外伝07(≧∇≦)鏡の梅の5月

 5月29日。
 高知日曜市にまたやってきておりますです。

 17番(1丁目北)寺尾さんのお店。電車通りから北側の一番手前です。
 青果物メインで文旦も旨そう。年間では新高梨,小夏,メロンも出るみたいだけど――
 今回は店頭を埋める徳谷トマトに手を出しました。


▲徳谷フルーツトマト

 「フルーツトマト」と表示されてることが多いみたい。この月じゃないけど,275番(4丁目北)の麻岡さんとこ曰く,糖度が8度以上ないとフルーツトマトと呼ばないんだって。つまり元は同じものなんだけど,甘く収穫できたトマトだけにフルーツトマトの表示が出来るってことらしい。農協とかで検査すんでしょうね。
 前々回位から軒先に出てきたかな?かなり朝飯の定番になってきました。
 サラダがわりにガンガン行ける。新鮮さと味の強さが違うのよ。このフルーツトマトはさらに強く濃く生き生きと甘い。葉っぱごと1個丸飲みしちゃう。10個位あっという間!全然飽きることがない。
 不思議なほど旨いんで,とうとう徳谷トマトを調べてみたら――君って実は凄い奴なのね!!

【産地】高知市の浦戸湾の北方に位置。塩分を含んだ独特な土壌の地
【生産戸数】約13軒
(徳谷地区で生産されてないと徳谷トマトではない)
【品種】それぞれ農家によって異なる場合もある。

 え!?品種の名前じゃないの?じゃあ…単に「徳谷で採れたトマト」ってだけ?
 そんだけで何でここまで旨くなるの??

【栽培方法】水をほとんど与えずに育てるので,トマトの果実自身が十分に栄養素が行き渡って,とても甘くなるとされる。
【味覚】普通のトマトと比べ糖度は2倍以上
【期間】毎年1月~6月までの期間限定で出荷

 何だか分からんけど…とにかく何だかとても特殊らしいこの超高級フルーツトマト。入手困難で希少価値が高い逸品で,一般のスーパーなどでは売っていないんだってさ。
 うーん,普通にしゃぶりついてしまったけど…凄いもんだったのね!!超高級ったってこの市場で買えばスーパー並かそれ以下!
 こりゃあ買いでしょ買い!

 25番(1丁目北)の経営者名の分からない店。いつも夫婦で頑張っとられます。
 産品は野菜,漬物,餅,赤飯,饅頭ってことになってますけど,ここは何と言っても軒に並ぶ漬け物!
 古漬なすの葉入1本120円!
 ほとんど毎月購入してる感じ。普通の沢庵をぬか漬けの状態のまま売ってる。1年漬けと3年漬けがあるけど,それだけって言えばそれだけ。それだけなんだけど。特に1年漬けは,保存料と着色料と添加調味料バリバリのプラスチック的なあの一番よくあるタイプに見た目すごく似てんだけど。
 まあ食ってみてつかさい!1年漬けの方が実力派だと思います。
 ただし!!
 モンの凄~く!臭いです!!
 広島への帰路,車両中がプンプンしてきたことが何回か…。ナイロン袋と紙や布の合わせ技で五重以上にはくるんどかないと,強烈なぬかフレーバーを撒き散らすバイオハザードに変身してしまいます。

 125番(2丁目北)。得意分野はわさび,きゅうり,メロンの漬物,白菜漬,あさり貝。キャッチコピーは「手作りでつけものを売っています。」だけ。物凄く淡白で,何の変哲もないお店。
わさびみそ200円
きゃべつ漬け ちょっとすいくち100円
 「すいくち」って東日本の人には通じるんかいな?酸っぱくなってるって意味で,要は古漬けね。
 この2品も,何だそれ?普通じゃん!?って感じでしょ?
 広島で食って思ったこと。「ご飯が進む」って言うけど,こいつらは違う。ご飯は進みません。一口ごとに唸るしかない。
 ご飯のお供なんて,そ…そんなんもったいなさすぎ!
 その感激をおかずに,ご飯を食うしかない。

