外伝01-1ಬೆಂಗಳೂರು 【帰国日】ニッポン見ゆ!

 17時,台北桃園国際空港の機内待機中。携帯から自分のWebに接続するのは12日振り!バーチャルな世界への帰国が,嬉しいよーな悲しいよーな…
 香港から福岡への飛行機が一度台湾に降りたとこ。では空港でノンビリしよかと思ったら,着陸してから「訂正します…」って?「保安上の理由により席に座って待て!」
 え~!ほじゃ小便でも…と席を立つと「停機中はトイレは使用禁止!」ええ~!!どうすりゃいいの~
 っていうのも腹壊してるからか今はとっても頻尿な気分…さっき香港でも離陸してシートベルトサインが消えると同時にWCへダッシュしたのに…困る!もう次のビッグ・ウェイブが来てるぜベイビー!!
 っていう深刻な事情がありまして──ちっとも帰国とか旅の終わりの感慨に浸れない膀胱,いや僕なんです…
 Heyスッチー!One機内用し瓶Please!
【以上現地アップ分】
 
 時間は戻って22日…今22時。もう1時間近く,国際線入口右手のフードコートで粘ってる。
 ここにも発見「CoffeeDay」!君にゃ最後までお世話になったね~!!とエスプレッソをチビチビやってたら──今ついにカップを下げられちゃった。ハイ…そろそろ出まッス…
 22時半。空港にてチェックイン・カウンターを探し始める。
 全く…この空港はとても国際空港じゃない!今拡張工事中みたいだけど2階建の吹き抜けホールのみ。ベンチもほとんどない。ロクな表示もない。カウンターも33しかないから探せるけど。わしのフライト2時45分発CX632は23時チェックイン開始だって…仕方ないからトイレへ行きます。着替えとヒゲ剃りでもしときましょ!

 24時,空港6番ゲート前の喫煙室。
 2度も手荷物チェックがあったのに…バッグの中の水のペットボトルもこの携帯もフリーパスだぞ(試す方も試す方だけど)?あんまりハイジャックするつもりないけど,もしコレが液体爆弾だったら?携帯型の起爆装置だったら?厳しいようで全然チェック甘いじゃん!これがチェンナイの組織システムのレベルみたい…
 そりゃそーと。さっきから腹がグルグル唸ってる。今回はあんまり貧乏旅行じゃなかったから衛生的にはかなり良かったはずがヤッパ腹にはキてる。まだ細菌性じゃないけど,下痢は下痢みたい。まあミルス食堂の生水はガバガバに飲んでるから当然っちゃあ当然。体重半減プロジェクトで腸管が下がって便秘気味だったから丁度いいリハビリ(?)。
 そういえば今ウィンド・ブレーカーを着てるけど,これは持ってきて正解。昼間の屋外は日差しが強くて真っ黒になったほどだけど,痩せたからか空港内や機内は寒い。ポケットが使えるし,寝台列車では寝袋的に活用できた。
 さて…フラ世界の下巻に専念しよう!

 12時,香港国際空港ターミナル2の30番ゲート,Espressamente illyでエスプレッソを飲みながら…ってまたエスプレッソかよおッ!…すんません,中毒なもんで。
 でも4US$しただけあって美味い!今まで飲んだ中じゃベストショット!
 やっぱ行きとは違って落ち着いてんのか…シャワー室も発見。30US$と高いから止めたけど,ターミナル1にはもっと安いシャワーがあるみたい。
 26番ゲートにネットカフェがあったけど日本語ATOKは無し。ちなみに英語と中国語(繁体字と簡体字)でした。
 とすると,あんまりすることはない。
 チェンナイで「重さがオーバー!」と預けさせられたバックパックが福岡直送扱いになってることもダブルチェックした。14時55分のフライトまで71番ゲート前でフラ世界の完読に専念しましょ!
 昨日あんま張り切って歩き過ぎたみたい。足の指に3つマメができちまった。2つは血マメになってる。昨日砂浜を歩いたままだからな…。バックパックを奪われてるから薬がない。この空港の無印良品の店に5本指ソックスがあったんで購入。行き先が暑い場合もこれは色々重宝しそう。今度から忘れずに持ってこう。…って既に次回を計画してるわし。
 そりゃそーと──わしがおもむろに履き始めた5本指ソックスを,向かいの席のインド人家族がスンゴく不思議そうに見守ってくれてます…温帯の習慣ってなかなか理解してもらえんやろな。
 そう。わしの旅程は靴下の世界に帰ってきたんである。

 ──以上が,わしの6回目のインド小旅行です。ごく普通の中級旅行だけど,残ってたインド中央部を訪れBig6を一応全部見たことになる。
 初回の北インド,特に農村部で見た絶望的な貧困は南インドにはもう少ない。けど,経済成長に向かう上で絶望的な社会システムの欠陥はまだ抱えたままです。
 20年前の初回旅行の頃,これを何とかするには徹底的に管理的な社会主義位しかないんだろなって思ってた。
 けど,現実のインドが選択した道は違ってた。対戦後すぐのインド独立の頃。初代大統領ネールがまずやったのは,自分たちが抑留されてたコルカタ郊外の政治犯収容所を改造してインド工科大学を創設。頭脳立国を目指す。──この大学こそ現在世界中の企業が青田買いに殺到するITUです。
 独立時のインドと言えば,ヒンドゥー教徒とムスリムとの紛争が荒れ狂う完全な最貧国。わしの初回旅行の時代より遥かにお先真っ暗闇又闇の絶望状況。そんな時代にあって「頭脳で世界トップに立つぜ!」って国家目標をぶち上げた!機材や設備にかける金もないから,専ら机上の理論研究に特化。それが現在の数学やIT,理論工学での強さになったんだって。
 第三世界を旅行すると特有の瞳に出会います。絶望に着底し切った瞳。日本のリーマンの退屈に倦んだ瞳とは次元の違う悲惨な眼光。──挑戦するチャンスは皆無。生涯絶対来ないと諦め切った瞳。
 最貧国に限らない。文化的デカダンスに陥ってるトルコやカンボジアにもこの眼色は目立つ。程度の差はあれ中国やアラブ全般にも傾向は強い。

 多少他の外国を見た後で訪れた今回のインドで一番衝撃だったこと。それは…奴らは誰も「絶望の瞳」なんて持ってないってこと!もう珍しくなった縦穴式住居の住民だって路上の物乞いだって,気迫に満ちた誇り高い面構え!
 こういう奴らだから,独立直後に頭脳立国を構想しちゃう感覚が持てるんだな。最強国アメリカに核開発で喧嘩を売りつつ,先進国のIT技術の基礎部分をかっさらっちゃえるわけ。
 要はプライド!人間としてのプライドの骨格がとんでもなく図太いんです。例え物乞いやってたって,そのプライドは微動だにしない!…貧しいから何だ?食えないからどうした?
 ──ずっと前からインド人は総中流階級なんですわ!
 あいつらは…ツギハギだらけの服で満身に傷を残しながら,思いっきり楽観に満ちた笑顔で疾走して来る!日本に追いつくとされる2030年に向け全速力で!

 さて…そこで裕福さに飽いて浮遊してる我が平成ニッポン。確かに戦後70年積み重ねた各方面のシステムは腐臭を醸してる。かつての伝統社会が持ってた安全装置も機能を停止。
 けど…それはインドよりずっと表面的だぞ?そこで倦怠してたら笑われまっせ?
 目が覚めたら走り始めた方がいい!