外伝08〓’ⅩⅢtredici’Dolci brioshe!! 菓子パン


▲やっとのことで舐め切ったヌテッラ。2週間たっぷり舐め倒し!

 最終日なのに繰り出しちゃってます。
 昼12時半イタリアアウト。ってことは10時前にはリムジンに乗ってるべきなのに,7時からトラムで町中へ。
 っちゅーのも…やっぱドルチェに未練が残っちゃって。朝からやってるドルチェ出すバールをターゲットにしたわけです。
 ただ結果的に──イタリア標準的に朝イチからドルチェは無理でした。コーナーが閉まってたり余りに浮きそだったりしたんで…いつものブリオッシュを甘いタイプで食っただけ。
 でも。それでも未知の食体験!イタリアン・ドルチェの引き出しの多さは多少は窺えたと思ってます。


▲Caffee Panzeraの店頭ガラスケース

 7時25分,とりあえず気になってた駅前バールCaffee Panzeraへ。
 ちょっと人気ってほどのただのバールですけど,ガラスケースがいかにも「甘物得意やでえ!」ってオーラ放出してたんでつい…。
 カスタードクリーム入りのブリオッシュをエスプレッソとともに注文。これ位なら少し甘味好きのサラリーマンなら毎日の朝食です。
 口に頬張って,後悔はさらに二乗に増幅。黄色いクリームが…カスタードに変わりはないはずなのに…ただ甘いだけじゃなくてムチャクチャ奥行あって華やか!!
 それに──それ以上にスゴいのは舌触り。ヌッテリまとわりついたかと思うと,一瞬置いて極めて滑らかに,水飴のようにとろけて消える様は官能的!
 これ…カッフェに絶妙に合うじゃん!


▲ミラノCova カッフェ&ブリオッシュ

 どーせ昼からは機内食づくしじゃけん!行ってまえ~って感じにメーターぶち切れちゃって,8時10分さらにvia Monte napoleoneの有名店Covaへ。
 ホントは高級ティールームが売りみたいだけど,流石にこの時間は閉鎖中。
 なんでカウンター席に。客層は周辺ビジネス街のビシッとキメた企業戦士的サラリーマン。でもその手にはメチャ甘の菓子パン…ってのがイタリアですわな。
 浮かないよーにわしが選んだのは(無理)──マーマレードが中からはみ出したよなブリオッシュ。
 食ってみたら,やっぱりマーマレードだけ。それだけなんだけど…ええ?何だ…この後から追っかけてくるコダマのよな果実の芳香。甘さを抑えた果肉主体のマーマレードも累積的に香り立って来る。これがブリオッシュ地のふくよかな生地にばちっとマッチしてるみたい。
 これは…迂闊に止まらない列車へ乗ってしまったかあ?
 8時半。同じ通りを出てすぐのSant Ambroeusへ。ここも有名店。
 ガラスケースに,緑色のクリームとナッツが乗ったブリオッシュを見つける。尋ねると…おばちゃん曰く何とかかんとかビスタチオ?…としか聞き取れなかったんで当然ナッツ系の味を予想してたら──
 ビスタチオって?こんな滑らかなクリームになるの?ほとんどマロンクリームやん!けどマロンより渋い。深みある豆の香の中に半ばから静かな甘味が顔を出し,鮮やかな後味を残してく。
 9時を回った!月曜も開いてる美術館が歩き方に載ってたんで行ってみたら,なぜか大学構内に迷いこんじゃってタイムアップ。古い学舎の暗い廊下を思い思いの憂いを湛え,あるいはけたたましく笑い転げて行く学生の往来はどこか鮮烈に記憶に残ったけれど。
 トラム1番で宿へ。一時,城壁跡らしき段差に沿って走る。大公国の都ミラノ,やはり城塞都市として覇を競った過去があるわけね。


▲Caffe Lepetitのカッフェとまきまきパン

 9時45分だぞ!なんだけど──諦め悪くもう一軒,宿そばのCaffe Lepetitへ。
 やはりブリオッシュ。でも形が捻ってあって,中国の油条みたい。
 中はイチゴジャム入り。ベリーか何かが混ぜてあるのか?不思議な,白あんのような和風の落ち着きもあるし…バリエーションは底知れない。
 カッフェがまた…ミラノのカッフェって一際美味いけど,この最後の一杯は凄まじかった!一撃で鋭い苦味。追ってなだらかな漆黒の炭のような渋みが来る。甘味の要素は皆無。後味は抹茶のような静寂。水墨画を想起させる味わい。
 魂を震わせる一杯を置き,宿からダッシュでマルベンサ空港行きシャトルバスに乗り込んだのは10時15分でした。
 ε7.50。往復ならε12だって。
 ミラノ郊外は,大工場とアパート群が散在。畑も含め相当の空き空間が残る。大平原に位置するこの首都,まだまだ発展途上の都心らしい。
 しかし──遅くなったぞ…疲れたから中側の席でいーけど…にしてもギリギリじゃねーの!?

 12時15分,上海行CA968機内。
 マジでギリギリ!
 初めての空港で,どーも構造は複雑だし,カウンターのフロアが3つくらい別の場所だし──チェックインカウンターで搭乗拒否気味のお姉様をなだめて搭乗券もぎ取ると,リュック担いで死ぬ気で走って滑り込みセーフ。ひーひー状態。
 最後に搭乗口ではなぜか5分位止められて搭乗券チェックされるし…これまで経験したことない危険度でありました!
 イタリアの地霊の策略か!?果てまた帰国したくない深層心理の賜物か!?(無論後者)
 でも。ヒコーキは定刻に飛んじゃいました。
 見る見る美しい大地は雲に隠れて──朝から動き過ぎた体は,すぐに眠りに落ちたんでした。
 明朝5時50分上海着予定。

 機上の夢中のイタリア旅行の走馬灯に代えて──ミラノの景観いろいろ。


▲バイクのある街角


▲トラム停留所辺り


▲看板の女優と取締中のポリス


▲路地裏風景


▲路地裏風景(やや広め)


▲ドゥオーモ脇からビッグビジョンを見る


▲トラム電停にて


▲ドゥオーモ脇の繁華街にて


▲ファッション広告とドゥオーモ


▲ドゥオーモ脇の映画館前


▲via Francesco Sforza表示板


▲地下鉄の車内


▲トラム車内


▲ドゥオーモ内のステンドグラス


▲ドゥオーモ内から入り口方向


▲ドゥオーモ脇のLOTTERIA(イタリア語では何か別の意味らしい)


▲ドゥオーモ前の甘栗屋台


▲ドゥオーモを支える人「重いよう」


▲ドゥオーモ入り口 幼児生首