 193番(3丁目北)は野村さんの経営。
 露地野菜,古漬,米と,これまたありきたりな感じの品目ながら…品は卓越。
 「漬物の製法は,昔からの家の伝統作業手順を守り,無農薬の大根,蕪,白菜,シャクシ菜を自家栽培し,木桶に米糠で長期間乳酸発酵させた古漬けを中心に販売し,米はEM菌発酵ボカシ肥料を入れ,減農薬栽培しています。」
 これがキャッチコピーの欄に書いてあんですが…キャッチコピーの意味分かってます?
 まあええ。旨けりゃいいんだけど。
 ところでEM菌発酵ボカシ肥料って…何?

【EM菌】Effective Microorganisms:有用微生物群
琉球大学開発の乳酸菌・酵母・光合成細菌等を集合させた液体
効果:①農薬や化学肥料を使わず作物の成長を促進
②酸化を抑えて腐敗を防止
③環境汚染物質を分解

【EMボカシ】EM原液・湯で溶いた糖蜜・米ぬか・井戸水(又は置き水)。全部混ぜて容器に入れ密封し最低45日間置く。
生ゴミの場合,容器に生ゴミを入れて密封,日陰に1~2週間置く。
発酵したら堆肥になる。理想的には何年か寝かせる。

【ぼかし】肥料となる有機質を微生物によって発酵させ,原形を「ぼかす」ところから「ボカシ肥料」と呼ばれる。
有機肥料を微生物によって植物に吸収できる無機態に変えるほかに,光合成に関係なく生育を促進するアミノ酸を多く含むため,冷夏や曇天でも天候に関係なく肥料効果が望める。

 と長くなりましたけど,よく分からんけど(それで済ますなら書くなッ!!)とにかく正攻法らしい。
 「昔ながらの古漬け 3年もの」って表示で売られてた沢庵。何か沢庵ばっかり買ってますけど,25番とも125番とも明らかに違うの。わしみたいな素人にも,この違いはハッキリ分かる。地味で勝負の淡々と美味なんだわ!!

 179番(3丁目南)の杉本さんとこ。
 梅,柿,榊,餅,寿司が並ぶ。
名産鏡の梅漬け パック入り(200円)
を購入。
 これまたビックリ!ご飯の友達じゃなくて,フルーツなんだわ!もちろん酸っぱいんだけど,それ以上に果実香ムンムンムン。桃に似た軽く鼻を刺す香り?
 一体…鏡ってどーゆーとこなんだ?
 鏡地区は高知市の西30km位。割と近郷です。30軒位の梅の農家がある。それだけっちゃそれだけの地域らしい。
 標高200mの地域。5月初旬から6月末まで梅が収穫される。品種は紅梅,甲州梅とからしーけど…どーせまだわしには分かりまへん。
 それはともかく。鏡の梅の加工スタイルとしてホウキョ漬けってのがある。梅の砂糖漬けなんだって!酸っぱいだけの梅じゃ有り得ない製法だけど…いつか食したい!

 273番(4丁目北),吉村さんの店。
 販売品:蕗,季節の山菜,ゆず酢,餅,赤飯。高知市土佐山弘瀬から出店。
 ゆでふきとゆでたけのこ各100円を購入したけど,そのまま食ったらウーンって感じでした。
 持って帰って料理すべきでした。ふきは,豚肉とか桜えびと煮るとか。たけのこは,たけのこご飯とか豚肉と炒めるとか白あえにするとかね。あら残念!

 289番。4丁目北のこちらも杉本さん。鏡大利から出店だから,179番の杉本さんと同じなのか,それとも田舎によくある杉本さんだらけ現象なのか?
 販売品はわさび漬け,梅干,イタドリの塩漬け,カリンのはちみつ漬け,つがに汁。
 山椒と昆布の佃煮500円と紫草漬200円を買ってみた。
 2週間位これでメシが食えた。柴漬けも味がムンムンに強いし,山椒と昆布なんか一口で脳天にガーンと来る辛美味さ。注意して買いましょ!

