ちょっと怖い住宅の話@ことばぐすい

「あと少しだけ住ませて」と懇願する滞納者、家賃保証会社の社員が「ざまあみろ」と思う瞬間
著者:0207(にがつなのか) 大家が知らない、家賃保証会社のウラ話 2025.7.16 転載

私は元・家賃保証会社の管理(回収)担当者。十数年間働いて去年、辞めた。現在まったく無関係な仕事なのかと言えば、そうでもないのだけど。

家賃保証会社のWEBサイトを覗いてみると、管理(回収)担当者の求人や社員メッセージが掲載されていて、殊勝な心がけだな、と思うことがある。

(延滞客)1人1人に寄り添って、(延滞客と)信頼関係を築いて、(延滞客の)立場に立って、住まいを守るために……などなど。

それを揶揄するつもりも、否定する気もない。素晴らしい理念である。

私自身は、こんな心持ちで業務に取り組んでいる管理(回収)担当者に会ったことはないけれど。どこかには、いるのだろう。

それに、1年は365日もある。誰だって1日くらいは、そんな献身的な心が芽生えるのかもしれない。もしかしたら私ですら。364日間はまったく異なる精神だったとしても。

管理(回収)担当者の篤実な1日、熱誠の指針は各社のWEBサイトにお任せしよう。今回は「本音」の部分、残り364日間の日常を書いてみたい。もっとも、管理(回収)担当者全員に共通だと強弁するつもりはないけれど。

私が「ざまあみろ」と思うとき

滞納した家賃の回収をしようとしても、延滞客とはなかなか連絡が取れず、取れても十年一日同じような言い訳と、わけのわからない不平不満を聞かされる。そして、聞くに堪えない罵詈雑言まで投げつけられるのが管理(回収)担当者だ。

2024年2月8日の記事も参考に、そんな日々をあなたが送っているとして、ここから先を読んでほしい。

延滞客は往々にして、「どうにもならなくなってから」連絡をしてくる。

明渡訴訟の提起、判決取得。強制執行の申立、そして明渡の催告──執行官が部屋を訪問し「◯月◯日に強制執行します」という告知を貼るセレモニー──が終わって、断行日(いわゆる強制執行の日)が目前に迫ってから、だ。「強制執行を止めてください」と。

それまで全く連絡が取れなかった延滞客である場合も多い。

強制執行の中止は簡単である。部屋を明渡せば強制執行は取り下げる。部屋の残置物は、こちらで処分してもいい。

しかし、断行日が目前に迫って連絡を寄越す延滞客は大抵、退去はできないのに「強制執行をやめてくれ」と希望する。ならば取り下げなどできるわけがない。何の解決にもならないから。

だが私は、この時間が嫌いではない。ある種の快感すらも得られる。

家賃保証会社の管理(回収)担当者の仕事は「(滞納した家賃を)払ってもらうか、(部屋を)出ていってもらうか」──極言すれば、それだけ。どちらかで「解決」。

つまり、断行日間近であれば「解決」寸前なのだ。もはや自らの努力や能力とは無関係に、終わる。高みの見物状態だ。

PHOTO:PIXTA

これまでに私が実際に受けた3本の電話を紹介する。

1つ目。以前「景気が良くなったら払う」と、馬鹿にした笑みを浮かべて、払えないのは当然、カネが出来たら払うと傲然と言い放った中年男性から。「強制執行を止めてくれ」という懇願。

2つ目。何度も電話し、何度もSMS(ショートメッセージサービス)を送り、何度も訪問したのにコンタクトが取れず、明渡訴訟に至った若い女性から。小さな声で、同様の哀願。

3つ目。いつも一方的に「月末に払う」とSMSを送ってきていた若い男性。結局、自転車操業も行き詰まり、明渡訴訟。断行日間近のこの電話で、私は初めて彼の声を聞いた。

必死の声だった。「来月、滞納している家賃を全て支払うから、強制執行を止めてくれ」と。夜風の音より空疎な誓言。当然、聞き流す。

受話器から聞こえる、さんざん手間をかけさせられた、面倒な延滞客の断末魔に──心地良い。まるで冬の夜の露天風呂に、肩まで浸かっている気分である。 あら、お月様が奇麗。

