外伝10 弗 $Before 7 weeks$ American’s daily bread

「アメリカ人は何で肥満が多いの?」「ハンバーガーばかり食ってるからだよ」…もっと栄養バランスの取れた食事をすればいいじゃないか,という意見したくなる人は,「つまりアメリカの現実を分かってない」ということになる。アメリカ人の肥満は,貧困と密接な関係があるのだ。
 アメリカは貧富の格差が激しい。昔の感覚と言えば,腹が出るほど太った資本家が労働者を搾取する,正にそれだった。ところが今は,ホワイトカラーはフィットネスクラブで体を鍛えて颯爽とスーツを着こなし,貧乏人は肥満にあえぐ・・・。いったいどういうことだろうか。
 堤未果氏の研究によると,貧富の格差から来る「健康格差」は,既に子供の頃から現れているという。貧困家庭の子供は「学校給食」に頼らざるを得ないが,公立学校給食に卸される食品は,ハンバーガーにピザ,フライドチキンにホッドッグ~いわいるファーストフードとジャンクフードのオンパレードだ。なにせ,何から何まで効率を優先するアメリカである。限られた予算でやりくりする為には,安価で,調理が簡単で,手っ取り早くカロリーを摂取できる食品が好まれる。
 背後に,学校給食という巨大マーケットに巣食う大手ファーストフード業界の姿があった。子供を不健康にさせておいて,会社だけが丸儲け~これがアメリカの現実だというから驚く。
(堤未果著~「ルポ:貧困大国アメリカ」から~衝撃的だったアメリカの現実)

 アメリカ人は一日平均3,900カロリーを摂取しています。これは世界一のカロリー摂取です。日本人が一日当たり2,900カロリーを摂取していることと比べても,いかにアメリカが飽食の国であるかがわかります。こうした食文化を支えているのは,世界一の農業生産です。小麦,大豆,とうもろこしの生産は世界一であり,これらが家畜用の飼料となって牛や豚の大規模生産が行われています。アメリカには,牛肉やトウモロコシ,豆,果物,乳製品などの良質で豊富な食材をつかったダイナミックな料理が数多くあります。広い国土のわりに,労働力人口が不足していたために早くから機械化が進み,缶詰や加工食品,冷凍食品が発達しました。これらを利用して合理的な食生活をするようになり,ハンバーガー,ホットドッグ,フライド・チキンなどの軽食が多く食べられるようになりました。食事献立の単純化は,規格品を大量に生産するアメリカ食品工業の目覚しい発達によるところが大きいといえるでしょう。
 アメリカ人の好きなものといえばこってり系,つまり肉製品,バター,チーズなどの乳製品で,これらは日常の食生活に欠かせません。アメリカでの食事は,朝はシリアル,パンに紅茶やコーヒーといった軽いもので,昼食はハンバーガーやピザ,タコスといったものがポピュラーです。夜になると,チキンやステーキなどの肉類を食べるようです。アメリカの食文化といえばやはりファーストフードです。ハンバーガー,サンドイッチ,ホットドッグはアメリカ人の三大ランチといってもよく,これらのフランチャイズ店の数と種類がとても多いのが特徴です。単にファーストフード的な存在だけではなく,家族連れで出かけるレストランのディナーのテーブルに上ることも多いのです。
<参考文献>
○ 世界の食べ物
週刊朝日百科 朝日新聞社 1983年 
○ 食べるアメリカ人
加藤裕子著 大修館書店 2003年
(アメリカの食文化 / 山口大学教育学部・米日財団)

 ここらで,出張中に食べたものを紹介したい。 どうしてもアメリカでは肉とジャンクフード中心の食生活となってしまう。
 ハンバーガー,サンドイッチ,メキシカン,この辺りがローテーションの軸となり,その間を埋めるように,ステーキ,日本食を含むアジアンフード(これは場所(街)が限られるが)が挟まれたりする。
 とにかく量が半端じゃなく多く,毎食完食しようとすると,間違いなく体調を崩すだろう。
 ローテーションの軸の中で,私が一番好きなのはメキシカンフード。
タコス。アメリカならではの特盛り!
 右のトルティーヤスープは最高にうまかった!
 メキシカンにはやっぱりこれ、コロナ。
 サンドイッチははずれが少ないので,迷ったときの堅実な選択としてはお勧め。やっぱりB.L.T.(ベーコン,レタス,トマト)でしょ。
 パニーニも割といける。
 アメリカといえば,ステーキも。フラッシュは滅多に使わない私だが,この店は,あまりの暗さに使わざるを得ず。
 複数のナイフが刺さっているのは,ビーフ&ポークリブと,ローストチキン。
 どの肉も柔らかく,おいしかった。
 ロサンゼルスのような都会では,アジアの料理もある。
 日本食レストランで食べた,天ぷらとカリフォルニアロールのセット。
 カリフォルニアロールを日本食とするかは微妙なところだが,いちおう日本人が経営する日本食レストランのメニューだったので良しとしたい。
 ボリュームはアメリカ人も納得の量だったりするが,非常食として持ち込んだ日本食とかで胃袋を少し休ませてやるといい。
 完全に絶食するのもいいと思う。
 とにかく,毎度のことながら量の多さには驚かされる。
 値段は3分の2くらいでいいので,量を半分にしてくれと言いたくなってしまう。
(三度目のアメリカ出張 アメリカでの食..)

