外伝10 弗 $Before 5 weeks$ Uchinawan’s daily breads

 終戦直後,灰燼に帰した沖縄の食糧難は他府県にもまして深刻でした。占領後のアメリカ軍からの配給物資は缶詰のコンビーフ,ランチョンミート,ベーコン,ハム,ソーセージといった多種多様な肉製品が多かったのですが,沖縄の人々はおそらく初めて口にする食材にもかかわらず,すんなりと受け入れたのでした。それは飢えていた時代であり選択の余地も無かったこともありますが,もともと肉食文化の歴史を持つ沖縄では,肉製品を受け入れる素地があったことが一番の理由とも言えるでしょう。特にランチョンミートなどはことのほか県民の嗜好に合ったようで,たちまちチャンプルーなど惣菜料理の食材となり,これなくしては考えられぬほどの重要な食品になったのはいうまでもありません。現在でも朝食はパンとコーヒーを食す年配の方も多く,また,町の喫茶店を「コーヒーシャープ(ショップ)」と言ったり、お水を「アイスワーラー(ウォーター)」と言ったりするほど,庶民生活にもアメリカの食生活が色濃く残る場面がいくつもあります。復帰前はアメリカ食文化の影響を本土よりもいち早く受け,ファミリーで行楽帰りに行くドライブインレストランや,ファストフード店,ステーキハウスなど,外食は主にアメリカの洋食が主流でした。現在でもファストフードでは,日本本土進出のアンテナショップとして,沖縄に店を出して反応をみる外国企業があるほどです。

〇 復帰後の沖縄
 本土復帰によって,米食や海産物の流通が増えてくると,一転して今までの食生活に変化が生じました。居酒屋やすし屋といった日本食店が繁盛するようになったのです。県民の,日本食に対する嗜好がいっそう深まってくるのもこの頃からです。だからと言って,今までのアメリカ風の食が消えたかと言うと,そうではありません。もともと沖縄の食は琉球王朝時代からインターナショナルなものだったのです。アメリカの食材をもともとあった庶民の惣菜に組み入れたり,沖縄では獲れない本土海産物の美味しさを巧みに取り入れたりしながら食文化を堪能しています。これら料理の発展も,諸外国との平和なくしては成り立たないという事も改めて考えさせられることでもあります。
(終戦後のアメリカ食文化)
 ファストフードと言えば,私がまだ学生の頃,モスバーガーでアルバイトをしていたことがあったのだが,沖縄支店では和風スープよりもクラムチャウダー,ミネストローネスープの方が断然売り上げが高く,私の当時の上司が『沖縄の人はキャンベルスープなどを飲みなれているから,和風はかえって違和感があったのだろう。これもアメリカ食文化の影響だ。』と言っていたのを今でも覚えている。
 実際,和風スープの登場により,一部の洋風スープが店頭から消えた時には,特に沖縄では苦情が多かったとも聞いた覚えがあるが,現在のモスバーガーのメニューを見てみると,クラムチャウダーとミネストローネが沖縄限定販売になっているのにはそういった背景が考慮されているのではないかと思う。
 スープのみに限らず,アメリカの影響が顕著に出ている沖縄の外食文化は他にもいくつかあるのだが,以下に書き出してみたい。
*フライドポテトにケチャップをつけて食べる習慣が浸透しており,ファストフード店でフライドポテトを頼むと,大抵の割合でケチャップが付いてくる。
*沖縄のステーキ専門店に行くと必ずA1ソースが置かれている。
*沖縄の食堂などでは,焼きそばを注文すると,ケチャップ焼きそばが出てくることもある。ちなみに私の実家では,父が焼きそばを作る場合には必ずケチャップ焼きそばになってしまうのだが,ウスターソースとケチャップをバランス良く絡めた味はすっかりうちのおふくろの味…もとい,親父の味になっている。(^^;)
 それから,アメリカによる沖縄の食文化への影響を語る上でも,沖縄の紙パック入り飲料の容量について触れるのは忘れてはならないだろう。
 一般的な沖縄の紙パック入り飲料の容量は,500ミリリットルや1リットルではなく,なんと473ミリリットルや946ミリリットルで,一見すると実に中途半端な容量なのだが,これもアメリカ軍統治時代の名残である。
 特に日本復帰前は,沖縄で使われた容量単位は「gallon(ガロン=gal.)」,「quart(クォート=qt.)」,「pint(パイント=pt.)」 などだったそうだが,復帰後も紙パック入り飲料の内容量は変わらず,表示単位だけを日本本土と統一する為に換算した結果,473ミリリットルと946ミリリットルという内容量が定着してしまったのだとか…。
(ちなみに,473mlは1/8gallonまたは1/2quart,もしくは1pintに相当し,946mlは1/4gallonまたは1quart,もしくは2pintsに相当する。)
 恐らく他にも,アメリカの影響を受けた沖縄の食文化の例はまだまだあるとは思うのだが,とりあえず今回は私が思いつくことだけを取り上げてみた。
 沖縄を訪れる際には,アメリカの影響を受けた沖縄のもう一つの顔を探してみるのも面白いかもしれない。
(プログより)

