外伝07(≧∇≦)秋みょうがの8月

 高知日曜市の珠玉の食材に見とれてたら──ふと気付けば…お?周囲に青いTシャツしかいない!?
 こりゃ大変!あの趣味の悪いドギツさの青Tを買わねば!お電話今すぐ!
 彼ら,口々に何やら経を唱えてる。「宜しくお願いしま~す」と聞こえるのもあれば「ふくいてる,ふくいてる」と歌う声もある。
 「ふくいてる」?何だそれは?「福,居てる?」ってお経か?それとも何かの土佐弁か?
 謎は謎を呼ぶ「ふくいてる」教団の掲げる幟が,しかし全てを明らかにした!そこには,かつて人類が触れたことのない脅威の秘密が隠されていた──次回,激闘!ふくいてる教団vs朝市ぬか漬けオバチャン軍団!!
 …てことはなくて,幟には「衆議院議員候補ふくいてる」の文字。
 何だ…選挙か。
 そのうち,ふくいてる軍団だけじゃなく色んな陣営の街宣車やら演説やらが入り乱れてきた。誰が何言ってんだか訳分からん状態。
 朝市オバチャン,開店準備に忙しく手を動かしながら覚めた一言。「も~ちょっとだけ小さな声で言うて。何言うとるか分からんよ」
 周囲誰も反応せず。
 その状態が30分以上続いて頭痛気味になってきたころ,各陣営とも合図したよに引き上げていきました。
 …何で?日曜の街宣は日曜市からって闇のキマリでもあんの?
 やはり高知は謎が深い国じゃのー。

 鮎塩焼き,鮎ご飯と食ってきた295番隣の臨時店で,も一つ気になってた品がありました。
天然川えびすあげ(300円)
 髭までピンと鮮やかに赤く揚がった小振りの川えびが,数匹ずつのパックで店頭に並んどります。選ぶと,
「これ4つしか入ってないから別のん選びい」とオバチャン。


▲川えびのすあげ

 しかし…どっから食えばいーんだ?
 ホテルでちょっと迷う。
 まず髭をちょっとかじってみる。…噛める。
 次に長く伸びたザリガニみたいな腕をパクリ。やはり硬さはない。パリッと軽い歯応え。
 そんなら!思いっきり頭からかぶりつく。パリポリいける。妙に油っこさはなく,微かな塩気をまとった身が美味い。注意すると僅かに味噌の粘りが残る。
 胴の部分へ。カリカリの甲殻の中からホクホクの肉が歯に絡み出す。プリプリの肉が,海エビとは異なる軽快な甘味を放つ。
 いーじゃん川えび!

 エビもカニも嫌いだったわしは全く知らなかったんだけど。
 コレって居酒屋メニューにもぼちぼちあんのね。
 市場で「川えび」として売られてんるのは,主にスジエビとテナガエビの2種類。スジエビはテナガエビよりも安価で手頃。わしが今日食ったのは手が長かったから後者なんだろね。
 北海道から九州の河川や湖に生息。淡水や汽水域には一番普通にいるエビなんだって。関東では茨城県産が多い。恐らく霞ヶ浦だろうけど,多摩川や相模川にもいるんだって。関西では釣り餌としても一般的。
 旬は春から夏にかけて。高知の四万十川や仁淀川でも同じみたい。
 京都で何度か「えび豆」というのを食った。あれは琵琶湖名産でスジエビと大豆を炊いたもの。薄味のエビの香りがウマかった。
 佃煮や出汁としても使われるが,生で入荷したら関東では素揚げが最メジャーらしい。
 てことは?ひょっとして東京からの観光客向け!?

 278番には森果樹園って看板が出てました。場所は4丁目北,店主は森さん。
 店頭を埋める文旦,柿,ぶどう,温州みかん,梅干…。
 吾川郡いの町八田から来られてて,いの町生産直売の表示。
 ぶどう20粒ほどが100円。
「これ,こぼれたのがです」つまり,採集時に落ちた粒らしい。トマトの代わりに今朝のデザートに決定。
 可憐に甘酸っぱい!豊かな酸味にとろけてしまう…。


▲ぶどう

 薄紫にグラデーションなみょうが?
 218番(3丁目北)杉本さん。農産物,榊,しきび,山野草を販売してる店。
露地物秋みょうが(100円)
きゅうり(1本50円)
に魅せられて買ってみた。
 「秋みょうが」って知らない言葉でした。きゅうりはゆずみそつけて食いたくなって…。


