▲薬令市のお供え物専門店。菓子の類だと思うが――物凄い量だ。供えた後,食い切れるんか?
今回旅行したのは2月末。旧正月でも盆(チュソク(秋夕))でもない時期だから,普通の法事で買いに来る人しかいないはずだが…。
で,以前から興味のあったこの韓国のお供え物を調べてみた。
政府統計によると,最近の旧正月のお供え物の平均費用は17万W強。日本円で1万円を超えるらしい。感覚的には日本人の2~3万円ってとこか。
種類は多種多様だけど,主なものだけで――
(茸類)
■ポソッタン(きのこ鍋)
■ポソッサンジョク(きのこの串焼き)
■ポソッチャプチェ(きのこ入り春雨炒め)
■ソンイフェ(マツタケの刺身風)
■ソンイポソッタン(マツタケ鍋)
■ソンイサンジョク(マツタケの串焼き)
■ソンイパプ(マツタケご飯)
(穀物・雑穀系)
■ソンピョン(松餅。白・緑・ピンクの一口サイズの餅)
■ヘッパプ(新米)
■バムタンジャ(栗の粉をまぶした団子)
■バムチョ(栗の甘露煮)
■ユルラン(栗卵。煮た栗を潰し砂糖・蜂蜜・シナモンを混ぜて栗の形にしたもの)
(芋類)
■トランタン(サトイモ鍋)
(果実類)
■ベスク(梨のスイーツ)
(肉・卵類)
■チョラン(棗卵)
■タクチム(鶏肉を甘辛い炒めもの)
(複合)
■ファヤンジョク(彩りの物(五色以上)を串に刺した焼き物)
■ジョン(えび・ズッキーニ・明太子・赤唐辛子・しいたけ・カルビなどを別々に作るチヂミ)
と,精進とも色彩とも割り切れない何でもありの品揃え。茸と雑穀が多いのは古い時代の食事を想起させる。ただしそれ以外はほとんどただの弁当。だけど韓国人には,何となく,祝いモノと日常食の判別が出来るらしい。
このお供え物,祭事の後は,日本と同じくやはり供えた側が食ってしまう。正確には,日本ではお供えが終わった時点までは食わないし,場所も変えて食うわけだけど,韓国では供えた途端にその場で食べてしまう。「ハイハイ供えた供えた」って割り切りの良さなのか,一族の結束を優先させる機能ゆえか。
例えば死者の法事なら,墳墓の前でお茶とか配られて,思いっきりピクニック状態になってしまうらしい。つまり,日本の法事の弁当みたいなものでもあるわけだ。
▲薬令市の漢方薬専門店。というか,この類の店が並んでるから薬令市なわけだが。
なお,韓国の伝統医学の薬剤を「漢の方の薬」と呼ぶのか!?――と疑問に思ったが,韓国独自の要素はわずからしい。
「韓方」という書き方もあるらしいが,柔剣道が韓国由来と主張しはじめた文脈と同じく最近の言葉みたい。李氏朝鮮王朝時代の朝鮮王朝実録にはそんな差別化呼称はなかった。おそらく「チャングム」人気前後の言葉なんでしょう。違いがあっても「和漢煎」くらいのもんか。
ソウルの京東市場にはもっと山積みの漢方薬の店があると聞く。
▲イチゴの山。安い!1パックがデカいし結局買えなかったが,味見すると野イチゴみたいな野生味が立ってる。
韓国のイチゴを検索すると,ロイヤリティ問題ばかりがヒットする。マンガなどの著作権問題を思い起こせば全然不思議じゃない。
日本側の主張では,韓国栽培のイチゴの6割以上は日本の種子を知的財産権の支払いなしに使ったもの。年間30億W(3億円以上)の支払いを要求しているが,韓国サイドは値段の高額を理由に拒否してる。…てことはロイヤリティの無断使用自体は認めて開き直ってるわけで,非常にアジアンな姿勢が好ましい。
このロイヤリティは植物新品種保護国際同盟(UPOV)という組織を通じて国際通念化されてて,栽培側がその品種の開発側に支払う仕組み。実際,韓国はイギリスには支払いを行ってる。…てことは,つまり日本だけ外交的にナメられてる。
写真の山に表示のある品種名,ソルヒャン(雪香)は日本の章姫(アキヒメ)とレッドパールの交合種,メヒャン(梅香)は栃の峰(トチノミネ)と章姫(アキヒメ),クムヒャン(錦香)は章姫(アキヒメ)と「とちおとめ」なんだそうで…法秩序的には完璧な町の無法者。いくらすぐ隣に無防備な太った草食国家があるからって,そこまで容赦なくやるってのは…非常にアジアンな姿勢で好ましい。
▲駅前の「PC房」
怪しい話も時々聞くので入ったことはないが,原則的には,そして多くはネットカフェの韓国版。ソウルの外大前駅には20以上のPC房が並ぶそうだ。
怪しい話ってのは,デート場所として使われることがあり,それが発展して性風俗店化してるとこがあること。後者は取締上は「キスバン」と呼ばれ,入場料を払って店に入ると店内の女性とキスできるシステム。性風俗店じゃないと解釈されて横行…してた時期が,少なし一時期はあるらしい。
健全なPC房では,既に流行りと言えないほど普及したネットゲームのオタクたちがたまってると聞く。
いずれにせよ…未だに入る気にならない。
韓国ではどちらのタイプも日本発祥のものと考えられてる。