 多くの人(日本人)が「アメリカ人はファーストフードが好きである」と書いているけど,では日本人がファーストフードを好きかどうかと言えば,これだけ日本中にファーストフードが蔓延している状況から見ても「日本人はファーストフードを好き」になるのではないでしょうか?
 しかし現実には「好きな人は好き,好きじゃない人は好きじゃない」なはず。どうして国民全体で好きかどうか決める事が出来るのか…。日本でも,お昼時のショッピングモールのフードコートに行けば,子連れの主婦やサラリーマンなどでごった返しているし,夕方6~7時頃行っても,そこで夕飯を済ませている人達は多く,そういうところだけ切り取って「この国民は皆そんな食生活を送っている」なんて,言ってるほうが馬鹿に見えますよね。外国のTV局がもし日本にあるハンバーガーショップにカメラを据えて,そこに来ている人達を毎日レポートして「ほとんどの日本人が毎日こんなものを食べている」なんて言われたら日本人なら怒るはずです。
 まして「質より量で,味や栄養などにはあまり注意を払わない」なんて考え方まで決めつけられたらたまりません!少なくとも自分の周りには「食事は空腹を満たすものと考えているアメリカ人」なんて居ないと思うし,「質より量」なんていう人も居ません。食べるのが早いとも思わないし,むしろ夕食などは会話を楽しみながら2時間ぐらいかけて食べてたりします。こんな事を書けば「2時間もよく食い続けられるものだ」とまた言われそう…。
 批判する人の姿勢はそんな感じです。冷静に考えれば解るようなそんな馬鹿な考えを,よその国の事になるとそこまで平気で言い切る事が出来るのか,同じ日本人としてとても恥ずかしく思う。
 無意識な差別意識は恐ろしい。
 中には1週間のアメリカ旅行で毎日ファストフードに通って「アメリカ人は毎日こんなものを食べているのだから太るのも当然」なんて旅行記を書いてる人や,ビュッフェで盛れるだけ皿に盛って写真を撮って「こんなに食べるんだから太るのも当たり前」みたいに書いてる人もいたりします。
 でも,そういう人って,アメリカの実際の家庭料理を体験した事が無いのだと思う。また,アメリカにホームステイした経験のある人のレポートでも,たまたまそのお宅が野菜を全く食べない家庭だったのかもしれませんが「アメリカ人は野菜を全く食べない」などと言い切っていたりするし,他にもアメリカへ仕事で出張した人がレストランで食べた肉が「でかいだけで味も無く固かった」と言っていて…そういうレストランもあるのでしょうけれど,もっと良いレストランに行け~!って感じです(笑)。
 また,それを読む人達,そしてここに辿りついてこれを読んでいる人達も,いま一度「自分が知りたいと思っているのは何なのか」を確認して欲しいです。アメリカ人がどれほど酷いものを食べているのかを知りたいのか,それとも酷い食生活だと思われているアメリカ人が本当に皆酷い食生活を送っているのか疑問に思ってここに辿りついてくれたのか。
 実際,検索ワードが「アメリカ デブ 食生活」みたいな,最初から差別的なキーワードで,批判の材料探しみたいにして来る人も多い。
 確かに「今日の夕食何にする?」と言えば肉の種類から決めてからサイドを決める「肉中心」ではあるけれど(これは欧米諸国共通。イタリアンやフレンチだって,メインコースは肉料理です),まるですべての人が「質より量,馬鹿みたいな量を一気に食べる,うまいものが無い,ハンバーガーしか食わない」みたいに言われるのはどうかと思います・・・。
 日本と同じでフレンチを食べる人もいるし,イタリアンを食べる人もいる…さらにメキシカンだったりブラジリアンだったり,そのバリエーションは日本以上なのに…日本食も最近は好まれて来ています。
 肉を食べる人も多いですがベジタリアンも凄く多いです。「ベジタリアン用メニュー」が用意されてるレストランもかなり多いです。日本のレストランに「ベジタリアン用メニュー」なんてありますか?批判する人はそんな事実は全く取り上げようとしない。見たいものしか見ない。

