さて朝だ。イタリア歩きの初日!
7時に宿を出て,とにかく宿そばの店に入る。きっと…これがバールって呼ばれる場所なんだよね?
しかし?
どーすりゃいーの?
▲バールのカウンター風景。ただし,これはボローニャにて。ローマじゃとても撮影するよな余裕は…。
パンが並んだガラスケースに沿って人がたくさん立ってる。彼らは右手にコーヒーカップ,左手にパンを握って飲み食いしてる。でも金は背後のキャッシャーで払ってる。
つまり?料金先払いってこと?
それはヤバい!喋らにゃならんじゃないか!
一度店の外に出て,イタリア単語帳をチェック。パンは無難なクロワッサン,飲み物はエスプレッソとして…でもクロワッサンってフランス語だよな?イタリア語では?…ブリオッシュか?エスプレッソは単にカッフェでいーんだよな?アンドは「エ」だから…。
キャッシャーに並びながら反芻したイタリア語を,ε3分のコインを差し出しつつ緊張の面持ちで発する。
「ウ…una brioce e cafe…」
「…!?」朝のくつろいだ喫茶店に突然現れたガチガチにビビった客に戸惑うキャッシャーの兄ちゃん。
「Si」(はい)
レシートが突き出される。
うおお~通じた!やれば出来るじゃないかやれば!
ブリオッシュがЕ0.80,カフェはЕ1.50って…こんなもん?これが庶民の物価水準なら,ホテルやリストランテのあの価格は何だ?
レシートをガラスケースのオヤジに渡すと,クロワッサンを選ばされた。
…分からん。色々と微妙に違うのが数種類あるみたいだけど?どれが何なんだ?
ブリオッシュの味は普通。エスプレッソも。…とこの時は思えた。緊張感プラス,まだちゃんと味わえてなかったってのが実際でしょう。
ガラスケースの上に小銭があった。お釣りなの?オヤジを呼び止め,コインの山と自分を交互に指して見せる。
オヤジは首を振りつつ一言。
「チップ」
危ね!初手からチップ泥棒になるとこやったで…。
▲バールのカッフェとブリオッシュはこんな感じ(ボローニャ駅前)
Pii…おはようヘルペス君。最初のミッションは,システィーナ礼拝堂を一応見てくること。
市国のヴァチカン博物館です。人によっては命懸けで見に行くとこなんだろけど,ってゆーか大体世界中からまさにココを見に来てんだろけど…いや~西安で1年生活した段階で,古いモンってどーもお腹一杯!!って体質になっちゃって。初めから興味ゼロ。
だから,まー慣らし運転用の仮目標よ…って,これ以上書くと全国38百万人の歴史マニアに絞殺されそだから止めといてと──とにかくまずは,テルミニ駅地下から地下鉄に乗らねばならぬホトトギス。
迷いつつ地下に降りる。結構広い。アジアの地下鉄との最大の違いだけど,かなり年代物でレンガ造りのアーチとかが残ってる。構造上の非効率が広さを必要としてんだろね。やたらに薄暗いのも同じ理由みたい。
日本ほどバカ丁寧に数はないけど,必要なだけの表示はある。英語表記も付されてる。「Usita/Exit」とあるから,このウッシータって表示のない方向に進んでりゃホームに着くんだろな?
歩き回ってるうちに,暗がりの中に改札機らしき機械が見えてきました。改札機は,透明な横開きのゲートになってて,皆さんが切符を機械に通すと左右に開いて通過できる仕組み。
でも駅員さんいないよ?切符はどう買うの?
見回すと?後方の暗がりの中に自販機らしき方形の機械がある。
タッチパネルをいじってみる。付されてる英訳から理解する限り,75分有効の1回チケット,BGIってゆーバス・トラムも含め共用の1日チケット,その他にもいくつか選択肢はあるみたい?
よく分からんぜよ…ε4分のコインを入れてBGIを購入。出てきた磁気カードの切符を手際よく改札機へ──
開かない?
機械に赤いランプが灯ってる?付属のディスプレイ何かエラー表示らしき文字が出てるけど,何度繰り返しても赤いままだしゲートも閉じたまま…
何人かの後ろで観察したけど分からん。真似して何回通してもダメ。ひい~ん駅員さあん…。駅員ずっと現れず。
20回目位に通す時,裏にして通したらあっさりゲートが開きました。黒い電極のある面を上にするのね…。
▲地下鉄車内(ミラノ)。スリが多いんで,こんな写真堂々と撮ってちゃダメだお!