▲秋みょうがと胡瓜

 ほとんど衝動買い…しかし!?どう食うよ!?
 ナイロン袋一杯だぞ?刺身の付け合わせじゃまた腐らしちゃうだろ?
 けど…?おおお~!?
 今月はこの秋みょうがが採れる時期らしく,他でも店頭にあふれてた。皆さんガンガン買ってます。スーパーの買い物袋三杯分くらいを買ってく地元民もおるぞ?
 てことは──何か食い方があるはずだろ?
 そんで調べてみたら…ちょい意外!みょうがって,かなりのバリエーションを演出できるんやね!
 大根と山芋とミョウガのサラダ。青じそドレッシングをかけて。
 漬け物にして。
 煮物に入れて。豆腐や肉を煮込んだ後,半分に切ったみょうがを投入。さらに5分煮るだけで,みょうがの風味が染み出してアクセントに。
 天ぷらにして。
 寿司ネタにして。しそ梅酢に軽く漬けて,寿司飯を挟むとみょうが寿司に。
 まぜご飯。みょうがとじゃこ,おかかを醤油で炊き込む。
 炒めもの。豚のバラ肉をフライパンで炒めた後,みょうがを縦半分に切って投入し,砂糖と味噌で味付け。山形県庄内地方の家庭料理って話。
 同じ炒めもので,ゴーヤの薄切りとナスを入れるレシピも見つけた。ゴーヤの苦味が中和されて美味らしい。こちらは宮崎発。
 同じくゴーヤとシーチキンを炒めて,みょうがとレモンを和えるってのも。
 むむっ?ゴーヤかあ…!興味を感じて,この2者の取り合わせを調べてみると──知ってる人(あるいは宮崎人?)は知ってるカップリングみたいなのね。
 ゴーヤの苦味がミョウガでおいしく感じ,見た目も緑とピンクがとてもきれいなんだと。レモン汁がさらに爽やかさを演出。シンプル・ヴァージョンとして,塩もみしたゴーヤーをさっとゆで,水気を絞って千切りにしたみょうがとともにドレッシングで和えるだけってのも。
その後2日連続で,炒めとシンプル・ヴァージョンを製作してみた。
 確かにスバラシー!いくらでも食える!しかも…みょうがとゴーヤなんてロクにカロリーないし!
 こんなん半減過程で知ってたらコレばっか食ってたぜ!!
 しかしコレ…何て表現すりゃいーんだろ?ゴーヤの爽快な苦味,みょうがの高貴な薬臭さ,互いに強烈なその個性のぶつかったところに生まれるえもいわれぬ妙味!単にゴーヤの臭み取りってんじゃ全くない。ゴーヤの粗野な苦味が高貴に転じ,みょうがの田舎めいた薬臭さがスタイリッシュに立ち上がる──野菜には必ずベスト・カップルの野菜があるってどっかで読んだけど,まさにそれを実感できる取り合わせです!

 須崎のところてんって有名らしいですね。いつかは食いに行きたいけど。
 その代わりに食ってるのが201番の一柳さんとこのビニール袋入りのところてんセット。
 3丁目北。販売品はソバ,ところ天,うどん,冷やしあめ。夏はところてんで冬はうどんとそばだって。冬のうどんも待ち遠しいが…今は
ところてん(150円)
でしょ,やっぱ!
 箱にヨーカン大のところてんと,それを入れて絞る木製の装置がありました。今回初めて気づいたけど…これがところてん製造機なの!?
 出してもらおとしたら「さっき出したものやけどねえ」ってやっぱりビニール袋を指差されたんで,やむなくいつものごとくビニール袋を購入しました。


▲ところてん

 イイいのよ~!
 市販の味無ゼリーみたいなのとは全く違うねん。思いっきり食材してます。ナマモノの味がフワアッと香る。
 ところてんは半減過程で残カロリーがなくなった時に馬鹿食いしてたけど,ここのはホント立派なお食事です。こいつにおくらでも和えて食ったらほぼゼロカロリーの極ウマの一品!
 ちなみにこの店のキャッチコピーがまた──
「高知県の味,自然の味を大切に,よりおいしくより安く,清潔,笑顔をモットーにがんばりゆうき,みんなで来てね!!」
 繰り返しになって大変恐縮です…そりゃキャッチコピーじゃなくて呼び込みだってば!

