外伝02-2전라도:《第二次2日目》ビビンバブの日

 温泉が染みるう~!
 やっぱ韓国モーテル最高!付属のこの温泉,タダだし人少ないし…たっぷりゆったり満喫しました。
 昨夜に加え朝風呂も頂きました。透明でわずかに炭酸,日本人的には少しヌルいけど本来半身浴には一番の温度。
 それに前から思ってたけど…韓国の温泉って何か染み方がダイレクトな気がする。禁ゆ症はそれだけ多いのかもしれんけど,温浴効果は高そう。入浴後のぽかぽか感が違うんよ。やっぱ良い!
 出がけに昨日買い込んでたミロみたいな瓶ジュースを飲んでみた。コンビニの棚で並んでて豆乳と間違えたんだけど,一度飲んだことのある穀物ドロドロ汁でした。カロリーもほどほどありそうだし満足感も高いけど,どーも後味がネト~ッとすっきりしない一品。


▲大田 中央市場の一コマ

 ドアを開けると空から白いひらひら。
 朝風呂つかってリュックをしょってる今は多少体が燃えてるけど…ひえ~雪だよお。今年初めて見たけど…あんま有り難くねーよ。
 地下鉄で大田駅へ。中央市場を少しうろついてみた。店舗数300規模か?歴史のない町だけにそれほど発達してなくて,市場の構造は古く発酵してる店も少なそう。衣類が目立つ。
 大田駅地下のカッフェでちょい時間調整。エスプレッソはハングル読みでも「エスプレソ」で記述されてた。W1500。味はそんなでもないけど…コーヒーメニューのトップに来てるからかなりメジャー化はしてるみたい。
 ここのオバチャンもまた感じ良かった。わしどーも…釜山とソウルの都会時間に忙殺されてる韓国人を韓国人と見てたんかも知れん。そーゆー韓国人像より何かスゴく柔らかい人当たりです。


▲大田中央市場のパラソル群とビル街

 雪,ぶんぶん吹雪いてきました。
 さ…寒い!
 引力に引かれて,店に入ってお粥のブランチにした。釜山で何度か入ったボンチュクってチェーン店。──かなり遅くなったついでや!
 この店ではアワビの粥ばっか食ってきたけど,本日はタンホバクチュク,かぼちゃ粥にしてみました。かぼちゃは感染症にいいってのも頭の隅にはあった…。弱気。
 小豆と丸餅が入ってかなりのボリューム。白菜とアミのキムチの他,カツオの醤油煮込みみたいのと大根の酸ゆい汁が付く。
 自然な甘味が腹に応える。
 いや~やっぱいーわ,かぼちゃ粥!…通勤途中にちょっとチェーン店開いてくれよお。


▲大田(旧)BT前ボンチュクのかぼちゃ粥

 高速バスターミナルは廃墟でした。
 他にも廃墟の中でウロウロしてる人がいる。立入禁止にしてないとこが日本的じゃなくていとおかし。
 でもここは市外地。迷子同士で情報交換するしかない。どーも近くの別の場所に移転したみたいってことになって,探し回って徒歩15分程の所に無事発見。
 使い勝手悪いシステムと市民レベルの扶助意識。韓国もこのタイプで動いてる国みたい。
 とかさらに時間を食いまして──全州(チョンジュ)行きバスは11時半になってしまった。定刻大田発。


▲全州 中心部アーケード街

 サンタさん姿の一群がチラシ配ってる。異様に恥ずかしそう。雪の中ご苦労様…。
 全州BT近くのモーテル街に荷を下ろして町中へ。
 全州。ビビンバブの都,今回の直接の目的地です。
 ビビンバブ。一回目の初日,「廿」みたいな子音「b」が3つで見分け易いからこればっか食ってた酸っぱい思い出のメニューです。
 とにかく食ってみるがや!有名店の家族会館(カゾクフェグアン)へ直行。
 昼過ぎで程よくすいてました。2階だけど大衆食堂的な広さ。個室も入れると100席はある。便所に行って出口に迷ったくらいです…。
 チンスビビンバブW10000。
 高いけどまあ800円程度。で…ずらり並んだ14皿は,これはもうトンデモなかった!種類の多さもさることながら一品一品がレベル高過ぎ!
 お膳の配置は──