地下鉄を降りて地上に出る。
そこら中…観光客だらけ?
まだ8時だぞ?なんでこんなに?しかも,ガイドブック広げたまま歩いてる二宮金次郎ウォーク,一目で分かるよな健全で,昨日来たんですう的な外人観光客ばっか!ってそりゃまさにわしじゃきに…。
ヴァチカンの城壁はあまりにデカいから迷いようがない。ただし近づくと,城壁のラインが凹凸しており,しかも高くそびえ立ってるから見通しが悪くてどこが入り口か分かりにくい。
また単語帳をカンニングしつつ,その辺の店のオバチャンに「Dove il Musei Vaticani?」。ちなみに定冠詞「il」が正しいのかどーか知らなかった。てか未だに分からん。
オバチャン親切に「×××デストゥラ×××シニストゥラ×××」とか教えてくらはったんですけど,わしが覚えてる単語は右・左・真っすぐくらいのもんなんで,「Si~GrazieGrazie!!」とか適当に分かったふり。それを何度か繰り返してたら何とか博物館入口に着きました。
8時15分。
バチカン博物館前には既にもう50人位の行列が。
8時半開館だろ?テメエらそんなにヴァチカン見たいのかあ?
…当然見たいんである。気楽に来ちゃってんのはわしだけなんである。皆さんガイドを付けたり二宮金次郎的にガイドを読みふけったりしちゃって…今更ですけど…ここってかなりマジに来るとこなんスね…。
結局開館は9時でした。行列が動き始めた時には500人ほど並んでたっぽい。帰りには2千人以上の長蛇の列が地下鉄駅近くまで続いてたんでした。
ひい~んゴメンナサイゴメンナサイ…。とか言いつつ,実はわしもヴァチカンでは非常に感銘を受けまして,神の御教えを真剣に拝聴したわけです。例えばこんな感じ──
▲丸出しゴブリン。完全に隠す気がない。
▲たまらなくイヤそーな顔の天使。もう少しポジティブに生きなきゃ駄目だ。
▲とても分かり易い階段注意の表示。落ちる時に両手を挙げるのはあまりに潔過ぎる。多少でも受け身を取るべきだ。
順路がやたら長かったけど,ついに「Cappela Sistina」って表示の場所にたどり着いた。500人ほどの皆さんが忘我の心地で天井を覆うミケランジェロの奇跡の絵巻に見入ってます。
わしも見習わねば!!正面真下に座り,最後の審判を告げる主の左下あたりで,これまでで最も露骨な逆立ち丸出しの男をケータイのカメラで写してたら。
おお~神の怒りの雷か!?
ケータイがフリーズ!?こんなことってあるの?電源を含めてどのキーを押しても全く動かなくなってしまいました!!
慌ててケータイ必死でいじってたら「セニョール!」と鋭い声。ツカツカとやって来た赤シャツの男。「ノーテレフォーノ!」
いや…別に電話しとるわけちゃうねん…。
うーむ!!これぞ最後の審判ち〇ぽこの祟り!流石にヤルな,ヴァチカン!
にしても…居合わせた真面目な日本人の皆様が,地球の歩き方に投稿しないことを主に祈らずにはおれない。
▲夕暮れの路地裏
▲バイクのある路地裏
ヴァチカンを出てから,結局テルミニまでうねうね歩きました。
デカい監獄みたいな建物。サンタンジェロ城でした。
トラック状の場所に観光客が運動会みたく歩き回ってる。ナヴォーナ広場でした。
繁華街にインド風の沐浴場。トレヴィの泉でした。
妙にジェラート屋だらけの通りから石段を上る。スペイン広場。
野球ドームにしちゃあボロボロの円形の建物。コロッシアム。
って感じに雑にこなして行きましたけど…東京丸の内に似た丘と坂道の多い町と,そこに重層的に延びる建築の並びはまあ飽きんかったです。
▲買い食いショートバスタ
昼飯は通りがかりのピッツァリアで,またピザとショートパスタ。冷えたパスタなのに相当ハイレベル。やっぱ生地がスーパー!!