断行日が迫ったころにこういう連絡を受けた場合、「部屋を退去できないなら、強制執行を止められません。転居先を探した方が良いですよ」と事務的に伝える。実際それ以外に話すことはない。

そうはいっても、私は大抵の場合、福祉制度を案内するし、時間があれば申請などのサポートも行う。しかし嫌いな、面倒な延滞客に対してはそうではない。

私は、血の通った、感情のある、不完全な人間だから。たぶん、あなたと同様に。

嫌いで面倒な延滞客に対しては、私はあえて誠実な声音を精一杯に作る。電話なので相手に表情は見えない。だから、冷笑は張り付けたままで。

そして──「申し訳ありません! 私がもっともっと努力して、あなたにコンタクトが取れていれば! いずれ明渡訴訟になるから、ちゃんと正常な支払いに戻すよう、もっともっともっと……あなたを説得できていれば……! もうじき住む所も無くなってしまうなんてコトには、ならなかったのにっ! 私の力不足です。本当に、申し訳ありません。何も……クッ……! 私には何も、何もできませんが……。強制執行なんてことになって、本当に、本当に残念ですっ!」

強制執行を取り下げてくれ、何とかしてくれ、来月払うから──と繰り返し、終話を拒絶する相手の声を遮って電話を切る。知らず、笑みは深くなる。ざまあみろ。

これで解決、気分は最高。私はサウナに入った経験がほとんどないが、「ととのう」って多分こういう感覚だ。

……どこが管理(回収)担当者の364日間なんだ。クズの独白ではないかと指弾されれば、そうかもしれない。

他方、私は督促で強い言葉は使わない。所詮は会社員。自分のカネを失うわけでもないのに、延滞客へ居丈高な態度を取る同業者を、私は心の底から軽蔑している。

私は善人ではないだろうが、だからといって悪人でもない。どこにでもいる、ただただ中途半端な人間なのだ。そんな私でさえ、陰湿で嗜虐的な感情を抱いてしまう。管理(回収)担当者の日常業務は、私が経験した限りそんなものである。

家賃払わず「住みたい」と言い続けた男

同じように、強制執行の取り下げを嘆願してきた男の話をしよう。

その延滞客はKといって、◯県△市に住む40代後半の男性だった。1Kの部屋の家賃は3万9000円で、単身世帯。

彼をひと言で表せば「家賃も払わないのに居住したいと言い続けた男」である。私にとって、「面倒くさい」が凝縮した延滞客だった。

入居直後から支払いは無かった。収入は生活保護のみ。住宅扶助(家賃)は当然、支給されている。△市の生活保護の担当職員を交えて面談し、支払いの約束をしたこともある。

PHOTO:PIXTA

彼の姿は覚えている。薄い髪。タバコで変色したガタガタの歯。原因がわからないシミのついたチノパン。張り出た腹を隠せない、シワだらけのシャツ。本来の白色が消失したソックス。スニーカーだけがやけにキレイだった。

家賃の「代理納付」(福祉事務所から直接に家主や不動産会社、場合によっては家賃保証会社に家賃を振り込む制度)は、 2024年5月12日の記事にも書いたような事情もあって、Kには使いづらかった。

