしの舌には,Aランチなんかより遥かにご馳走に感じられる!しかもこれがどれも美味いの!
 ただ,刺身だけはナイチでも例えば博多なら食えるレベル。伝統食系の煮込料理が狙いどころなんでしょうね。
 この煮込料理は,ナイチではやはり食えない。広島でもあちこちに沖縄料理専門店は出来てるけど,(東区役所そばの波平を除いて)似たようなものが出てくるだけで,肉食の歴史に磨かれた家庭食的な深みは出てない。
 昆布ダシの濃厚さと,使用する肉の各部位に合わせたハーブ(ヨモギや五香粉など)のマッチング方法の厚みによるものなんでしょか?
 2食目は胡屋のグランド食堂。お目当ては骨汁。
 牛の背骨の煮物です。他の家庭料理店でも時々見かける。骨の外し方に少し慣れが必要だけど,骨に絡みついた肉の味は,ナイチでお馴染みのバラとかモモとかのお肉とは同じ肉とは思えない。飼い慣らされてない凶暴な味覚。
 常宿:ホテル赤坂に着く。しばらく仮眠。――少し動いたのと,道路の排気ガスで目に炎症が起きてるのとに加え,饅頭やクッキーを食い過ぎたのが致命傷になってダウン。早くなんとかせにゃならん。

 夕方。結局美里のハイウェイ・ドライブインに行った。
 ここにはルビーのような沖縄日常料理がなかったんで,開き直ってAランチを注文。
 ここのはルビーよりは普通に近い量。ハンバーグが妙に美味い。でも…やっぱりもうこの系統を舌は感動してくれないみたい。
 今日の3店は,いずれも何度か行った店。でもお陰で方向は決まった。ウチナーの伝統食!これを今回は攻めよう!


盛業中って…そのおおらかさに100点!!