 188番の嶋田さんの店に久しぶりに立ち寄る。場所は3丁目北。250円で購入したのは
キャベツあっさりした浅漬け(100円)
うり漬け(150円)
「胡瓜がないなったがでしょ?」ついに顔を覚えられたのか,それとも単に話好きなのか,おばあちゃんが話し始める。「この前の雨で胡瓜が全滅したがですよ」
 そーいや…ここの胡瓜の漬け物もイケたんだよな。急に食いたくなってきた。
 ただし。今回のキャベツも瓜もほとんどザウアークラウト状態。程良い酸味がパンに良く合って重宝しました。

 55番の隣だからおそらく53番?番号表示のない店でした。1丁目南。HPによると山本さんの店で,販売品種は野菜,切り花,野菜の苗,鉢花となってたから違うのかどーかよく分からん。

梅干し(100円)
「色がよう出とるがでしょう」と自慢されました。確かに異様に真っ赤。着色料は使ってないんだろし,味も最高だったけど,自然にここまで色づくものか?
 併せて,今朝のメインに
ちらしずし(150円)
も購入。自然な山菜の土臭さがかなりのもんでした。


▲ちらしずし(ふき入り)

 37番(1丁目南)中山さんの店だと思うけど,これもちょい自信持てない。HPでの販売品種は季節の露地野菜,長なす,菊なのに,どう見ても主力商品は
天然にがり豆腐(100円)
なんですけど?


▲天然にがり大豆豆腐

 とにかくこの豆腐。全然端正じゃない。まろやかでもない。ちゃんと固くて,ちゃんと豆臭くてかすかに苦味すらある。京都や唐津川島豆腐とはまるで比ぶべくもない朴訥さ。島豆腐に近いけど,あれよりさらに田舎っぽい。
 でもそれがイイ!
 つまり。この豆腐は初めての次元の味だったよに感じた。圧倒されて,十分に味わえてはないと思う。ただのパック豆腐なんだけどな~(しかもこの捨て値!)。何度か繰り返し味わってみたい未知の豆腐でした。

 先月に続き,9番桑尾さんにまた立ち寄る。1丁目南。
 あんま気にしてなかったけど,ここの
3年ものすいくち
って100g当たり70円なんだね。何グラムか分からんから不安を感じてたら
「140円ね!」
 スゴい!ピッタシ200gだったのね!…って…んなわけねーだろ!量りもしなかっただろ!?つまり,その位のえー加減なg売りなわけだな。
 まッ,美味いから全く問題なし!

 77番(1丁目北)は山崎さんのお店。
 軒先に並ぶ野菜,柑橘類の中から
自家製いちじくジャム(400円)
を入手。朝市的には高額商品だけど…ウマかったねえ~。粘りも甘さもあんま無い自然な味覚。果物としてはD級品のこの食材,やはりパンには凄まじく合うみたいね。
 果物と言えばタイガーメロンも出てきてた。迷ったけど…結局買わなかったッス。
 豆腐,味噌汁,ブルーチーズ。半減以前に嫌いだった食材が今ドンドン好みになってるけど,未だどーしても食えんのがカニとメロン。いつかこれらも舌に合う日が来るんだろか?

 ゆずみそがない!
 杉本さんとこで買った胡瓜をつけて食うつもりだったんだけど,いつものお店のどこも無い!もしくは醤油か芥子の味噌しかなかった。旬は7月から12月までだからハズレてるわけでもなし,単なる偶然だろか?
 結局もろきゅうで食った。ただ…この偶然にも感謝!ムチャクチャ美味い!?わし,この胡瓜って大嫌いなはずなのに…スイカやハミウリみたく水瓜として瑞々しい。いや,スイカのよに分かりやすい甘味が表に出ない分,今の舌には心地良いとさえ感じられるんですけど?
 後日やってみたけど,もちろんゆずみそその他の味噌やコチュジャンを付けても最高…と感じられるよになってきた。まあ,まさにもろきゅうそのものなんだけど。
 嫌いなものは,無理して食っても好きにゃならん。ホントにクオリティ高い食材と,それを味わえるだけの味覚の鋭敏さ。この2つが必要なんだと感じてる。

 ふかし芋が増えてるの?
 よく見ると「新芋」って表示がある?つまり,四国九州の日本に冠たる芋食文化の時期が来たってこと?
 調べると新芋の出荷時期は9月位から。てことは8月の今はハシリのハシリなんでしょけどが,直売ゆえにこの早さなのか?
 とにかく食ってみよー。
 380番,中澤さんは5丁目南開店。うこん,白菜漬,浅漬けと一緒に,さつまイモがゴロゴロ並ぶ。
ことしの新いも 甘いです
って看板のかかった山から「小さいの1つだけ下さい」と頼むと1本150円でした。


▲ふかし芋

 味は…甘いことは甘いけど,旬に比べて深みに欠けるよな気がした。やはりハシリだからか?今後に期待。
 なお,HPによると漬け物の「すいくち」やウコンの苦みにも自信有。「ウコンは中国産のにがみのないのが出回っ」てるけどって意味らしい。ウコンは苦いのが新鮮または安全の証しらしい。けど…ウコンを買ってどーすりゃいーの?
 今度教えてもらお。