 最近,地域医療研究部などに入って活動?(ただ話を聞きに行ったりしてるだけだと思うけど…)している我が旦那様。
 教授などからいろいろなお話を聞く機会にも恵まれるようですが,な,なんと沖縄はアメリカに占領される前は肥満率が全国で一番低かったらしいのです!
 さすがにアメリカになっちゃってる間はデータがないらしいんですが,返還された後,新たにデータをとったら,沖縄の肥満率が堂々の全国1位になってしまっていたらしい…
 これは一体何を示すのでしょうか。
 いかにアメリカ食が身体に悪いか!ということですよね!?
 確かに…現在の沖縄の味付けやら味の好みなどを拝見するかぎり,なんだかとってもアメリカ~ン。
 スーパーで売られている恵方巻きに,海老フライ巻きとか,豚かつ巻き!なんていうのがありましたっっ
 お~!びっくり~。。
 でも,きっと,伝統的な沖縄食は最高にヘルシーなハズ。
 しかも,素晴らしい食材が豊富で,綺麗な海に囲まれて,さぞかし,平和で穏やかで健康的な生活を送っていたんだろうなぁ~と思ってしまう,昔の沖縄。
 今や,長寿県からは転落です。
 現在は,減塩効果により,東北地方などが長寿率をのばしいているそうですよ!
 昔は保存食のお漬物やら,塩分摂取が多かった東北地方では,寒いのもあるかもしれないけど,高血圧になりやすく,血管が詰まりやすかったそうなのですが,減塩宣伝効果で?気を使うようになって,随分と長寿になっているらしいです。
 血圧を上げるのは,何を隠そう「塩分の摂りすぎ」なのですねぇ。
 しかーし,沖縄では現在は,「逆さ仏」なんて言葉も生まれているそうな…
 おじいちゃんおばあちゃんより,50歳,60歳くらいの子供の方がが早く死んでしまう…
 憎っき,アメリカ食。
 きっと,沖縄が悪いわけじゃないんだ。
 ハンバーガーもステーキもファストフードもぜーんぶアメリカで生まれて,日本に伝わって,日本人の食生活やライフスタイルを変えてしまった。
 もちろん,恩恵を受けている部分も沢山あるとは思うけれど。。
 今度は,「ローフード」がアメリカから伝わって,欧米並みに悪化したといわれる日本の食生活を救ってくれるのでしょうか???
 まあ,アメリカ発の「ローフード」が完璧だとは思わないけれど,「流行り」がアメリカから流れてくることで,野菜や果物を食べる重要性に目を向ける人が増えれば,それはそれでいいことなのじゃないかな,と思ったりもします。
 きっかけは何であれ,生の野菜,果物をもっと食べて。
 健康になる人が増えていくことを心から願っています。
 ローフードで世界中の人の心が平和になりますように。
(プログより)

パネラー 尚弘子(琉球大学名誉教授)
 沖縄の「肉食文化」が「飽食の時代」に流されている。
 明治期の食生活では,日常食の94%は甘藷(んむ)で,甘藷のつる(かんだばー)や豆腐など具沢山の味噌汁とともによく食していた。
 豚肉は盆正月にでる程度だった。
 ところが現在は,牛やポーク缶など肉の加工品もたくさんあり,それらを毎日のように食している。
 アメリカ流のファーストフードの文化が県人の健康を蝕んでいる。
 米軍政下において,アメリカ流のファーストフードが本土に先駆けて導入された。
 この環境が沖縄の食文化を崩壊させた要因だ。
 しかし,本土復帰後も平均余命日本一が続いたので,県民は沖縄の食文化の崩壊の意味を理解できなかった。
 沖縄=長寿というおごりと,健康意識の欠如が今日の結果をまねいたのではないか。
(忘暮楼沖縄日記,「琉球新報」主催の「長寿沖縄再構築への挑戦」シンポジュームでの議論を通して)
 プロテスタントの国では食事に贅沢をすることは悪という観念がある為,これらの国では食事は極めてシンプルで粗末だ。日本人の食事は決して贅沢なものではないが,昔から家族で食卓を囲み,食材から調理したものを皆で食べる。
 だから食事は食欲を満たすという行為以上に毎日の中で重要なことである。
 だからファストフードで済ます夕食は心が貧しくなった気がするのだ。
 中華圏や東南アジアでは,女性の社会進出が日本よりはるかに進んでいるため,女性もフルタイムで働く人が多い。当然家事まで手がまわらず外食がほとんどだ。だから安いフードコートなどが発達した。そこで幼少の頃から食事することに慣れた人は,夕食がフードコードだろうがマクドナルドだろうが気にしない。
 食文化の崩壊とアメリカ化は日本以上に顕著だ。
(2010/06/18 08:06アメリカの食文化の影響)

