外伝03-FASE13@deflag.utina
まだ青い空 まだ青い海(続々々)

 さて錦市場じゃ!!
 朝9時に宿を出て念入りに事前探索。まだあんまり開いてない。この市場,朝はそれほど早くないみたい。やっぱここは…観光地カラーなのかねえ。

 大丸京都店開店の列に並んで10時を待つ。日曜だからか,それなりにライバルは多い。20人くらいか?
 百貨店のフードフロアは侮れないのは奥様方ご存知の通りですけど,京阪神には特にポイント高い。梅田の阪神百貨店地下イチは今さらご紹介するまでもない。ホントはタコだと言うオチ付きの名物「イカ焼き」の売られてるとこね。
 大丸地下も,期待通りかなり充実してました。前述の阪神とはやっぱ違って(ゴメンね!!)クオリティが高い!サラダやや豆腐,味噌の種類には舌を巻く。それに…何と愛する熊本超B級名物「いきなり団子」を発見したぞ!
 とか目移りしてたら,目当ての「三嶋亭」には既に人が集まってるぞ。慌てて,イートインコーナーへ。7席しかない。まだ大丈夫だけど,早くも「整理券をお取り下さい」の看板が出てる。
 関西人ならご存知の老舗すき焼き屋ですね。隣の肉の切り売りにも弁当コーナーでも,客がドンドン来て「特上肉1kg」「ステーキ弁当6人前」とかバンバカ万札払ってく。
 こっちも負けずにッ…まあホドホドにすき焼き膳1995円を注文してみたので…これで勘弁してくだちゃい…
 完璧に負けてる?…そーとも言う。
 ちなみに他のメニューは,牛肉丼1470円,あみ焼き膳1995円,ステーキ膳2310円,サーロインステーキ膳3150円――京都人と名古屋人のハレ御馳走モードは凄まじい。こいつらがこのハイコストを払うからにはきっとムーンサルト並みの味に違いない!違いないぞうおおッどりゃあああ…あ…?
 まあ。ほどほどに美味しい。さっくり柔らかい歯応えの特上の肉質,洗練された醤油と砂糖の甘味のバランス感。
 ただ。あんま迫力を感じないな。完成されてるけど勢いと誠意のない美味。
 京都人が実は濃ゆい味大好き民族なのは,天下一品ラーメンの例を挙げるまでもなく有名だよね。そんで,まずは現代京都民族が現に選んでる味覚から入ったんだけど…。
 明治6年創業。文明開化の音がする頃にザンギリ頭の明治人が初めてたべた肉料理の「生きた化石」としては貴重だわな。
 明治6年って言えば――前年の5年に明治政府による琉球国廃止,琉球藩が設置されナイチの地方組織に編入。12年,沖縄県が設置され琉球処分完成。

 「玄人のひとりごと」で知って以来狙い続けてた「さか井」へ。
 11時半開店なのに既に待ち客2人。並んで待つが…40分を過ぎても「準備中」の札は裏返らんぞ?
 ふいに玄関が開く。中から出て来る人がいる…!?もう満席なのか?
「寒いから中で待っとくんなはれ」って叱られて慌てて入店し,初めて状況を理解する。電話予約でテイクアウトする常連客だらけなのね。――だらけったってカウンター6席だけ。常連オヤジ軍団とオバチャンの会話は某外務大臣まで登場するディープさで,流石にココには書けまへん。場のオーラとしては,京の深淵を体現してて大したもんでした。
 「お兄ちゃん悪いなあ待たせて」とか言いつつ,オヤジ軍団に動く気配は微塵もなし。「後7分で出るからなア」とも言ってたけど,それからもー15分は経ってんぞ?大体何だその7分って微妙な時間は?算出根拠を示さんかい!
 けど,そーゆーディープ京都な空間でかなりオモロかった。時間を忘れてたら12時回ってた。
 やっとこさ席につく。あなご丼を頼むが,値段表示はない。後で分かったとこじゃ1400円でしたけどね。ちなみに他のメニューはさば寿司,あじ寿司,ミックス丼,ゴージャス丼。
 ミックスはあなご,さば,あじの全載せ。ゴージャス丼はさらにかにを載せるんだって。――最後の方のは観光客向けに,このディープ京都オバチャンが企んだっぽいけど。
 さて。ここまで待ったら「も~最高に美味い!!」って書く流れだけど…こちとら広島っ子じゃけんアナゴにゃ舌は肥えちょるけんのお!それについ先月宮島口「うえの」のアナゴ丼を食った水準から言えば…ぼちぼちじゃのお…肉と魚じゃ京都も大したこたあなあのお!
 標準語で繰り返しましょ。肉は博多,魚は広島の勝ちイ~!!


▲錦市場の八百屋さん

 昼どきを迎えて,ようやく活況を呈してきた錦市場は…面白がったッス!
 宿を連泊にしてたんで,例によって市場の買い食いに方針変更。
 以下は第一次買い食いリストで~す。(そんなに買ったのか?)
 木源:うにくらげ
 平野:たこ大根,豆腐の煮物,枝豆くずもち
 近喜:汲み豆腐
 中央米穀:お結び(赤飯,雑穀)
 洛心館:生どら(宇治産抹茶クリーム,波照間産黒糖クリーム)
 これに大丸地下イチで買った湯村温泉の栃泉:栃の実大福を加えて宿で至福の時…
 第一回の栄えある優勝校は,意外にも中央米穀でした。この京都どすえって感じがまるでない共産国じみた店の赤飯!こ~れは芸術。歯触りていい赤米の香りといい…
 平野の大根もほぼスイーツ。ホロホロのジューシー感でアッサリの旨々。
 スイーツって言えば洛心館の生どら。波照間の黒糖を京で堪能ってどうよ!?これも京じゃないけど栃泉の栃の実大福もシブい!未知の味覚が広がっちゃう!

 至福の昼寝の後,四条河原町から銀閣寺行き(203系統)の京阪バスに乗り込む。
 四条の人混みを抜けると,冬の京都の空と山が濃さを増す。チベット的な空恐ろしくなる蒼さ。重力に反して引きずり込まれる空虚感。
 凄まじい場の存在感。千年の呪術都市の引力に酔う。

 TranqRoomは真如堂前バス停の真ん前。生湯葉食いたくて来てみたけど,味は程ほど。カフェとしては雰囲気良し。
 ひよこ豆の選べるインディアンカリーセットもあって迷った。
 ジャスミンティーを啜りながら,黄昏の落ちる時間に浸る。
 ってあんまり浸ってたら暗くなっちゃった!初めて歩く哲学の道で夕暮れを迎える。
 怖い静寂です。
 流石に銀閣寺は閉まってたんでそのまま進むと八神社って神社に行き着いきました。稲倉魂命(うがのたまのみこと)を祀る社。五穀豊穣を司る神だって。沖縄のアマミキヨに似てる。
 スッカリ暮れた暗がりに提灯が印象的。
 無無明亦無無明尽。無明も無く,また無明が尽きることも無い。
 白川通りに出て銀閣寺道からバスで帰還。地獄巡りのよな道行きでした。


▲なぜに風の付く人だらけ?

 帰りに四条河原町で買った林万昌堂の栗アイスクリームは,これがまた渋い甘味でグー。
 売れてるらしき生塩つぶあんも食ってみるけど…どうも京都は名物に旨いものなしって感想。信長に田舎者向きの強い味付けを食わせてほくそ笑んだみたく,京都人って観光客に酷いもんをあてがって楽しんでない?


▲NextGion!ジークGion!立てよ国民,ジークGion!