朝も市内に出かける予定でいたけど…この距離と,何より疲れてもうそんな気力はなくなってました。
初日に,しかもトランジット地で既にここまでヤラレるなんて…むふふ!好い旅になりそーじゃ!!
トラブルの多い旅は好い旅。ニッポン的平安を根こそぎひっくり返されるよな洗礼が,海外の醍醐味だし!
とか空元気の言い訳で朝はゆったりして9時に国際空港へ。
割と客数の多いホテルのリムジン車内。運転手が怒鳴る。
「2号?3号?」
何番ターミナルかを聞いてるの?
「知らないよ!とにかくCAだ」後方から返事が投げかえされる。わしも同意見…。
「なら3号だ!」運転手が切り捨てる。「CAは全部3号だ!!」
あ…謎が解けた!
昨日の迷子の最大の理由は…自分が付いた一番大きいターミナルを,わしは1号だと思い込んでた。最新かつ最大のCA発着ターミナルが3号なのね…。起点を間違えてたら,そりゃ着かんですぜ先輩!わはははは…
何とかなったから笑ってられんだけどね…
▲北京空港内で朝飯 東方既白の水[女束交]豆花と蝦餃皇
コンベンション会場並みに馬鹿でかい北京空港出発ロビー。「中国人的快速餐飲」と銘打つ東方既白で朝飯。
この店,大陸中国で拡大しつつある中華早飯のチェーン店。台湾には多いタイプだけど,大陸じゃあ先駆け的存在か?他でもちょくちょく見かけるけど入るのは初めてでした。
へえ~!意外と美味いねえ。
蝦餃子は皮が肉厚でプリプリだし,豆花はやはり台湾の塩豆ジャンと同じもの。中華早飯としては上の類じゃのう。
やはりアメリカ型のファーストフードに客の大半は流れてる。閑散とした「既白」店内は,新聞とかケータイで暇を潰すのに余念がない一人客の発酵した空気が充満。
こーゆー場所の発酵度は,大陸中国では日本以上。激動の半世紀に人心が膿み切ってる感じ。
111時50分。E16搭乗ゲート。
さっきまではE17だったはずだけど?ここ,運用も怖いね。
手荷物検査では,金属か否かを問わず「ポケットのものはとにかく全部出せ!!」。最後のライター1個は,隠したと思われない浅さに隠してたんだけど,X線で見事見つけられた。でも被害はそれだけ。
塗り薬やうがい薬の小瓶は全くお咎めなし。
しかし中国は…何でこんなに徹底的にライターを規制してんの?液体の瓶の方が,爆弾としてははるかにコワいはずなのに…?
──理由は一つ。
古今東西いずれも同じ,小さな権力を行使して満足したいだけのカサついた小役人根性。
どの役人も,現実のハイジャックを阻止したいなんて考えちゃいないわけ。──ライターをチェックしろ!!って上から与えられたミッションが唯一の世界観。その寂しい権限を,客ならぬ「規制対象」に最大限に行使するアルヨ!それだけが生きがいアルヨ!
リアルな効力イメージがなけりゃ,役人なんて迷惑な社会的寄生虫でしかねーのよ。
聞くところによると――イタリアもひどいらしい。郵便局員が一番有名なんだって。どちらも大帝国下で培養された官僚主義が組織風土に染み付いてんのね。
中国との共通?ってことは…昨日の遭難も,単に経由地の出来事じゃなく,イタリアの入り口での体験かもしれない?
CA939とAZ7677の共同運航便,13:40発[四/タ]馬(中国語のローマ表記)行。待合席に客が集まり始めてます。
機内12時間。
トランスフォーマーを3回見た。機内食も2回食った。
ちなみに最近,機内食で必ずワインを頼む。会社の面子がかかった機内食,そーそーヒドいのは置いてない。プレートと一緒に一杯,配り終わった配膳車が帰る際に色を変えてもう一杯。これはかなりお得だし,これならまず睡眠調整も万全!…なはずだったんだけど…
初西欧の興奮か,北京のダメージか,それともミーガン・フォックスが可愛い過ぎるからか…とにかくよく眠れないまんま…あーあ日本と時差6時間のローマに着いちゃったよ!
19時前だから現地でも既に夜。
ヨーロッパの典型で,意外にこじんまりしたレオナルド・ダ・ビンチ国際空港(フィウミチーノ空港)をちゃっちゃと抜け,コンビニでライターを購入してすぐ施設の外でタバコを吸うと──ドバドバッと一挙に疲れが押し寄せる!あれれ~?足元ふらついて歩けない…やばい…バッグバッグで与太歩きなんて典型的なジャンキーじゃね!?
市内直通のレオナルド・エクスプレスのチケットを,窓口で買ったよな買わなかったよな…その辺りの記憶が深い霧に覆われてます。窓外を流れてくローマの闇を呆然と眺めてた覚えがあるな…。
宿はテルミニ駅北側すぐのポップ・インってホテル…ってゆーか,もうそんくらいしか気力も体力もエンスト状態!!
ダメだね減量なんかしちゃ!1週間前まで新型の疑いがかかったほどの大風邪をひいたばっかの病み上がりだし,すっかり基礎体力ボロボロ状態で~す!
最初のこの宿,1泊ε55。(ε:ユーロ。現在1ε≒150円弱)
バス・トイレ共同(扉の目の前で3部屋共用だから不便はない),テレビも機材もほとんどないシンプルな部屋。それで8千円近いってんだから…ほとんどが場所代なのか?
何だこの馬鹿高い物価は!?
