「ジュゴンの見える丘」のこの最初のフレーズを聴くだけで目頭88号だばあ。
ヤマト帰国後4日間で禁断症状に耐えきれず,有給を取っちゃいました。今度の後遺症は引きずるぞ!
現在,広島から東へ向かうのぞみに揺られてま~す。(失業しないのか!?)
向かうは大阪大正町。佐野さんの本に載ってた情報を頼りに,沖縄料理店が連なるってエリアを目指してしまったわけです。
「大正区が“大阪ウチナンチュー”と呼ばれる沖縄からの出稼ぎ二世,三世,四世の故郷になっていることは変わらない。
JR大阪環状線の大正駅付近には,沖縄の砂糖菓子のサーターアンダギーを売る店や,沖縄料理の専門店がぎっしりと軒を連ねている。
駅前ばかりではない。大阪商工会議所の大正・浪速・西成支部が発行した『大正おもろいお店MAP』という地図がある。そこに掲載されている大正区内の店のほとんどは,山羊料理の専門店や,泡盛しか出さない飲み屋,そして舞台がついた沖縄民謡の店である。」(佐野前掲書)
新大阪から梅田へ。継いで環状線でまっすぐ大正駅へ直行。――沖縄料理だ沖縄料理だ沖縄…も~完全なジャンキーですね。
着いた!さあ~ギッシリと軒を連ねる沖縄料理専門店だばあ…って…あれ…あれれ!?
駅周辺を3週くらいぐるぐるぐるぐる回ってバターになりそうになったけど…ギッシリしてませんけど!?
駅の周りだけで数軒沖縄料理店があるのは確かに多いんだろけど。昼間からやってるのは駅の東側の「いちゃりば」だけ。
…ってことは日常的に沖縄料理食ってるエリアとは思えんぞ?
なお,「いちゃりば」は飯屋併設の物産店。けど塩ちんすこうも芋ようかんもない。けど湯しどうふはあった。飯屋はタコライスとそばがメイン。「煮込み」もかろうじてあった。
飯屋の前には,全商品沖縄モノの自販機有。さんぴん茶とウッチン茶づくしだけど。
まあ考えてみりゃ…この位なら健闘してると言うべきか。いくら大阪ウチナンチュが一党を名乗っててもやはりマイノリティ。それがこの都会でこの程度橋頭堡を築いてんのは大したもんか。
とりあえず宿を取る。大正橋すぐのビジネス大正。…ってココ,限りなくラブホですけど??ただ単独宿泊4900円って書いてはある…
「あの…1人ですが泊まれます」
「ああ~泊まれますよ」ってタバコ吸ってる姉ちゃんに渡された23番キー…ありゃりゃ?
「このタグ,カギが付いてないタダのプラスチックですけど?」
「大~丈夫大丈夫!このプレートで」って後ろの部屋番の並んだ管理パネルを示し「ドアの開け閉めはちゃんと管理してますから」
ホントにラブホじゃないの!?限りなく怪しい宿だばあ~!!
このFAZE10は,京阪神の旅行記になると思う。さっきあと2泊分の京都の宿を予約したから,きっとそうなるんでしょう。
沖縄と直接関係ないマイナー食文化にも言及してく。ただし,わし本人は,もろ沖縄旅行の延長戦と思ってます。
沖縄への定期訪問はもう10年を越える。その間に,この島は確実に変わりました。
何が変わったのか?今回の国場川西岸歩きと佐野さんの本で,それがおぼろげに見えた気がしてます。
「沖縄はいまゴールドマンサックスをはじめとする外資のお狩り場になっており,沖縄の有名ホテルやゴルフ場はほとんど外資に占領される恐れもあるという。
米軍基地は傾向としては縮小に向かっている。しかし,それにかわって外資というハガタカファンドが跋扈する。
沖縄は依然”植民地“のままである。」(前掲書)
実感としては「依然」どころじゃない。米軍が占拠したのは軍用地だけだけど,外資は全島を抑える勢いです。
「明治と昭和をつなぐ大正世代ばかりか,昭和二十~三十年代に生まれて戦後活躍する人材も見当たらない。この沖縄経済界の世代構成はきわめていびつである。
これも,日本で唯一地上戦が行われた上,戦後は基地経済に依拠して人材育成を怠ってきた沖縄社会の奇形さであり,沖縄の見えない悲劇の一つである。
沖縄経済は,今後本土資本やハゲタカファンドらの外資の影響力が強まりこそすれ,ローカルカラーが増すとは到底思えない。それは経済のグローバル化の浸透というよりは,この島に押し寄せる第二の”琉球処分“と呼ぶにふさわしい激変の荒波である。」(前場書)
予兆たる波立ちが既に始まってる。フラット化する世界の波動は,恐らく本土を覆う前段として沖縄を席巻します。かつての太平洋戦争時の鉄の暴風と同じように。
このメジャーの前に,マイナーはどう振る舞えるのか?ナイチャーとしても他人事じゃないこの問題を,食文化を通じていくらか見透かしてみたいんです。
とりあえず,福島町を目指す。
南インド料理の後遺症対策でした…。ってわし,そーゆー意味じゃドンドン重病人になってる気がします…しかも合併症。
環状線の福島駅から東西線新福島駅までの路地裏エリアには魅力的なお店多し。沖縄料理を売りにした飲み屋も。
けどまず第一ターゲットは大正!JR大正駅に戻って南へ。――残る手がかりは佐野さんの本にあった「大正おもろいお店」マップ。大正区役所まで行けばゲットできるかも…。バス停で見ると6駅あったけど,とにかく歩いてみる。
殺風景な町。大阪の足腰を支えるエリアです。小一時間ほど路地裏に入っては出てを繰り返す。沖縄臭い店はあまりない。ただ,スーパーでやたらジャスミン茶やもずくが多量に売られてる。
その光景がほんの少し賑やいだ辺りに区役所が見えた。これも外部を寄せ付けない感じの建物。向かいに図書館。さらに通りをまたいで大正沖縄会館。
そのどこにもマップなし。
図書館に区の鳥瞰模型があった。大正駅を頂点として南東に広がる中洲が大正区ってことらしい。
沖縄会館には1階に「琉球舞踊小道具一式」を売る店があった。ビルには沖縄芸能関係の団体がギッシリ入居。ウチナンチュのアイデンティティの砦ってとこか?
▲大正沖縄会館
とにかくマップは入手できず。事務所や観光部署まで行けばあるんだろけど,そこまでしないとゲットできないマイナー資料なら要らん。
大正駅まで帰ってから,ふと気づいて地下鉄緑地線の大正駅に行ってみると…あるじゃん!大正区役所発行の「大正駅ぐるめMAP」。佐野さんのと少し違うけど…随分な周り道…。
ただ,このマップでも沖縄料理店は10件程度。ほぼ夜の飲み屋だけみたい。
とにかく全容は掴めた。夜まで「いちゃりば」で時間を潰す。
煮付け盛合せを頼んでから,一応確認してみる。
「ご飯ついてますよね?」
「?」沖縄顔だけど完全に大阪弁の娘,不思議そーな表情で「ついてないです」
え~!!それはウチナー的じゃないぞ!
しょーがねえ,急遽泡盛のロックに突入。他人が働いてる時間に飲んだくれんのって最高だね!!