>ステーキ,ハンバーガー,フライドチキン,ポテト・・・
>すべてに大量の油が使われている。たしかに「オイリー」
>なジャンクフードはおいしい…しかし,こんなにも
>毎日食べられるものかと本当に思う。

 だから,毎日食べてませんてば~!(笑)上で述べてる品は観光客としてアメリカに行ってファーストフードで見たものに過ぎないと思う(それとも,それさえしていない単なる想像か)。
 実際上のような事が言われているとアメリカ人の友達に話したら「家でフライドチキンやハンバーガーを作るなんて通常の料理を作るより余程手間がかかる!」と笑われました。
 日本人の食卓は毎日寿司と天ぷらですか?
 いろんな人に,すべてがそうではないんだよと一生懸命伝えてはいるんですが,どうも無意識な偏見のようなものがあるようで,これらの引用の文章のようにいつも「攻撃的(バッシング?)なイメージ」です。
 もしも上記のような事を本当にアメリカで見て来たのだとしても「それはあなたが毎日ファーストフードに行って食事したからなんじゃないですか?」とツッコミたいです(笑)。ファーストフードに行けばそこでは全員ファーストフード食べてるに決まってます!
 出て来る量が多いのは,それが出てくる量を自分で決められない「店」だからです。僕だって出て来るものすべて平らげる訳ではありません。もしS・M・Lとサイズが選べるのなら自分が食べれる量のものをオーダーします。
 でも選べない時は大きいものが出て来ます…これはオーダーする人のせいじゃないし,全部食べるのを強制されているわけでもありません。それなのに全部食べて「よくこんなに多くの量を食べれるな」とその食べ物に対して言っている人(日本人)を,もし周りの人が見たら自分自身が「岩のようなステーキをほおばり,タンクのようなコップから繰り出すコーラを流し込んでいる日本人」なわけです。
 栄養的バランスのためにサラダでも注文しようものなら「たらいに入ったようなサラダにがっつく」と言われるわけです。「食べる」のではなく「がっつく」と言葉を置き換える事に疑問を感じませんか?
 そもそも日本人みたいに小さくて華奢な体で食べられる量と,横幅だけでなく縦にも大きな彼らの食べる量が同じであるわけがない。何かの本で,日本人は鍛えても背中の筋肉がほとんど付かないのに欧米人は元々発達しているという,動物学的な違いがあると読んだ事がある。
 批判する人は,「肉ばかりで野菜なんか全然食べない」なんて誇大表現したかと思うと同時に「たらいに入ったようなサラダにがっつく」なんて矛盾した事を言ったりする。ヘルシーな食生活を考え直すことと,批判(バッシング)とは全く別の問題。そして問題を抱えている人達が考えれば良いことだと思う。実際そういう意識は高まってきているのだから。
 ここで僕が言いたいのは,太った人口のデータ的な結果やどれだけの人がファストフードを利用している等のデータや証明などではなく,どうしてそんな矛盾した事を言ってまで「よその国」を批難したいのかという,個人の心に対して疑問を感じるということです。良いところを見ずに悪いところだけ誇張して,なんだかとても満足げな人々。そして「国」というところで簡単に線を引いている人々…。
 上の写真は「たらいに入ったようなサラダ」なのかもしれませんね~(そのままがっつく人は居ませんが,その人が行ったところはそういう場所なのかもしれませんね)(笑)
(アメリカの食生活)

 NYが別名「Big Apple」と呼ばれることを知っている人は多いと思うが,ニューヨークが実は全米第2位のリンゴの名産地であることを知っている人は少ないのではないだろうか?(ちなみに1位はワシントン州)。生産高もなんと,1年で31億個でリンゴ栽培に携わる農家も694軒あるという。そしてリンゴ栽培がもたらす雇用はこの694軒の農家はもちろん,農作業関連の仕事が約10,000,間接的な業務(輸送,マーケティングなど)が7,500,それに加えて農薬サプライヤーや設備メーカーなど,何千という雇用がリンゴのおかげで発生している。リンゴはニューヨーク州の経済を支えているといっても過言ではないだろう。
(2007年02月28日プログ ニューヨークとリンゴ)