つまり──ローマってそんなにスゴい観光地なの?…って…そんなことに着いてから気づいてるツーリストって…ウカツにも程がある…。
後になってつくづくそう思います。殊に翌日行ったヴァチカンで──
とッ…とにかく飯じゃ飯!
テルミニ駅周辺の安宿街は南側がメジャー。なんで北側の宿を選んだんだけど,こっちも安宿ストリートには変わりがなくて飲み食いには事欠かない。
周りのピッツェリアでピザを2切れ,何とか購入。この辺は十分英語で通じました。
それと,肉屋とチーズ屋の兼用みたいなとこでパニーノを購入。…と思って買ったけど,後で写真見たら単なるパケットのサンドイッチに近い。これらに1.5リットルの水(Е2.5だったか?)を買い込んで宿でカッ食らう!
コミでトータルЕ10行かない。やや高めだけど,やっぱり正味の物価はこんなもんだよな…。
一応,駅前では一番客入りのいいとこを選びはしたが,所詮適当に選んだ店。正直,味には期待してなかった。
▲ローマの宿近くで買い食いした第一食目 角ピザ2種
▲同じく第一食目 肉屋のパケットサンド
──ええッ!?
何だコレ!
こんなテキトーに買ったのが…この味なのかあ?
パケットは,サブウェイ感覚(ってゆーかサブウェイがこれを真似てんの?)で詰め放題でε2.5?適当に選んだハムとオリーブの酢漬けみたいのをレタス中心のサラダと挟んだだけ?
それが何でこんな美味いの?
何よりピザ!!チーズ系の白いピザとトマト系の赤いピザ…としか理解もできない初回だけど,妙に旨い?チーズもトマトもごく僅かに,生地にジャムみたく塗ってあるだけなのに。
単に疲れて腹が減ってるから?
…いや違うみたい。
ピッツァの生地自体が日本のと比較にならない美味さなの。がっつり食わせる粉っぽさ。フンワカ感は全くなくて,モロ飯食った!って感じのゴッツい味覚。
ピザハットとかのアメリカ系のピザを思い起こす。
──思想が全然違うの!!
大阪寿司だ。江戸前みたく具の魚でじゃなくて寿司飯が美味い。イタリアのピッツアも地のフォカッチャで食わす。具はあくまでフォカッチャの引き立て役。だからピザハットやシカゴピザみたいなてんこ盛りの具は要らないし,むしろ邪魔。
気がついてみたら,具の乗った部分を先に食ってしまい,耳の部分を最後の楽しみに残しちゃってた。ピザハットでチーズを入れるとかして何とか美味くしようと工夫してるピザの耳をです。
解決法は単純だったんだな。生地だけで食えるほど,フォカッチャが美味けりゃいいだけ。
先走って書いておくと──
このイタリア旅行では,数えるほどしかパスタ食ってません。
インドにはカレーがない。カリーはスパイス料理全般の呼称で,メニュー名じゃない。
中国には中華丼はない。餃子って料理名もない。
それらと同じく──どーもイタリア現地の人たちって,日本でイタリアンってゆーと必ず出るパスタをそれほど食っちゃいないみたいでした。
漫画「チューザレ」で「これはスパゲッティという食べ物で…」と紹介される一幕がある。食卓に招かれたアンジェロは「フォルケッタ(フォーク)に巻き付けて食べるのがふさわしい」と説明されてもうまく巻けないもんだから,最後には手づかみで食べちゃいます。
つまりパスタって──乾燥パスタが発明されてから保存食として使いやすいために世界中に広まったってだけで,イタリアンとしては歴史の浅い食材。目新しいから色んな形態は生まれてるけど,当然歴史に磨かれた度合いはかなり小さい。
もちろん歴史が浅いと言っても,日本食なら江戸期に発祥した天ぷらや江戸前寿司くらいの「浅さ」。だけど,それらより煮物や大阪寿司の味が洗練されてんのと同じだわな。
この旅行で食ったほかの料理に比べる限り…そんなに特別な感動を呼ぶパスタには出会えませんでした。
フォカッチャとか,あえてパスタ系ならニョッキとか,ローマ時代からの歴史に磨き抜かれた…かどーかはよく知らんけど,古いタイプの料理の方がはるかにウマかった!そんでもって,現地の人たちも明らかに後者を中心に食ってました!…当然だけど,そりゃ日常食なんだから美味いもん食うわけよ。
だから最初にお断りしときたいのは──ここでお話しするのは日本のイタリアンでも,アメリカ経由で紹介されてるイタリアンでも,あるいはそれらのいわゆる「イタ飯」好きにウケるよに書かれたガイドブックのイタリアンでもありません。それらとはかなり…内容的にも思想的にも距離を置くことに,結果的にですがなっちゃいました。だって実際違うんだからしょーがないっしょ?
イタリアの食の現場を見る。それだけが,この旅行の目的だったもんで──。
ともあれバリバリに疲れた!ベットに倒れるやいなや,睡魔は速やかに訪れた。
8時間爆睡。
▲欧州名物「ビデ」。初日の宿の共用トイレで。けど──決してウンコやシッコしちゃいかん!
実は初日はわしも知らなくて…便器が何で2つもあるの?しかも向かい合ってる?壁なしでウンコする中国人だって顔見合わせてウンコはしないぞ?
でもよく見ると?一つには便座がなくて,ウォシュレットみたいなのがやたら太い?
旅行中に読んだジェレヴィーニ氏の本でやっと謎は解けた!足湯みたいな感覚で使う,陰部専用のお風呂。毛深い白人には安らぎをもたらすらしく,シャワー浴びなくてもビデは使いたいってくらいのもんだってゆーから,早速使ってみたら…。
うーん…よく分からん。
わしらイエローには有り難さの実感は今一つ…。