彼自身も拒否をした。自分で払うから、と。

結局、1度も支払わなかった。

カネが用意できたと電話してきたのに、集金の待ち合わせをすっぽかされたこともある。さすがに「部屋を出て行ってくれ」と、私らしくなく直接的に伝えた。

程なくしてKは逮捕された。事件の内容は今もってわからない。

家宅捜索や面会時に会った警察官が教えてくれないのは仕方ない。しかし、警察署(留置場)で面会したK自身ですら、何も答えなかった。

「残置物はこちらで処分しておくから、部屋の明渡に同意する書面にサインしてくれ」と面会室で伝え、書面と切手、返信用封筒を差し入れた。

後日、会社に届いたのは同意の書面ではなく手紙。「住み続けたい。釈放されたら滞納した家賃は全額払う」と。明渡訴訟を提起した。

1カ月ほど後に、Kは部屋に戻った。その時点で少なくとも、住宅扶助(家賃)は停止されている。生活扶助(生活費)は支給され続けたが。

不定期にKは電話をかけてきた。「(近々カネが入るので)延滞分を全額払うから」「来月(部屋を)出て行くから」──明渡訴訟を取り下げてくれ、と。

裁判の答弁書にも同様の主張が書かれていた。結局、支払いも退去もしなかったが。

答弁書のせいもあって、判決が出るのが延びた。しかし「家賃を払ってないだけ」の明渡訴訟である。「部屋を明渡しなさい」という判決は出る。するとKは「住み続けたい」と控訴した。

繰り返すが「単に家賃を払ってないだけ」なのだ。当然だとは思うが、控訴は棄却。判決は確定。まさしく時間の無駄だった。

PHOTO:PIXTA

改めて書き出しても「面倒くさい」以外の感想がない。それがKという男で、後に迎える断行日はその真骨頂だった。

断行の前夜、最後の切願

断行日の前日。21時に差し掛かるころ。スマホが鳴った。ディスプレイに表示された名前はK。私は小さく、嘆息した。

「来月(部屋を)出て行く準備が整いました。強制執行を取り下げてください」

今までの、のらりくらりとした口調とは打って変わって、スマホからひどく神妙な声が聞こえた。もっとも、神妙でも軽妙でも絶妙でも、何が変わるわけでもない。苦笑を混ぜて、私は返した。

「今更できるわけないでしょう? 明日が強制執行ですよ」

それまでにも私は「部屋の明渡をしないと強制執行の取り下げはできない」と伝えている。コイツは何を聞いていたんだ? 繰り返すが、断行日は明日で、もう夜だ。

「Kを信用してはいけない」。以前、生活保護の担当職員がそう言っていた。その信用できない延滞客の担当もようやく終わる。あとは退去後の延滞客へ督促する部署の仕事。

「悪いことは言わないんで、必要な荷物を持って今夜中に出て行った方が良いですよ」──私は薄い笑顔を浮かべた。声だけ、真剣に聞こえるものを作る。諦めて電話を切らせるために。もう21時になる。私は業務を終了したい。

Kが唐突に叫んだ。「来月、絶対に部屋を出て行くから強制執行をやめさせてくれ」と。私は小さく、短く、「無理ですよ」と返答して終話させた。

私の本来の終業時間はとっくに過ぎている。心から、早く帰宅したい。私は木っ端会社員。毎日、疲れている。

翌朝、10時30分。

Kの部屋である302号室で残置物の搬出を行う作業員を、私は通路の端から眺めていた。

ポケットからスマホを取り出す。ディスプレイに、不動産会社名が表示されている。聞こえてきたのはこの建物の管理担当者の声だ。

明渡の催告や断行の日に不動産会社や家主が現地に来るかどうかは、相手次第である。来たければ来ればいいし、来たくなければ来なくて構わない。サービス業ですから、家賃保証会社は。不動産会社や家主に手間はかけさせません。

もっとも、彼らは我々にビタ一文も支払ってはいないが。

「今日はお休みだったのでは?」

「ちょっと仕事があって、少しだけ出てきたんですよ」──彼は続けた。

その不動産会社は、営業時間外の電話応対を、他社のコールセンターに委託している。そこが聞き取った用件は、翌営業日に不動産会社で対応することになっていた。

「今日」の午前2時ごろにコールセンターへ連絡が入った。「Kが死んだ」と。部屋で発見されたと。

PHOTO:PIXTA

「今日って強制執行の日ですよね?」

彼の、やや困惑した声が聞こえた。

ゴミ袋2つを両手に持った作業員が、私の前を通り過ぎた。302号室から出てきた執行補助者(残置物の搬出や保管を行う業者)と目が合う。彼は搬出作業の終了を目配せで告げた。私は頷き返して、口を開く。