 沖縄の自然食レストラン「だいこんの花・美里店」のランチタイムサービスでは,「手作りパスタ」を実演しています。
 「カルボナーラ」が人気ですね。
 やや濃厚な感じが,冬を感じさせてくれます。(略)
 ベーコンを炒め,それに生クリーム,チーズ,卵黄,粗挽き黒コショウを加えてます。
 元々はローマの料理でベーコンではなくグアンチャーレかパンチェッタを使用し,チーズにはペコリーノ・ロマーノやパルミジャーノ・レッジャーノ,パスタにはスパゲッティを使用しスパゲッティ・アッラ・カルボナーラ(Spaghetti alla carbonara)というそうです。
 但し卵を多用するこのメニューがイタリアで広まったのは第二次世界大戦の後,アメリカ軍が進駐してきてからのことからのこと。(Wikipedia)
 あれれ….アメリカ軍の影響はイタリアにも出ていたのですか。
 へぇーですね。
 沖縄も,イタリア料理は,基地のキッチンから広がっていきました。
 アメリカンスタイルのイタリア料理ですが。
 アメリカへ移民で渡った人々がイタリア料理店を作り,アメリカの素材やサービスを取り入れながら変化していきました。
 ピザ(ピッツァ)もアメリカにすっかり定着し,今やアメリカを代表するフードに育ちました。
 美里店のある「沖縄市=コザ=KOZA」もアメリカの食文化の影響を受けた地域ですね。今は,逆によくアメリカ人のファミリーのお客さまに「和食」を食べていただいてます。
 アメリカ本土でも,空前の「和食ブーム」です。
 今やダイエットフードの一番を走っている「寿司」がその代表ですね。
(2008年11月20日カルボナーラはアメリカの影響?(<だいこんの花HP))

 沖縄の広大な米軍基地の中で,ただ一つ,地元民や観光客が入れる施設がある。北中城村のアワセゴルフ場と併設のメドウズ・レストラン。このレストランは,アメリカ風のレストランではなく,アメリカのレストランそのもの。(略)
 米軍基地の敷地内には,ショッピングセンターからボウリング場まで,小さな町にあるような施設はだいたい何でもある。海兵隊で,こうした民生関連施設を一手に運営するのが海兵隊コミュニティサービス(MCCS)。ただ,民生施設とはいってもすべて軍事基地内にあるので,軍関係者以外は立ち入りできない。メドウズ・レストランもMCCSが運営する米軍施設の一つだが,例外的に基地のフェンス外にあるため,だれでも利用できるというわけだ。
 「特に日曜日は日本人の利用客が多いですね」とレストラン事務所のジョン・ライトルさん。(略)
 肝心のメニューはほぼ100パーセント,アメリカ食。サンドイッチ類にはたっぷりとフライドポテトがついてくる。クリスピーなフライドチキンも,食べきれないような量がドカーンと登場する。
 ハンバーガーは,ファーストフードのそれとは違って,文字通りアメリカ仕様。アメリカのハンバーガーのパテは,牛ひき肉以外は本当に何も入れない牛100%が普通で,ここのもそう。パン粉はおろか玉ねぎさえ入っていない。かつ大きい。ファーストフードのハンバーガーの2倍以上ある。(略)ブルーチーズはアメリカ人好みの味らしく,サラダにかけるブルーチーズドレッシングは、アメリカの国民的サラダドレッシングの一つだ。(略)
 メニューは日本語版が用意されているし,ウエイトレスはみな沖縄の女性なので,言葉の問題は全く起きない。(略)
 現在のアワセゴルフ場は,近く,敷地が日本側に返還されるため,メドウズ・レストランともども,2009年11月に移転の予定。移転先はうるま市のキャンプコートニーの近くになる。ライトルさんによれば,移転後はレストランの名前も変わるだろうという。
(2009.01.25プログ)