奇跡!
それは,稀に起こり得るからこそリアルなんである。
時代はまさにドロドロの予算編成真っ只中…なのは役人だけですけどね,年度会計主義の。融通効かない建国記念日が作り出した飛び石連休の中日を休めるかどうか,前日の夕方5時間際まで見通し立たなかったという次第でして。
「これは…休めるんじゃね?」みたいな雰囲気に急遽なってきたんである。
一方で,我がチムグクル(肝心)内はまさにウチナーホリックが沸点に達しつつあったわけで。「今から飛行機取れるかよ…」とは思いつつ,それでも諦め悪くサイトをチラリと覗いちゃったわけで。
明日の岡山→那覇便が空席有?しかも最後の一席?
こっ…これは…まさに奇跡としか言いようがないぜよ!「君は今,沖縄に来なければならない」と,大いなるシュララポンというかアマミキヨというかニライカナイというか,何か分かんなくなってきたけど告知さられたようなもんでしょう,コレは!(正解:よくある直前キャンセル)
というわけで,大至急荷造りしまして現在21時半。新幹線は岡山へひた走る。8時半岡山空港発なので既に11時間前です。
当然,旅程もホテルも全く考えてません。いつも以上の出たとこ勝負モードですけど,何か?
しかしながら,本当の奇跡はその翌日にやってきた。そのことをまだ知りえないままの旅立ちでした。
大雪!
翌日早朝,岡山空港へ向かうバスの車窓は――芯から真っ白。
南へ飛ぶ際は可能な限り軽装で出るんだけど,これは可能な限度だな。しかもボタ雪の溶けかけだから,バスに乗る前の段階で既に一度滑ってコケてます。
まあ飛びさえすればあとは沖縄。こんだけ人が乗ってるから飛びはするんだろ?
昨夜,飛び石初日の今日の宿確保には苦労したけど…何とか沖縄市の個室が取れた。中日平日の前後はこれほどじゃなかろう。ギリギリ目鼻はついたかな?
という甘い見通しが,この日は次々と裏目に出てくることになりました。
調整!?
現在9時半,JTA機は一路沖縄を目指しておる…はずだったところ,まだ岡山空港にぼんやり座っておりますです。
9時アナウンス。「このまま天候が回復しない場合,欠航となる可能性が多分にございます」――「多分」がコワいぞ,その表現。
つい今しがたのアナウンス。「出発は早くとも13時。なおこの時刻は雪が止んだ場合の時刻で,場合によっては欠航も」
全然安心感がないぞ?状況が回復しとるのかどうかもはっきりしないんですけど──はっきりしてるのはこの小さな空港であと…少なくとも4時間は待つ運命だってことやね。
乗り物を6時間待つのって…そうだ,’89のインド振りだなあ。
ってゆーか,これで飛ばなかったらとっても有意義な連休だよなあ。
飛翔!
飛んだ飛んだ飛んだ!
前後の便が軒並み欠航になる中,何でこの便だけ飛んだのか,全く訳分かんないけど…まあ飛んでくれりゃ何も言いませんです。よくやった!!
那覇に着いてすぐゆいレールで牧志へ。原チャを借りて北行。
20時,閉店ギリギリのMexicoへ滑り込む。
タコス 250(713)
皮,挽き肉,トマト&レタス,チリソースが,それぞれ別の層をなして響いて来る。融合せずに各々独立したままのモザイク味というのか…。
メキシコ料理の哲学って,その辺りが決定的に違うと思う。
たとえばトルコのケバブに作りは似てるけど,あれは各具材を溶かし合わせて一つの味にしようと努力してる,メキシコにはそれがないのだと思う。
美味い!二度目の訪問だけど,ここの味は本物です。赤く暗く灯る照明の空間も含め,このタコス店は本当に完璧!!
何処?