 254番(4丁目南),山本さんのお店は,野菜,文旦,田舎寿司を売ってます。
 「文旦の皮でつくったおかしです」って札が立ってますけど,これは商品名なのかキャッチコピーなのか!?とにかく200円だし買ってみた。
 お!イケます!!
 要は文旦の皮の砂糖漬け。高貴で控えめな香りが砂糖に漬かって逆に渋い。あれ…食ったことのある味覚?…そーだ,那覇の冬瓜漬に似てる!?うーん,あそこまで気取った味じゃなくてむしろ素朴な味わいがいいんだけど。ザボン漬けよりははるかに玄人好み。
 食ってると渋みに口が痺れてくる。そんな美味なのよ。
 ついでにゆずみそ(200円)も購入した。こっちは高知標準?
 ちなみにHPの店の紹介文。──野菜や文旦は生産直販をしているので安く,おばあちゃんのお寿司は味もたいへん好評です。…元気なおばあちゃんとおばちゃんが看板娘です。
 どうやらおばあちゃんを偶像化する民族らしい。…いえ,優しいニコニコ婆さんでしたからご安心!

 295番(4丁目北)の中川さんの店,販売品はトマト,らっきょう,青果物,梅になってるけど,データの間違いか?
 朝飯に一応おかずの主役がほしい時に,いつも買うのがここの
仁淀川の天然あゆ(ワンパック350円)
です。頭から食えるホクホクの身がたまりまへん。
 「昨日採ったばかりですよ!」ってのがいつもの口上で,つい手が出ちゃう。

 やまももも出始めてます。ブドウみたいな黒い桃に似た果物。
 「純ベリ」って果物も出てきた。恐らくブルーベリーだろう。
 ぐいみも出てきてるけど,数は少なくマイナーっぽい。
 今月一番目を引いたのは,やはり梅。みんな自分で漬けるらしく,漬け方を店々で教わっていきます。店もそれ用に自分家で漬けた瓶を展示してて,話が弾むと試食させてくれる。
 市場だなあ。ここは食材を買うだけの場所じゃない。わしみたいな駆け出しだけじゃなく,熟練の主婦にとってもこれ以上ない大事な学校。
 思うんだけど食文化ってのは──完成された料理じゃなくて,こーゆー食情報の共有の場そのものを実体としてるんじゃないだろか?


▲高知5月30日戦果(チョビンタ,まぐろのわたなど)

 やはりそーゆー食の感覚がさせる業なんだろか?
 この小さな町。そりゃ県庁所在地だけど,国民休暇県の町でっせ?
 何でこんな田舎町(失礼)に,これだけ上質な店が点在してんだ?
 帯屋町の「マツヤ」はほぼ必ず立ち寄るよになった。ここのチョビンタってちっちゃいチーズケーキは本当に美味い。さりげなくホロリとトロける。
 少し駅側の自然食の「まーる」。日曜休みだけど,夕方かなり遅くまでランチを出すし,頼めば弁当にもしてくれる。
 完全ベジタリアンの店だけど,台湾並みの凝りまくった料理が並ぶ。どれもマジ美味い!弁当を求める顔の中には脂っこいトラック運ちゃんみたいなオヤジもいる。高知の自然食のはしりの店らしいけど,オシャレさんのベジタリアンじゃなく,美味が公認されたベジ屋なんですわ!
 さらに今回発見したのは,中華料理店!


▲高知「彩華」体が温まる季節野菜のカニあんかけ

 本格的な薄味中華!広東風とかを売りにしてるわけじゃないから,食ってみるまで分からなかったんだけど…京都みたいな気取りのない,自然体でホイッと上質を提供してくる。
 最初に6品の冷菜が出る。その後のメインは3つから選べる。
 いつもそれほど混んでないけど,ここじゃなきゃっていう感じの一人客が多い。それも大抵お年寄り。
 老人が好むよな淡白な中華の店。これだけでも驚きませんか?こーゆー愛され方の街の中華料理店,アナタの街にありますか?


▲彩華 厨房周り