「そうですが、もう終わりですよ。その連絡って誰からなんですか?」

「警察らしいですけど、詳しくはわからないです」

「私、昨日Kさんと話してますよ」

彼の話は「Kが死んだと警察から連絡があったらしい」だけ。それ以上の情報が無い。そのコールセンターとやらは何を聞いてたんだと思うが、いずれにせよ、断行はいま、終了したのだ。

それを彼に伝え、鍵は交換しておいてください、何かわかったら連絡しますと加えて、通話を切った。執行補助者に、いま聞いた内容を話す。

「人が死んだ風には見えなかったけど……」

彼は首を傾げて「終わったし、部屋の中を見れば?」と、顎で室内を指した。

残置物が全て運び出された部屋。室内の執行官(裁判所の職員)に、不動産会社からの電話内容を伝える。彼も執行補助者と同意見だった。

私は狂言の可能性を口にした。断行を止めたい一心で、K自身がコールセンターへ「Kが死んだ」と電話してきた可能性は?

近寄ってきた執行補助者が「かもね」と同意した。実際、我々にとって「今更そんなこと言われても」なのだ。もう終わったのだ。

執行官たちも次の仕事へ行かねばならない。ここに留まる時間はない。私だって他に仕事がある。

執行官たちを見送った後、私は再びドアを開けた。玄関口から室内を見渡す。入居者───Kの痕跡が全て消え去った部屋。狭い部屋だが、がらんどうの空間は、実際よりも広く感じた。

PHOTO:PIXTA

本当か? 何の臭いもない。何の痕跡も見当たらない。そして私は昨夜、確かにKと話をした。本当に、死んだ?

この時点で、私にとってKの案件は「解決」している。Kが生きていても、部屋の明渡は完了している。死んでいるなら、それだけの話だ。

しかし、何の確認もしないわけにもいかない。不動産会社が気にしている。本当に部屋で死んでいたのなら、警察が何かしらの捜査でやってくる可能性もゼロとは言い切れない。

家賃保証会社は、不動産会社が保証商品を使ってくれてナンボの商売だ。彼らとの関係を良好に保つためにも、出来る限りは状況報告してやらねばならない。

もっとも、家宅捜索が必要なら、警察から不動産会社へもっと明確に連絡しているとは思うが……ああ、面倒くさい。私は再びスマホを取り出した。

確認するといっても、△市の警察署へ電話する程度しかやれることはない。電話口の女性へ、家賃保証会社であることや、その他の事情を簡単に説明する。保留音の後に男性警察官へ代わった。

Kの部屋で本当に死体が発見されたのか? 強制執行はすでに完了した。部屋は空っぽだが、良いのか?

その警察官は、調べて連絡すると答えた。

オーバーキル

その日の夕方。私は別の延滞客が住む部屋の前にいた。ドアをノックしたが、応答は無い。いつものこと。

ポケットに入れたスマホから着信音が聞こえた。スマホを耳に当てると、男の声で、△警察署、そして部署名と姓が続く。返事をしながら、私は歩き出した。

今日の午前1時半ごろ、警察が安否確認のためにKの部屋へ入室。Kの遺体が発見された。ドアの鍵はかかっていなかった。Kを運び出した後、室内の鍵で玄関ドアを閉めた。鍵は警察署で保管している……? 社用車に近づきながら、私は尋ねた。

「誰が警察に連絡してきたんですか?」

「友達だそうです」

電話をくれた彼自身は、直接にはKの件を対応していない。しかし記録を見ながらなのか、担当した警官に聞いたのか、回答に淀みがない。

「鍵が開いている部屋の前から?」

ソイツが殺したんじゃないのか? いや、警察は明らかに「事件性は無い」と判断している。「室内にモノが何もなくなったこと」を問題視もしていない。部屋に再訪する予定もない。そして、遺族に連絡は取ろうとしているが、遺体はKだと。