▲全州 家族会館のチンスビビンバブ

 ① ② ③ ④
⑤ ⑥ ⑦ ⑧
 ⑨ ⑩ ⑪ ⑫
⑬   ⑭
① 牛蒡のキムチ…に思えたけど違うかも。下拵えが巧みで分からんわい。日本の牛蒡よりホクホクの歯応え。土臭さがたまりまへんえ。
② ゴマの葉の塩漬。前に釜山で食ったのほど劇塩辛じゃない。まぶしたごまがこれでもかって香りを発揮。
③ お馴染み白菜キムチ。辛くない瑞々しさを残すシンプルな味わい。それがかえって新鮮。
④ ジャガイモ千切りの舞茸煮。白くドロドロしたソースで和えてある。まろやかにうねる食感が中華風。
⑤ アミの塩辛。ゴマの葉に載せてある。
⑥ 胡瓜とワカメの酢の物。びっくりするほど純和風。
⑦ ニンニクの漬け物。どう漬けてあるのか,中国西域のに似てる。
⑧ 緑色の寒てん。三角形,ごま油で和えてある。原料不明だけど妙に食い応えがあった。
⑨ 薩摩芋の飴煮。普通の甘煮だけど素材がいいのか妙にいけた。焼き芋屋台の多さといい,隠れた絶品食カムジャタンといい…韓国って実は芋が美味い?
⑩ 水菜とニガナのナムル。この味覚もスゴかった!ニガナの苦みが意外にまろやかにたゆたう。これも素材か?
⑪ 人参とモヤシのナムル。完全に人参の素材勝ち!苦くて甘くて芳醇で…生の人参,初めてウマいと思った。
⑫ ニンニクの芽の小海老塩辛和え。食ったことない味覚。ニンニクの臭みが海老の香り&塩辛さと螺旋状に絡まって来る。
⑬ コンナムルのスープ。完全にコンナムル(豆もやし)だけだぞ?なのに…何だこの旨味?ナチュラルに口にトロけてくる。


▲全州 家族会館のチンスビビンバブ どアップ

⑭ そして!メインのビビンバブ!
 これ…これまで食ってきたビビンバブと完全に別の星の生命体!
 パブはやや固め,粒々してて噛んでも甘味は来ない。代わりに穀物味が朴訥に主張してくる。
 具は,定番の卵黄にコンナムル,人参の他に,胡瓜,銀杏,黄色い寒てんが入る多彩さ。コンナムルの豆豆しさと胡瓜の青臭さ,人参の軽快な甘味が味覚の基調になって,これがパブに絡む。寒てんのトロトロ,銀杏のコリコリ,人参のシャキシャキが,複雑な歯応えを与える。
 芸術的!ブラバー!
 正直,感激の余り,その場では理解出来なかったこと多かった。でもそれは後日談。全羅道の食の豊さを証するように唐辛子系が少ない事には一応思い至ってました。
 なお。ここの一階にW1100均一の店があり,ちょっと買ってみた。これが後刻禍の種に…。


▲全州 ライトアップされたアーケード街

 全州の繁華街は小さいけど,なかなかいいセンスしてる。街は完全にシュガータウンだけどアーケードがどこもシャレてて,歩いて華やか。
 JAVA DAVEってカッフェのエスプレソ,W3500だけどウマい!イタリアの苦みはないけどふくよかな味わい。韓国テイストのエスプレッソ?
 気に入ってしまってさらにTi-amoって3階にあったカフェに入る。チェーン店でこの先も幾つか見かけた。イタリアンを名乗ってるだけあってエスプレッソは本格的。苦味がシンプルに鋭く舌を指してくる。


▲サムベクチブのソンジクッパブ

 中心街ちょい東側のサムベクチブって店へ。
 クッパブがメイン。ソンジとコンナムル有。観光的にはコンナムルなんだろけど,皆さんの注文多いみたいだし何か分からんから(笑)あえてソンジに。
 何か…正解みたい!
 昨日と同じ牛の血液ゼリーが入ってたんで「ヘジャンククじゃん…」と思ってたら,他にスンデが入ってる。辛みも昨日のほどじゃなく肉汁中心。なのに臭みが薄い?スンデ独特の肉汁で昇華してる感じ?
 米はやはり硬い。どうもこの全羅道のご飯って,日本的な噛み締めた甘さで食わすんじゃないみたい。粉粉しさと香ばしさで食わす米。そういえば…『食客』第一話で出てきた焼き米ってこの辺りだった?調理法としては炊いてあるけど,焼米の旨さの古い嗜好が生きてんだろか?
 これがクッパにした時に発揮される。ヘジャンククの生臭いとスンデ独自の軽い臭みが,芯を残した感じの米の香ばしさにジョイントして…何かスゴい旨味!
 隣りにサミルグァンってやはり老舗×24h営業のクッパブ専門店があるけど,2回通りがかった限り明らかにサルベクチブの客の入りが多い。ここにも入るつもりだったけど,明朝サムベクチブにまた来て,今度はコンナムルを食うことに。
 …ってやっぱコンナムル食うんじゃん!!ええ…実は心残りで。