一寝入りしてから,夕方は川向こう,テラステヴェレも見とくことにした。まさにガイドブック通りの時間とコース。
テルミニ駅前からHのバスで行けばいいらしい。BGIはバスにも使えるはずだけど…このサービスの難点は,今乗ってる乗り物に適用されてんのかどーか自信が持てない点。歩き方にはなぜかトラムの情報は全く載ってない。BGIカードの裏面英訳を読む限り含まれてるはずだけど?
歩き方と言えば「満員バスには乗らない位の気持ちで」とまで脅かしまくってる。でも…そうそう危険な感じはありません。皆さんも,中国みたくバックを常に前にして手で覆うとか防御態勢を取ってる気配はない。帰りはまさに満席近かったけど,雰囲気は同じ。
まあ…公共交通機関なんだからスリはいるわな。危険度は少なしアジア並みでしょうね。防御力ゼロで「観光客デ~ス!」って自己アピールしてるよな日本人観光客がターゲットにされてるだけちゃうかなあ…。
試しに,ダミーの財布に紙片を詰めたのを,抜かれやすいズボンの後ろポケットに入れてたんだけど,結局最後まで攻撃はなかった。ちょっと寂しかった…。
▲テラステネヴェの街角の花屋
テネヴェ川の向こう,テラステネヴェの街並みはかなり印象的でした。生活臭ある古い石畳の路地が,アップダウンしつつ広がってます。
ただ,今他の町と比べると…他にある普通の街だったな。ローマの名所はあまりに古過ぎて,生活感が薄いエリアが多い中でこの地区だけはかろうじてそれがあるって意味で,ローマだけ駆け足で訪れる観光客には貴重なんでしょう。
わしにとってもこの雰囲気は初めての生イタリアで,3時間ほど路地とゆー路地をうろつきまくりました。
ピアッツァ・トリルッサで一休み。
ピアッツァは広場ってほどの意です。大抵中央部か側面か外周かに階段状の場所があって,ローマとか観光地じゃ大半が観光客だけど,普通の町では市民が無聊を囲ってる。
子どもがサッカーして遊んでる。1人残らず皆異様に上手い。
彼らを観戦しながら本日2杯目のイタリアン・ジェラートを頂く。スペイン公園じゃバカにしてたけどあっさりハマっちゃいました!
沖縄や高知のアイスクリンのあっさりさ。それとトルコアイスのまったり感を合わせ持つ!
結果,イタリア滞在中1日1カップは食ってました。けどジェラートについては別にたっぷり書くとして──
初日,カッフェ7杯目まで飲みまくりました。徐々に分かってきたけど,どこも違う味。同じチェーン店(cafe zeroとか)でも別の味なの!ある店は独特の酸味に,ある店はかつてない深みに魅了される──。
エスプレッソって…機械の年期が味の深みらしいくて,機械自体が一種の神器扱いされてる。後に写真撮ろうとして本気で怒られた事があるけど,その位厳かな代物みたい。
個性を宿す機械が淹れる味覚。これも滞在中日に数杯飲んでました。
▲テラステヴェネのTABACCHI。タバコ屋だけど大抵雑貨屋を兼ねてる。ここの国民性,タバコにはスゴく寛大。あちこちに灰皿があって助かる。
▲テラステヴェネで食ったピッツア・コン・フンギ
6時を過ぎて暗くなったんで,ピッツアを食う。
テラステネヴェの夕食にピザ。典型的観光ルートだね。
にしても同じく観光客してる日本人があまりに目立つ。一応路地裏の「ristorante calro」って店を適当に選び,鉢合わせを回避した。
pizza al funghi ε4.00──「きのこピザ」?
bir.0.2 ε2.00──ビール。0.2の単位不明。
やっぱ生地が日本のと全く違う!
駅前でも感じた傾向がはっきり。薄くてモッチリして,ほとんど中国本場の餃子の食感です。味覚は粉っぽくて穀物味プンプン。これにフンギ(マッシュルーム)がばっちしハマりまくり。
ローマのピザはイタリアでも最高なんだって。実質初日の今は,しかしとにかくこの美味に酔うばかり…。
その他のメニューには,insaladaだけがメインのコースも有。ベジタリアンが5%を超えたと聞くイタリア,ローマにはその傾向が強いという。この辺も含め,さらに探求して参りたい初日でした。