PHOTO:PIXTA

遺族とは誰か? 教えてもらえなかった。ならば仕方ない。

何にせよ、不動産会社へ「よくわからないけど『自殺』していたそうです」と説明できる。これで本当に、完全に、「解決」だ。

通話を終えたスマホを、社用車の助手席へ放り投げた──今更死ぬかね。胸中で呟く。頭に「オーバーキル」という単語が浮かんだ。

家賃保証会社が介在する明渡訴訟は「必勝」に近い。なぜなら訴訟の原因はまず「家賃を払ってないだけ」だから。余程のイレギュラーがなければ部屋の明渡しを命じる判決は取得できる。

家賃保証会社の管理(回収)担当者にとっては、「明渡訴訟の提起=時間が経過すれば『解決』」だ。Kの場合も、そうである。

一方で、単身世帯の延滞客の場合、亡くなってしまえば「部屋を明渡した」とほぼ同義である。法的な問題や、残置物の処理はあるとしても、実際的にはほとんどが「死=解決」なのだ。

つまりKの場合、私の業務として見るなら、断行でも彼の死でも「解決」だった。

社用車の運転席に座って連想したのは「必殺」の剣と槍。

仮にプレイヤーが1本ずつ持っていたとする。1体の敵を倒すために、2本を同時に使うのは、過剰で意味もない。どちらかの1撃で目的は達成できるのだから。まさしくオーバーキル。

小さく舌打ちをして、エンジンキーを回した。

管理(回収)担当者の日常

ビルの地下駐車場に、社用車を停めた。長い運転時間で、背中や首が固くなっている。ペダルを踏み続けた右脚には違和感を覚えた。

右、左と1度ずつ首を傾けた後、大きく息を吐く。助手席に置いたバッグを掴んだ。車から降りて、ドアをロックする。

エレベーターに足を向けると、5つ年上の同僚が立っていた。私と同じく、外出先から戻ってきたようだ。彼の担当業務は営業。私とは違い、延滞客の対応をすることはない。

「お疲れ様です」

私は小さく頭を下げた。彼が右手を小さくあげる。

「今日はどこ行ってたの?」

Kの件を要約して伝える。興味を持ったようで、エレベーター内でも彼は質問を繰り返した。会社のあるフロアに着くと、「そうかぁ」と小声で呟いた。そして、会社の入口へ歩き出すとすぐに、私の目を覗き込んだ。

「あんまり気にしないようにね」

PHOTO:PIXTA

何を? 数瞬、戸惑う。歩調を緩めた。ああ、そうか。

私はKと、死の数時間前に話をしている。だから私が、Kの死のトリガーを引いた可能性を想到し、気に病んでいるかもしれないから、「気にしないように」──?

「本気で仰ってるんですか?」

「……どうなのかなと思って」

「もっと早く死んでたら、もっと早く『解決』したのにとは思いましたが……」

「よくそんなことが言えるね」

彼は苦笑いを残して、会社の入口手前のトイレに入っていった。

以前にも書いたが、延滞客が遺体で発見されたとする。管理(回収)担当者の仕事を知らない人の何割かは、さも「大ごと」のように感じるらしい。

では、電車が飛び込み自殺で停まったら、どう思うだろうか? 私は、混雑した駅や電車内で死者を悼んでいる人を、見たことがない。Kに対する私の感覚はそれに近い。

悼む気持ちなど、見当たらない。ゼロだ。

ひどく長引いた案件。それが1つ解決した。最後まで面倒だったが解決した。それ以外に感想がない。

会社の入口前で立ち止まる。ポケットからスマホを取り出し、ディスプレイを数回叩く。今夜は知人と夕食の約束をしている。時間通りに行けるとメッセージを送った。

面倒だった案件が1つ解決した。それだけ。

単なる日常の業務。他に何も、無い。

本当に、ただそれだけの話。

(元家賃保証会社社員・0207)

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