▲日式料理 なわばり。何じゃそのセンス?しかもデカデカと…。

 すっかり暗くなっちゃった…。
 全州中心部と高速バスターミナル地域は直線3km近く離れてる。バスターミナルに近いバス停はクンナム広場ってロータリー。
 恥ずかしながら…韓国の市内バスって初体験。でも全州には地下鉄ない。バス使うか歩くかしかない。
 行きは中心部の「客舎」って観光名所を覚えてった。読みが「ケッサ」でハングル2字だから記憶力虚弱体質のわしでも忘れそうもないし,写真は歩き方にあったから見えたら分かるだろ…ってほどの準備で行った。なんとかなった。
 問題は帰り。この暗さ…広場を視認できそもない。それにまず,何番バスに乗りゃえーんじゃあ??
 客舎のバス停で表示をチェックすると──停車するバス20路線の停留所が全部図示してある。「クムアム」は,ハングル2字で2つとも下側が「ロ」(m音)だから視認はやや容易。
 ちなみに。今のわしのハングル読みは1文字あたり3秒位…。
 それでも15分近くかかって3路線をチョイス。「42-39-355…」と呪文のよに繰り返しつつバスを待つ。
 雪はまだ降り続いてる。さッみ~!!脳味噌凍ってまう~…あっいかん,42-39-355…42-39-355…と20分も待ったか。
 42番が来たッ!でも車体の停留所表示にッ?「ロ」2つがない?飛び乗って運ちゃんに「クムアム-カンチャン(広場)-ロ?」って確認。あまりの必死の形相にビビったか運ちゃんドモり気味に「ネ…ネー」(そうだよ)。
 ふ~い。でもクムアム広場を視認は出来んど。初めて車内放送に聴力を集中。10分ほどして──「××××クムアムカンチャン×××」ってほら聞き取れた!ガチャンと席を立ったわしの肩を掴む手。びっくりして振り返ると,後ろ席のオッサン!?な…何すんねん!オッサン曰く「×××××」って分からんし!でも手の動きを見ると?…次の停留所って?
 つまり「次はクムアムカンチャンで~す」って放送だったの?
 ちょうどそのオッサンも広場下車だったらしい。も一度肩を叩いてくれたオッサンの後にノコノコついてバスを下車。「カムサハムニダ!」って言う間もなくオッサンは闇に消えました。
 ほろり。何か…いー人多いな~全羅道。


▲全州 夜の焼芋屋台。日本で消えた光景の一つ。

 コンセントがないのは首がないのと一緒や!
 昨日の大田でも今いる全州でも,宿に日本式の「ニ」タイプのコンセントがない。切替ユニットをフロントに要求してみたけど…通じてへん。
 ケータイに充電できんやないか!最近の旅行では日記帳兼カメラ時々辞書所により事典って感じでちょっと手放せんのよ~!
 仕方ない,電池充電しよ…。でも高いんだよな~。電池の値段だけは世界中どこも日本並み。
 家族会館の一階のW千均(ってゆーのか?)で購入した単3電池の8本パック。1本15円以下でした!安ッ!
 充電器にセットして眠りかけてたら…ケータイがぴーぴー泣き出す。え?もうお腹すいた?おじーちゃん,さっき食べたばかりでしょ?仕方ないわねえ…と新しい電池入れる。
 …泣き止まない?さらに新しい電池でも…そして哀れ我がケータイは安らかに昇天したのでした──ブチっ。
 中国でもなかったど,こんな粗悪電池!!ってか典型的な安物買いの銭失い…。



▲全州コンビニ購入のGTと17茶

 夜10時過ぎの雪明かりのザクザク道。
 500mほど先のセブンイレブンへ楽しいお出掛けってちょっと小粋。
 …寒い。それしか言えん。
 コンビニ着。電池だけじゃあんまり腹立つから,ホットの「GT」なる小瓶を購入。
 昨日のと同じ韓国ミロ,穀物どろどろジュース。でもこれ…熱いと結構イケてる?それともGTがウマいの!?どろどろがスープみたいに重い腹応え。…もーちょい極めたくなってきました。
 ちなみに一緒に写ってる「17茶」…東アジアじゃ今や常套手段,恥なんか知らんわ儲かりゃええねん的な逞しきパクリ商品ですね。韓国じゃ結構売れてるみたい。それにミントや穀物味の複合で不思議にイケるブレンド。正直一つ多い分以上に旨いから…固い事言わずに暖かく見守りたいです。


▲全州高速BT裏手モーテル街