胡屋からコザへの坂道の途中と調べてたんだけど,何度往復しても見つからない。仕方ないから,このアクションは恥と見てるんだけど…電話して道順を聴く。そして探し当てた宿は――。
宿の名は「ごーやー荘」。
一軒家の,完全沖縄風土宿。民家の改装というか民家そのもの。
以前もポロッとこーゆー宿だったことはあるけど,ドミトリーというか雑魚寝部屋がメインらしい。その脇を通った一番奥に一室だけ,微妙に区切られたスペースがあって…個室ってココ?
まあ…優雅と言えば優雅な宿だな。気に入る人には穴場的で宜しいかと。ただしトイレ・バス共同――しかも一度玄関を出た先にあって,ギイギイ響く雑魚寝部屋の脇の通路を,皆さんを起こさないように忍び歩いた先――で冷暖房なんて期待不能。
これで3500円は高いか安いか?
ただ馴染むと居心地はよいかな?
即座に翌日からの宿を押さえてから飯の確保に出かける。
深夜…。
9時を過ぎたコザは,基地前以外はかなり寂しい。…この街の崩壊度合いは尋常じゃないぞ。
とにかくまずは一丁目ストア(グランド通り)。
弁当(麻婆+トンカツ+タコライス)
大根と軟骨の煮物 750(1463)
しかし…繰り返しになるけど,ここは一体どこなんだ?
麻婆はかなり本格的だと思った。麻こそないが辣はきっちりついてる。ただ,広東麻婆とも一線を画してる。まろやかさじゃなくて,肉汁の味をストレートにオンして来る。
これは…安微のスタンスに近いような気がする。安微麻婆とでも言うべきか。
トンカツはベタベタ。けどこれは,明らかに意識的なベタベタさです。沖縄のカツ丼は大体こんな感じだけど,カラッと揚げるタイプは嫌われるんだろか?
これらと並んだタコライスが,これがまた…本格的なんである。キリッとまとまったメキシカンなソボロ,カツとは対象的にサクッと歯応えを留めるレタス。
麻婆,沖縄風カツ,タコライス。これをワンパッケージにして,街角の,言っちゃ悪いが小汚いストアに当たり前に売ってるこの邦は――。
チャンプルー文化なんて言葉がいかにも薄っぺらく思えてくる。ここではそれらを折って畳んで裏返し,何とも得体の知れないものが創造されてく。
ここは一体どこなんだ?
▲みやぎのくんぺん,お菓子のポルシェのくるみ餅,サンエー紅芋あん入り天ぷら
薫餅。
読みは「くんぺん」。沖縄の甘味の原点だと思う。
ピーナッツやら水飴やら淡い甘味の複合体が織りなすこの幽玄さは,これだけで何倍でもお茶がいけてしまうシロモノです。
サニーマートがまだ開いてたので,つい立ち寄って購入してしまいました。
みやぎのくんぺん 100
お菓子のポルシェ くるみ餅100
サンエー 紅芋あん入り天ぷら100
くんぺんは沖縄の甘味の原点だと思う。甘くて堪らないとか決して目鼻立ちの明瞭な味じゃない。茫洋とした甘さというか,ピーナッツやら水飴やら淡い甘味の複合体が織りなすこの幽玄な甘味。これだけで何倍でもお茶がいけてしまうシロモノです。
甘味としては,もちろん中華圏の焼き餅などの影響も無視できないけれど,どうしてもコリアンの伝統菓子を想起させます。
ほかのは…まずまずだったか?沖縄的ではあったけど,ムチャクチャに外した甘味ではなかったかもです。
こんな感じで――大雪のナイチとの別世界感も手伝って,今回もまた,我知らずしてずるずるとウチナーの光に満ちた闇へと,真っ逆様に落下して行った初日でした。
渦中にいては全く自然に,心地よく疲れて行ってるだけなんですが…後から振り返ると,いつもにも増してこの初日,そんな転落感を覚える道行きだったんでした。
▲使用され終わったらもう一度便器を見て下さい。
…そこに何がある?
標題和訳:ラジオ体操第一始めましょう
(ちなみにここからが更にスゴい)
ケーナメーカラウェーンカイアギティ ヌビヌビトゥセヌビヌウンドーカラサイ
和訳:腕を前から上に上げて伸び伸びと背伸びの運動からです